『ビッグ・フィッシュ』2019 #5 ついに開幕!公演レポート&初日前会見レポート

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■『ビッグ・フィッシュ』2019 vol.5■

ティム・バートン監督の傑作映画をもとにしたミュージカル『ビッグ・フィッシュ』が11月1日、東京・シアタークリエで開幕した。日本では白井晃演出で2017年に初演。ファンタジックな世界観の中に家族の大切さをしっかり描き出し、好評を博した。今回はその好評を受け、2年半ぶりの再演。川平慈英浦井健治霧矢大夢夢咲ねねらオリジナルキャストが揃い、夢のように美しくも、観る者が自分の人生と照らしあわさずにはいられない普遍的な作品を紡ぎだしている。
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物語の主人公は、自らの体験談を現実にはありえないほど大げさに盛って語る男、エドワード。小さい頃に魔女に自分の死に方を予言された話、人魚と恋をした話、洞窟の巨人と友だちになった話、サーカスで最愛の女性と出会った話......。その奇想天外な話を聞いて育った息子のウィルは、大人になるにつれ現実味のない父親の話を信じなくなり、さらにはあることをきっかけに父子の間には大きな亀裂が入ってしまう。だがエドワードが病気になり、ウィルは父の話の真実がどこにあったのかを探ろうとする......。
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劇場を初演の日生劇場よりひとまわり小さいサイズのシアタークリエに移し《12 chairs version》と冠するアザーバージョンでの上演となった今年の公演。だが演出の白井晃が「シンプルな空間にしようとは思っていない、初演の空間をできるだけ凝縮した形に」と語っていたように、物足りなさは一切感じない。白井の繊細な演出や、印象的な美しい舞台セットも健在だ。キャストは初演時の22名から12人の少数精鋭となったが、その分キャストひとりひとりが様々なシーンに登場。浦井や霧矢、夢咲らメインキャストも、めまぐるしく衣裳を替え、様々な役に扮する。特に彼らがエドワードが語る冒険譚のキャラクターとして登場することが増えたことから演劇ならではの面白さが増し、さらに劇中劇感が色濃くなったことで"物語を紡ぐ楽しさ"がより強く伝わってくる。これは『ビッグ・フィッシュ』という作品が訴える大きなテーマにも通じる。人生には物語が、夢が大切だ。誰もが自分の人生の主人公だ――。それは、泣きたくなるほどにあたたかく優しく、力強い人生賛歌だ。

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キャストも魅力に溢れている。初演時、歌唱力やダンス力に加え、滲み出るポジティブさに調子の良さ、エピソードを"盛って"話しそうなサービス精神旺盛さがエドワードにぴったりだと絶賛された川平は、今回も絶好調で"愛すべき男・エドワード"を演じている。だが今年はエドワードとウィルがお互いを否定しあうかのような苛烈なナンバー『二人の間の川』が加わったこともあり、陽気なエドワードの抱える葛藤や弱さ、死を目前にした怯えなどの負の感情がビビッドに伝わり、より人間味のある男の姿が浮かび上がった。息子ウィルを演じる浦井も演技力に磨きがかかり、父に対する不満と素直になれない頑なさ、そんな自分に対して抱く歯がゆさなど、複雑な感情を自然に演じている。エドワードの妻サンドラ役の霧矢は愛情深さで葛藤する父子を優しく強く受け止め、ウィルの妻ジョセフィーンを演じる夢咲は初演時にもあった聡明さに加え、強さもある女性として新しい家族を支える。なお霧矢・夢咲は本役以外の役どころでのダンスシーンも満載、元宝塚スターらしい華やかな魅力も振りまいているので必見だ。
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ほか出演は、藤井隆、JKim、深水元基、東山光明、小林由佳、鈴木蘭々、ROLLY、佐田照・佐藤誠悟(ヤング・ウィル役/Wキャスト)。全員が一丸となって、エドワードが語るファンタジーのような物語の住人と、痛みも伴う現実世界の人々を行き来し、感動の物語を丁寧に描いていく。楽しくて、可笑しくて、でも切なくて、心あたたまるミュージカル。関係者たちの熱い思いが結集して今回の再演に繋がったそうだが、ぜひ今後も上演を重ねて欲しい作品である。公演は28日まで、同劇場にて。
※ページ下部にほか舞台写真あり。 


