ミュージカル「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」宮尾俊太郎、早霧せいな、相葉裕樹
早霧せいなの宝塚退団後初となる主演ミュージカル「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」。東京公演開幕の前日、報道向けに囲み取材が行われた。
本作は「シカゴ」「キャバレー」「蜘蛛女のキス」など数多くのミュージカルを手掛けてきたジョン・カンダー&フレッド・エッブによる華やかな楽曲が魅力のコメディミュージカル。
元宝塚歌劇団 雪組トップスター・早霧せいなが、退団後初となる主演ミュージカルで、バリバリのキャリアウーマンを演じる。
共演は相葉裕樹、今井朋彦、春風ひとみ、原田優一、樹里咲穂などミュージカル界で活躍する俳優に加え、バレエダンサーの宮尾俊太郎(Kバレエ カンパニー)が出演する。
大阪公演は既に終了。東京公演の初日の前日に、本作の囲み取材が行われ、早霧せいな、相葉裕樹、宮尾俊太郎が意気込みを語った。【動画4分】
記事全文をエントレで観る
エントレで観る
Youtubeで観る
(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)
2018年5月アーカイブ
■『うつろのまこと』特別連載 vol.4■
その歌舞伎作品など古典にも造詣が深く、これまでも数々の作品を贈り出してきている西森英行が日本を代表する浄瑠璃・歌舞伎作者、近松門左衛門に挑む『うつろのまこと―近松浄瑠璃久遠道行』。
様々な名作を生み出していく近松自身の物語を縦軸に、
彼が生み出した『出世景清』『曽根崎心中』『心中天網島』の物語を横軸として絡め、
近松がどういう状況で、どういう思いでこれらの作品を生み出していったのか、
手を組んだ竹本座の座頭・竹本義太夫とはどんな関係性の中で、当時の時流をどう掴み、駆け上っていったのか、を描く物語。
劇中、ピックアップされる近松作品は『出世景清』『曽根崎心中』『心中天網島』の3作。
近松33歳、義太夫35歳という、ふたりが出会い最初に作り上げた『出世景清』を巡る【出世之章】
一世を風靡したものの、その後人気に少しかげりが出てきた近松51歳、義太夫53歳の頃、葛藤の中で傑作『曽根崎心中』を生み出した時代を描く【名残之章】
そして義太夫の死後、近松68歳で次世代の竹本座に書いた『心中天網島』を巡る【生瓢之章】
の3章から成る構造です。
初日迫る5月末日、その稽古場を取材してきました!
今回は稽古場レポートの後編をお届けします。
◆ 稽古場レポート 後編 ◆
(前編より続く)
役者さんたちも熱演に続く熱演。もちろんまだ時折台詞がつかえる場面もあるのだが、そうした失敗こそが稽古場で上を目指す為に必要なこと。演出の西森英行さんも細かいミスには全く頓着せずに、役者の気持ちが向かう先を見定めているのがとても素敵だ。目の前で繰り広げられる情念の世界に引き込まれていると、今さんの義太夫が近松の筋運びに疑問を投げかける展開に!伊藤さんの近松が天才ならではの気難しさと誇り高きアーティストを見事に体現しているだけに「えぇ、そんなこと言っちゃって大丈夫?」とこちらがハラハラドキドキ。でも、案の定一触即発の様相になるところから、この対立が向かう先が、あまりにもドラマチックで、これは絶対に劇場空間の濃密な空気の中での完成版を観たい!!という気持ちにさせられた。
▽近松門左衛門役の伊藤裕一さん
▽竹本義太夫役の今拓哉さん
あかりけした 舞台「手をつなぐには近すぎる」 左から成島秀和、小野川晶、なだぎ武、渡邊安理
なだぎ武、渡邊安理、小野川晶らが出演する舞台「手をつなぐには近すぎる」が6月7日(木)から神保町花月で上演される。
本作は、なだぎ武、渡邊安理(演劇集団キャラメルボックス)、小野川晶(虚構の劇団)、成島秀和(こゆび侍)が新たに結成したユニット"あかりけした"による作品。 脚本・演出は成島秀和が手掛け、メンバーのなだぎ武、渡邊安理、小野川晶が出演するほか、伊藤修子、ランパンプス、兵藤天貴(天龍)が出演する。 本作に出演する なだぎ武、渡邊安理、小野川晶に加え、脚本・演出を担当する成島秀和に、ユニット結成の経緯、本作の見どころなどについてインタビュー取材した。【動画4分】
記事全文をエントレで観る
エントレで観る
Youtubeで観る
(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)
