★『ボンベイドリームス』げきぴあ連載INDEX★
◆ ヴィクラム役・加藤和樹インタビュー
◆ ラニ役・朝海ひかるインタビュー
◆ 制作発表レポート
◆ 稽古場レポート Part1
◆ 稽古場レポート Part2&浦井健治インタビュー
◆ 耳には音楽、胸には切なさ-『ボンベイドリームス』開幕!
年明け1・2月に、日本初上陸するミュージカル『ボンベイドリームス』。
作曲は『ムトゥ・踊るマハラジャ』『スラムドッグ$ミリオネア』などの音楽を手掛けた"インドのモーツァルト"、A.R.ラフマーン。
2002年にロンドンで初演された作品ですが、かのアンドリュー・ロイド=ウェバーがその楽曲に惚れこみ、プロデュースしたことでも有名です。
物語はインドのボンベイが舞台。
映画スターになることを夢見ているスラム街の青年・アカーシュが、ひょんなことから映画スターへの道を駆け上がっていくものの...というストーリー。
ボリウッドらしい歌と踊り満載の華やかさに加え、恋物語あり、さらにインドの階級差問題も描き出す盛りだくさんの内容です。
12月16日、都内にて本作の制作発表会見が行われました。
登壇者は浦井健治、すみれ、加藤和樹、朝海ひかる、川久保拓司、演出の荻田浩一の6名。
キャストの皆さんはきらびやかな衣裳を着けての華やかな会見となりました。
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会見はまずはダンスパフォーマンスから始まりました。
インドものらしく、ダンスも重要な要素になっています。
振付は原田薫と、今飛ぶ鳥を落とす勢いのダンスユニット梅棒!
そんな梅棒のユニークなパフォーマンス。
さらに女性ダンサー(碓井菜央、唐澤裕香)が加わります。
女性のダンスは波のような動きがいかにもインドっぽい!
そしてメインキャストの皆さま!
日本人でインド!?
とうっすら思っていた気持ちもぶっとぶ、エキゾチックで美しい皆さんのパフォーマンスです。
いやぁ、同じアジアですね。インド風扮装、日本キャストにしっくりきています。
それともキャストの皆さんが"濃い"せいでしょうか...?
主催者・梅田芸術劇場代表取締役の小川氏も「インドの音楽といえば最近では平井堅さんもやって話題になっていますが、今日の男性3人のメンバーは平井さんにも負けない濃い顔の方たち。そこも注目していただきたい」とコメントしていました(笑)。
演出を手掛けるのは繊細でありながらカラフル、そしてどこか毒気のある世界を得意とする演出家、荻田浩一。
「この作品はロンドンで作られた、インド人のスタッフによるインドミュージカルという不思議な作品。それを日本人スタッフ、キャストで作ります。美しい西洋絵皿に盛られた和風カレーみたいな感じで、味わい深くスパイシーな気持ちになっていただければと思います(笑)」とご挨拶。
続けて荻田さんが語った、登場人物の相関図を紹介しておきましょう。
「インドは私たち日本人が伺い知れない複雑な社会なのですが、その複雑なところを言ってもしょうがない部分もありますので...(表面の人物関係を説明します)。
浦井さん演じるアカーシュは下層階級、スラムに住んでいる青年です。その青年が、映画が大好きで、いつか自分も映画に出れるんじゃないかという夢を持っていたらほんとに出ちゃった。
そのきっかけになったのが、ひとつは幼なじみのスウィーティ。これは川久保さんが演じますが、台本的にはもはや彼ではなく彼女だと言及されています。彼女が朝海ひかるさん演じる大女優ラニも出席する美人コンテストを覗きに行こうといい、そこでアクシデントがおきたのがきっかけで目に留まり、アカーシュは映画スターへの道を歩むことになります。
彼をひっぱりあげたプロデューサーの娘がすみれさん演じるプリヤ。彼女は大プロデューサーの娘なのですが、自分自身も映画監督を目指している。おそらく知的な教育も受け、上流階層で、理想に燃えている美女。
その美女を射止めた弁護士が加藤さん演じるヴィクラムです。
そして浦井さんが活躍する作品にことごとく主演し、浦井さんをいびり倒すのが朝海さんです(笑)」
...ということです。
そんな出演者の皆さんのご挨拶。
主人公アカーシュ役・浦井健治。
「マサラ・ミュージカルというものが日本で初めて上演されますが、それは必然だと思っています。インド映画はすごく盛んであり、内容は絢爛豪華なものから心温まる静かな映画まで多様。そんな中でボリウッドを題材にしたミュージカルが日本で出来るのは素敵なことであり、恵まれていると思います。自分は(荻田さんが称する)和風のカレーの中の〈ジャガイモとかそこらへん〉になれれば(笑)。頑張りたいと思います」と意気込み。
