ミュージカル『三銃士』(2011年)の三銃士役(アトス・アラミス・ポルトス)での共演をきっかけに、橋本さとし、石井一孝、岸祐二の3人が結成したユニット"Mon STARS"。
2018年2月20日(火)から22日(木)まで、Bunkamura オーチャードホールで開催されるコンサートを控える彼らに、お話を伺いました!
(写真左から石井一孝さん、橋本さとしさん、岸祐二さん)
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――コンサートと共にMon STARS初のミニアルバムがリリースされるそうですね。
石井 はい。コンサートではその収録曲6曲を全部やる予定です。
橋本 まずは「The Theme Of Mon STARS(モンスターズのテーマ)」。
岸 最初のコンサートの時に3人で詞を書いたオリジナル曲ですね。
石井 すごくテンポの速い、ハードロックな1曲です。
橋本 あとは僕のソロ曲で、『三銃士』(11年)から「クリスタルの天使」。
石井 これはアトス役でさとしさんが歌っていた曲で、とりわけ人気があるんですよ。最後にシの♭のロングトーンがあるんですが、男性からすると鳥のように高い声で! さとしさんはまさに超人技。鳥を越えています。
橋本 "ちょうじん"ってまさか"超人"じゃなくて"鳥人"ってこと?(笑)
石井・岸 ハハハハ!
橋本 確かにあそこは聴かせどころではありますけど、ぶっちゃけライブではどうなるかわかりません(苦笑)。
岸 いやいや、お客さんが入るとさらに伸びますよ。
――岸さん、石井さんのソロ曲はいかがですか?
石井 僕ら3人とも『ミス・サイゴン』の経験者なんですが、岸くんはそこから「ブイ・ドイ」を。しかもアレンジはちょっとロックっぽいような、また違ったアプローチをしているので、そこも楽しんでいただけると思います。
岸 はい、真っ向勝負しています!
橋本 ちなみにそれぞれのソロ曲に対しては、残りのふたりがコーラスを入れるというコンセプトがあるんです。でもカズ(=石井)に限っては......。
石井 僕の場合、過去2回のコンサートではとうとうコーラスをつけられない曲を選んでしまって...。
橋本 そもそもそういう曲を選んでいるんでしょ? コンセプトがん無視ですから(笑)。
岸 僕とさとしさんはただ後ろにいてくれればいい、みたいな(笑)。
石井 いやいや。で、今回アルバム用の自分のソロ曲をどうしようか考えた時、3人ともハードロックが大好きだし、洋楽のカバーはどうかなと。それで選んだのがQUEENの『The Show Must Go On』。
橋本 ハードロック好きの3人のわりに、今までそういう曲はやってきませんでしたからね。
岸 必ず本番前に聴くくらいすごくドラマチックですし、舞台人の僕らにはぴったりの曲で。
石井 僕が高校時代から尊敬しているフレディ・マーキュリーの曲を、こうしてMon STARSでかたちに出来るなんて! 感慨深いですね。
橋本 ぶっちゃけ、この曲もコーラスは「The Show Must Go On~♪」だけですけどね(笑)。
――(笑)。お三方そろってのナンバーはいかがですか?
石井 『レ・ミゼラブル』の「Bring Him Home」ですね。これは過去2回のコンサートでも歌っているんですが、ふたりのジャン・バルジャン(橋本・石井)とひとりのジャベール(岸)という、非常に濃い3人が紡ぎ出す慈愛の歌です。
橋本 『レ・ミゼラブル』という普遍的な超大作における、バルジャンの最も肝心な曲であり、僕らバルジャン経験者にとってはものすごく思い入れのある曲。いろんなミュージカルを経験させてもらっていますが、あれほど苦しんだ曲はありません!
岸 聴いているよりもずっと難しい曲ですよね。
橋本 あっ、バルジャンのニセモノは言わないで(笑)。
石井 いやいや(笑)、岸くんも東宝版以外では演じたことありますから。
岸 そうですよ。歌っている歴では一番長いかもしれないですし。
橋本 そうだね。岸の声もすごくぴったり。何より僕ら3人が心から敬愛している曲なので、お客さんにもちゃんとそれが伝わっているんじゃないかと思います。
石井 ただアプローチはそれぞれ違うから、ユニゾンで歌っても3つの声がはっきり違うんですよね。1+1+1が3になるのではなく、10くらいになるような。それこそMon STARSにしかできない1曲になっていると思います。
――では最後のナンバーは?