初日前日、10月31日に開催された囲み取材のレポートもお届けします。
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●川平慈英さん(エドワード・ブルーム役)
「ほらふき父ちゃん、エドワードブルーム役です。息子のウィルとバチバチやりあいます。この日を迎えられたことを本当に嬉しく思います。(感慨深げに)ついにきたね...。劇場は日生劇場からシアタークリエに移りましたが、より濃密な空間の中、こうして最高の仲間と一緒に開幕を迎えられることを心から感謝し、光栄に思います」
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●浦井健治さん(ウィル・ブルーム役)
「(まわりのキャストを見渡し)このような素敵で明るいにぎやかな家庭に育てられた息子、ウィルをやらせてただきます。世間はハロウィンですが(※10/31の会見でした)、きっとこのティム・バートン監督、白井さん演出の『ビッグ・フィッシュ』はどこよりもハロウィン色が強いと思います(川平「うまい!」)。この作品は川平さんがずっと動き回っています。最強のパワースポットになると思います!」
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●霧矢大夢さん(サンドラ・ブルーム役)
「エドワードの妻でウィルの母親、サンドラ役です。愛する家族、そして仲間たちにまた再会できて本当に幸せです。この幸せと喜びを客席の皆さまにお届けしたいと思っています」
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●夢咲ねねさん(ジョセフィーン・ブルーム役)
「もう一度この作品に挑戦できることがすごく嬉しいのですが、初演より人数が少なくなっていて、出演者全員がめまぐるしいくらい、色々な役を演じています。初演とは違う『ビッグ・フィッシュ』に生まれ変わっているので、たくさんの方に観ていただきたいです」
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●藤井隆さん(ドン・プライス役)
「川平さん演じるエドワードを子供のころからやっかんだりいじめたりする悪ガキのドン・プライスをやらせていただいています。初演のときはたくさんのメンバーでお送りしたのですが、今回は濃縮したメンバーでお送りしています。ちょっと気が早いのですが、今回の再演を成功させて、初演のメンバー再集結でぜひ再々演をやれたらいいなと思ってます(川平「いいですね!」)。平均年齢がけっこう高いなと思いながら(一同苦笑)、......(子役である)ヤング・ウィルたちを入れたとて、あんまりあがらない(笑)。本当に色々な役をやらせていただいています。私もドン役以外にも「水の流れ」というようなものもあります。概念をやらせていただくのは舞台の醍醐味だと思っていますので、どうぞ劇場にお越しください」
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●ROLLYさん(エイモス・キャロウェイ役)
「キャロウェイサーカスの団長、エイモス・キャロウェイ役のROLLYです。この『ビッグ・フィッシュ』はあなたの物語です。見る人全員の人生の物語です。『ビッグ・フィッシュ』を観る前と観たあとであなたの人生が変わると思います。ぜひどうぞ」
......川平さんの「まちがいない!」のあと、口々に「前回も同じこと言った」「普遍性ですね」「テーマは変わりませんからね。愛です」等々、茶化したり軌道修正したりする皆さんです......。でもROLLYさんの言葉、作品の本質だと思いますよ!
ということで、初演時の初日前会見はコチラ!→
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――2017年の初演から、特に変わった点は?

川平「(通しで)ひと役なのは僕だけなんです。皆さんは何役もやられていて、ありがたみ満載のステージになりました。「あれ、もしかして健ちゃん?」「もしかして霧矢さん?」と、トリビア的な楽しみもある。これは何回か観にこないと!」

浦井「そうですね、答え合わせが(笑)」

川平「非常に面白いですよ、間違い探しとは言いませんけど発見探し。みんながいろいろやっていて。また霧矢さんの豹変ぶりが......」

霧矢「シーっ!」

川平「あれはぜひ、見つけ出してほしいですね」

藤井「ヒントは退団後初の......ですね。ファンの方はぜったいに見逃せない!」

川平「総力戦で、涙ぐましいみなさんの努力が、観ていてもありがたみがあります。あと(鈴木)蘭々がすごいダンサーになってる!」

―― 歌も、2曲新しくなっているとか。

浦井「まず1曲は、我々(川平&浦井)のバチバチ(争うナンバー/公開稽古で披露された『二人の間の川』)。そこでは、(話題にあがった)藤井さん演じる "水の流れ" も出てきます」

