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「未婚の女」公演レポート

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能舞台でドイツ劇を上演すると聞いて、一体どんな感じになるのだろう?日本に翻案したりするのかな?と思っていたが、良い意味で裏切られた。

能舞台の正面奥に3つの椅子とナチスヒトラーの軍服が置かれ、真ん中には電球が吊るされている。正面の鏡板には能舞台ならではの松の木。橋掛かりからするすると登場する女たち。暗闇、呼吸音、電球の灯り......厳かな雰囲気のなか、祖母マリアの語りから芝居は始まるが、現代を生きる孫娘ウルリケが登場すると様子は一転。無防備な男の裸をスマホで撮るのが癖(?)という、今時な女子だ。ある日、母イングリッドはマリアが部屋で倒れているのを見つける。入院したマリアをウルリケが見舞うと、マリアは自分の秘密を書いたノートがあることを告げる。ウルリケはそのノートを読み、96歳の祖母の辛い過去を知ることになる......。

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物語は現代と過去を行き来しながら何層にも展開し、時には祖母、母、娘が重なるところが面白い。三世代のつながりと愛憎、そんな彼女らの生き方に実は影を落としている祖母の事件......。祖母マリアと孫娘ウルリケは普通に仲が良さそうだが、母イングリッドとはどちらもギクシャクしている感がとてもリアル。コロス4人は能舞台の四隅にいて、様々な役を演じる。上はタキシードで、下はボリューミーなチュールのドレス。おしゃれでエッジが効いた衣裳だが、この役が「四姉妹」と呼ばれると後から知ってほう!となった(性別云々言うのは野暮だが、男優が演じていた)。

終戦直前の19454月、ある若い兵士が密告によって射殺された事件があったという(実話だとか)。ただ素直に規則に従っただけなのに、戦争が終わり立場が逆転したために、政治犯となってしまう不条理。個人的には最近、アウシュビッツで働いていた人の後悔はしていないという話を聞いて、考えるところも多かった。表と裏、正義と悪、加害者と被害者がいともたやすくひっくり返る戦争の恐ろしさ。ドイツには今なお、戦争時に親ナチスだったかどうか(そして今も)、そんな見極めが燻っていると言われる。日本だって、決して人ごとではないのだろう、とも。

夏川椎菜がウルリケをいきいきと、説得力たっぷりに好演。イングリッド役の宮村優子は緩急自在な演技で観客を惹きつける。山村美智がマリアとして芝居をビシッと締めた。そして西川裕一の音楽が物語をより濃く彩っている。

マリアの心の拠り所として、松の木が効果的に使われているのが印象的だ。能舞台での松の木は神仏が現れる際の形代、そう考えるとこの物語が能舞台で上演された意味がわかる気がした。

 

取材・文:三浦真紀

写真  :阿部章仁

~~公演概要~~
【京都公演】2023年10月18日(水)~10月22日(日) 銕仙会能楽研修所
【原案・原作】エーヴァルト・パルメツホーファー【翻訳】大川珠季

【出演】夏川椎菜 / サヘル・ローズ / 山村美智 / 有川マコト / 宮地大介 / 小田龍哉 / 神農直隆

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この若さで、こんなに馬力のある役者がいるんだな。未来は明るい。――朴璐美は舞台『キングダム』で牧島 輝と共演し、そう感じたという。また『キングダム』の脚本も手がけた藤沢文翁と共に山路和弘主体の芝居を創ることを考えるなかで、複数の案の中から最終的に"晩年の宮本武蔵"が題材となった。

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 宮本武蔵は、剣豪であり、水墨画や書物にも秀でた添付の才を持ち合わせた人。しかし運に見放されていたがゆえに、実はその時代に名を馳せることができなかった。しかも資料を調べてみると、生年、名前、実績と、はっきりしないことが多すぎる。なのに今現時代の我々が剣豪宮本武蔵の名を知っているのはなぜなのか。老いた宮本武蔵とその弟子である養子の伊織を通して人間 宮本武蔵を描いてみたいという藤沢さんとの話から再発起しました。

山路 宮本武蔵なんて自分から一番程遠いし、最初は拒否していたんですけど。吉川英治さんの(小説で描かれた、現在では一般的な)イメージじゃない武蔵を描くとどんな芝居になるのか、想像がつかなかった。だったらやってみてもいいのかな、なんて思って。

