『ムトゥ・踊るマハラジャ』『スラムドッグ$ミリオネア』などの音楽を手掛けた"インドのモーツァルト"、A.R.ラフマーンが作曲をしたミュージカル『ボンベイドリームス』。インドの映画界"ボリウッド"を舞台に、若者の成長と恋を社会に巣食う貧困格差なども交えて描き出す、歌ありダンスありの賑やかな作品だ。この舞台に、歌手として俳優として乗りに乗っている加藤和樹の出演が決定。意気込みを訊いた。
初演は2002年ウェストエンド。その楽曲に惚れ込んだ現代ミュージカル界の巨匠、アンドリュー・ロイド=ウェバーがプロデュースをしたことでも話題を集めた。加藤も「単純に音楽がすごくイイ! 僕、踊れないんですが、思わず踊りたくなります(笑)」と、まずその楽曲のインパクトを語る。「それに、女性はセクシーでエキゾチック、男性はマッチョでカッコよく...。"心踊る"とはまさにこのこと、と思いました。独特の色気と雰囲気がある作品ですよ」。
その加藤が演じるのは、弁護士ヴィクラム。ボリウッドスターを夢見る主人公アカーシュ(浦井健治)が思いを寄せる女性プリヤ(すみれ)の婚約者、ということで、敵役的な役どころになるが、「ヴィクラム自身は、プリヤのことを思ってだったり、信念を持って、より良い未来のために動き回ってるんです。だから単純な勧善懲悪ではないんですよ。何が正しくて何が悪なのかというのは人によって違う。でも本当に大事なものって、ココ(と言って胸を叩く)じゃない? ということが描かれている。メッセージ性もあり、ただ面白いだけじゃない作品になっています」と見どころを話した。
この日の取材現場にはポスター撮影用の扮装で登場した加藤。宝塚スターもかくや、という麗しくきらびやかなビジュアルで、今まで演じた役柄ともまたひと味違う彼が堪能できそうだが、自らも「キラキラしてますよね」と照れ笑い。また彼の日本人離れした彫りの深さはインド人役もすんなりなじみそうだが、「この濃さで良かった! それにようやくこの地黒が活かせる役がきました(笑)。今まであまり焼けちゃダメだとか、健康的に見えてはダメとか、そういう役柄が多かったので...」とおどけてみせつつも、「おそらくインドで弁護士といったら相当裕福な人。一発で"ザ・金持ち"ってわかるようにしたい」と早くも役どころについて冷静な分析もしている様子だった。
「エンターテインメントの要素がほとんど詰め込まれている作品です。予備知識がなくても大丈夫。映画を観る感覚で劇場に来ていただければ。帰り道には劇中歌を口ずさんでいると思います。ぜひワクワクして待っていてください」と加藤。ほかに出演は浦井健治、すみれ、朝海ひかる等。公演は2015年1月31日(土)から2月8日(日)にかけて東京国際フォーラム ホールCにて、その後2月14日(土)・15日(日)に大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて上演される。チケットぴあでは10月14日(火)11:00まで、インターネット先行抽選販売「プレリザーブ」を受付中。
撮影:井出絵里奈