また演じる役どころについては
「アカーシュは貧しいんですが、友人に恵まれていたり、家族愛に恵まれていたり、人間的には実は豊かな青年。それがだんだん、映画界の闇とか憎悪とかエゴに触れることで変わっていってしまう。でも変わらないもの、変わりたくなかったものに触れて成長していくのをちゃんと、このカンパニーのみんなからもらえるエネルギーで演じていけたらと思います」と語りました。
ヒロイン・プリヤ役は、すみれ。
「今回は日本で4度目のミュージカル挑戦なのですが、まだいろいろと皆さまに教えてもらい、学びながら、楽しくやりたい。その楽しさをお客さまにもパワーとしてお伝えできたらすごく嬉しいです」とご挨拶。
またプリヤについては
「女性で演出家になれるというのは、この2014年になってもまだそんなにない。それを叶えたいというプリヤの強さを表現したいし、そんな彼女の姿から、女性でも男性でも大きな夢を見てほしいと思いますし、ラブストーリーもありますので皆さまにも恋したいなと思ってほしいです」と話していました。
ちなみに浦井さんを筆頭に皆さんが自分をカレーの具材に例えて話していたので、囲み取材のタイミングですみれさんにも「自分はカレーの中の何?」という質問が。
すみれさん、「カレーだったら...パン?」と答え、その後起きた一瞬の空白に皆さんの頭の中に(それはカレーの具ではないのでは...)というツッコミがよぎったように見えました(笑)。
(そして朝海さんが「カレーパンになって、カレーの健ちゃんを包み込むってことだね!」とフォロー...。)
そして大女優・ラニ役の朝海ひかる。
「意外に大女優という肩書きのついた役はやったことがなくて、大女優ってどういうものかなと思い日々緊張しています。皆さまに楽しいきらびやかなショーをお届けできればと思います。(荻田さんの弁によると)浦井さんをいびり倒すことができる唯一の役。今までそういう役柄を演じたことがないのですごく新鮮ですが、わかりやすく、悪者になれるのかな?(笑) ...色々な人をいびれるのが今から楽しみです。でも最後には、女優としての信念を見せる場面もあり、その辺にとても共感しました」と話しました。
↓ 荻田さんに「浦井さんをいびり倒す役」と言われてVサインをする朝海さんです
加藤和樹が扮するのは、弁護士ヴィクラム。
「僕はもともと地黒でして、この作品、ついに来たなと思いました(笑)。見た目はこんなにきらびやかですが、弁護士です。こんな弁護士いるのかと思いますが、でもこの『ボンベイドリームス』の世界の中に入ると意外と地味だったりします。ですが皆さんに負けじと、僕はカレーのスパイスの〈隠し味のソース〉になれればいいなと思います」とのご挨拶でした。
加藤さんはヴィクラムについて、「アカーシュたちのスラム街を再開発しようと熱心に奔走するんですが、やっぱり浦井さんが仰ったように、その夢を目指していく中で、変わったもの、変わりたくなかった部分が見えてきます。それぞれがやっぱり信念に基いて動いているんですよね。だからヴィクラムも自分の信念に基いて、たとえばそれが悪いことであったとしても、気付かないでそのまま突っ走ってしまうのかもしれない。そういう彼のまっすぐさ、だからこその裏表をこの芝居で表現したいなと思います」と話しました。
そしてひときわ目を引くビジュアル、スウィーティ役の川久保拓司。
「見た目がなにぶん、メッセージ性が強いので、何を言ったらいいか...(笑)。世界で注目されているボリウッドの光と闇を描くミュージカル。僕もすごく楽しみですし、みんなと一緒に作り上げるミュージカルに今からワクワクしています」と期待を話します。
その麗しきビジュアルに、囲み取材で記者から「一体何の役なんでしょう」という質問も...。
「浦井君演じる役の親友なんですが、ベースで描かれるスラムを表現するという意味では重要。女性になりたい男性です。いわゆる下層階級の、押さえつけられて噴出しそうな、暴れ出しそうなパワーを表現できたらと思ってます。その溢れたパワーが、一方はスターになりたいという熱になり、一方はこういうちょっと違う世界にいっているんです。...役作りに関して言えば、昨日わき毛を剃りました!」とどこか吹っ切ったように力強く話し、場内を沸かせていました。
また、この日本では珍しい"マサラミュージカル"に、出演が決まった時の印象、感想を問われた皆さん。
