■『ロンドン版 ショーシャンクの空に』vol.5■
『ロンドン版 ショーシャンクの空に』稽古場レポートの続きです!
★稽古場レポートPart1はこちら
稽古場全景はこんな感じです。
冒頭に近いひとコマ。
俳優さんたちがドラム缶やバケツを叩いて鳴らす音は、雨音のようでもあり、彼らが抱える鬱屈した気持ちが破裂しかかっているようでもあり。
確かに映画版は名画中の名画ですが、こういう表現方法は演劇ならではの面白さであり、映画とはまた違う『ショーシャンクの空に』なのです。
基本、刑務所内のシチュエーションですが、ダイナミックに様々な顔を見せていきそうです。
場面が変わるとずいぶんイメージが変わりました。
ショーシャンク刑務所に連れてこられた、佐々木蔵之介さん演じるアンディ。
そしてアンディに何かと絡むレッド、國村隼さん。
まだ最初の方のアンディは、無口で静かな存在です。
アンディが口を開いたところで「しゃべったぞ、こいつ!!」というような反応も。
レッドは何年も、仮釈放を却下され続けています...。
ショーシャンク刑務所の所長、グレゴリー・スタマスは板尾創路さん。
淡々とした不気味さを醸し出す板尾さん。
新入りのアンディはボグスの暴力の対象となってしまいます。
アンディを狙うボグス一派、谷田歩さん、板倉チヒロさん、石田佳央さん。
アクション確認中。
ボグスたちの手を振り払う佐々木さんの動きがキレがありすぎて、演出の白井さんから「今のは元銀行家の動きじゃないですね、格闘家の払い方ですね(笑)」。
ボグスたちに絡まれるアンディを遠巻きにみている、他の囚人たち。
やっぱりどこでも、それがたとえ刑務所でも、派閥というものは出来てきますよね...。
そしてさらにその中でも、取っ組み合いが起きたり。
そんなある日、アンディは調達家・レッドにロックハンマーの調達を依頼します。
「鉱物が趣味でね、できたらこの趣味を続けたい」。
囚人たちの食事のシーン。
カンカンと食器を鳴らす、囚人たち。
白井さんはその音にもこだわり、「このセリフを耳で捉えてから、音を大きくしていきましょう」「もっとクレッシェンド」「もっと急速に」と、より効果的にと演出していきます。
食前の祈りを、スタマスは(たまたま立っていた)アンディに命じます。
アンディ「私は英国国教会の祈りしか知らないのですが...」
スタマス「英国国教会? ...ああそれでいい」
...というやりとりがあるのですが、このシーンでの白井さんの解説が面白かったのでご紹介。
ショーシャンク刑務所があるのは、メイン州です。
プロテスタントの入植者(移民)たちは東海岸から上陸してきましたが、東海岸にあるメイン州も例にもれずそういうルーツを持つ人たちが多い場所。
そんな中、ほぼカソリックと同じ英国国教会の名前を出すのは「ふざけたこと」(白井さんの弁)。かなりの少数派なんですね。
大きな反応はなくともその辺のニュアンス、認識を心の中で持っていてくださいね、というお話でした。
その、アンディの祈りの言葉が口からのデマカセだったと聞いて笑うレッド。
老囚人・ブルックシーの小林勝也さん。
「ようこそ図書館へ!俺が設立者だ、移動式図書館」。
この図書館も、アンディの"希望"のひとつ。
稽古場で白井さんは何度も「もっとリアルに」「もうちょっとリアルな空気を」と「リアル」という言葉を繰り返していました。
映画では囚人たちが少し美化されファンタジックになっていた印象がありますが(個人的な感想です)、白井演出では、囚人たちの押さえつけられ鬱屈した気分、一皮剥くと暴力的なものが爆発しそうなヒリヒリ感が出ているようで、そういった部分も白井さんの言う"リアル"が映し出されているのかも。
どんな舞台が誕生するのか、楽しみに待ちましょう!
【公演情報】
12/11(木)~29(月) シアタークリエ(東京)
1/7(水) 東京エレクトロンホール宮城(宮城)
1/10(土)・11(日) 名鉄ホール(愛知)
1/14(水) アステールプラザ 大ホール(広島)
1/16(金)~18(日) 森ノ宮ピロティホール(大阪)
1/20(火)・21(水) キャナルシティ劇場(福岡)