トニー賞公認ミュージカル・コンサート「トニー賞 コンサート in TOKYO」、日本代表として参戦する井上芳雄にインタビュー!

チケット情報はこちら

tonycon_inoue01_F742697_FIX.JPG
今年で第70回を迎えた世界最高峰の演劇賞、トニー賞
その授賞式の模様を毎年生中継しているWOWOWが、開局25周年記念イベントとして、日本初のトニー賞公認のミュージカル・コンサートを開催します!


出演は、昨年渡辺謙との共演が話題になったブロードウェイミュージカル『王様と私』で第69回トニー賞ミュージカル主演女優賞を受賞したケリー・オハラ
日本でも大ヒットしたアメリカTVドラマ『glee/グリー』のウィル・シュースター先生役で人気を博し、『ライト・イン・ザ・ピアッツァ』で第59回トニー賞ミュージカル助演男優賞にノミネートされたマシュー・モリソン
そして、日本ミュージカル界のトップスターであり、第63回芸術選奨文部科学大臣新人賞(演劇部門)他、多数の賞を受賞している井上芳雄

...という、日米トップ・ミュージカルスターの夢の競演です。
wowow_tony.jpg
トニー賞公認という、この日本初の特別なコンサートに、日本代表として参戦する井上芳雄さんに、お話を伺ってきました。



●井上芳雄 INTERVIEW●

tonycon_inoue02_F742758_FIX.JPG
――「トニー賞 コンサート in TOKYO」という大きなコンサートへの参加が決まった、現在の心境をお願いします。

「トニー賞はずっとWOWOWさんが中継を重ねているんですが、僕もここ数年そのサポーターをやらせてもらっています。今年はNY(ブロードウェイ)にも行かせてもらったりして、より深くトニー賞のこともわかってきました。そんな中で「トニー賞と一緒に日本でコンサートが出来るかも」...みたいなことを聞いて、僕も「そんな夢のようなこと出来たらいいですね」と言っていたんですが。気付いたら実現することになっちゃって。本気だったのか、すごいなWOWOW!って思いました(笑)。近年、外国のミュージカル俳優が来日して一緒に歌うコンサートって多いですが、トニー賞が公認して、トニー賞を通して本場の俳優が来るというコンサートは初めてだと思います。それはすごく新しいし、大きなことですよね」


――「トニー賞のこともわかってきた」とのことですが、具体的には?

「僕もまだそんなに詳しいわけじゃないのですが、そもそもトニー賞ってどこが主催しているの?何なの?ってところからでしょうか。アメリカン・シアター・ウィングと全米劇場プロデューサー連盟の2者でやっているんですよね。でも商業ベースではなく非営利というか、アメリカン・シアター・ウィングはほかにも演劇を普及させる色々な活動をやっていますし。そんな成り立ちから、毎年のショーレースのパワーゲームとか(笑)? ちょっと言えない話が多いんですけど(笑)。今年はこんな色々な事情があってこうなったとか、今年は流れからこれが(賞を)獲るだろうとか。でもそれから大どんでん返しがあったり。今年なんて『ハミルトン』があまりにも強かったから、今年開けてもダメだから開幕を遅らせている(来年のトニー賞を狙う)新作もたくさんあるんじゃないかって話もあるくらい。あとはトニー賞の中継番組の時、演劇ジャーナリストの影山雄成さんが隣の席で、放送していない時に色々教えてくれるんですよ、俳優たちの裏話を。この人はインタビューをしたらすごく感じが悪かったとか(笑)。そういう話も含めて面白いなって思うんです」
※トニー賞は各年のエントリー期間中に開幕した作品が対象となる。
tonycon_inoue11_F742795_FIX.JPG

――現場でトニー賞の凄さも感じられましたか?

「そうですね。もちろん凄いという意味では、特に新作はみんなトニー賞を目指してやっています。それだけ影響力が大きいということです。トニー賞の授賞式でのパフォーマンスも、実はあれ、全部"作品持ち"、つまり自前でやっているらしいです。しかも普通に昼公演をやったあとだったりしますからね。授賞式でのパフォーマンスのためだけに自分たちでセットから何から作る。でもそれだけお金をかけても、テレビ中継もありますし、やったらやっただけ反響がある、つまりCMみたいなものなんです。それだけみんな必死になってやる。それだけ影響力があるという意味ではやっぱりトニー賞というものは凄い。でも実際にブロードウェイに行ってみたら、実はそんなにみんなが"トニー賞!トニー賞!"って言っているわけでもなく、適度なゆるさもあって。僕たちが思う、絶対的な、神様のような賞というのともちょっと違うのかなと思いました。授賞式の日にちも変わったりして、そんなに適当でいいの!?って(笑)。今年も1週ずれたんですよ、(生中継する)こっちは死活問題ですよ、舞台稽古中だよ!って(苦笑)。でもそこはアメリカらしいなって思います」