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―伊織役に、藤沢は牧島を希望。朴もそれには同意しながらも、スケジュール的に無理だろうと思いつつ打診したところ、牧島は快諾。山路と牧島の初共演が決定した。


牧島 (取材は稽古2日目)まだ1回目の本読みですけど、山路さんを見ていると背景が見えてくる瞬間があるし、武蔵と山路さんの生き様がにじみ出ている。すごいことだと思いますし、圧も感じました。

山路 武蔵はある意味、剛球一直線で、基本的な方向性は決まっている。でも伊織はいろいろなことを考えながら武蔵に接しているし、屈折もしている。そこが大変だなと思う。

牧島 今の時代の親子とは相当かけ離れていますよね。どこまで言っていいものか、踏み込んでいいものか、精神的にも物理的にも、ある意味本当に命がけで......と、いろいろ考えながら読んでいました。武蔵はもちろん、伊織も常に戦っていて、すごく信念が強い。自分の目で見ながら感じたことを伝えていきたいと思います。

山路 そういう伊織と牧島くんが重なる部分は多い。理解が早くて、役者としてすごく頭が良いんだろうしね。まだ若いし、魅力的であればあるほど嫉妬もするし、若い芽のうちに摘み取りたいという気持ちが湧き上がってくる(笑)。

 これはすごいせめぎ合いが生まれそう。面白いな!

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―また、切り絵作家・下村優介とのコラボレーションによるビジュアルも強い印象を残す。

 武蔵には、影絵や切り絵の"白・黒"っていうイメージがあったんです。それで、もともと作品が好きでツイッターをフォローしていた下村さんにダメ元で連絡をしてみたんですよ。武蔵の、己の剣に、生と死のはざまにこそ真がある、っていう思いと下村さんの作品はリンクする。直感的に思ったことが叶った後に必然を感じるビジュアル創りでした。

牧島 撮影の時、刀が少しでも引っかかったら壊してしまいそうで怖かったですね。でも本当に羽ばたいているように見えるし、同じような形でもまったく同じものはひとつもないし、儚くて繊細で、すごく綺麗でした。

山路 そんな作品を「どうぞ使ってください」って言ってくれるなんて、本当にすごい。作品の中に入って撮影するなんて、そうそうない経験でしたね。

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―これから稽古を通して、ふたりはどのように役柄を、芝居を深めていこうと考えているのだろう。

 

 山路 まだ、頭の中でいろいろ繋がっていないんですよね。この辺にこう出てくるのかな、っていうのは感じるけど、そういう読みってだいたい外れますしね。"罠"がいっぱいある感じで、取り組み甲斐のある脚本ですよ。

 牧島 最初に言葉を発した時に感じたことをそのまま深めていくのか、これは違ったと思って変えていくのか。深掘りしながら楽しんでいきたいですね。

  ふたりはやっていて苦しいでしょうけど、同時に楽しいでしょうね。脚本の藤沢さんが今思っていること、伝えたいこと、山路を見て牧島くんを見て思ったことがこの脚本に落とし込まれているし、"生きる"ことがテーマだと思います。そこを掘り下げていきたい。

 山路 僕の芝居をいつも見にきてくれる人たちは、悪あがきしたり苦しんだりしながら演じているところを観に来ているような気がする。今回の『剣聖』ほどジタバタする舞台は、なかなかないんじゃないかな。

牧島 僕のファンに限らず、演劇が好きで劇場に足を運んでくださる人は、そこに居合わせて何かを目撃したいんじゃないでしょうか。この作品は"まさにそれ"っていう感じ。とても疲れるでしょうけど、すごく見ごたえのある作品だと思います。

 それは間違いない。だって、大舞台であれだけのものを放出できる二人が、サンモールスタジオというコンパクトな舞台で濃密な芝居を見せるわけですよ。これは震えますよね。

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 ―ふたりのエナジーに圧倒されるに違いない舞台は、6月30日より。

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バケツ、デッキブラシ、ゴミ箱のふた、そしてビニール袋。さらにはタイヤチューブや新聞紙など、あらゆるものが楽器となるパフォーマンスショー「STOMP ストンプ」

Photo: Steve McNicholas

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今年8月に開催される13年ぶりとなる来日公演の出演者に、日本出身の櫻井多美衣(さくらい たみい)をはじめとする精鋭揃いのパフォーマーが決定した。

2019年より、さまざまな形で"つながる"をテーマに毎年大阪で開催している 「関西演劇祭」が、2023年11月に開催を予定している関西演劇祭2023の参加劇団を募集中。 今回で5回目を迎え、この演劇祭をきっかけにテレビドラマの脚本を担当、ドラマに出演するなど、 多方面に活躍する役者・クリエイターも多数生まれています。 最終締切は5月8日(月)となりますので、この機会にぜひご応募ください!

