耳には音楽、胸には切なさ――。『ボンベイドリームス』開幕!

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◆ 開幕レポート ◆

浦井健治が主演するミュージカル『ボンベイドリームス』が1月31日、東京国際フォーラム ホールCにて開幕した。舞台をインド・ボンベイに置き、『ムトゥ・踊るマハラジャ』『スラムドッグ$ミリオネア』などの音楽を手掛けたインドのモーツァルトA.R.ラフマーンが作曲を担当した本作は"マサラミュージカル"と銘打たれている。そのキャッチコピーのとおりインド感満載の作品ながら、観劇前に抱いていたイメージをいい意味で大きく裏切った、心に染みる作品になっている。
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主人公アカーシュはボリウッドの映画スターを夢見るスラム育ちの青年。彼は幼なじみのスウィーティに連れていかれた美女コンテストがきっかけで、映画スターへの道を掴む。そこで映画監督志望の美女プリヤに恋に落ちるも、彼女には敏腕弁護士の婚約者がいた。その弁護士ヴィクラムは、アカーシュが生まれ育ったスラム街の再開発に関わっている。スラムを追い出されることになる住人たちだが、彼らにはなすすべもない。そんな中、スラム出身との噂が立ったアカーシュは自らその噂を否定する......。
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観劇前に抱いていたイメージとはつまり、多少のご都合主義はなんのその、ドラマチックな物語に、派手に歌い踊り大団円に向かってまっしぐら...といういわゆるマサラ映画的なものだ(もちろんインド映画も多種多様なのは承知しているが)。だが本作で描かれるのは、ひとりの青年の自己肯定の物語、かつ、純粋でロマンチックなラブストーリー。誰しもが共感できるに違いない、シンプルで切ない物語だ。登場人物それぞれがしっかりと自分なりの信念を抱き、それゆえにすれ違う悲劇も含め、人間関係が丁寧に描かれ、見応えのあるミュージカルになった。
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とはいえ、インド音楽特有のリフレインの多いメロディや独特の節回しなどは中毒性が高く、観劇後もずっと耳に残るし、キラーチューン『Shakalaka Baby』などの華やかでハジケたダンスシーンはやはり楽しい。宝塚歌劇団出身の演出家・荻田浩一の独特の美学に彩られ、虚構=ボリウッド(映画)の世界はきらびやかに、そしてリアル=スラムやインドの格差社会はシビアにシリアスに...と、その行き来も面白く、めくるめく効果を生み出した。


またキャスト陣も魅力的だ。なんといってもアカーシュ役の浦井健治がいい。ミュージカル界のプリンス・浦井にとってはスター役はお手のものかもしれないが、それでもマッチョ系のセクシースター役もこなせる彼の演技の幅に改めて驚かされる。さらに一瞬でスターへの切符をもぎとったアカーシュの"きらめき"を持ち前の朗らかさで違和感なく演じるとともに、切ない思いを繊細な歌声で聴かせる『The Journey Home』は劇場の空気を清浄にするかのような透明感があった。
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ヒロイン・プリヤのすみれは、天性の美しさがまず目を引くとともに『Happy Endings』のいかにもインド音楽らしい節回しを美しく聴かせていたし、加藤和樹は自らの正義を信じ悪に手を染めてしまう弁護士ヴィクラム役を鬼気迫る演技で魅せた。ラニ役の朝海ひかるの、いかにもな大女優っぷりなコミカルな演技と華やかなダンスはハマリ役だと思えたし、さらにヒジュラであるスウィーティ役・川久保拓司の可愛らしさと切なさはこの物語の深いテーマをしっかりと体現していた。
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作中でプリヤは安易なハッピーエンドの映画ばかり作る父親に反発をするものの、自ら手掛けた問題提起を織り込んだ映画は「主張ばっかり」「堅苦しい」と大不評を得る。その例でいえば、ロマンチックな部分と、問題提起とをうまく融合させたのが『ボンベイドリームス』。耳には音楽が、胸には切なさが、しばらく残っていそうだ。
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【公演情報】
1月31日(土)~2月8日(日) 東京国際フォーラム ホールC(東京)
2月14日(土)・15日(日) 梅田芸術劇場 メインホール(大阪)

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