日本初演から30周年を迎える今年、『ラ・カージュ・オ・フォール』が帰ってきます!!
舞台は南仏サントロぺ。
ゲイクラブ「ラ・カージュ・オ・フォール」のオーナーのジョルジュと、看板スターの"ザザ"ことアルバンのゲイカップルを中心に、彼らと彼らを取巻く人々の愛情が優しい目線で描かれた物語です。
クラブ「ラ・カージュ」の華やかなショーシーンも見どころ!
1983年にブロードウェイで開幕した本作、日本では1985年に初演。
1993年から市村正親がアルバンを務め、さらに2008年からはジョルジュ役に鹿賀丈史を迎えて上演を重ねています。
市村・鹿賀という、日本ミュージカル界の二大巨頭であり、公私共にでも盟友であるこのコンビでの『ラ・カージュ~』は史上最高・最強との評判。
今年のふたりはどんな愛を紡ぎ出してくれるのでしょうか...。
1月末の某日、この稽古場を取材してきました。
この日は、それまで「稽古場ピアノ」で稽古を重ねてきたキャストが実際にオーケストラと音を合わせる"オケ合わせ"の日。
稽古場にはオーケストラが入り、スペースが...「狭っ」という感じになります。
俳優たちが演技する舞台エリアとスタッフたちのいるスペースの間にオケが入るため、演出台がとっても高いところに設えていました。
こちらは演出の山田和也さん。
そしてみんなの人気者・指揮&音楽監督の塩田明弘さん。
塩田さんの指揮は、周りをパァっと明るくしますね!
オーケストラがオーバーチュアを奏で出したとたん、市村さんもノリノリで指揮棒を振るアクションで...。
冒頭はクラブ「ラ・カージュ・オ・フォール」のショーシーン。
「ラ・カージュ」はゲイクラブですので...。
当然、カジェルと呼ばれる踊り子たちは、男性たち。
宝塚歌劇で観られるようなロケットダンスやらフレンチカンカンやらを、男性キャストたちが麗しくも力強く踊ります。
大迫力!!
カジェルのひとり、"金ののどぼとけ"の持ち主シャンタルは新納慎也さん。
新納さん、ダンスはもちろん、すばらしいソプラノボイスも必聴です!
そして初演(30年前!)からカジェルとして出演している真島茂樹さんはムチを手に踊る"ハンブルグのハンナ"。
さすが30年の年季!? ムチを鳴らす音も鋭く決まっていました。
いや、ムチの音って音響で鳴らすことも多いですよね? 生音、すごい。
冒頭から一気に、楽しくも妖しい『ラ・カージュ~』の世界に引き込まれる、素敵なオープニングです。
そしてしょっぱなから踊りまくるカジェルの皆さんはすでに汗だく。
シーンを終えた真島さんも「朝から大あばれ!」と仰っていました(笑)。
さてさて、市村さん扮するアルバンは、クラブの看板スター。
なのですが、うかない顔。
自分に老いを感じ、気分もふさぎがち。
それでも化粧をし、美しい衣裳を纏い、最後にマスカラをつけると、スター"ザザ"になり、大きな拍手を浴びるステージへと出ていくのです...。
そんな華やかさの裏の物悲しさが、人生の悲喜こもごもとして映し出されていくのも、この作品の特徴。
そんなアルバンと夫・ジョルジュ=鹿賀さんは20年連れ添った中。
そしてちょっと倦怠期でもあります。
倦怠期なんですが、市村アルバンと鹿賀ジョルジュ、やっぱり愛し合ってるのが伝わるんですよね。
拗ねて膨れる市村アルバンに、それをいなす鹿賀ジョルジュの図が...可愛い!
そのジョルジュには愛する息子ジャン・ミシェルがいます。
ジャン・ミシェルは今回初参加の相葉裕樹さん。
ジャン・ミシェルを母親代わりに育てたのはもちろんジョルジュの「妻」であるアルバンなのですが...。
ジャン・ミシェルが保守的なダンドン議員の娘であるアンヌと結婚する、と言い出したことから、大騒動が巻き起こります。
アンヌの両親がジャン・ミシェルの両親に会いたいと言ってきたことで、彼は"普通の"家族を相手の両親にみせたい、だから20年会っていない実の母親を呼んでくれとジョルジュに頼んだのです。
それはアルバンにとっては屈辱的なことなのですが...。
アンヌ役は愛原実花さん。
相葉さんと愛原さんのカップル、健やかな伸びやかさも見ていて気持ちがいいです!
稽古場レポート、Part2に続きますが、そんな相葉さんに少しお話を伺ってきましたのでご紹介。
相葉裕樹 INTERVIEW
――相葉さんは『ラ・カージュ~』初参加ですね。もうお稽古も後半ですが、現在のお気持ちは?
「カンパニーの皆さんの『ラ・カージュ~』に対する愛の強さがすごいなと感じています。それに僕も追いついて巻き込まれて、どんどん『ラ・カージュ~』の世界に入っていきたい。皆さんの愛に囲まれて稽古が出来ていることがすごく幸せなことだなと思っています」
――この作品、相葉さんはどこに魅力を感じていますか
「クラブ『ラ・カージュ』のショーも、お客さんとして見ても楽しめる要素だと思いますし、ストーリーも、ありとあらゆるところに絆や愛といったものが散りばめられていて、最終的にハッピーエンドで終わる王道のミュージカル。すごく観る人を幸せに出来る作品だというところが一番なんじゃないでしょうか」
――そして相葉さん扮するジャン・ミッシェルのお父さんとお母さんは市村さんと鹿賀さんです。
「やっぱりおふたりには僕らが感じられないくらいの絆があるんだろうなと思いますし、そこには長年の...おふたりだけにしかわからないこともあるのだろうと思います。それに僕が生まれる前から第一線で活躍されていた方たち。そういう方とお芝居する機会はなかなかないこと。"普通じゃない"ことを今僕は経験しているんだと思います。本当にいい機会といいますか、とても勉強になります。...まだおふたりの前だと緊張しますね、まぁはじめの頃に比べるとずいぶん良くなってきてますが。でも市村さんはよく「いいよ、大丈夫だよ、全然大丈夫!」って声をかけてくださいます。初日の幕を開けるまで不安なことはたくさんあるのですが、開けてしまえば...なんとかやれるんじゃないかな(笑)、僕も楽しみたいと思います!」
こちらは塩田さんと音楽的な打ち合わせをしている市村さんと鹿賀さん。
なんども繰り返している作品ですが、それでも「やっぱりこうしてみよう」というような変更はあるようで、作品ってどんどん成長しているんだなあと思いました。
稽古場レポート、続きます!
【公演情報】
2/6(金)~28(土) 日生劇場(東京)
3/6(金)~8(日) 梅田芸術劇場メインホール(大阪)