詳細は関西演劇祭公式HPをご確認ください( https://kansai-engekisai.com)。 

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フェスティバルディレクター・板尾創路 本人コメント

板尾創路です。
私がフェスティバルディレクターを務める関西演劇祭2023が

今年も11月に開催されます。今回で5年目を迎え、

この演劇祭を経てドラマや映画で活躍する方も増えてきました。

今年も新たな才能に出会えることを楽しみにしています!

開催にあたり現在参加劇団を募集しています。

最終締切は5月8日月曜日です。ぜひ奮ってご応募ください!

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【関西演劇祭2023 参加劇団募集要項】 

◆実施日程   2023年11月 ※日程は確定次第発表いたします

・各劇団3ステージ ・全15公演開催、1公演は2劇団のステージ+ティーチインで合わせて2時間20分の公演となります。

・本番以外の調整時間は、場当り60分、ゲネプロ1回、本番前確認10分ずつとなります。

◆参加内容 ・演劇作品の上演(45分)

※45分を超えると減点対象となる可能性があります

・新作旧作は問いませんが脚本はオリジナル作品、選曲はフリー音源、著作権クリア必須

【旧作】作品の過去映像の提出

【新作】内容のわかるプロットの提出 ・出演予定キャスト(所属・年齢)の提出

◆会場 COOL JAPAN PARK OSAKA SS ホール(大阪府大阪市中央区大阪城3-6)  

◆応募関連   応募締切 第1次締切:4月9日(日) ※終了

          第2次締切:5月8日(月)   出場枠 10劇団を想定、全国から参加を募集いたします。

応募条件

・演劇作品であること。 劇団(カンパニー)として活動実績があること。個人での参加は出来ません。  

・演劇を続けていきたい、実力次第でメジャーになりたい、積極的に宣伝協力していただける団体を広く募集します。  技術関係 舞台美術(素舞台)、音響、照明については共通仕込。リクエストについては交渉可。

・舞台道具、小道具、衣装について・・・劇団側で準備お願いします。

・オペレーター・・・音響照明オペレーターは事務局で準備いたします。

 ただし、きっかけの多い場合はオペレーター手配をお願いします。

・5分ほどで入替ができる舞台美術でお願いします。

・映像オペレーション(使用の場合)やセット転換は各劇団でお願いします。

チケット販売について

・チケット販売は事前発券 「チケットぴあ」にて販売予定。

・各劇団で販売された売上金額から最大20%のキャッシュバックあり。

◆各賞 MVO(Most Valuable Opus) 脚本賞 演出賞 俳優賞 審查員特別賞 観客賞

◆応募方法

1 関西演劇祭HP応募フォームから必須事項を記入エントリー

2 脚本 ・映像の提出

旧作の場合:上演脚本と動画(YouTubeの限定公開・dropbox・ギガファイルなど)       

新作の場合:上演予定作品の詳細プロット

・過去の公演動画(劇団の代表作1作品)  

◆本演劇祭の収録配信 本演劇祭の模様を撮影・収録いたします。

参加劇団は、これらの収録物が本演劇祭または参加劇団の宣伝等の目的で、インターネット配信されることを無償にて承諾するものとします。

なお、収録物のその他の利用については、利用条件を参加劇団との間で協議し決定するものとします。

◆制作スケジュール 選出後は月1回程度の企画ミーティングに出席して頂きます。

◆お問い合わせ 関西演劇祭実行委員会 info@kansai-engekisai.sakura.ne.jp

※詳細は関西演劇祭公式HPをご確認ください。 https://kansai-engekisai.com</p>

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三谷幸喜 作・演出「ショウ・マスト・ゴー・オン」のキャストがついに発表になった。

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"一度幕を上げたらその幕は下ろしてはならない!"という舞台人の鉄則のようなこの言葉をタイトルに、1991年に「東京サンシャインボーイズ」で初演されたものを同作のオリジナル版とし、その最後の上演(1994年)から28年の時を経て、三谷幸喜自らがリニューアル版を手がける。

