■CLUB SEVEN 10th stage! 集中連載vol.3■
稽古場レポートをお届けしている『CLUB SEVEN 10th stage!』ですが、今回は脚本・構成から演出・振付・出演までこなす、玉野和紀さんのインタビューをお届けします。
「今回が集大成」という衝撃的な発言も...!
★ 玉野和紀 INTERVIEW ★
――『CLUB SEVEN』も10回目になりましたね。もう玉野さんのライフワークと言ってよいものになっているのではないでしょうか。
「そうですね、ライフワークになりました。もう、はじめてから12年です」
――ご自身で作品を作ったり、海外ミュージカルの演出等々もやられていますが、なぜこのショーを創ることにこだわってやっていらっしゃるのでしょう。
「やっぱり、最近の日本のエンタメシーンからショーがなくなってきはじめましたから、それを伝えたいというのがまずあります。僕たちが若い頃は色々なショーがありました。先入観なしにとにかく楽しく観られるものをなくしちゃいけないという気持ちが大きいです。1本のミュージカルで、ちゃんとストーリーがあって感動できるものと、ショーのように娯楽としてのエンターテインメントの舞台、両方やっていきたいなと思っているんです」
――そもそも『CLUB SEVEN』はなぜこのタイトルなんですか?
「最初は品川にある劇場<クラブeX>で作品を作ってくれないかと言われたのがきっかけ。あの劇場はふらっと立ち寄れて、お酒を飲みながら先入観なしに楽しめるショーがぴったりだと思ったんです。そのキャパをみて、男性5人、女性2人くらいがバランスいいなと。クラブeXで、7人で、クラブ活動のような熱さと半分劇団のような......『クラブセブン』、語呂がいいし意味があるようでないのもいいんじゃないかな、とこの名前がつきました。
そこから劇場も大きくなり、人数も増えましたが、男性7人が<クラブセブン>という体ですね(笑)。プラス女性で9人くらいでやっていますが。...ちょっとこじつけですかね(笑)」
――ふらっと観に来れる、先入観なしに楽しめるもの...ということでお客さまにとっては敷居が低い作品だと思いますが、やる側はすごく大変では?
「大変ですねえ! でも、僕たちが若い頃はふらっとお酒を飲みながらショーが観られるショーパブとかが数多くありましたので、僕らはそこで歌手の人たちのバックで踊ったり、時代劇を手伝ったり、立ち回りをしたりと色んなことをやらされた。今の若い子たちはそういう場がないじゃないですか。特にひとつのメディアで注目を集めてしまったら、「この人はこういうタイプね」と、ずっとそればかりしかやらせてもらえない。やる場がないんですよね。それがかわいそうで。僕たちがいい意味で色々なことをやらされた、それを若い子たちにも経験させたい。だから大枠としてショーが観られるものとしての『CLUB SEVEN』があり、その中に色々なものを詰め込む、という今の形が出来上がっています。
...でも『五十音順ヒットメドレー』が評判になって、これはやらなきゃ、となり、ほかにも<玉子・ニャン子シリーズ>やら<監督シリーズ>やら、ありがたいことに「待ってました!」となっている。今はそういうものをやっただけで終わってしまう状態になっていますね(笑)。でもずっと同じことも大事だなとも思っています。変わることも大事、変わらないことも大事。M-1(オープニング)のダンスの振付も12年変わっていないですからね! 逆に言えば当時から新しいことをやっていたなと自分でも思いますよ」
――その、「若い子たちに色々なことを経験させたい」という思いがあるというキャストですが、いつも本当に個性の光る、勢いのいい俳優さんがキャスティングされています。どういう基準で選んでいるのですか?