――井上さん、トニー賞サポーターをやる前から「やるなら僕に!」といったことを仰っていました。井上さんが子どもの頃からミュージカル好きだったのは有名なお話ですが、トニー賞自体の存在をいつごろから認識されてました?

「小学校の時に『キャッツ』を観てミュージカルが好きになって。当時LDになっている作品などをいっぱい観ていたのですが、そのほかはBSのミュージカル特集とかを観るしかなかったんですよね。そのBSでトニー賞はやっていましたから、小学校4・5年生の時には"トニー賞"というものは知っていたと思います。「トニー賞クロニクル」という番組があって、それはパフォーマンスを抜いて10年分くらいをダイジェストでまとめた作品だったんですが、それを毎日(録画して)観ていました! 学校から帰って、それを観てから遊びに行く、といった感じでした。あとは『ブロードウェイミュージカル』って本などもずっと読んでいて、この作品はトニー賞を獲っていて、これは獲っていないとかを眺めて。この年はどんでん返しがあったんだなとか、こんなに有名な作品が獲っていないんだ! とか。『ウエストサイド・ストーリー』は獲っていないんだな...とか。そういう話も好きでした」
tonycon_inoue13_F742786_FIX.JPG


――先ほど、トニー賞のリアルがわかってきたという話もされていましたが、やっぱり子どもの頃はすごい賞というイメージでしたか?

「いや、今でもすごい賞というイメージですけど(笑)。...でもあの頃は、自分と接点があるものだとは、とても思わなかったですね。だってアメリカの俳優さんにとっては、ブロードウェイの作品に出ること自体がものすごいことだというのはよく聞きますし。さらにトニー賞でパフォーマンスをしたり、賞を獲ったりしたら、どんな感動なんだろうというのは、想像上のことでした。...まぁ、今でも僕がトニー賞を獲ったわけじゃないんですけど(笑)、でもそういう人たちと一緒の舞台に立てるチャンスが自分に来るなんて、ねぇ。もちろん今までも、クリエイターさんでは、一緒にお仕事をした方にトニー賞を受賞している方はいると思うんですが...ジョン・ケアードさんやデヴィッド・ルヴォーさんは獲ってますよね? 自分がそういう人たちと仕事が出来るようになるとは思っていなかったし、そういう意味では子どもの頃の想像を超えて、だいぶトニー賞が身近になってきてますね」
tonycon_inoue14_F742765_FIX.JPG

――今回は共演にケリー・オハラ、マシュー・モリソンという強力なキャストが名を連ねました。

「トニー賞と一緒にコンサートが出来るかも、という話が出たときに、「この人とか、この人とかが来てくれたらいいよね」と夢のようなことをWOWOWさんとお話していたのですが、このおふたりは最初から名前が上がっていました! このふたりと僕が並んで、本当に大丈夫かな...って不安ばかりが先立ちます(笑)。日本ではだいぶ僕、大きな顔して歌ってますけど(笑)! 「ちょっと、ホンモノが来ちゃったよ~」って感じです。...ホンモノって、僕らも本物(のミュージカル俳優)ですけどね。でもいい機会なので、懐をお借りして、色々と勉強できたらなと思います。一緒に楽しめればいいですね」


――マシュー・モリソンさんは日本でも人気のドラマ『glee』のイメージが強いですね。

「僕もすごく『glee』好きだったんです。シーズン後半はなかなか追いきれなくなっちゃいましたが、シーズン1・2くらいはよく見ていました。やっぱり画期的でしたよね。今の音楽もやれば、昔のブロードウェイ作品の音楽も、アレンジを変えてグリークラブがやる。その新しさもあったし、出演俳優の多くが舞台出身の人だというのもすごく嬉しかったです。もちろん単純に話も面白かったですが。だからマシュー・モリソンは、シュー先生(ウィル・シュースター役)のイメージ。舞台では『ヘアスプレー』も出てたりしたんですよね。だから僕も(舞台で彼を)観ていたと思うんですが、なかなかそれとシュー先生が繋がらなかった。でもそれがのちのちわかって、親近感を抱きました。親近感というか、お手本かな? (俳優として)こういう流れだったらいいな、という。自分も舞台をやって、映像もやらせてもらっているので。日本のお客さまも、マシュー・モリソンという名前はわからなくても、『glee』を見ている人はたくさんいると思いますので」


