『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』松岡充×福井晶一×荻田浩一 インタビュー

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パイロット、医者、弁護士などになりすまし、若くして大金を手にした天才詐欺師と、それを追いかけるFBI捜査官の追跡劇を描いた物語――レオナルド・ディカプリオ&トム・ハンクス主演映画、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』がミュージカル化!

ブロードウェイで2011年に上演され、トニー賞4部門にノミネートされた作品が、いよいよ日本に初上陸します。


この注目作で、ディカプリオが演じた詐欺師フランク・アバグネイルJr.を演じる松岡充

トム・ハンクスが演じたFBI捜査官カール・ハンラティに扮する福井晶一

そして翻訳・訳詞・演出を務める荻田浩一の3人にお話を伺ってきました。

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松岡充×福井晶一×荻田浩一
INTERVIEW


――『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』、これは実際にあった話をハリウッドが映画化して大ヒットした作品です。あの映画がミュージカル化された、と聞いてどんな印象を抱いたかを聞かせてください。

松岡「僕は正直、「え、できるの!?」って思いました(笑)。これほど世の中を欺いて逃げ回って、いろんな人物に化けて。国も変われば、職場も変わる。それをひとつのステージで、ライブで、どこまでできるのかな、しかもミュージカルなのでそこに歌とステージングが入ってくる。お芝居の部分だけでも要素がたくさんありすぎるのに、ミュージカルなんてできるの!? と...」

福井「そうですね。それに実際にあった話で、犯罪の話。それをそこまでフィーチャーしてエンターテインメントにもっていくというのが、アメリカ的だなと思いました。日本の感覚だとちょっと考えられないですよね。あとから曲を聴いて、ブロードウェイの映像を観せていただいたりして、うわぁスゴイ! と思いましたが、それまでは一体どんな舞台になっているか、想像がつかなかったです」

荻田「僕は...ブロードウェイは本当になんでもミュージカルにするなって思いました(笑)。ただあちらのミュージカルって、もちろんシリアスなものもありますが、ちょこちょこ笑いが入りますよね。これも(映画とは異なり)非常にシニカルな感じになっています。全体が何かのパロディになっているようで、たとえば音楽も往年の名曲を彷彿とさせるようなすごい曲なんですが、どこか何かにちょっと似てたりして、たぶんこれ、いじって遊んでいるんだよねってものになっている。作品全体がペテンにかけている。それを皮肉まじりに、ひとつのショーにしてしまっているんです」

松岡福井「へぇ~。なるほど!」

荻田「だから実はちょっとシュール。ただ、製作発表会見でも松岡さんが仰っていましたが、本当はひどい犯罪の話なんだけど、最後にハッピーな気持ちになれる、そこには魔法が一個かかっていますよね。実際のフランクさんが書いた自伝的小説を読むと、もうちょっとやさぐれているし、最初から詐欺の天才というよりは、試行錯誤して悪知恵を身につけていく、露悪的な感じもある。それをどんどん削ぎ落とし、ある種"フランクの冒険"みたいな、それこそディズニー映画のようなファンタジーに作り変えたということ自体が、ミュージカルの魔法。福井さん演じるFBI捜査官ハンラティがずっと追いかけることによって、擬似的な友情が生まれ、それが最後に本当の友情になりフランクの更正を予感させる...というのも、現実をうまくフィクションに作り変えている。現実のフランクの半生も充分面白いですが、そのままやるとワイドショー的になるところを、ものすごくいい話に作り変えたのは、舞台の魔法です。本来は悪い話が、いい話に落ち着く。...まあ、『ルパン三世』ですね(笑)。ルパン三世も悪いことしてるけど、いい人のような気がしますでしょ」

――その、詐欺の天才、フランク・アバグネイルJr.を松岡さんが演じます。松岡さん、会見でも記者たちをペテンにかけまくっていました(笑)。私、途中まで結構信じてましたよ。教員免許のくだりとか...。
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松岡「あるっぽいでしょ! あるっぽいギリギリのラインだから面白いかなって」

