2003年に始まった人気シリーズ『CLUB SEVEN』。その11作目となる最新作『CLUB SEVEN-ZERO-』は、脚本・構成・演出・振付・出演の玉野和紀さんが「『CLUB SEVEN』の原型を創り上げた」と話す、吉野圭吾さん、東山義久さん、西村直人さんという"レジェンドメンバー"が6年ぶりに集結! さらに香寿たつきさん、原田優一さん、蘭乃はなさんが出演します。
そこで、レジェンドメンバーに直撃!
今作について盛り上がった【その1】に続いて、『CLUB SEVEN』の思い出や、お互いの印象を語っていただきました!
――皆さんが『CLUB SEVEN』に出演してきて「こんな自分がいたんだ」と知った部分を教えてください。
西村:僕が長年やらせてもらっている"にゃんこ先生"なんですけど、こんなに続くと思っていなかったので(笑)。今はあれをやると、もう一人の自分が出てくる気がするんですよ。
――どういうことですか?
西村:いい例がピコ太郎さんなんですけど。ピコ太郎さんとそうじゃないときって全然別キャラじゃないですか、あの人。ピコ太郎さんのときはなんか可愛らしかったりとかするところを見てて「あれ、にゃんこ先生になってるときの自分と似てる...」って(笑)。いや、僕の方が先ですけどね!僕が先ですけど!!
吉野:(笑)。並んでできそうですよね、ピコ太郎と。
西村:コラボできる。
吉野:すごく合うと思う(笑)。
――吉野さんはどうですか?
吉野:僕、モノマネとか恥ずかしくてやってなかったんですよ、30代の頃。で、『CLUB SEVEN』で金八先生のモノマネをしたときに、何か自分が壊れた...。
全員:(大爆笑)
吉野:あそこから何でもできるようになった。自分がやっと打ち破られたというか。
玉野:いつやったんだっけ?
吉野:1stかな? ありがたいですね。
――他の作品にも影響したりしましたか?
吉野:はい。それがなければ今の自分がない...金八先生に出会わなければ!
全員:(笑)
――東山さんはどうですか?
東山:僕、2ndから参加させていただいたんですけど、そのときに玉野さんが「本当にこのメンバーでやりたかった、参加してくれてありがとう」って言ってくれて。じゃあさっそく振り付けいこうかってときにまず「蚊」だったんですよ(笑)。1stは公演が重なってて僕、観てなかったから何をするかわかってない。で、まず「蚊」をやる。蚊が不倫をするんですよ。
玉野:(笑)。
東山:もう初日からパニックですよ。かっこいいショーじゃなかったっけ?みたいな。蚊が不倫をする...でも不思議と「するかな!」って思って(笑)。
全員:(笑)
東山:それに僕、シアタークリエに初めて立ったのが『宝塚BOYS』(2010年)っていう作品で、自分にとってすごく神聖な場所だったんですよ。
吉野:(笑)けがれた?
東山:そこでまさか全身金の総タイツでソロダンスすると思わないじゃないですか。
玉野:嬉しそうにやってたよ?
東山:「俺、ふり幅でかいわ」って。ほんとありがとうございます!
玉野:(笑)。
東山:もうちょっとギアあげて、今回も新しい自分を出していきたいと思います!
――玉野さんご自身もプレイヤーとして、ありますか?
玉野:玉子(たまこ)もここまで続くと思わなかったけど(笑)。やんなきゃいけないようなことになって。
吉野:女装、好きですよね。
玉野:いやいやいやいや! 大っ嫌いだったんだからね!
