■『リトル・ナイト・ミュージック』特集vol.7■
27年ぶりの共演が話題の大竹しのぶ&風間杜夫を中心に、豪華キャストで上演するミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』 。
4月8日、ついにその幕が開きました。
初日に先立ち7日には出演者が報道陣の前で意気込みを語りました。
今回は、その<初日前日囲み取材>の模様をレポートします。
▽ 風間さんにエスコートされて登場した大竹さん。日生劇場のクラシックな雰囲気、赤いじゅうたんともあいまって、なんともいえない大人のムード!
大竹しのぶ...大女優デジレ役
「今からゲネプロ(最終舞台稽古)をやって、そこから10段階くらいアップして、明日(の初日)は100段階くらいアップできればいいなと思っています。(演出の)マリア(・フリードマン)やイギリスから来てくれたみんなが「日本に来て良かった」と思えるような芝居を作りたい」
風間杜夫...弁護士フレデリック役。デジレの昔の恋人。
「(ミュージカル初挑戦で)初めてのことなのでとにかくドキドキしているのですが、反面ワクワクもしています。きっといいお芝居になると思います」
3月半ばにあった<稽古場取材会>の場で、すぐに帰りたがるとバラされていた風間さんですが、
「早く帰りたいのはいつも一緒なんですが。(今は)かなり自信をもってきましたね~! これがいい形で出ればいいんですが(笑)」と、ずいぶん気持ちも上昇した模様!?
そして大竹さんと風間さんは27年ぶりの共演、舞台に限っていえば初共演!...ということが話題ですが、
「いい意味でも悪い意味でも(大竹さんは)変わらない。やる時はやる人だけれど、普段はダラダラしてる」と風間さん。
「昨日なんて、このタイミングで『あー、もっと真面目に稽古しときゃよかった』って言うんですよ!」とバラす一幕も。
ただ大竹さんの真意は「もっともっと稽古したいんです。稽古が好きなんです」とのことでした。
蓮佛美沙子...フレデリックの若き妻・アン役
「私は舞台が初めてなので、ゲネプロも、明日の初日も、自分がどういう気持ちになっているのかまだ未知数。パワー、エネルギーを持って、臆することなくアンとして頑張っていけたら」
ウエンツ瑛士...フレデリックの息子で、義母アンに恋心を抱くヘンリック役
「明日の初日に向け、歌とか段取りとか、頭がパンパンな部分もあるんですが、それも一回忘れて、パワーをしっかり届けるということを大事にしながら、素敵な作品にしたいと思います」
同じく3月半ばにあった<稽古場取材会>で、ウエンツさんがアドバイスをしてくれない! と仰っていた蓮佛さんですが、「最近、教えてくれるようになりました」とのこと。
その心境の変化をウエンツさんは
「切羽詰まってきたんでしょうね(笑)。この作品は、恋愛のもつれだったり、人生を考え直したり、そういう部分があるのですが、最終的には登場人物たちが自分の本当の相手をみつけていく。お客さまにも恋愛っていいなとか、生きていて楽しいなとか、素敵な気持ちになって帰って欲しいので、それぞれのキャラクターが結ばれるときにその素晴らしさをどれだけ伝えられるか......というところを、やっと真面目に研究しだして(切羽詰まってきた)(笑)」
と話しました。
安蘭けい...愛人がいることを隠しもしない夫への複雑な愛憎を抱える、伯爵夫人シャーロット役
「とても楽しく舞台稽古をやっています。本当に大竹さんと風間さんの掛け合いがすごく楽しいんですよ。皆さんにも楽しみにしてもらいたいです。私も、舞台稽古でしか客席で観られないので、すごく楽しませてもらっています」
栗原英雄...デジレの愛人であるカールマグナス・マルコム伯爵役
「このひと月、稽古場でみんなで作り上げてきたものを土台に、これからどんどんレベルアップできるように、最後まであがいていけたらと思います」
ちなみに前述の稽古場取材会でも、ミュージカルの先輩からミュージカル初心者の風間さんらへのアドバイスを求められ「いや、よく頑張ってると思いますよ!」と、上から目線のコメントを言い放ち爆笑をさらったウエンツさん。
今回も、報道陣に「先輩からのアドバイスは...」と話を振られ...。
ウエンツ「そうですね。まあ今日ゲネだけど」
風間「(笑)!」
ウエンツ「今日はお客さんが入っているわけじゃないし、そんな緊張しなくていい、まずは」
風間「はい!」
蓮佛「(笑)」
ウエンツ「自分がやることをいっこずつ確認して、明日にむかえて備えよう、がんばれよ」
風間・蓮佛「ありがとうございます!」
ウエンツ「(ここにはいない)木野にも言っておきます、(ミュージカルが)初めてなんで」
......というひとくだりも(笑)。
▽ 滔々とアドバイスを語るウエンツさんに、かしこまって拝聴する風間さん(笑)。
そして最後に大竹さんが
「今もあったように、蓮ちゃん、風間さん、木野さんはミュージカルが初めてで、(トミタ)栞ちゃんは2回目の舞台出演。そんな私たちを、マリアは...マリア・フリードマンというすばらしい女優さんでもある演出家は、優しく、丁寧に、根気強く、私たちの力を信じて導いてくれた(稽古の)1ヵ月でした。もっともっと上に駆け上がっていけるように、千秋楽の日まで「もっともっとできたかもしれない」と思えるように(貪欲に)、真面目に頑張って、楽しい音楽を届けたいと思います」
とまとめて、会見は終了しました。
笑いの中にも、ストイックに作品と、自分の役柄と向き合っている皆さんの姿が垣間見れました。
公演は30日(月・祝)まで。
巨匠スティーヴン・ソンドハイムが紡ぐ珠玉の楽曲で描く、大人の恋の物語。お見逃しなく!
取材・文:平野祥恵(ぴあ)
【『リトル・ナイト・ミュージック』バックナンバー】
#1 歌入り本読み稽古潜入レポート
#2 公開稽古レポート
#3 蓮佛美沙子&安蘭けい&栗原英雄&ウエンツ瑛士 座談会
#4 風間杜夫インタビュー
#5 大竹しのぶインタビュー
#6 オケ合わせ稽古レポート
【公演情報】
4月8日(日)~30日(月・祝) 日生劇場(東京)
5月4日(金・祝)・5日(土・祝) 梅田芸術劇場メインホール(大阪)
5月12日(土)・13日(日) 静岡市清水文化会館(マリナート)大ホール
5月19日(土)・20日(日) 富山 オーバード・ホール