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今回発表となったキャストは、鈴木京香 尾上松也 ウエンツ瑛士 シルビア・グラブ 小林隆 新納慎也 今井朋彦 藤本隆宏 小澤雄太 峯村リエ 秋元才加 井上小百合 中島亜梨沙 大野泰広 荻野清子 浅野和之 の総勢16名!
これまでの三谷作品を支えてきたお馴染みのチームから、初めて三谷作・演出作品に参加する新たなメンバーまでが集結した楽しみな顔触れがそろった。 「オリジナル版での舞台監督役は今度は誰なの?」「そもそも同じストーリー、シチュエーションなの?」等々は今後のお楽しみとのこと。続報を楽しみに待とう!


<公演情報>
『ショウ・マスト・ゴー・オン』

【福岡公演】
2022年11月 7日(月)~11月13日(日) キャナルシティ劇場
【京都公演】
2022年11月17日(木)~11月20日(日) 京都劇場
【東京公演】
2022年11月25日(金)~12月27日(火) 世田谷パブリックシアター

【作・演出】
三谷幸喜

【出 演】
鈴木京香 尾上松也 ウエンツ瑛士 シルビア・グラブ 小林隆 新納慎也 今井朋彦 藤本隆宏 小澤雄太 峯村リエ 秋元才加 井上小百合 中島亜梨沙 大野泰広 荻野清子 浅野和之

【企画・製作・お問合せ】
シス・カンパニー TEL:03-5423-5906
(営業時間 平日11:00~19:00)

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イギリス冒険小説家ジョン・バカンの小説「三十九階段」と、この小説を原作に制作された巨匠アルフレッド・ヒッチコックの映画『三十九夜』という2作を元に舞台として制作され、ブロードウェイにも進出した「THE 39 STEPS ザ・サーティーナイン・ステップス」がウォーリー木下の演出により上演される。

ひょんなことからある陰謀に巻き込まれる主人公・ハネイを演じるのは、本作が単独初主演となる平方元基。

ウォーリー木下の上演台本で"ハイパーコメディ"として生まれ変わった本作について木下と平方に話を聞いた。

――先日の下着姿での製作発表会見でみなさん「観たことがないような作品」「ジャンル分けが難しい」とおっしゃっていました。どういう部分が「見たことのない」作品なのか? ヒントをお願いします。

平方:なんとも言えないものが観られるってことじゃないでしょうか? ミュージカルとも、ストレートプレイとも言えない。「そもそも演劇をカテゴライズする必要があるか?」ということですよね。

それ(カテゴライズ)って、ものを棚に整理するために必要な名前みたいなものに過ぎなくて、でもそれは今回必要がなくて、今、目の前で繰り広げられていること全てがお芝居だとしたら、(本作は)そういう体験だと思います。

何なのかわからなくても観ていて面白い。そこが僕たちが今回やる作品の一番の長所だなって。演劇の「はじまり」みたいなことをしている感じがしませんか?げきぴあ①.jpg

木下:"ごっこ遊び"みたいなことをしていますからね。でも見ている人が、何をやっているかわかんないということはないと思うんですよね。

ちゃんと筋はあるし、昔のヒッチコックの映画が好きな人は、そういう視点からの面白さもあるし、原作映画を全く知らなくてもこんな表現があるんだと思う人もいると思います。

1930年代の映画の撮影をしている」という設定なんですけど、その頃のアナログな映画のつくり方と演劇で僕らが"ごっこ遊び"をしているのがリンクしていくような演出になっています。どの世代の人に観てもらっても楽しみ方がいろいろあると思います。

平方:まだお稽古している段階ですが、毎日「生きてるぅ...!」と思うんですよね。その感覚を持ったまま本番でお客様を客席に迎え入れたら、「生きてるぅ...!」の"先"にたどり着くのではないか?と思います()

それが見えそうな手応えもあるし、こんなに役者をやっていて嬉しい気持ちになるような稽古場ってそうそうなくて。こんな気持ちにさせてくれる稽古場でこの後、何が見えるのか・・・?我々がお客様と共鳴した時に、これまで見たこともない景色が見えるんじゃないかと思っています。

お客様が観に来てくださらないと、僕らがどんなに熱を持っていても伝わらないですし、劇場で観てこその作品だと思うので、僕らの熱と喜びを受け取って頂けたら嬉しいです。というか、純粋に楽しめると思います(笑)!

