多田直人の!『光の帝国』初日寸前稽古場レポート!

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【自己紹介とまえがき】

キャラメルボックス劇団員の多田直人です。入団14年目の男です。
この度はぴあさんからのご依頼により、『光の帝国』初日寸前の模様をレポートすることになりました。

私は日常をすんすんと生きておりまして、日頃「うひょー」とか「げはー」とか思うことがあまりありません。そんな私のテンションが文章にも反映されて、盛り上がりの無い駄文に仕上がりそうで怖いですが、私なりに精一杯お伝えしたいと思います。

それから今回の『光の帝国』の座組はとても若く、いちばん上の劇団員は私より3年後輩の鍛治本大樹(年齢は同い年ですが)。それ故、先輩として偉そうな文言も散見されるかもしれませんが、後輩への期待も込めてのことだとしていただいて、ご容赦くださいませ。

では、始まり始まり~。

 

【ダンス】

まずはダンスの確認です。

いつもの公演ならば大内厚雄、岡内美喜子、原田樹里など、劇団員のなかでもダンスが得意なメンバーがリーダーとなって練習します。
今回は森めぐみがリーダーのようです。昨日行われた通し稽古の映像を踏まえて細かいところを指摘し、みんなで修正していきます。
得手不得手はあるものの、いない人の穴を埋めるうちに実力や責任感を帯びていき、劇団の層が厚くなっていくんですね。それで先輩としては、いつの間にか頼もしい後輩になっていたりするもんだから、うれしょんものです。

ダンスは初演の振り付けを踏襲しているのですが、より舞台全体を大きく使うようなフォーメーションになっていてダイナミックさを感じました。
もともとクールな振り付けですからね。格好いいです。
今は微調整の段階ですが、ここから振り付けの解釈、気持ち、それに伴って表情が乗ってくれば、よりストーリー性を感じられて見応えが増していくのだと思います。

個人的な見どころは関根翔太のこぼれ落ちそうな目ん玉です。
お楽しみに。

hikarikeiko1_350.jpg頼もしい森めぐみの後ろ姿。

【誕生日】

潜入取材した9月27日は、なんと小林春世の誕生日。
休憩時間になるとみんなのバースデーソング合唱のなか、新人の矢野聖(さとる)のまごまごとした段取りでケーキが登場しました。
これにより小林春世はこの座組の劇団員の中でいちばんの年長者となりました。
女優なので年齢は伏せておきますが、たぶん34歳になったと思います。 



hikarikeiko2_350.jpg写真はケーキの登場に嬉しくてブレちゃう小林春世。

 

 

【稽古】
各シーンの稽古が始まりました。
真柴あずきによる細かなダメ出しが行われます。シーンの骨組みやテンポはほぼ完成されており微調整といった感じです。

ダメ出しを受けて、どう修正するか、鍛治本大樹を中心に役者同士で話し合う姿が印象的でした。
また、客演の原口健太郎さんが新人の竹鼻優太にアドバイスをしてくださっていて、筆者は、ケータリングコーナーのチョコレートを頬張りながら、ありがたさと頼もしさを感じていました。

 


【通し稽古】
通し稽古直前に「金城あさみの台本がどこかいった!」というハプニングを乗り越え、定刻通りに通し稽古は始まりました。

まず目を引いたのは初主演、関根翔太の落ち着いたプレイぶりです。
彼の中で緊張や気負いはあるのでしょうが、観ているぶんにはそれを感じさせない、地に足のついた安定感のあるたたずまい。
「ありゃ、関根よ、いつのまにこんなに大人になったのだ」
お兄さんは驚きました。
初主演はどうしたって力が入るものです。ちょっと声が大きくなりすぎたり、高いテンションによる体感時間のズレで、セリフを早く言い過ぎたりするものです。
筆者も経験があります。私の初主演作品『さよならノーチラス号』では、思い出すだけで吐きそうになるエピソードがたくさんあります。というか実際、本番5分前に本当に吐きました。
そんな初主演を周りのキャストが暖かくも厳しくフォローするのが「キャラメルボックスにおける初主演作品」の形であると思っていました。
が、関根翔太は見事にいい方向に裏切ってくれたのです。

