■『RENT』2015年 vol.2■
今年も『RENT』がやってきます!
1996年のオフ・ブロードウェイ初演以降、世界15ヵ国で上演されている"伝説の"ブロードウェイ・ミュージカル『RENT』。
伝説である理由は、様々あります。
オフ・ブロードウェイ開幕後、わずか3ヵ月後にブロードウェイに進出。破竹の勢いで同年度のトニー賞で4部門を受賞したこと。
タブー視されていた貧困、エイズ、ドラッグ、同性愛等々の現代都市が抱える病を、ストレートに作品に反映させ、ビビッドに"今"を描き出したこと。
ヒットチャートに乗るような、生き生きとしたロックで綴られていること。
原作・作詞・作曲・脚本を手がけたジョナサン・ラーソンがまさに開幕前夜、35歳の若さで夭折したこと...。
様々な要素が絡みあい、世界でカルト的人気を得ているのが『RENT』。
日本でもたびたび上演されていますが、今回は前回公演(2012年)に続き、オリジナル版(オフ・ブロードウェイ&ブロードウェイ)の演出を手がけたマイケル・グライフが、新たに2011年に手がけた新演出版での上演。
そして『RENT』といえば、いわゆるミュージカル俳優や舞台俳優に限らない、超・個性的な面々が集うのも特徴。2015年版も、カラフルなキャストとなりました。
げきぴあでは2012年公演に続き、2015年版『RENT』も、詳しく追っていく予定です!
まずは8月上旬の某日、稽古場を取材してきました。
物語は、20世紀末のNY・イーストヴィレッジが舞台。
彼女に女性の恋人ができてフラれた上に、家賃(レント)を滞納しクリスマス・イブに電気も暖房も止められたビデオ・アーティストのマーク。
同居人のロジャーは元ロックバンドのボーカルで、元ジャンキーの引きこもり。下の階に住むミミに惹かれながら、自分がHIV陽性であることから厭世的になっている。
ほかにも、お互いHIVに感染していることを知りながら瞬く間に恋に落ちたゲイのカップル、コリンズとエンジェルら、貧困やエイズといった問題を抱えつつも、今を大切にしながら夢を追いかける若者の姿を描く群像劇です。
この日はオープニングナンバー『RENT』の稽古中。
今回、Wキャストの人たちは別々の稽古日になっていることが多いそうで、マーク&Wロジャーが揃う稽古場は、なかなか貴重!とのこと。
この楽曲は、マークが映像作家であったり、ロジャーが元ロッカーだったりと、彼らの現在の状況が語られると同時に、若者たちの爆発しそうなパワーが伝わる、熱いナンバー。
マーク=村井良大さん。
村井さんは、雰囲気がもう、すでにマークなんです。
HIVポジティブではない彼は、仲間たちを、一歩引いたところから見つめている。そんな冷静さと、孤独をも感じさせるマークです。