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――稽古を進めていく中での平方さんの印象について教えてください。

木下:稽古場全体に気配りができているし、まさに"座長"ですね。稽古場の空気ってそのまま作品の空気になるものなんですよ。演劇が他の表現と違うのは、1か月ほどの稽古期間で寝食を共にするくらいの濃密な交流を経てできあがるってことで、それこそケンカして絆が生まれたりもします。

そういう本番にむけた真剣な遊びの空間を作ることに、平方さんが誰よりも楽しんでくれていることで、みんなはそれを信じてやっていればうまくいくだろうなという雰囲気になっていますので、本当に助かっていますね。

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"単独初主演"の重圧は「全くない!」

――平方さんにとっては本作が初の単独主演舞台となりますが、"座長"を意識する部分はあるんでしょうか?

平方:本当にないですね。全くない! どこでもこんな感じです(笑)。

街で声を掛けられてもここでしゃべっていても。よそ行きの"仕事モード"の自分とかにすごく憧れていて...()

木下:とても怖い先輩がいる現場とかに行く時どうしているの(笑)? ちょっと私語が出ると「静かにしてくれない?」とか言われることはないの?

平方:「あ、やべっ!」とか言っちゃうかな(笑)。それでも可愛いがられちゃうんですよね。そういうところは意外と策士なのかも...?()

――"単独初主演"ということで背負うものだったり、プレッシャーも...?

平方:それもすごく聞いていただくんですけれど、無さ過ぎて...(苦笑)。これまでコツコツやってきたという自負は多少ありますが、ただ目の前のことを一生懸命やり続けてきたというだけなんですよね。

「主演」とか「単独初主演」というものは、そういう立場を周りや作品が与えて下さるものであり、自分が何かをやったから、そこにたどり着いたという風には思っていないです。

それが素晴らしいものだと周りの方々も教えてくださいますし、もちろん自分でもそう思います。でも、そういう機会にめぐり合えるのも、自分というより、周りの方々がこれまでやってきてくださったことの思いのかたまりであり、"ご褒美"というか、僕が「単独初主演なんですよ」と言うものではないのかな...? と思うんです。

背負うプレッシャーってないならない方が良くないですか? みんな大変だもん()

――製作発表会見で平方さんは「ハネイは変な正義感を持っている」ともおっしゃっていました。女性にもモテるし、どこか放っておけないところもあるのかなと思いますが、ハネイの魅力ってどういう部分にあると思いますか?

木下:もともと僕はヒッチコックの映画が好きで、ああいうタイプの役柄って多いんです。

今回はよりコメディにするために少しオーバーになっているんですが、意外と普通の感覚を持っている人が主役だったりするんですよね。普通の感覚の人が、何かに巻き込まれたり、"受け"の状態で物語が進んでいく中で、自分の中の新しい何かを発見したり、出会いによって変わっていくみたいなのが多いんです。

存在さえしていれば、受けていく中で勝手にハネイというのは作られていくのかもしれないし、稽古の初日から、僕の中では筋は通っていたんですよね。それは(翻訳の)小田島恒志さんも言っていたけど、平方さんは本を読み込んできているから、あとは共演者によって変わっていくので、それを今まさに稽古場でやっていて、そういうところもハネイっぽいなという印象です。

平方:「愛」って言葉を使うんですよ、ハネイは。結局、それは自分が一番弱かったところであり、欲しかったものなんだと思うんです。そういうのが見え隠れする感じが、自分で演じている役柄なんですけど、たまらなく愛おしいというか「わかりますよ!」という瞬間がたくさんあります。

ちょっと間抜けだったり、カッコつけたいのにつけきれなかったり...。相手を好きだと思いつつ、いっぱいいっぱいになると「バカじゃないのか!」と叱責してしまうところもあったり。

何だろうな...? 魅力って(笑)。すごく周りを気にしているのにどこかワガママだったりするんですよね。自分の中で欲望がしっかりとあるのかな(笑)? ハネイ自身、自分の性格をわかっていたら、あんな冒険には出ないと思うんですよね。撃ち殺されそうな状況に自ら入っていくなんてすごいなぁと。僕だったら絶対にやらないです()

木下:やりそうだけど(笑)。

平方:撃ち殺されそうな状況ですよ(笑)?