冒頭に一緒に登場する他のキャストたちも過度に緊張することなく、「とてもやりやすそうに」演技しているのが印象的でした。

とはいえ、偉そうなことを申し上げると若い座組ゆえか若干の押せ押せ感と、濃い演技ゆえの熱い芝居になっている部分もあり、「もう少し引いて演技をしても、お客さんは見てくれるぞ」と思う部分もありました。

この辺は初日までの課題なのかもしれませんが、お客さんの前に立ち客席の空気を感じられれば、すぐさま解消できることでもあると思います。ますます本番が楽しみになりました。

そんな中、原口健太郎さんの存在感は圧倒的でとっても頼もしかったです。原口さんの登場により、物語は落ち着いていきさらに現実感を増し、『光の帝国』のより深い世界へと、誘(いざな)ってくれました。
そして、そんな原口健太郎さんと関根翔太が登場する、真柴あずきが初演から加筆したというシーンがとても素敵なんです。
初演は1時間の作品を2本立て上演する「ハーフタイムシアター」の都合上、どうしてもカットせざるを得ないシーンもありました。
が、そんな制限を取っ払って追加された今回の様々なシーンにより、関根翔太演じる春田光紀と原口健太郎さん演じる猪狩により感情移入できるようになりました。
これによりラストシーンのカタルシスは倍増され、我々観客が感じるものも大きくなったように思います。

実際、筆者もラスト30分、とても感動しました。お話知ってるはずなのに。
っていうか、少年とおじいちゃんが友達になるとか、あと、『クレヨンしんちゃん大人帝国の逆襲」よろしく、誰かの人生をズバババーッと見させられのに、もう弱いんです、私。
ズルイっす。

もうお一方の客演、家納ジュンコさんの存在もとても嬉しかったです。
良くも悪くも固まりがちな劇団員の演技をキャラメルボックスには無い空気感で反応してくださるので、相手役の役者はとても楽しいし勉強にもなるはずです。
良かったな!相手役の毛塚陽介!
家納ジュンコさんと毛塚陽介が稽古中、これまた台本を見つめながら何やら長いこと打ち合わせをしている場面もあって、ケータリングコーナーのチーズケーキを頬張りながら、やはり嬉しくなったのでした。

いちばんの先輩、鍛治本大樹といちばんの年長者になってしまった?小林春世からは、「この作品をもっと高みへ」という気概が演技から感じられました。
というのも、彼ら自身がまだまだチャレンジをやめていません。
「どうすればこの作品がもっと面白くなるか」「どうすれば自分の演じているキャラクターがもっと魅力的になるか」を考え、より具体的に実践しています。
大先輩、西川浩幸や大森美紀子が出演していればそれだけでキャラメルボックスの世界は成立したりします。岡田達也や畑中智行がいればそれだけで華があります。
そんな先輩たちのいない現場で、彼らなりにこの作品を引っ張ろうとしている。
その気概こそが劇団を作る源であり、キャラメルボックスそのものである、なんて考えさせられました。

通し稽古を見終えて、身内なりに少しの課題と、感動と、そんな劇団の在り方を想ったのでした。

hikarikeiko3_350.jpg

 

【関根翔太という俳優】 

稽古終了後、ちょいとした居酒屋へと関根翔太と森めぐみに取材と称してついてきてもらい、今の手応えや思っていることを語ってもらいました。

「主演であるということ感じすぎないようにしています」
なるほど、関根の落ち着いた演技の裏には、そういう心構えがあったのか、と思いました。
先の先輩方の初主演のエピソードや反省点は、たびたび劇団の中でも話題になったりします。
そんな話先達の話を聞くことができる、長い劇団の歴史あればこその心構えのように感じられました。