――ケリー・オハラさんは『王様と私』で第69回トニー賞(2015年)ミュージカル主演女優賞に輝きました。この作品は、渡辺謙さんもミュージカル主演男優賞にノミネートされたことが、日本でも大きな話題になりました。

「そうですね、だから今回このおふたりが来るというのは、キャッチーなことだと思います。何よりも、生で彼らの歌を聴いていただければ、素晴らしさがわかると思うんですよ。すごく上手いですから! まずは劇場に足を運んでいただきたいですよね」
tonycon_inoue03_F742719_FIX.JPG


――今回のコンサートで、ぜひこんなことをやってみたいといういものがあれば教えてください。

「トニー賞が公認してくださっているので、トニー賞の雰囲気というのを少しでも出せたら。僕、トニー賞授賞式のオープニングを毎年楽しみにしてるんです。趣向を凝らしたものになっているので。今回、全編をショーっぽくするのは大変だと思いますが、オープニングくらいは何かの作品のパロディだったり、(凝った)ステージングがあったり、トニー賞っぽくできたらいいなと思いますね。もちろんすべてはこれからですし、きちんと演出家の方も入って作っていくと思いますので、今はまだ僕の単なる希望なんですが、こんなに素晴らしい方たちとご一緒できるので、ただ"本場の方に日本に来てもらって、ありがたく歌を歌っていただき、僕もちょっと歌ってお茶を濁す"のではないものにしたいです」


――これを歌いたい、といったようなものは?

「そうですね~。今年のトニー賞を獲った『ハミルトン』は、もちろん印象に残っているんですが、なかなかラップを歌ってみようという勇気が...(苦笑)。あんなに英語を覚えられないと思う(笑)。でもマシューさんとか、歌ってくれないかな。歌ってみたいものはたくさんあるけれど...マシューさんが出ていた『ファインディング ネバーランド』、僕実際に観れてはいないのですが、CDは聴いていて、すごくいい曲いっぱいあるんですよ。何か一緒に歌えたら嬉しいかな。『キンキー・ブーツ』なんかは、今年日本でも日本版、来日版両方やっていますし、いいんじゃないかな。『サムシング・ロッテン!』なんかも好きなので、その中のナンバーも歌いたいですし。ケリーさんはオペラ歌手のような技術を持っていらっしゃるので、クラシカルなものを聴きたいし、一緒に歌いたいですね。ロジャース&ハマースタインのものとか。もちろん『王様と私』も、僕が代わりに...ふふふ(笑)! (「シャル・ウィ・ダンス」を)踊ったことは、ないんですけどね~。それはやってみたいと思います!」
tonycon_inoue12_F742789_FIX.JPG
「あとは、例えば日本のミュージカルの歌をやってもいいと思う。劇団四季だったり宝塚歌劇団だったり、劇団の枠も超えてね(笑)! 『エリザベート』も...(日本のオリジナルではないが)いまや日本ミュージカル界を代表する作品だと言ってもいいくらいだと思います。ブロードウェイではやっていないけれど、日本ではこういう作品があるんですよというものを、一緒にやったり、聴いてもらったりしてもいいと思います。もちろん(ケリー、マシューと)デュエットしたいし、一緒にコラボレーションをしたいです。そしてゆくゆくは、今回のコンサートが何かのきっかけになれば嬉しいです。例えば、毎年恒例のものになったり。僕、日本のトニー賞を作るのが目標だと常々言っていますからね! 何かしら、先に繋がっていってほしい。勝手に僕がその年の一番好きなミュージカルを発表するコーナーを作ったりとかね(笑)。だから、1回目が一番大切だと思うので。楽しいものにしたいです。トニー賞公認だというところで、他のミュージカルコンサートと差別化を図っていければ」