木下:僕は今回「はじめまして」ですけど、その辺りがちょっとハネイと親和性が高い心を持っているなと感じますね。

平方:自分の知らないことにものすごく興味が湧くので、そこかもしれない! 興味があって、それが自分にとって「面白そう」とか「知りたい」とか思考する前に心が先に動いちゃう! でも結局、問題が後から噴出してきて。それが(本作では)ドラマになっていくけど、普段、生きている僕としては大変ですよ(苦笑)。

取材・文・撮影=黒豆直樹

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<公演情報>
5/1(日)~17(火) シアタークリエ (東京都)

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上演決定の第一報の後、続報が待たれていた舞台「ザ・ウェルキン」の詳細が発表になった。 THE WELKIN2.jpg 本作は、「チャイメリカ」(2013 年上演)でローレンス・オリヴィエ賞最優秀作品賞を受賞し、英国期待の若手劇作家として注目をあつめるルーシー・カークウッドの新作として、コロナ禍直前の2020年1月下旬に、英国ナショナルシアターで開幕。ロックダウンで中止になるまでの限られた期間の上演だったものの、若い観客層を中心に大喝采を浴びた人気作だ。本作のタイトルは、「天空」を意味する英語の古語。神の使いなのか、科学の予見なのか、75年ぶりに「天空」に舞い戻る大彗星(のちにハレー彗星と命名)を待つ18世紀半ばの英国辺境を舞台に、現代にも残る女性たちが受けてきた苦難の歴史が、陪審員審議の会話の中でドラマチックに描かれる。
出演は、吉田羊大原櫻子鷲尾真知子梅沢昌代那須佐代子峯村リエ明星真由美那須凜西尾まり豊田エリー土井ケイト富山えり子恒松祐里という総勢13人の女優陣と、土屋佑壱田村健太郎と声で出演する段田安則が、物語にスパイスを加える。演出を手がけるのは昨年9月・新国立劇場小劇場での『友達』(作:安部公房)での演出も記憶に新しい加藤拓也。加藤にとっては本作が初めての翻訳戯曲演出となる。

~STORY~
1759年、英国の東部サフォークの田舎町。人々が75年に一度天空に舞い戻ってくるという彗星を待ちわびる中、一人の少女サリー(大原櫻子)が殺人罪で絞首刑を宣告される。しかし、彼女は妊娠を主張。妊娠している罪人は死刑だけは免れることができるのだ。その真偽を判定するため、妊娠経験のある12人の女性たちが陪審員として集められた。これまで21人の出産を経験した者、流産ばかりで子供がいない者、早く結論を出して家事に戻りたい者、生死を決める審議への参加に戸惑う者など、その顔ぶれはさまざま。その中に、なんとかサリーに公正な扱いを受けさせようと心を砕く助産婦エリザベス(吉田羊)の姿があった。果たして、サリーは本当に妊娠しているのか? それとも死刑から逃れようと嘘をついているのか?
なぜエリザベスは、殺人犯サリーを助けようとしているのか...。
法廷の外では、血に飢えた暴徒が処刑を求める雄叫びを上げ、そして...。

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<公演情報>
『ザ・ウェルキン』

【東京公演】
2022年7月7日(木)~7月31日(日)Bunkamura シアターコクーン
【大阪公演】
2022年8月3日(水)~8月7日(日)森ノ宮ピロティホール

作:ルーシー・カークウッド
演出:加藤拓也
翻訳:徐賀世子
出演:吉田羊 大原櫻子
鷲尾真知子 梅沢昌代 那須佐代子 峯村リエ 明星真由美 那須凜 西尾まり 豊田エリー 土井ケイト 富山えり子 恒松祐里 土屋佑壱 田村健太郎 他
(声の出演) 段田安則

お問合せ:シス・カンパニー
03-5423-5906 (営業時間 平日11:00~19:00)

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近年では「風博士」「お蘭、登場」など、これまで数多くの人気作を生み出してきた<劇作家:北村想×演出:寺十吾×シス・カンパニー>の最新作「奇蹟 miracle one-way ticket」が本日3月18日(金)に開幕する。当初3月12日(土)開幕予定だったが、稽古期間中に主演:井上芳雄の新型コロナウイルス感染が判明し、開幕への充分な稽古期間を確保するため、3月12日~17日の計6ステージを中止した上での、満を持しての開幕となる。