■『うつろのまこと』特別連載 vol.3■
劇団InnocentSphereを率い、様々な社会問題をエッジのある切り口で舞台作品として贈りだしている西森英行。
同時に、歌舞伎をはじめとする古典作品にも造詣が深く、これまでにも歌舞伎三大名作のひとつ『義経千本桜』を "義経は実は女だった" という切り口でアレンジした『新版 義経千本桜』、同じく歌舞伎の名作を力強い壮大な歴史絵巻として描く『新版 国性爺合戦』など古典に材をとった作品の数々も好評を博しています。
その西森さんが日本を代表する浄瑠璃・歌舞伎作者、近松門左衛門に挑むのが今作『うつろのまこと―近松浄瑠璃久遠道行』。
様々な名作を生み出していく近松自身の物語を縦軸に、
彼が生み出した『出世景清』『曽根崎心中』『心中天網島』の物語を横軸として絡め、
近松がどういう状況で、どういう思いでこれらの作品を生み出していったのか、
手を組んだ竹本座の座頭・竹本義太夫とはどんな関係性の中で、当時の時流をどう掴み、駆け上っていったのか......。
後の世まで語り継がれる作品を生み出していった近松と義太夫の真実を描き出す、渾身の一作になりそうです。
劇中、ピックアップされる近松作品は『出世景清』『曽根崎心中』『心中天網島』の3作。
近松33歳、義太夫35歳という、ふたりが出会い最初に作り上げた『出世景清』を巡る【出世之章】
一世を風靡したものの、その後人気に少しかげりが出てきた近松51歳、義太夫53歳の頃、葛藤の中で傑作『曽根崎心中』を生み出した時代を描く【名残之章】
そして義太夫の死後、近松68歳で次世代の竹本座に書いた『心中天網島』を巡る【生瓢之章】
の3章から成る構造。
そして出演する俳優は、近松の〈現実世界〉を演じるもの、
近松の書いた〈劇中世界〉を演じるものに分かれ、
多重構造の物語を浮かび上がらせていきます。
初日迫る5月末日、その稽古場を取材してきました!
稽古場レポートの前編をお届けします。
◆ 稽古場レポート 前編 ◆
稽古場に近づくと、すでに浴衣姿や、袴姿の役者さんたちが出入りしている。舞台はもちろんなのだが、稽古場は更に作品を、役柄を高みへと押し上げる演出家さんをはじめとしたスタッフの方々と役者さんの真剣勝負の場。そこに足を踏み入れる取材は、いつもながらこちらもキュッと身が引き締まる思いがする。
▽ 物語は、近松門左衛門役の伊藤裕一さん、竹本義太夫役の今拓哉さんのシーンから始まる。こちらは今さん。
その稽古場に「どうぞ」と案内されて1歩足を踏み入れた途端、稽古場中に美しい歌声が響き渡っていた!竹本座座頭 竹本義太夫を演じる今拓哉さんが、音楽のかみむら周平さんと共に懸命の音取りを続けているのだ。まだ稽古前なので、稽古場には食事をする人、黙々と柔軟体操などのアップ作業をする人が入り乱れているが、今さんの歌稽古は、周りからまるでスポットライトで抜け出したかのような集中度で進んでいく。折々にかみむらさんのアドヴァイスが入り、知らぬ人とてない歌唱力の持ち主の今さんが、その美声で観客を酔わせてくれるまでには、こうした努力の積み重ねがあるんだな、と改めて感じさせられる。
やがてかみむらさんが満面の笑みでOKを出すと、今さんが「できた!」とガッツポーズ。すると振付の広崎うらんさんがすかさず駆け寄り「カッコいい~!」と感嘆。「ちゃんと歌えてる?」と今さんが訊き返し、和やかな会話が続いたところで、いよいよ稽古開始の時間になった。
▽ 今さんは、音楽のかみむら周平さんと「義太夫節」のような立ち位置になることも。
■『不徳の伴侶 infelicity』特別連載 vol.3■
作・演出家 荻田浩一が、盟友と呼ぶ音楽家 福井小百合と手を組んで贈る新作『朗読(クローゼット)ミュージカル 不徳の伴侶 infelicity』が、現在上演中です。
その稽古場レポート、後編です。
※前編は→コチラ
彩乃かなみさんが演じるのは、スコットランド女王メアリー・スチュアート。
この時代、16世紀半ばのヨーロッパは、カトリック対プロテスタントで大きく二分されており、王族同士の結婚を通じ、カトリックはカトリック同士、プロテスタントはプロテスタント同士で手を結んでいるようなところがありました。
スコットランドはカトリックで、隣国イングランドはプロテスタント。
小国であるスコットランドは、同じカトリックであるフランスを後ろ盾に、イングランドに対抗しています。