――日本のトニー賞を作るのが目標なんですね。

「演劇というものの構造上、劇場に来てもらわないと観ることができませんので、たくさんの人に見てもらえるものではないんですよね。本当の意味では、アカデミー賞と同じようにはなれないと思うんです。でもそこがいいところで、魅力でもある。トニー賞は、それを全米で中継することで、地方にいる人たちも今年のヒット作がわかるようになっています。でも日本でトニー賞みたいなものをやるためには、やっぱり日本の人が見て、面白いものじゃなければいけない。いくらトニー賞がアメリカですごくても、アメリカの俳優がすごくても、単純に日本で何かがムーブメントにならないと、本当の意味では(ミュージカルは)根付かないと思っています。でも確かに近年、僕もですがミュージカルの俳優が色々なところで使ってもらえるようになってきたし、広がってきている。あとは多分、"ラッキー待ち"だと思うんです。何か大きな起爆剤が...『glee』のようなヒットドラマだったり、ムーブメントが来るのを信じて、いつそれが来てもいいように準備して待っている感じですね。その起爆剤に僕が関わっているといいんですが、それはわからないですね。(山崎)育三郎が関わってるかもしれないし、浦井(健治)がかかわってるかもしれない(笑)! でもその時は無理やりにでも入り込もうかな(笑)」


――最後に、「トニー賞 コンサート in TOKYO」について、ご自身への期待と、お客さまへのアピールポイントをお願いします。

「僕が出ることに対しては、リスクしか感じていないです(苦笑)。半分本気なんですよ、(ケリー、マシューと)並べてみたときに、自分が耐えうるのか...! 「おっ、意外とやるねえ日本の井上も」となるか、「...やっぱり世界はすごいな」となるのか。自分でもわかりませんが、それも含めて味わいたいです。もちろん良い結果の方がいいですが、後者の方だとしても、そこで学ぶことはあるだろうし、足りないところは真摯に受け止めたいです。でもただただ、ブロードウェイのものが素晴らしくて、本場だからありがたがるのではなく、現状は敵わなくても、変に卑屈にならずに...実際、日本の方が素晴らしいところもたくさんあると思うし...たとえば演出とか、だんぜん日本の方がいいなって思うところもあるんですよ。だから「一緒にやるんだ」と楽しんで表現してみたところで、わかることもあると思うので。自分はそれを楽しみにしたいです。そのためにも思いっきり、全力でぶつかっていきたいです。
お客さまにとっては、先ほどほかのコンサートとは一線を画すものにと言いましたが、本当に観たことのないコンサートになると思います。会場の東京国際フォーラム ホールAも、どれだけ大きいか! そこでミュージカルのコンサートをやるということが大きいです。もちろん本場ブロードウェイの素晴らしさを知っていただきたいのですが、そこよりもっと先を見て、そこで歌われた歌や音楽が素晴らしかった、この人はブロードウェイから来た人で、この人は日本人なのね...ってことになればいいなと思います」
tonycon_inoue04_F742756_FIX.JPG

取材・文:平野祥恵(ぴあ)
撮影:福井麻衣子



【バックナンバー】

【公演情報】
「トニー賞 コンサート in TOKYO」
2017年3月18日(土)18:00  東京国際フォーラム ホールA
主催・制作:WOWOW 
出演:ケリー・オハラ、マシュー・モリソン、井上芳雄

詳しくは、wowow.bs/tonycon


★プレイガイド最速先行!★
プリセール受付決定
【受付】11/2(水)10:00~11/18(金)23:59
※予定枚数終了次第、受付終了


チケット情報はこちら

前の記事「宝塚ファン必読、『宝塚歌劇に誘う7つの扉』発売中」へ

次の記事「「苦しみの先に、喜び、遣り甲斐をみつけるタイプだと思います」 『お気に召すまま』マイコ・インタビュー」へ

カテゴリー

ジャンル

カレンダー

アーカイブ

劇団別ブログ記事

猫のホテル

文学座

モナカ興業

谷賢一(DULL-COLORED POP)

劇団青年座

劇団鹿殺し

 はえぎわ

柿喰う客

ONEOR8

M&Oplaysプロデュース

クロムモリブデン

演劇集団 円

劇団チャリT企画

 表現・さわやか

MONO

パラドックス定数

石原正一ショー

モダンスイマーズ

ベッド&メイキングス

ペンギンプルペイルパイルズ

動物電気

藤田記子(カムカムミニキーナ)

FUKAIPRODUCE羽衣

松居大悟

ろりえ

ハイバイ

ブルドッキングヘッドロック

山の手事情社

江本純子

庭劇団ペニノ

劇団四季

演劇チケットぴあ
劇場別スケジュール
ステージぴあ
劇団 石塚朱莉