写真提供:シス・カンパニー

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本作は「記憶を失くした名探偵」(井上芳雄)と、語り部を務めるその親友(鈴木浩介)が辿る不思議な謎解きの旅。まるで戻るあてのない"行ったきり"の「片道切符」を手にしたかのように、過去から現在へと連なる謎が眠る森へと進んで行く。ミステリアスなタッチの謎解き話でありながらも、そこは北村想ならではの自由奔放に弾けたイマジネーションが紡ぎ出す世界は、どこか飄々とした "オモシロ感"たっぷりに、「名探偵と親友」の新たなバディ・ストーリーが繰り広げられる。そんなバディに次々と謎を運ぶ、井上小百合岩男海史瀧内公美大谷亮介の活躍にも注目したい。

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~STORY~
男の名は、法水連太郎(のりみずれんたろう/井上芳雄)。警視庁などのコンサルタントも務める私立探偵である。そして、何かとこの探偵を支えてきたのが、高校時代からの親友で、現役の医師である楯鉾寸心(たてほこすんしん/鈴木浩介)だ。
ある時、探偵・法水が残した「危急の依頼あり、出かける」との書き置きを見て、楯鉾は法水を追いかけ、深い森へと迷い込んだ。そこで、傷を負い深い眠りについた法水を見つけ出したのだが、目覚めた探偵はあたりを見回し、こう口を開いた・・・
「誰だかワカラヌ私は、何処だかワカラヌここで何をしているのだ・・・」
探偵は、この"迷いの森"から何の依頼で呼び出されたのか・・・。
一体、依頼者は誰なのか?そんな疑問を胸に、記憶を失くした名探偵とその親友は、出口の見えない森の奥深くへと歩を進める・・・ そこに次々と現れる謎に満ちた人々は、現実なのか、はたまた忘却の記憶が生んだ幻なのか・・・

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初日を前に、出演する井上芳雄、鈴木浩介、井上小百合からコメントが届いた。

【井上芳雄 コメント (法水連太郎)】
これまで経験したことがない謎が多い台本で、一読しただけでは想像もつかない・・・というのが最初の印象でした。でも、多くの可能性を秘めている作品だとも感じました。「今」と確実につながっている新作に取り組めるのは本当に贅沢で幸せです。それこそ、「奇跡」のように思えます。
お客様にも、一緒に物語の謎解きを楽しんでいただきながら、思ってもみなかった豊かな泉のようなものを見つけていただきたいですね。
今回、皆様にはご心配とご迷惑をおかけしてしまいましたが、いよいよ新たな初日が開幕します!劇場でお待ちしています。
そして、今回はもちろんストレートプレイなのですが、3曲のオリジナル曲も劇中で歌います。こちらも是非お楽しみに!

【鈴木浩介 コメント (楯鉾寸心)】
井上芳雄君とは、同じ福岡県出身で同じ高校出身という間柄。コロナ禍を通して、いろいろな経験も共有してきましたし、今回のバディコンビを組むにあたっての絆はとても強くなったと感じています。説明セリフが多いので、それをどう表現していくかが課題ですが、演出の寺十さんが仰った「想さんの戯曲を信じて、それを喋ることに徹すれば心地よくなってくる」という境地を目指しています。舞台はお客様が来てくださって初めて完成するものです。皆さんにとっても大変な状況とは思いますが、是非劇場に足を運んでいただけたら幸せです!

【井上小百合 コメント (マリモ・マリモ中)】
いろいろな要素が詰まった複雑な戯曲なので、当初は実際にどう演じたらいいのか、、、どうしても答えを探そうとしていたんです。でも、作者の北村想さんが「ツジツマが合うものを作ってしまったらつまらない」と仰って、「なるほどなあ、人生に答えなんてないよなあ」と思いました。まるで稽古場の全員が「迷いの森」に入り込んだみたいだったんですが、アイデアを持ち寄って皆で探りながらワークショップのように稽古を進める感覚が本当に楽しくて!大事なのは、答えや結果ではなく、『楽しんだ時間』なのかもしれないなあとふと思いました。劇場で、お客様も一緒に森に迷い込んだ感覚になって楽しんでいただきたいです!お待ちしています!