福井「僕も「そうなんだ~、松岡さんは教員免許お持ちなんだ」って思っちゃいました」

松岡「"東宝の大株主のお父さん"ってのはどうでした?」

福井「それはちょっと...(笑)」

荻田「うん、それはさすがにちょっと...でしたね(笑)。でもあれがあったから、そのあと安心して(嘘だなと思って)お話を聞けました」

松岡「ああ、それは良かったです、そう言っていただけると! もうこの役を演じるには振り切っていこう、と思って」

荻田「いやぁ、でも素晴らしい。僕らからまず騙されている、というところが!」

福井「(フランクの)そのまんまですね、どこまで本気なのか、っていう」

荻田「でも本当にとてもチャーミングな方なので、この笑顔と口先ですべてを騙し、お客さんを煙に巻き、でもどこかに秘めているものもあり...ということを表現するには、ものすごく最適な方。フランクは本当に大変だと思うんですよ。出ずっぱりだし、歌もものすごく多いので」

松岡「最初の3公演以外はぜ~んぶ違う人が演りますから。トリプルキャストだし。歌も口パクだしね。ダンスもダンサーさんの振り替えで(笑)」

荻田「そこはプロジェクションマッピングを使いましょう(笑)!...福井さんは生身でやっていただきますが」

福井「はい、僕はナマでいきます(笑)」

松岡「フランクを悪だと断定しきれないのは、彼は詐欺師ですが人を傷つけたり殺めてしまったり、ということは絶対にしない。もしそこまで手を下さなければいけない状況になった時はやめる、次のフィールドに行く。そこは自分なりの価値観があって、騙すにしても誇りがある、という彼の気持ちは、表現したいと思っています。自分が人気者になってお金がもうけをしたいだけではないというのが、どこか救いがある。そこはひと言で詐欺師、犯罪者でくくれないですよね」

荻田「ピーターパンじゃないですけど、フランクの舞台上の年齢設定は16歳から21歳ですし、子どもの延長線。遊んでいる、夢を見ているところがあるんだろうなと思います。犯罪といっても、人を傷つける、陥れるというネガティブな感情はなくて、むしろ自分がハッピーになるためにいろんなものを利用しちゃえ、みたいな。子どもっぽい無邪気さですよね」


――そのフランクを追いかけるFBI捜査官カール・ハンラティを演じるのが福井さんです。

福井「はい。フランクを捕まえるというのが僕の使命。その中で彼がなぜ犯罪に手を染めたのか...という、フランクの人間らしい部分を照らしていければと思っています」
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――チラシの裏のお写真だとちょっとアメコミ風というか、今までにあまり見たことのないようなコミカルな表情もされていますね。

福井「あれはちょっとやりすぎましたかね(笑)。舞台の方はまじめに、ひたすらフランクを追いかけます。(『レ・ミゼラブル』のジャベールの)こん棒を拳銃に持ち替えて」

荻田「ハンラティはいたってマジメな方なんですが、マジメすぎてやっていることがまわりからみるとおかしい、という人。『ルパン三世』で例えると、まさしく銭形警部ですね」

福井「空回りしてるんですね」

荻田「そうそう。それに、福井さんにはちょっと老けてもらわないとですね。逆にフランクは16歳~21歳なので、松岡さんには若返っていただいて」

松岡「そうなんですよね、そのハードルは多少なりともあります(笑)。彩吹(真央)さんが、僕のお母さん役といっても僕より年は下ですし。まあ、いろいろ...このへん(肌)とか、お金かけて、ね(笑)」

荻田「舞台、遠目だから、大丈夫です(笑)!...でもおふたりともですが、やっぱりドキュメンタリーではないので、実年齢の人がやるよりも"演じている"という後ろの引き出しがあった方がぜったい面白いと思んですよ」