「僕は実はこの作品のことを知らなかったのですが、向こうのアルバムをきいて、なんて素敵な楽曲が揃っているんだと思いました。ラブバラードあり、クラブシーンで使われるようなノリノリのものがあり、キャッチーなポップスもあって、でもどこかインド風味もあって...というのが印象的。ただこれを日本人が歌うとなると演歌になっちゃったら怖いぞ、と思いますので、それは注意しないとですね(笑)。これを梅田芸術劇場さんの10周年の記念の新年早々にお祭り騒ぎとしてやれるというのは、活気に溢れた企画。そこに自分が参加させていただけることはすごく光栄ですし、同時に『ウルルン滞在紀』でインドに行っておいてよかったなと思いました(笑)」(浦井)
「ルックス的に、インドのハーフと間違われたりもしていたので...見た目でのキャスティングだったのかなと思ったんですが(笑)。実際役どころを聞いたら、プリヤは強い女性で、演出家を目指していて、たぶん同い年くらいの女の子。意外と共通点がいっぱいあるんです。ちょっと両親との戦いがあったり、自分が学びたいこともあり、自分のいる文化の中で「なんでこうなるの」と理解できないところがあったりする。そういうところもすごく共感できましたし、音楽を聴いたりしても、すごくワクワクした。(お話がきて)めちゃくちゃ嬉しかったです」(すみれ)
「インドのミュージカルというものを日本では見たことがなかったですし、これはどうなるんだろうというワクワク感と、未知の体験ができるぞと思った。これを逃す手はないなとふたつ返事で受けさせていただきました」(朝海)
「僕は先ほども言いましたがついに来たぞと思いました(笑)。以前、小池修一郎先生に「和樹、お前はインド人みたいだな」と言われたことがあり、それを思い出して、このことだったのかと、自分なりに納得しました(笑)。でもやはりそれだけではなく、きらびやかな世界観と素晴らしい音楽に惹かれましたし、その中でヴィクラムという役の持っている信念に基いて一生懸命演じていきたいと思っています」(加藤)
「僕もラフマーンさんの知識がなくて、検索したら『スラムドッグ$ミリオネア』をやられてたと知って。僕、すごく好きな映画だったし、特に音楽がすごく好きだったので、その時点でぜひやらせてくださいとすぐに返事をしたのを覚えています。挑戦だらけの今回ですが、すごく楽しみです」(川久保)
と皆さん答えていました。
衣裳がキラキラで本当に綺麗で、しかもそれを美しく着こなす女性陣のスタイルの素晴らしさに目を奪われましたので、女性キャスト(?)の皆さんの全身ショットもどうぞ!
そして浦井さんはどうやらこのポーズがお気に入りのようでした(笑)。
そしてこちらは会見終了後の囲み取材の模様です。
まずマサラミュージカルとは何ぞやと問われ浦井さん、
「インドの映画も起承転結がはっきりしていて、豪華で、悪と善が明確! みたいな感じがありますが、マサラミュージカルは、そこにさらに音楽が加わります。もちろんインド映画自体もそう(音楽が入る)なんですが。やっぱり歌ありダンスあり、なんでもありのゴッチャ煮!という感じですかね」と解説。
ほかには一番の見どころは?という質問で、朝海さんが川久保さんを指し
朝海「ここじゃないですか、ツルツルすべすべの...」
すみれ「脇もツルツル!」
川久保「一番のみどころ、そこ!?」
というやりとりがあったりとか、
これから稽古が本格始動のためクリスマスも正月もないという皆さんの会話から、
記者「すみれさん、お父さんには何かあげたりしますか?」
すみれ「そうですね、何か...考えておきます(笑)」
記者「でもプレゼントを入れる靴下がないような気が...!」
というやりとりに皆さんが爆笑したり(ちなみにコレに対するすみれさんの返しは「じゃあそれ(靴下)を買ってあげます!」でした)。
なんとも和気藹々なキャストの空気感だったのでした。
最後に浦井さんが
「新年に相応しい『ボンベイドリームス』、ノリノリで、お客さんが元気を持ち帰っていただけるエネルギーを全力で放出したいと思います。ぜひ劇場に踊りに、楽しみにきていただけたらと思います。お待ちしております!」とご挨拶し、終了。
楽しいお祭り騒ぎが新春早々に繰り広げられそうです!
【公演情報】
1月31日(土)~2月8日(日) 東京国際フォーラム ホールC(東京)
2月14日(土)・15日(日) 梅田芸術劇場 メインホール(大阪)
【『ボンベイドリームス』バックナンバー】
#1 加藤和樹インタビュー
#2 朝海ひかるインタビュー