東山:意外と脚がきれいだった。
玉野:昔はそういうので笑わすのがいやでいやで。みんな若い頃、突っ張ってるところあるじゃないですか。そんなのじゃなくて勝負したい、とかって。でも結局「それを通じて何を伝えるか」が一番大事で、伝えるための"手段"としてやってるんだと思ったときに、スパーンとなんでもできるようになった。元宝塚歌劇団の人たちも最初は宝塚歌劇団っぽいのをやるのを拒んだりしてたんですよね。でも「それは違う」って言ってね。それを使ってどうするか、だから。それも宝塚歌劇団が大好きでリスペクトしてるからこそのものであって。バカにしてることではなくてね。それを使ってどういう風に表現していくかっていうことを考えると、もう一個上にいけるかなと思って。そうやってみんなの意識も技術もすべて上がってきたからこそ、14年も続けられたのかなって思いますけどね。
――皆さんの、お互いに感じている魅力をおしえてください。
全員:(ざわつく)。
西村:悪口になっていかないかな?大丈夫かな?(笑)
――まずは西村さんの魅力を。
吉野:"ミスターCLUB SEVEN"ですからね。全公演に参加されて。
東山:玉野さんと直人さんがいなければ『CLUB SEVEN』はありえないですよ。
玉野:完璧に右腕です。直人がいないとできないと思ってます。
東山:僕らいなくてもできますからね。
吉野:僕らいなくても実際ここまできてる。
全員:(笑)
吉野:直人さんは僕の役者としての"ルール"の一つなんです。「絶対に役を捨てない」っていう。直人さんは例えばにゃんこ先生だと、舞台上でのすべてをにゃんこ先生のまま対応するんです。稽古場でもそうなんですけど。それを1stのときに思って。そこからは「この役作りをどうしよう」って考えてやっていくときは毎回直人さんのことを思い出すんですよ。
西村:そういうとき、電話してくれる?
全員:(笑)。
吉野:毎回思い出して、直人さんに負けないようにがんばろうって。
――では、吉野さんの魅力を。
西村:圭吾くんはほんとにね、努力が。その努力はしたことないなっていうくらい。
吉野:不器用だからですよ。
西村:先輩にはいたんです、こういう熱い人って。でも今はあんまりいないと思います。
玉野:いなくなったねえ。
西村:唯一じゃないかな、残ってるの、ってくらい熱いんですよ。
玉野:熱い男ですよね。
東山:僕の初舞台『Shocking Shopping』(1998年)の主演さんが圭吾さんだったんですよ。そこからいろんな面において憧れの人の一人。そのときは主演さんだったし再演でもう台詞も入ってはったし、踊りもやってはって、単純にすごい人だなあって思っていました。そしてそのあとすぐに圭吾さんのライブに出させていただいて。そこでこの職人気質を知りました。僕は最初に見たとき「かっこいい人やな。身長もあって踊れるし歌えるし芝居もできるし」って思ったんですけど、(実は)ここまで努力してたんだっていうところが。そこから『レ・ミゼラブル』で同じ役をやらせていただいたり、『宝塚BOYS』でも同じ役をやらせていただいたり、縁を感じる。ずっと追い続けている人なので、今回も嬉しいですね。
西村:ひとつエピソードで「玉野さん、この犬の家ちょっと大きすぎませんか? 僕、この犬の家はもっと小さいイメージですけど!」って(笑)、小さいの作り直したんですよ!
玉野:それ事後報告だった。「あれ? ちっちゃくなった?」って俺が言って、そしたら「え? 玉野さん知らないんですか?」って。直で舞台監督に発注しちゃったの。
吉野:通しちゃダメですよね?
玉野:一回聞いて?(笑)
西村:それくらい熱い。この小さいとこに大きい人間が入るのが面白いんだって言ってたよね。
吉野:でもルールは守りましょう(笑)。
――次は東山さんの魅力を。
西村:特にありません!
全員:(笑)。
吉野:でも人のことよく見てるよね。だからフォロー上手だし、自分でいくのも上手だし。一緒にコントやってるときに安心して投げかけられる。拾ってくれるから、なんでも投げちゃいます。
西村:でね、シビアに見てるんですよ、人のシーンを。
玉野:よく覚えてるしね。視野が広いですよ、本当に。「ここは取りずらいですよね」とかパッて一言。
西村:その辺は本人の人間力と同じ。一見アウトローな感じするじゃないですか。悪っぽい、やんちゃな感じ。
玉野:チャラい、チャラい。
西村:そのチャラい感じの中にちゃんとしたところが混ざってるんですよ。
玉野:だからモテるんだよなあ。
西村:この絶妙なバランスに多分、魅力があるんじゃないかなってね。
東山:(西村さん、吉野さんの)2人はすごくいい話だったのに、なんだろう。
全員:(笑)。
玉野:いやーかっこいいなあって!