――そして、フランクとハンラティの間には信頼、友情が生まれてくる。おふたりは本日初対面とのことでしたが、お互いの印象を伺わせてください。

松岡「僕が知らない世界で、福井さんはご自分の人生だけじゃなく、いろんな人の人生に影響を及ぼすよう努力されてきたから、今ここにいらっしゃるんだと思いますし、闘ってきた方なんだなと感じます。僕に持っていない経験値だったり、色んな宝物を共有させてくださるんじゃないかな。これだけ大きなお芝居で、稽古から本番までの期間も長いですし、関係性は深まっていくと思うので、それはもちろん楽しみです」

福井「僕はテレビで見ていた松岡さんのイメージしかなかったのですが、初対面なのにフランクに接していただいて、イメージそのまま、本当に明るくてまわりを楽しませてくれます。きっと稽古場からそういう雰囲気を作ってくださるでしょうし、もっともっとお互いディスカッションしていきたいですし、その中で生まれていく友情もあるでしょうから、そういう部分も舞台で見せられたら、フランクとハンラティの関係性にも繋がっていくんじゃないかな。そういうやりやすさを作ってくださる優しさがある方なんだなとも思います」

松岡「でもマジメな話になっちゃいますが、福井さんはじめ、皆さんいろいろな武器を持っている方々なので、その武器をこの作品で惜しみなく出していただきたいし、僕はそれを勉強したい。最大公約数を作る必要はないと思うんです。みんなが違うジャンルで生きて、違うところで自分を見出してきた方なので、それを集めてしまえば大きなものが生まれると期待が膨らみます」

荻田「そうですね、最小公倍数...ではなく、最大公倍数というか(笑)。掛け算になるといいですよね。松岡さん以外の方はわりとミュージカル的なフィールドで活躍されてらっしゃるけれど、それぞれ育ってきたバックボーンが違うし、年代も違う。異なる技と異なる力を持っているので、せっかくなので皆さんそれぞれの得意分野を山ほど発揮していただいて、そのポテンシャルの一番高いところを見ていただきたいですよね」


――ところで詐欺というと、昨今の日本にも関係がなくはない話題です。

松岡「フランクも、(脚本上のものだけではなく)現代的な職業に化けるのも面白いかも!? でも彼はパイロット、医者、弁護士...というプロフェッショナルな仕事ばかりに化けている、というところを考えると、それは専門的すぎてその専門の人たちにしからわからないから、大勢の一般の人たちが騙されるってことだと思んですよね。で、詳しい人が集まってきちゃっうと、次のところに逃げていく。でもやっぱりそれなりに勉強しているからこそ、ある程度の話は通じて、騙せているんですよね」

荻田「実際いままでの歴史上にも、そういうペテン師と天才のスレスレだった人とかいそうな気がしないでもないですよね(笑)。でも松岡さんが仰ったように、ある程度...最初のひと言ふた言くらいは、"わかってる風"なことが言えないと絶対に騙せないので、フランクはものすごく勉強家で努力家なんだと思うんです」


――しかもこれが、実話です。

荻田「こんなによくできた話はないよねって思って、(映画の)最後に「これは実話です」と出た時の不思議な説得力ったらないですよ。逆にいえばこれは実話なんだから、どれだけ中を膨らませても、ある種の説得力は保てます。嘘をつく話ですし(笑)。もちろん、ふざけすぎてもいけないけど、いかにこの事実を元にして、中身で楽しい嘘をつけるか、ですよね」

松岡「嘘は良くないけど、夢が見られる嘘ならいいですよね」

荻田「ええ、まさに夢が見られる嘘、しかもそれが最後に実話なんだ、ってなった時に、フランクとハンラティの騙し騙され、追いつ追われつの冒険も一緒にしたけど、最後に心の再生というものにちょっと立ち会える気に、お客さんがなるんです。そこがこの作品の素敵なところです」
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――最後に、少し作品から離れて。今、夢が見られる嘘、という話がありましたが、ご自身が経験した"幸せな嘘"のエピソードを教えてください。

松岡「嘘というか...身内だとしても犯罪かもしれませんが(笑)、時効がすぎてるので言います! まだ本当に子どもの頃、親父の財布から金を抜きとったんですよ。それが見たことのないお札で、それで友だち連れてデパートに行って、まずカブトムシの飼育セットを友だち4人に買ってあげた。そうしたら、4人分買ったのにお金が増えたんですよ!」

