■ミュージカル『SMOKE』2019年版 vol.9■
昨年日本初演され、その濃密な世界観と美しい音楽でたちまち話題となり、多くの熱狂的ファンを生み出したミュージカル『SMOKE』。
20世紀初頭に生きた韓国の天才詩人、李箱(イ・サン)の遺した詩と彼の人生にインスパイアされたミュージカルで、たった3人のキャストが、ミステリアスで奥深い世界を作り上げていきます。
初演から1年で早くも再演となった『SMOKE』ですが、今年は6月の池袋・東京芸術劇場バージョンを経て、初演の地・浅草九劇の〈ORIGINAL CAST〉バージョンが現在好評上演中!
浅草九劇の〈ORIGINAL CAST〉バージョンは、3つの役どころそれぞれがトリプルキャストです。
「超」...大山真志、日野真一郎、木暮真一郎
「海」...大山真志、日野真一郎、木内健人
「紅」...池田有希子、高垣彩陽、元榮菜摘
※初演で「海」を演じた大山さんと、「超」を演じた日野さんは、今回は「海」「超」の二役を演じます
濃厚な三人芝居を、その日ごとのキャストが魂を叩きつけるように熱演している九劇版『SMOKE』。
そんな皆さんの開幕後のリアルな心境や、ちょっと突っ込んだ内容をお伺いしたく、インタビューを数回にわけてお届け中。
初演は「海」をシングルキャストで演じ、今回は「海」と「超」の二役に挑戦中の大山真志さんをホストに、出演者の皆さんの現在の心境、作品に対する思いなどをお伺いする通称「真志の部屋」、第3弾は木暮真一郎さんとの対談です。
初演は「海」を演じ、現在は「海」「超」の二役を演じている大山さん、初演・再演をとおし「超」のみを担っている唯一の存在である木暮さん。お互いへの信頼が伝わる、興味深い内容のインタビューとなりました!
▽ 大山真志(海)
▽ 木暮真一郎(超)
◆ about『SMOKE』 ◆
李箱(イ・サン)の作品「烏瞰図 詩第15号」にインスパイアされ、その詩のみならず彼の人生やその他の作品群の要素も盛り込み作られたミュージカル。
イ・サンは、才気ほとばしる作風が讃えられる一方で、その独自性と難解さゆえに酷評もされた、両極端の天才詩人。結核をわずらった後、日本に流れつき、そのまま異国の地・東京で27歳の若さで亡くなります。
このミュージカルでは、彼の精神世界を謎めいた筆致で描き、誰も想像できなかった物語が繰り広げられます。
登場人物は、
詩を書く男「超(チョ)」、
海を描く者「海(ヘ)」、
心を覗く者「紅(ホン)」
の3名のみ。 俳優の実力も問われる、スリリングな作品です。
★インタビュー中、一部ストーリーの展開に触れています。ご注意ください。
◆ 大山真志&木暮真一郎 INTERVIEW ◆
●上演回によって印象が変わる『SMOKE』。まずはこの日の公演の感想戦から...
―― 今日の大山さんの「海」はちょっと大人っぽくみえました。
※このインタビューは木暮超、大山海、池田紅の組みあわせの公演後に行われました。
大山「ああ、そうです、そうです」
―― それは今日の気持ちですか? それとも木暮さんの「超」や池田さんの「紅」との相性ですか?
大山「昨日も同じチームだったんですよ。昨日はもうちょっと大人っぽく作って、今日はそれよりは少し幼く「海」を作ったんですが。ありがたいことに、この連載で共演のみんなとマンツーマンでじっくりお話できる時間が増えたことで、自分でも改めて考えるきっかけになっています。今日もこぐ超(=木暮)の「超」とだったら、ゆっこさん(=池田有希子)の「紅」とだったら、こういう方向でもいけるんじゃないかな? ってところからスタートした「海」でした。...昨日はもうちょっと、(超と海が)友だちっぽかったよね」
木暮「そうですね。でも僕はマーシーさん(=大山)をめちゃくちゃ信頼していて。なんといっても去年の初演をシングルキャストで「海」を演じていらした、"大きな幹" 感がすごくあって。もう、何千年の大木だ!? みたいな(笑)。ついつい甘えちゃうんです。だからそれが出ちゃって、マーシーさんの「海」の前だと余計に自分の「超」は若くなってしまう。昨日はそれで、若くなりすぎてしまったところがあったので、今日はもうすこし「超」として「海」を引っ張ろうとしました」
―― ただ、その木暮さんの「超」の、ちょっと若く見えるところから、逆にピンと張り詰めた危うさも感じます。ほかのふたりの「超」とも全然違って面白い。...ところで普段から大山さんは木暮さんのことを「こぐ超」って呼んでいるんですか?
大山「そうです。超はもちろん役名の「超」です」
―― この作品を卒業しても大山さんは木暮さんをその呼び名で呼ぶんでしょうね、まさに出会いの作品ですね。
大山「そうでしょうね~」
木暮「ふふふ(笑)」
▽ 木暮真一郎(超)
▽ 大山真志(海)