「八月は若手の月」歌舞伎初心者にもオススメ! 『八月納涼歌舞伎』

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8月9日(水)に幕を開けた歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」。伝統芸能という重みから、腰が引けがちな歌舞伎だが、毎年八月の公演は『初めて歌舞伎を観る人や、若い世代にも親しみやすく、わかりやすい歌舞伎』を目指した歌舞伎座の夏の風物詩だ。より気軽に観劇できる3部制や、劇界の偉才らとの作品作りなど、毎年様々な挑戦をし、話題を呼んでいる同公演。今年も、坂東玉三郎が演出を手がける『刺青奇偶』や、大人気の弥次さん喜多さんシリーズの「歌舞伎座捕物帖」は観客のオーディエンスで結末が変わる試み、さらに野田秀樹演出で16年ぶりの上演で歌舞伎として生まれ変わる「野田版 桜の森の満開の下」と、見所がたくさん。
初日を前に歌舞伎座では囲み取材が行なわれ、中村扇雀、坂東彌十郎、市川染五郎、市川猿之助、中村勘九郎、市川中車が登壇し、それぞれ意気込みを語りました。

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中村扇雀
「恒例の八月納涼歌舞伎も、昨年から若手、そして今年は中車さんも加わり、人数も多く、盛りだくさんの演目となりました。一部から三部までありますが、どれも歌舞伎を観るのがはじめての人にも楽しんでもらえる演目となっています。私は三部にしか出ませんが、勘三郎兄さん(18代目中村勘三郎)と野田さん(野田秀樹)が始められた野田歌舞伎をこうやって続けられる。今回は副題に『演劇史上に輝く珠玉の名作がついに歌舞伎に!』ということで期待も大きいかと思いますが(笑)。野田さんの作品らしさが散りばめられており、難解な部分もありますが、観終わった後に、ああ素敵だったな、と思える作品になっておりますので、ぜひ歌舞伎座に足を運んでいただけたらと思います」

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坂東彌十郎
「私も何回目になりますか、納涼歌舞伎の常連にならせていただきました。舞台もそうですが、お客様も熱く、いい舞台を演じさせていただいております。扇雀さんもおっしゃったように、盛りだくさんの演目になっております。納涼歌舞伎立ち上げの頃からやっていた方たちがいなくなってしまいましたが、八月は若手の月、と言われておりましたので、まだまだ若手のつもりで、挑戦するつもりでがんばっていきたいと思っています。この暑い八月に、盛り上がった熱さの公演になると思いますのでぜひごらんになってください」

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市川染五郎
「歌舞伎座では12ヶ月それぞれ公演がありますが、納涼歌舞伎は毎月観てくださっているかたにも、違う歌舞伎座になるということを楽しみに観ていただければと思います。一部、二部、三部と出演しますが、一部は玉三郎(坂東玉三郎)さんの演出、二部は猿之助さんの演出、三部は野田さんの演出と、こんな贅沢な歌舞伎をいっぺんに味わえる。本当にへとへとです(笑)。二部では弥次喜多の展開をお客様に決めていただくという試みですので、歌舞伎としても、私としてもはじめての試みですので、こちらも本当に......ドキドキです。ですがその分興奮で楽しみですので、ぜひ足を運んでください」

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市川猿之助
「今回、猿之助・染五郎のコンビが最後になります。染五郎さんの名前が変わられますので。個人的には寂しいきもちと、この演目が最後でよかったな、という思いがあります。宙乗りでね、最後2人で飛んでいく、そういう思い出でバイバイできるのはよいなと。この期間中、染五郎さんとのコンビを存分に楽しみたいと思います」

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中村勘九郎
「本当に一部、二部、三部とも熱量が半端ないと思いますが、今回3作品通して美しい作品、というのが揃っていると思います。心の部分も含めて、美しい作品。ぜひその美しさも楽しみに、劇場に来ていただけたらと思います」

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市川中車
「今回はじめて納涼歌舞伎に出演させていただき、一部、二部に出演いたします。特に、『刺青奇偶』は昨年12月に七之助さんとご一緒したときに「納涼歌舞伎でやろうね」と約束していました。去年から約束していた演目を、その通り現実に八月に演じることができるので、初日を迎えるにあたり、身が引き締まる思いです。全力ではじめての納涼歌舞伎を務めたいと思っています」

また『野田版 桜の森の満開の下』について聞かれると、主役となる耳男を演じる勘九郎は「今回新しい歌舞伎座でやるということで気合が入っているし、すばらしい作品なのでお客様に感じてもらえるようにしなくてはいけないな、と思います」と語った。扇雀は、今年1月から3月まで上演されていた野田・MAP『足跡姫』にも出演していたこともあり、野田について「野田さんは本当に役者のやることに対して優しい」と話す。「野田さんは役者が0から作っていくのを楽しそうにみて、『それいいよ、OK』『それはだめ』と作り上げたものを非常に大切にしてくれる方。積極的にやっていかないと役者も野田さんの演出を楽しめませんが、それを何度も繰り返すと自分がいままでやったことのないようなキャラクターにもなれる。今回の『桜の森の満開の下』は夢の遊眠社でやっていたときと変え、歌舞伎用に七五調に書き直して、そうしたら遊眠社とは違う桜の満開があったと。観たお客様それぞれが違った気持ちで感想をお持ちになると思うので、それを楽しみにしてほしい」と、作品への思いを語った。


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勘九郎の長男・中村勘太郎が初めて舞踊を披露する他、染五郎の息子・松本金太郎、猿之助の息子・市川團子も八月納涼歌舞伎に出演。それぞれの役者たちの成長を見てきた扇雀は、「歌舞伎界ってすごいなぁ、と思うのは、彼らが幼稚園、小学生のときから知っていて、こうやって立派な歌舞伎役者になり、次の世代がすぐに出てくる。こうやって400年続いてきたんだなぁ、と思うと、歴史の歩みを目の当たりにしている気がします。ずっと花形でいたいなぁと思っているんですけど、歳聞いたら大変な年齢ですからね。本当にあっという間なんですよねぇ......(笑)」と語り、笑いを誘った。

歌舞伎を初めて観る人にこそオススメの400年続いてきた一大エンターテインメント『八月納涼歌舞伎』は、現在公演中。

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