荻田「高額紙幣がくずれたんですね(笑)」

松岡「はい。盗んだものを早く使わなきゃヤバイと思ってお金を使ったら、どんどん増えちゃって。で、また使わなきゃ、ってボウリング場に行ったらさらに増えて、ラーメン屋に行ったらまたまた増えて。どうしようどうしようって、最後はゲーセンに行って、ようやく使いきった。楽しくなるかなと思って盗んだものに縛られて、すごいストレスを味わう事に。みんなに<幸せ>を分け与えたと思った、それだけが救いだったんですが。家に帰ったら、カブトムシを買ってあげた子のお母さんからうちのオカンにお礼の電話があって、全部バレて「お父さんとお母さんが100円稼ぐのにどれだけの苦労しているかわかるの!」と言われてすごい反省しました。まだ話は続き、なんとか詫びようと、翌日、ザリガニ釣りに行って、それを友だちに40匹くらい売り切ったんですよ。そうしたら2600円くらいになって。1万円にはならなかったけどって母に返したら、ばーんってどつかれました。そういうことじゃなーい!って(笑)。...ちょっとフランクっぽいですよね」

荻田「もう、運命なんじゃないですか(笑)」

福井「僕はですね、長い間『キャッツ』という作品に出ていたんですが、本当にたくさん出演していて、2500回くらい出ていて」

松岡「2500回もですか!」

福井「はい、『キャッツ』は僕の代表作と言ってもいいくらいになりました。で、この職業をやっていると、「ミュージカルを始めたきっかけは?」ってよく訊かれるじゃないですか。僕、初めて観た舞台は『キャッツ』なんです。姉に連れられて地元の北海道で劇場に観にいって、ものすごく衝撃をうけて、こんな世界があるんだと思ってこの世界に入ったんです。...いい話じゃないですか、その憧れていた作品の舞台に立っているという。...でもそれ、ホントは嘘で」

松岡「マジで!? いいんですか言っちゃって。2500回ですよ!」

福井「本当は違う劇団の某ミュージカルがきっかけで...(笑)。ビデオを繰り返し繰り返し見るほど大好きだったんです。...あ、でもその作品は映像で、実際に初めて"舞台"で観たのは『キャッツ』なんです!」

松岡「それ、面白すぎるエピソードですね」

福井「でもこの話をあるイベントでしたところ、皆さん「えー、信じてたのにー!!」ってなっていました。やっぱり嘘はつき通すのが、幸せですね(笑)」

荻田「僕は...嘘をつくのが仕事、"嘘を作る"のが仕事ですから、嘘つきですよ(笑)。子どもの頃から、しったかぶりとかもよくしてました。適当に生きてきました(笑)」

松岡「宝塚の演出家時代もですか!?」

荻田「それも適当に試験受けたら受かっちゃったの(笑)。でも、嘘をつくのが仕事だから、お客さんに見せる嘘はつくけど、仕事の現場では嘘はつかないようにしよう、一緒に嘘を作る人たちには嘘がないようにしようと思っています。でもその中でも"大丈夫だよ!"とか、多少の嘘はあるんですが、福井さんじゃないですが嘘をつき通す、その嘘を自分の中でのホントにかえていく、というのが僕にとっての幸せな嘘ですかね。よく言うことですが、どんな嘘でもボロがなければお客さんにとっては真実になるから。舞台を観ている間、裏でドタバタ衣裳替えしていようが、セットの後ろがベニヤだろうがお客さんの目から見て隙がなければ、真実になるので。いかに隙のない嘘をつくかということを、頑張りたいと思います」


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取材・文:平野祥恵(ぴあ) 撮影:源賀津己


【公演情報】
・6月21日(土)~7月13日(日)シアタークリエ(東京)
 一般発売:4/12(土)
・7月16日(水)愛知県芸術劇場 大ホール
 一般発売:4/19(土)
・7月18日(金)~20日(日)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ(大阪)
 一般発売:5/10(土)

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