川平「藤井さんが水の妖精をね!」

浦井「(笑)妖精ではないです。親子の隔たりを芝居の歌として、演劇的に白井さんが仕上げてくださいました。この新曲があることで、亀裂が入ったからこそより深いところで家族の絆、愛を、感じられるものが見えてくるんじゃないかなという深さを感じます。もう一曲が......」

霧矢「はい、私が歌う曲が変わりました(こちらも公開稽古で披露された『彼の中の魔法』)。このシーンで表現していることはそこまで初演とかわらないのですが、浦井君もおっしゃったとおり、より家族の、エドワードとウィルの間に挟まれて思うサンドラの心情みたいなものがはっきり描かれたかなと思います」

川平「今回すごくストーリーが濃密になりましたね。前回は圧倒的人数力やダンスで、量で魅せていたところが、今回は質で見せているというか。人間関係、家族関係が濃密になって、ストーリー性がすごく強くなりました。そこを楽しんでいただけたら本当に嬉しいですね」
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―― 稽古はどんな雰囲気でしたか。

川平「本当に家族のような12人......子役がダブルキャストなので13人。みんな淡々とベタベタせずお互いにリスペクトを持ちつつ、でもすごく助け合って、励ましあって、すごくいいチームです」

霧矢「"劇団" ってかんじですよね」

川平「うん」

藤井「いかんせん平均年齢が高いので、マッサージ器をみんなで交換したり......体のケアをね」

浦井「(笑)。でもでずっぱりの川平慈英さんが誰よりも元気なんですよ。「休憩15分」って言われて、そこでみんなにクイズをだしはじめる」

一同 笑

川平「子どもたちにタップダンスを教えたり(笑)」

浦井「休まないんです」

川平「僕に「ちょっと止まってって」って言うのは、「死んでて」ってことなんです」

―― やっぱりコミュニケーションのまんなかにいるのは川平さんですか。

霧矢「もちろん!」

川平「はしゃいでるだけです(笑)。でもみんなが本当にあたたかい。その温かなエナジーが、ステージ上から客席に溢れ出ます。だから本当にほっこりする、あたたかいステージになっています」

―― でも川平さんはとても大変な役だとか。

川平「それが、そうとも(一番大変とは)言えなくなりました、皆さん大変! 早替わりとか!」

浦井「袖中が戦場になっています。ジョセフィーンは僕と最初に対峙するシーンの前に、違う役をいろいろやって踊り狂ったあとにジョセフィーンになるんです。花嫁姿で登場したときにゼーゼーしていて「だいじょうぶか!」ってなる(笑)」

川平「本役をやる前に疲弊しているという(笑)。でも皆さんの色々な引き出しが見られる、カラフルな舞台になっています」

―― 最後に改めて川平さんからひとこと。

川平「生きる喜びや、人に対して愛情を注ぐ大切さ、痛みを知る心を持つ大切さを改めて感じられる舞台です。それに圧倒的な音楽力を通し、最後に生きていることへの賛美、喜びが描かれる。シアタークリエが癒しとハッピーエナジーのパワースポットになりますので、僕たちたちと一緒に幸せを共有しにぜひ劇場へいらしてください」
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取材・文・撮影:平野祥恵

 
【ビッグ・フィッシュ2019 バックナンバー】
# 合同取材会レポート
# 白井晃インタビュー
# 顔寄せレポート
# 公開稽古レポート
# 稽古場レポート Part1
# 稽古場レポート Part2

 
【公演情報】
11月1日(金)~28日(木) シアタークリエ(東京)
12月7日(土)・8日(日) 刈谷市総合文化センター 大ホール(愛知)
12月12日(木)~15日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

チケット情報はこちら

▽舞台写真
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