東山:「チャラい、チャラい」って(笑)。
――では玉野さんの魅力は?
東山:玉野さんはよくおごってくれます。
4人:(笑)。
玉野:それはおごれってことでしょ?また。
東山:もちろん!
西村:地方公演に行くたびに、一番良いところをちゃんとリサーチしてくれてて。接待してくれるんですよ、我々を!
玉野:ああ...また出費が重なるってことか(笑)。
西村:玉野さんの魅力はもうやっぱりいつまでも子供なとこですね。玉野さんのおもちゃ箱をひっくり返して「これで遊ぼう!」「これもやりたい!」「これも!」っていう。自分の創りたいもの、遊びたいもので遊ぶ、上手な方だなと思いますね。まだまだ入ってるんじゃないですか、箱の中にいっぱい。
玉野:いやもうねえ、どうだろうねえ?わかんないねえ(笑)。でも逆にプレイヤーがやってくれて「あ!」って思うことはたくさんあるし、そしてまた増えるし。お互い様だと思いますけどね。
――皆さんからの提案を受けてのキャッチボールを。
玉野:そうです。「いいね!」って思ったら僕はOKだし。お客さんに何を伝えるかっていうとこだけ間違ってなければ。お芝居にしたって歌い方も踊り方もそうだけど、たくさんあるのでね、一人だけの頭の中で考えた事よりもいろんな人の意見を取り入れた方が厚みが増しますから。
東山:愛が深い方だから、すごく大事にしてくださる。「こうしたら絶対おもしろいんだ、ヨシはね」って言ってくれて。「絶対やらないですよ、そんなこと」って言っても、実際にやったら(お客さんが)ワッて、泣いてくれたりとか。すごいなって思います。そうやって勉強させてくれる。一人ひとりのことをよく見てくださって、考えてくださって、作ってるので。このスケッチは僕しかできない、圭吾さんしかできない、直人がさんしかできないっていうことをすごく考えられているというか。
玉野:ある意味、僕はお客さんなんでしょうね。ヨシのこういう観てみたいとか、圭吾のこういうのを観てみたいとか、直人のこういうの観てみたいとか思うとこから始まって、そこから投げかけてるので。でも膨らますのはみんなですよ。だからここまで残ってると思います。
――では最後に、公演の意気込みとお客様へのメッセージを。
西村:僕自身も楽しみでしかないですし、お客様にも存分に楽しんでいただきたいです。ただ目標として、今までやった作品もやるんですけど、初めて観に来るお客様が「おもしろかった」と言えるような目線で一生懸命作っていきたいと思います。ファンの人が喜んでくれるのももちろんですけど、そうじゃないお客様も「この人たち誰? 初めて観たけどすごく面白いわね」って。そこに原点があったと思うので。これを忘れないでいかなきゃいけないなと思ってます!
吉野:そう思います!
全員:(笑)
吉野:観てよかったって思ってもらえるものを必ず作りますので。初めての方もね、ちょっと勇気を出して観に来てもらえるといいんじゃないかと思います。とにかくやります!すごいの見せます!
東山:そう思います!
全員:(笑)
東山:『ZERO』ということなので、直人さんがおっしゃったように原点に立ち返って、僕達だけのショーを作りたいと思います。僕達7人が誇りを持って楽しく初日から千穐楽を迎えられる、日本を代表するエンタテインメントショーにしてみせます!
玉野:『CLUB SEVEN』は本当に一期一会という言葉が相応しい舞台。またこのメンバーでいつできるかわからないですしね。一期一会を大事にして、全部全力で本気で、この"ゼロ"から作り上げてきたメンバーと共に、今までで最高のものを作りたいと思います。ぜひ観に来てください!
『CLUB SEVEN-ZERO-』は5月26日(金)から28日(日)まで東京・シアター1010にてプレビュー公演、
その後、6月8日(木)から22日(木)まで東京・シアタークリエ、
6月3日(土)・4日(日)に大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、
6月23日(金)に愛知・刈谷市総合文化センターアイリスにて上演。
取材・文:中川實穗 写真:石阪大輔