30-DELUXと劇団朱雀がコラボレートする舞台『オレノカタワレ~早天の章~』。
顔合わせに続き、稽古場の模様をレポートします。
【バックナンバー】
顔合わせに続いて行われたのは、「本読み」稽古。
座った状態で、セリフを読み合わせていきます。
●STORY●
「結局ここに舞い戻ってきました...」
誰もいない劇場で『劇団時座』の最後の幕が上がる。
一人舞台に立つのは、三代目座長、時枝三四郎。
彼の人生の全てであった《カタワレ》風祭ジョーとの半生を語りだす...。
劇団時座は、三四郎の父一二郎、叔父の二々郎とで旗揚げされた大衆劇団。
座長の息子として、将来を期待されていた三四郎だったが、
自分に自信を持てない彼は、芝居に対しあと一歩踏み出せないでいた。
そんな時、問題児ではあるが、芝居の腕はピカ一の風祭ジョーが入ってくる。
彼はすぐさま、頭角を現していく。
そして、事あるごとに三四郎を焚きつけた。
いつしか三四郎は劇団時座を背負って立つ役者へと成長していく。
二人の若き才能がぶつかり、劇団時座は、その人気を不動のものとしていくかにみえたのだが...。
(オフィシャルサイトより)
この作品、眼目は主人公である時枝三四郎と風祭ジョーを、劇団朱雀の早乙女友貴と30-DELUXの天野博一がWキャストで演じることですが、この日は
三四郎=早乙女友貴
ジョー=天野博一
で稽古が行われました。
物語は、大衆劇団「劇団時座」が舞台。
原因不明の火事により、廃墟と化した時座の劇場。
ミステリアスな導入に、ググっと物語へ入り込んでしまいます。
30-DELUXの主宰・清水順二さんは「時座」を旗揚げした座長、時枝一二郎役。
軽妙な役どころの多い清水さん、今回もそんな顔はありつつも、どっしりと構える"座長"らしい屋台骨の貫禄。
そしてその分、飄々とした軽妙さを引き受けているのが、劇団朱雀の葵陽之介座長!
一二郎の弟、時枝二々郎役。
本読みの段階ですでに立て板に水、なめらかで軽快なセリフ回しに聞き惚れます。
三四郎にとっては叔父さんにあたりますが、放蕩息子ならぬ放蕩親父っぷりが楽しいです!
さて、両座長の迫力に圧倒されてしまいそうになった稽古場初盤ですが、
お待たせしました時枝三四郎役、早乙女友貴さん。
友貴さんのセリフ回しからは、ひと言ひと言を大切にしようとする意思が伝わってきました。
三四郎は一二郎の息子、つまり時座の座長の息子という立場なのですが、どちらかというと悩み多き人。
友貴さんの真面目そうな横顔に似合いそうです。
二々郎叔父の強引なあれやこれやに引っ掻き回されて浮かべる苦笑、なんてのも、雰囲気が合っていて...期待大!
そして、そんな時座にやってきて看板俳優となる風祭ジョー=天野博一さん。
三四郎が秀才肌だとしたら、ジョーは天才肌。
天野さん、長台詞も緩急巧みに聞かせていきます。
三四郎の母・時枝美鈴役は鈴花奈々さん。
なんだか「時座」と「朱雀」、オーバーラップするところもありそうです。
そして美鈴は、人間には誰にも"カタワレ"がいる、そしてもう一方の"カタワレ"を探して生きている...という、物語の芯の部分を三四郎に諭す役割でもあります。
30-DELUXの森大さんは、劇団員・小津役。
森さんといえばキレのあるアクション!
この日は立ち回りの部分も口で言っていましたが、早く動く姿を見たいですね!
佐藤美貴さんは女優でありプロデューサー・印南風子役。
ジョーの才能に目を付け、時座から引き抜くのですが...。
そして早乙女太一さんは、謎のバーテンから他劇団の座長等々、数役を。
太一さんのパブリックイメージとは少し違うユニークな横顔も見られる、かも!
全編通した後、演出の伊勢直弘さんからは「もっとテンポアップして、ラストシーンに向けて熱量を上げていきましょう!」と総括。
30-DELUXらしい笑いをとるシーンもきっちりバッチリやっていたこの日の本読み稽古。
劇中劇もあり、見どころもたくさん。
さらに三四郎&ジョーの役替わりもどうなるのかも気になるところ...。
そして、稽古初期段階とは思えぬ、腹の底に来るような迫力のセリフの応酬でした。
『オレノカタワレ』、12月の開幕をお楽しみに!
劇団朱雀のお三方その1
劇団朱雀のお三方その2
【公演情報】
12月10日(水)~14日(日) シアターサンモール(東京)
1月22日(木)~25日(日) ABCホール(大阪)
1月31日(土)~2月1日(日) 名鉄ホール(愛知)