一方で私は、もっとハードルを課すならば、主演ならではのキラキラしたもの、俺を見ろ!というエゴイスティックさも欲しいと伝えました。
「そうですね。でもそれがどうやったら出せるのか。ナルシストな感じにはなるのも嫌ですし」
関根翔太は私が思っているよりもクレバーでした。そんな冷静で控えめな彼だからこそ、センターでキラキラしている姿に期待したいと思いました。

「舞台上で全員と会話できることが楽しいですね」
主演の特権を楽しそうに語るのを見て、彼の充実感を垣間見ることもできました。

初演で春田光紀を演じたのは、関根翔太が尊敬する同じ劇団員の先輩、畑中智行。
その辺は意識しているのでしょうか。
「稽古が始まる前はセリフの確認と作品の雰囲気を掴みたくて、初演のDVDを結構見ました。稽古が始まってからはほぼ見ていませんね。でもダメ出しでどうしても出来ないところがあったときに、初演のDVDを見たことはあります。畑中さんの演技を参考にと思ったのですが、自分には合っていなかったみたいで、それ変だよ、って成井さんに言われちゃいました」
関根印の春田光紀が出来上がることを期待しているぞ!

 

【森めぐみという女優】

劇団に入団してからも、キャリアは人それぞれです。
入団間も無く抜擢される人。入団しても手こずって、キャスティングされなくなる人。
キャラメルボックスはプロの劇団です。その辺は厳しくて当たり前なのです。

森めぐみは、筆者から見れば、苦労してきたように思います。
キャスティングされない時期が続いたこともありました。
「劇団ではけちょんけちょんにダメ出しされて。だけど、外部の作品に客演するたびに、お芝居って楽しいってことを再確認させてもらえて。そしてやっぱり私はキャラメルボックスが好きで、成井さんの演出でキャラメルボックスの作品に出たいって思ったんです」

あくまでも個人的な見解ですが、この作品を牽引している鍛治本大樹も小林春世も、劇団の苦労人のような気がします。
しかし彼らは劇団外でも経験を積みキャリアを磨いて、とっても逞しくなって、また劇団に戻ってきました。
起き上がり小法師が叩かれて、ちょうど勢いよく跳ね返ってくるように彼らには勢いを感じるのです。

「成井さんにキレイな女性でやってくれ、って今回のダメ出しでよく言われます」
ビールジョッキを片手にそう言いながら、締めのラーメン屋を検索する森めぐみに「そうじゃないだろ」と突っ込まずにはいられませんでした。

最後に、今の手応えを聞いてみました。
「今のまま上演してもお客さんに感動していただくことはできると思います。でもそれよりもっと上、平均点のお芝居じゃなくて、本っ当に面白かった!って思ってもらえるように残りの稽古で積み上げていきたいです」
 



【あとがき】

てなわけで、最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。
『光の帝国』ご興味湧きましたでしょうか。
こんな感じでどうでしょうか、げきぴあさん。
読み返してみると、やっぱり平坦でなんとも偉そうな文章になっています。自己嫌悪です。ごめんなさい。

私はといえば、12月にキャラメルボックス新作公演『ティアーズライン』という作品に出演します。

2年ぶりの劇団公演の参加です。
なんだかそういう、「内部の人間だけど、もう半分外部みたいなやつ」の視点でレポートを書いて欲しかったみたいです。

とにもかくにも、もうすぐ『光の帝国』が始まります。
12月の公演のことは頭の片隅に3パーセント置いていただいて、まずは『光の帝国』97パーセントでいてもらえると嬉しいです。
劇場で、皆様とお会いできるの楽しみにしています。
願わくばキャラメルボックスが、皆様にとって、かけがえのない演劇体験になりますように。

hikarikeiko4_350.jpg森めぐみと関根翔太の肩を、胡散臭い笑顔で抱く筆者。

 

まずは北千住。お待ちしてます!

 

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