そんな思惑で、メアリーはたった5歳でフランスへ。しかし夫となったフランス王フランソワ二世は、16歳の若さで亡くなってしまいます。
...と説明をしていくと、とても複雑に思えますが、荻田浩一さんの脚本はわかりやすく、また朗読とはいえ、皆さんが動きながら演じる部分もありますので、当時のヨーロッパ情勢がすんなりアタマに入ってきますのでご安心を。
物語は、フランス育ちのメアリーが、故郷スコットランドに帰るところからスタート。
彩乃かなみさん演じるメアリーは、聡明でありながらも、どこか頼りない儚さもある。
歴史の波に翻弄されていく女王の姿です。
彩乃さんの歌声も、少女らしい透明感があって耳に優しいのです。
藤岡正明さんが演じるのはスコットランド貴族 ボスウェル伯ジェームズ・ヘップバーン。
のちに、メアリーの三番目の夫になりますが、彼女がフランスから故郷へ帰るときからすでに、彼女の警護をしています。
...少し離れたところからヒロインを見守るぶっきらぼうなヒーロー、という感じでカッコいい!のですが。
この物語の先は、どう展開していくのでしょうか...?
藤岡さん、落ち着いた声色でセリフを語り、そして一転してナンバーでは迫力たっぷりにリズミカルに超カッコよく歌い上げます!藤岡さんの美声を存分に堪能できる楽曲をお楽しみに。
■『不徳の伴侶 infelicity』特別連載 vol.2■
作・演出家 荻田浩一が、盟友と呼ぶ音楽家 福井小百合と手を組んで贈る新作『朗読(クローゼット)ミュージカル 不徳の伴侶 infelicity』が、5月29日(火)から上演されます。
5月某日、その稽古場を取材してきました!
タイトルに "朗読ミュージカル" とありますが、俳優が椅子に座って手に持った台本を読む...という、一般的な "朗読劇" とは、まったく趣の違うものになりそうです!
(といっても、最近は多種多様な朗読劇がありますが...)
動く!
皆さん、けっこう動きます!
なんか、楽しそうです。
作品は、16世紀に実在したスコットランドの女王メアリー・スチュアートと、彼女の3度目の配偶者であるボスウェル伯ジェームズ・ヘップバーンの関係を軸に、陰謀渦巻く時代を描いた物語。
メアリー・スチュアートは生後6日でスコットランドの王位を継承、その後フランスの王妃となるも18歳の若さで夫を亡くし帰国、再婚を繰り返したのち故国を追われ、最後には血縁であるエリザベス一世により処刑されるという、波乱にとんだ人生を送ります。
メアリー・スチュアートは彩乃かなみさん、
ボスウェル伯は藤岡正明さん。
ふたりの立ち位置、距離もシーンごとにくるくる変わっていきます。
このふたりが "不徳"の関係なのですが......。
しかし、前半部分を拝見した感覚では、ものすごくドラマチックなラブロマンスに感じました!
ミュージカル「モーツァルト!」初日前記者会見 木下晴香、平野綾、山崎育三郎、古川雄大、生田絵梨花
5月26日から東京・帝国劇場で開幕するミュージカル『モーツァルト!』の初日前記者会見が行われ、タイトルロールのヴォルフガング役をを務める山崎育三郎、古川雄大、ヴォルフガングの妻・コンスタンツェ役を演じる平野綾、生田絵梨花、木下晴香が出席した。
記事全文をエントレで観る
エントレで観る
Youtubeで観る
(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)
■『シークレット・ガーデン』特別連載 vol.1■
両親を亡くし、イギリスに住む伯父・アーチボルドに引き取られたインド育ちの少女メアリー。
両親に愛された記憶がなくワガママに育ったメアリーだが、アーチボルドもまた最愛の妻リリーを亡くし、すっかり気難しくなってしまっている。
アーチボルドの息子・コリンも、母を亡くし父からも距離を置かれ、身体も弱く、ひねくれた少年に育っている。
それぞれに最愛の人を亡くし、喪失を抱いている彼らだったが、ある日、リリーが大切にし、その死後アーチボルドが鍵をかけてしまった庭園「秘密の花園」の扉をメアリーが発見したことから、庭の、そして家族の再生が始まっていく......。
バーネットによる名作児童文学『秘密の花園』を1991年にブロードウェイでミュージカル化した『シークレット・ガーデン』 。
その年のトニー賞3部門を受賞した名作の日本語版が、今年初上演されます。
開幕も近付く中、5月18日には劇中のミュージカルナンバーを披露する「歌唱披露会見」が開催されました。
会見ではミュージカルナンバーをたっぷり7曲披露!