「本当に、息子・娘たちとやってるみたいな感じですからね(笑)。でもやっぱり吉野圭吾と東山義久というふたりの軸があります。そして僕がいて西村直人がいて。圭吾と義久、ふたりともが出られれば一番いいのですが、スケジュールもあり、なかなかそれは難しい。ですので、例えば圭吾が参加できるとなったらちょっとミュージカル寄りにするとか、あと圭吾はタンゴとかの"組みもの"も得意なので、そういうものが活きるように。一方で義久だったら今度はソロで踊らせてもいいし、リフトとかも得意なので踊り系を増やす。そういう目で考えて、今回ですと義久がいるから、どういうメンバーにしようか、というところから始まります。パートナーとして女性も踊れる人ひとりと、歌える人がひとり。男性も一緒に踊れる人間と、違う魅力がある人とでバランスをとって...と、キャスティングします。軸があって、みんなのいいところを出す。でもね、得意なものはひとつ・ふたつでいいんですよ。あとは違うことに挑戦させる。本番をやりながら、みんなも新境地を切り開いていく。それでまた若い子たちが育っていけばと思います。嬉しいことに、『CLUB SEVEN』からみんなプリンシパルになっていく。それくらい、この舞台を経験したら何も怖いものがないという感じじゃないでしょうか(笑)」
――話は変わりますが、皆さんが大好きな『五十音順ヒットメドレー』はどのように作られるのでしょうか。
「あれはねぇ、大変ですよ...! 今回は11月から取り掛かりました。まずは資料集めです。毎回何をまずやるかというと、"今何が流行っているのか"という情報収集から始まるんですよ。今年は何が流行ったか、次に何が流行るのか、今ヒットしてるものがなにかとか、人気ある芸人さんは誰か、話題になっているCMは何か...。その準備と同時に音集めです。で、音楽班が"あ"から始まる歌なら今こんなのがある、とピックアップしていきます。出来上がったのは1月の後半かな。今回は76曲です」
――そうなんです、50音と言っても50曲じゃないですものね。
「ふふふ。1音1曲じゃ収まらないですし、収めるとつまらなくなるので。このメドレーの良さって、ただの羅列じゃなくてストーリーがあることだと思うんですよね。流れの中に何を入れていくか、という。だから、ここでこういうちょっとした物語を作ろうと思ったら、「じゃあ"さ"で始まるケンカっぽい曲はないかな」とまたそこで探し始める。大変ですよ、めちゃくちゃ大変です(笑)。何もしない時でもいつも手帳を持って書き留めて、ネタをとにかく収集しています」
――寝ても覚めても『CLUB SEVEN』ですね。そんなこの『CLUB SEVEN』はこれからもずっと続けていくのでしょうか。
「でも今回がひとつの節目かなと思いますね。12年たちましたので、圭吾も義久も、同じ身体じゃなくなりますからね...(笑)。次の世代に、みたいな感じに少しずつなってきています。だから10thは節目。...本当は7thを目指していたんですよ。『CLUB SEVEN』と名付けたので、7年、7作を目指していた。でも7thでちょうど震災があって。僕らは稽古中だったのですが、まわりの舞台がどんどんクローズしていき、本当に開幕できるのか、やっていいのかという中、それでもやると決まって。震災後、東宝で開く演目としては『CLUB SEVEN』が初だったんですよ。でもそこで、お客さんが笑ってくれて、拍手してくれて、笑顔になってくれて。元気もらいました、震災後初めて笑いましたなんてお手紙もらったりして...。これは続けよう、と思い、それから一度やりたかった"男バージョン"で8th、9thをやり、もともとの形である女性も加わる形で今回10th。...だから今回は節目。こういうスタイルのものは、『CLUB SEVEN』という名前が残るかどうかは別として、続けていきたいとは思いますが、今回は間違いなく集大成です」
最後に、玉野さんのお話にもあった「クラブ活動のよう」という楽しそうなキャストの皆さんの姿をどうぞ!
取材・文・撮影:平野祥恵
【公演情報】
4月2日(木)~20日(月) シアタークリエ(東京)
4月23日(木) 福岡市民会館 大ホール
4月27日(月) 愛知県芸術劇場 大ホール
4月25日(土)・26日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ(大阪)
★東京公演【M1集合写真付ペアチケット】発売中★
・販売期間...4/13(月)23:59まで
・ペア券は2枚単位での販売。インターネット、店頭にて販売。電話での受付はなし。
おまけ★美女ふたりに目線もらいましたー!