『レディ・ベス』演出・小池修一郎が語る2017年版みどころ(後編)

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■『レディ・ベス』2017年公演特別連載 vol.5■



3年ぶりに再演されるミュージカル『レディ・ベス』 、開幕が近づいてきました!
今回は演出の小池修一郎さんのインタビュー、後編をお届けします。

後編では初演にはいなかった子役がキャスティングされたことで明確になった物語のテーマ性、そして『エリザベート』『モーツァルト!』でもタッグを組んだミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイ作品の魅力について、語っていただいました!


★前半は→コチラ
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◆ 今回は、初演にはいなかった子役がキャスティングされています


「物語の最初の方に、イギリスの歴史、エリザベス一世の来歴を語るところに出てきます。非常に短い出番ですが、全体を通して振りった時に、彼らが登場したことで物語への導入としては非常にスムーズなものになっていると思います。子役だけではなく、その親たち......もともと初演でもアン・ブーリンは冒頭のシーンに出ていましたが、メアリーの母親やヘンリー八世(ベス、メアリーの父王)も出てきます。いわば "人間紙芝居" といった形ですね。でもそのことで、彼らが残したもの、そしてその娘たちが成長してからの物語だということがわかりやすくなると思います。

特にメアリーの印象は、相当変わると思いますよ。子役が出ることにより、宗教もですが、対立せざるを得なかった姉妹が和解する...という、『ウィキッド』のようなところが(笑)、よりクリアになりました。姉妹がそうせざるを得なかったんだ...ということは、非常に明確になっています」LadyBess17_05_02_8266.JPG


★その冒頭の様子、稽古場レポートでチラリ!→コチラ


◆ ミヒャエル・クンツェ(作)&シルヴェスター・リーヴァイ(音楽)作品の魅力


「クンツェさんという方は、色々な角度から物事を分析的に見る方なんです。『エリザベート』では、「死(トート)」という役が出てきて、CTスキャンのように、歴史を横にスパッと斬っていく、みたいな...(笑)。『モーツァルト!』ではアマデという存在がそれをしていましたが、こちらはMRTみたいかな。本人の中身の才能という部分が常に別に存在しているというところが...。

そういう、ちょっと特異な分析の仕方をする方ですが、『レディ・ベス』においては、それはアン・ブーリンであると仰っていました。ただ、アン・ブーリンはトートやアマデほど強烈に主人公に関与しているわけではない。どちらかというと "隠し味" 的であると私は思います。その代わり、姉との確執、出会った恋をどう乗り越えて仕事を選んでいくか...ということが描かれています。LadyBess17_05_04_8272.JPG

その人間がどう生きているのか、どう存在するのかを計る時に、エリザベートだったら彼女の中に「死」があり、常に死を意識している=死に恋をしているという表現になるのですが、面白いのが、死の方が逆に「今こう思っているんだろ」と、彼女を分析しに来る(=彼女に迫る)。自問自答というよりは、時に才能だったり、死にたいという願望が語りかけてくるんです。

主人公を分析している存在は、自分の中に内在するものなんだけれど、そちら側......つまり死の側、才能の側、殺された母親の側から人の在り方を見るというのは、特別です。そういったシュールな存在が登場する作品は他にもいっぱいありますが、そっち側から主人公を語り、分析していくというアプローチは、クンツェさん独特のものだと思います。

エリザベス(レディ・ベス)の場合は、自分をこういう立場(蟄居)に追い込んだ "処刑された母親(アン・ブーリン)" という存在があり、そこに最初は反発しているのですが、だんだんその母を理解していく。母の霊というものは、"本人の内側" とは少し違うかもしれませんが、本人の潜在的な意識の中に呼びかけてくるという作りは同じ。そういったものがなければ、ただの伝記物語、伝記ミュージカルになっているかもしれないところが、そこによって角度の違ったものになっています。

また恋愛の描き方も特徴的で、例えばエリザベートは死(トート)には恋をしているけれど、現実の夫であるフランツ・ヨーゼフ一世とはすれ違う。モーツァルトも妻のコンスタンツェは、彼のことを理解できない。『レディ・ベス』でも、恋に関しては残念ながら恵まれない(笑)。普通、女性を主人公にした話だと、恋愛というのは完全に主軸になると思うのですが、そこにもっていかない...というのは、クンツェさんらしいですよね。LadyBess17_05_05_8282.JPG


そしてそのクンツェさんの物語を、リーヴァイさんの音楽が持つ "血が騒ぐような音楽の盛り上げ" が揺さぶりをかける。理屈じゃなく、深いところで神経を刺激する音楽です。魅力としては "暗い陶酔感" とでも言えばいいでしょうか、陰影に満ちた音楽。どんな盛り上がるナンバーであったとしても、どこかフェイントをかけているんですよ。それをやっている人は非常に愚かな高揚をしていたり、あるいは権威が覆っているとか。そういう意味では音楽が "惑わす"。「そんな話(設定)、あるわけないじゃん」と言っていた人が、見ているうちになんとなくそんな気になって、乗せられていく。

知性と情感の両方が刺激されので、ハマる、引きずり込まれるんです。ある意味「この話は結局どうなってるんだろう」とか思っても、それが音楽が酔わせてくれ、幻惑される。そのバランスが絶妙で、それによって「変なの」と終わるのではなく、お客様は別の納得(理解)をしていく。
ベスの場合は「人生の選択」ということを歌っている曲が何曲もあって、そういう意味では(テーマは)わかりやすいのですが、その方程式が途中で一瞬わからなくなって、でも最終的には非常に明確にわかる。そこが彼らの特徴だし、魅力でもあると思います」

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取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)

【『レディ・ベス』2017年公演 バックナンバー】
#1 花總まり、平野綾、山崎育三郎、加藤和樹取材会レポート
#2 平野綾ロングインタビュー
#3 稽古場レポート Part1
#4 演出・小池修一郎インタビュー(前編)


【公演情報】

・10月8日(日)~11月18日(土) 帝国劇場(東京)
・11月28日(火)~12月10日(日) 梅田芸術劇場 メインホール(大阪)

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