事前イベントでこの曲数のナンバーが披露されることも珍しい。
しかし、その楽曲の素晴らしさ、キャストの歌唱力の高さを存分に堪能できたイベントでした。
♪A Girl in the Valley(石丸幹二、花總まり)
ワルツの優雅なメロディがゆったりと流れます。
アーチボルドが幸せな過去を回想するナンバー。
アーチボルドとリリーのデュエットですが、幸せだからこそ、すでにもう亡くなっているリリーの存在が切なくも感じます。
石丸さんと花總さんふたりの柔らかい雰囲気が素敵でした!
2004年女優の深井順子により設立した「FUKAIPRODUCE羽衣」。5月24日に初日を迎えた今作の稽古場日誌もついに最終回。
作家部の平井寛人さんが、小屋入り日の様子を綴った稽古場日誌。金子愛帆さん撮影の、舞台写真も届きました。「FUKAIPRODUCE羽衣」の世界を、ぜひご覧ください。
***
こんにちはこんばんは。平井寛人です。作家部という部署にて、FUKAIPRODUCE羽衣にいます。主に脚本を書いたり演出をしたりをしています。のどかな気持ちにふと陥ることもありますが、特に誰にもバレません。こっそりのんびりとした時間を集団行動の裏腹で過ごしていたりします。だいたい何とかなる上に、何でも受け入れてしまった方が良く、むしろ不干渉であることや、不干渉にされる前提で過ごして、あとで修正する方が、色々楽なことにも21歳にして気づきました。そうした、ひっそりとした思惑の中で、こっそりした視点から『春母夏母秋母冬母』の稽古場を見ていきたく思います。羽衣を覗き見するような視点での、稽古場日誌です。
舞台写真:金子愛帆
――
冬忘れて、なおも凍えて。普通に寝て食べてが出来ているだけでも幸せであると謳って、どんなに辛いときでも、友達といる時くらい、あるいは尊敬できる人に面と向かっている時くらいには心に温もりが通っているふりでもしましょうが、一人になってそんな事が嘘だったのだと分かってしまうと、現実はただただあんまりにも寒々しいものであったりもします。糸井さんの作品には温もりがあるといいます。その効能はつまりこうです。『春母夏母秋母冬母』の通しを観ました。2日続けて観ました。寒い体を包み込んで温めてくれる布団のような世界であったり、湯治に近いものを感じて、頭に残り続けるメロディ・フレーズは万年継続ホッカイロのように体を温めてくれます。現代演劇に貴重な、生活を食い破る体験型です。とてもとても厳しく冷たくなった気持ちの時の方が、力のままに優しさを本当は発揮できるとも僕は思います。続けることは何事も大変なもので、生き続ける事とて。続ける為には、何事にも理由を持つ為の工夫が必要です。
6月2日に初日を迎える、今年創始130年を迎えた劇団新派の花形新派公演「黒蜥蜴 全美版」。好評を得た昨年6月の初演をさらにパワーアップさせた再演となります。
前編に続き、『黒蜥蜴ー全美版ー』について、喜多村さんと河合さんにお話を聞きました。
――初演の『黒蜥蜴』は、いろいろ「新派っぽくない」というような劇評もあったと想像しますが、そのあたりはいかがですか?
緑郎:ありましたね。
雪之丞:まず、劇団新派として、新しい形というものを提示していくことの意味合いがありますよね。「新派っぽくない」というのは、多分古典らしくないということでしょう。新派とはなんぞやという定義が必要ですが、新しい感覚を発信していくというのは大事なことかなぁと思っています。
緑郎:どのお芝居でも、俳優のいいところを全て出して、やれることを全てやるというのが齋藤さんのコンセプトなんです。前回の『黒蜥蜴』もそういう意味で、全てお客さんにさらけ出しました。だから我々は新派をやっているというような気分でもなかったです。