石井 新曲ですね。せっかくアルバムをつくるなら、ということでまず僕が曲を書きました。ミドルバラードなんですが、お客さんがペンライトを振ってくれるようなものを書きたくて。そこからリーダーと岸くんに詞のテーマと空気感、いくつかのキーワードを出してもらったんですが、ちょうどそのころ僕ら舞台が忙しくて、詞を作る作業が出来なかったんです。そこでお願いしたのが...。
橋本 恐れ多くも森雪之丞さん!
石井 雪之丞さんに最後のマジックをかけていただいて、いざ完成したタイトルは?
橋本・岸 「Lights and Shadows」!
橋本 "光と影"ですよね。僕ら悩みのないおじさんたちやなって思われがちですけど(笑)、いやいやちゃんと影もあるよと。
石井 岸くんだけ影が多いですけどね。
岸 そうそう、......ってバカ野郎!
橋本・石井 ハハハハ!
橋本 詞には僕らのイメージカラーであるレッド(橋本)、ブルー(石井)、イエロー(岸)の3色も入れてあって。
石井 岸くんの場合、影も黄色ですけどね。
岸 そうそうわりと明るい、......ってバカ野郎!
橋本・石井 ハハハハ!
岸 冗談はさておき、役者としての僕らと、お客さん含め愛する人たちとの関係を描いたような歌詞がすごく素敵な曲だと思います。
石井 うん。だからお客さん一人ひとりが、自分のことを歌っているって思ってくれるような曲になったんじゃないかと。あぁ、早く聴いていただきたい!
岸 あとちょっとエロいですよね(笑)。
石井 そう。リーダーは出そうと思わなくても出ちゃうんですけど(笑)。
橋本 そう、出ちゃうんですよー(笑)。
石井 僕もわりと出るんですけど、岸くんは...。
岸 僕は絞り出さないと!
石井 自分から言った!(笑)
橋本 まぁ自画自賛ではないですけど、名曲生まれたかなって感じですね。すごく聴きごたえのある曲に仕上がったと思いますし。
岸 本当にいい曲!
橋本 この曲がアルバムのコンセプトを決めたくらいで、アルバムのタイトルもそのまま「Lights and Shadows」に。
石井 いわゆるミュージカル俳優がソロで出すアルバムとも違う、僕たち3人にしかつくれないアルバムになったと思います。
橋本 僕らのロックへの、ミュージカルへの、すべての音楽へのリスペクトを集結したアルバムです。だから「ジャンルは何ですか?」と聞かれても、「Mon STARSです」としか答えようがないというか。
岸 いや、まさにそうですよ。今までに聴いたことのない1枚になったと思います。
――そんな自信作を引っさげてのコンサートですが、ゲストも小西遼生さん&壮一帆さん(20日)、井上芳雄さん(21日)、中川晃教さん(22日)と、非常に豪華な面々が集結しました。
橋本 ゲストのほうが僕らよりお客さんを呼べる人たちですからね。まぁ他力本願爆裂、みたいな(笑)。
石井 しかもみんな喜んで出てくれるのは本当にありがたい。
岸 せっかくなのでゲストの人たちが普段見せないような姿もお見せしたいですよね。例えばロックを歌う姿とか。
橋本 まずはゲストの人たちも楽しめることが絶対かな。で、僕らと一緒に楽しめること、僕らと一緒だから出来ることを見せられたらなと。
石井 ちなみに...、僕らMon STARSとStarS (※井上芳雄、浦井健治、山崎育三郎によるユニット)とはまったく、一切、関係ないですし、1ミリも、意識もしていませんからね!
橋本 伝わらないと思いますが、今カズは非常に大きな声で言いました(笑)。
石井 3メートルくらいしか意識はしていませんが、いつかStarSの3人をゲストにお迎えし、集客の9割を担っていただいて、武道館に行く。それが僕らMon STARSの大きな目標です!!
岸 声でかっ!(笑)
橋本 で、ゲストのほうがたくさん歌うライブね(笑)。
岸 じゃあ僕らは副音声で実況しましょうか。
石井 「健治、声出てるよねぇ」とか? めっちゃ楽しそう!
橋本・岸 ハハハハ!
取材・文:野上瑠美子
撮影:川野結李歌