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<公演情報>
『奇蹟 miracle one-way ticket』

【東京公演】
2022年3月18日(金)~4月10日(日) 世田谷パブリックシアター
【大阪公演】
2022年4月13日(水)~4月17日(日) 森ノ宮ピロティホール

作:北村想
演出:寺十吾
出演:
井上芳雄 鈴木浩介 井上小百合 岩男海史 瀧内公美 大谷亮介

お問合せ:シス・カンパニー
03-5423-5906 (営業時間 平日11:00~19:00)

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三谷幸喜が2018年末に放ったオリジナル・ミュージカル「日本の歴史」。この待望の再演が2021年夏に決定した。
もともと歴史好きで知られている三谷幸喜は、近年多くの歴史ドラマや舞台を手がけ、2022年放映予定の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」も執筆するなど、もはや単なる「歴史好き」の枠を越えた脚本家。その独自の着眼点とアイデアは止まることを知らず、エンターテイメントの姿を通して、改めて歴史の面白さや奥深さを語りかけてくれる存在だ。
2018年に初演した本作は「卑弥呼の時代から太平洋戦争までの約1700年に亘る日本の歴史を凝縮」した大河ミュージカル。
60人以上にも及ぶ歴史上の人物たちや市井の人々を、たった7名の俳優陣たちが演じ・歌い・踊ることで紡いでいくという大胆な構成に加え、脈々と次世代につながっていく人間の因果のドラマと、ただの歴史の出来事の羅列ではない骨太な物語が展開し、大好評を得た。長きにわたって三谷作品の世界観を支えてきた作曲家:荻野清子によるキャッチーなメロディーも秀逸な一作だ。

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出演は、中井貴一、香取慎吾、新納慎也、シルビア・グラブ、宮澤エマ、秋元才加の初演メンバーに加えて、段田安則が参加。唯一無二の歴史ミュージカルの再演に期待が膨らむ。

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<公演概要>
【東京公演】2021年7月上旬~中旬 新国立劇場中劇場
【大阪公演】2021年7月下旬 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
【作・演出】三谷幸喜
【音楽】荻野清子
【出演】中井貴一 香取慎吾 新納慎也 段田安則 / シルビア・グラブ 宮澤エマ 秋元才加

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アメリカが誇る20世紀最大の喜劇作家 ニール・サイモンによる『23階の笑い』を、日本を代表する喜劇作家である三谷幸喜が演出を手がけ、2020年12月に世田谷パブリックシアターにて上演されることが発表になった。

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出演は瀬戸康史、松岡茉優、吉原光夫、小手伸也、鈴木浩介、梶原善、青木さやか、山崎一、浅野和之と三谷作品常連のベテランあり、初めての顔合わせありと多彩な顔触れがそろった。

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ニール・サイモンといえば、その作品だけでなく、脚本家・三谷幸喜の原点を知る上で欠かせない存在として語られることが多い喜劇界の巨星。大学在学中に見た舞台『おかしな二人』(演出:福田陽一郎)が、その作家人生のきっかけのひとつだったという三谷幸喜は、敬愛の念が強いがゆえにニール・サイモン戯曲演出は長く封印してきたという。三谷が初めて"恩師の作品"を演出したのが2013年上演の『ロスト・イン・ヨンカーズ』。それから7年ぶりとなる今回、2度目のニール・サイモン作品の演出に向き合う。

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『23階の笑い』は1993年から1994年にかけてブロードウェイで上演された作品だが、物語の舞台は1950年代のテレビ業界の裏側。
作品に自伝的要素を盛り込んできたニール・サイモンらしく、この作品も彼が実際に大物コメディアン シド・シーザーの下で放送作家・コメディ作家として下積みの時期を過ごしていた体験がリアルに描かれていると言われている。マンハッタンの高層ビルの23階に構えた事務所に行き交うテレビマン、人気コメディアン、若手作家たちが織り成す人間模様、人情の機微、そして何よりも渦巻く笑いの数々。上演を期待せずにはいられない。

<現状の公演概要>
作品名:23階の笑い
(原題:Laughter on the 23rd Floor)
作:ニール・サイモン
演出:三谷幸喜
翻訳:徐賀世子
上演時期:2020年12月
会場:世田谷パブリックシアター (東京公演のみ)
出演:瀬戸康史 松岡茉優 吉原光夫 小手伸也 鈴木浩介 梶原善 青木さやか 山崎一 浅野和之
一般前売開始:2020年11月頃予定

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