2020年2月アーカイブ

チケット情報はこちら

2020年3月、4月に東京と大阪で上演されるミュージカル『アナスタシア』。

今回は、2017年に開幕したブロードウェイ版から参加されている、オリジナル振付家のペギー・ヒッキーさんにお話を聞きました。

083げきぴあ.jpg

ペギーさんはブロードウェイの『紳士のための愛と殺人の手引き』や、リンカーン・センターの『マイ・フェア・レディ』なども手がけられており、現在は本作の稽古のため、アメリカから来日されています。


――世界各国で上演を重ねる『アナスタシア』が、ついに日本初演を迎えます。まず日本での上演が決定した時の心境を聞かせてください。
「とても興奮しましたし、楽しみにしていました! 実は私、もう何年も前のことですけれど、日本に住んでいたことがあるんです。那須塩原でダンサーの仕事をしていて。当時から日本のことは大好きでしたし、帰国してしまうのがとても寂しかったくらい。そして今、この『アナスタシア』で30年ぶりに日本に帰って来ることが出来て、とても嬉しいです」
――本稽古開始から約1週間とのことですが、その手応え、感触のほどはいかがですか?
「とても順調です。すでに1幕の振付は終わって、明日にはもう1幕を通す予定です。日本のキャストは皆さん、才能豊かな、気持ちのいい方ばかりですから。美しい主演のおふたり、(葵)わかなさんも(木下)晴香さんも本当に素晴らしいですし、ディミトリ(=海宝直人、相葉裕樹、内海啓貴)は素敵で、ヴラド(=大澄賢也、石川禅)はもう言わずもがな、ね(笑)」

069げきぴあ.jpg

――本作の振付を一からつくり上げられたペギーさんですが、その中で特に大事にされてきたのはどんなことですか?

「ダンスを通して物語を伝える、ということを一番大事にしてきました。この作品はまずロシアから始まり、ロマノフ家の宮廷の人々が登場します。そこで年配の方々は当時のロシアの踊りをしますが、若い人たちはワルツを踊ります。さらに2幕に入って舞台がパリに移ると、ダンスもジャジーなものに変化し、さらに後半にはロシアの伝統的なバレエである、『白鳥の湖』を踊るシーンもあります。そのためダンサーたちはそれぞれの時代に合った、さまざまなスタイルのダンスを踊れるようにならなければいけません。それは非常に大変なことだと思います」
――日本のダンサー陣にとっても、かつてない高い壁になりそうですね。
「いや、そこはぜひ楽しみにしていただきたいと思います。皆さん本当に素晴らしいですから! 特にバレエは、これまで世界各国で上演してきた『アナスタシア』ですが、私は今回がベストだと思っています。バレリーナの(渡久地)真理子さんは、まるで浮くように、流れるように動きます。私は彼女が踊るのを見るだけで泣きそうになるくらいです。さらに彼女のパートナー役のTAKKさん(=大柴拓磨)も素晴らしい、たくましいダンサーですし、(西岡)憲吾さんはまるでガゼルのように跳びます(笑)。本当に信じられないくらい高く跳ねるんですよ! だから私は今、とてもハッピーです!この口ぶりからも伝わっていると思いますけど(笑)。Yeah!」

067げきぴあ.jpg

――ミュージカル作品で、それほど本格的なバレエを観られる機会もそうありませんね。
「あのレベルのものがミュージカルで観られるというのは、きっと観客の皆さんも驚かれると思います。それはブロードウェイでもそうでしたから」

――本国のクリエイティブスタッフに、日本のキャスト、スタッフが加わったことで、またどんな新しい『アナスタシア』が生まれていきそうですか?

「とても強固なチームが組めていると思います。だからブロードウェイクラスのもの、もしくはそれ以上のものが出来るかもしれません。美術、映像、衣裳、照明、すべて完璧ですし、またキャストのことを私たちは"ユニコーン"と呼ぶんですよ。なぜなら彼ら、彼女らのやることは、まるで魔法のようですから。あんなに踊れて、歌って、さらには芝居まで出来るなんて。本当に素晴らしいと思います」

070げきぴあ.jpg

――この美しく、感動的な舞台は、日本のお客さまにもさまざまなものを届けてくれそうですね。
「ええ。『Home Love Family』という歌詞もあるように、この作品は自分の家族、そして愛を見つける旅のお話です。きっと誰もが共感出来るものであり、そしてお客さまも一緒に家族を見つけたような気分になるのではないかと思います。どこか知っている場所に戻って来たような懐かしさを感じてもらえたら...。カラフルで、ユーモアもあり、とても心のこもった、どんな世代の方にも楽しんでいただけるミュージカルです。ぜひ劇場に足を運んでいただけたらと思います」

取材・文:野上瑠美子

撮影:源賀津己

 

**************************

ana_sendenげきぴあ.jpg

【公演情報】
3月1日(日)~28日(土) 東急シアターオーブ(東京)
4月6日(月)~18日(土) 梅田芸術劇場メインホール(大阪)

【東京公演】
■スペシャルカーテンコール
日本初演開幕記念スペシャルカーテンコールを行います!
対象公演
3/1(日) 17:30
3/2(月) 18:15
3/3(火) 18:15

■終演後アフタートークショー
対象公演
・3/5(木) 13:30 葵わかな×木下晴香
・3/6(金) 13:30 木下晴香×海宝直人×石川禅
・3/9(月) 13:30 宝塚トーク(麻実れい×朝海ひかる)
・3/19(木) 13:30 葵わかな×相葉裕樹×大澄賢也

【大阪公演】
■ウィークデーナイトキャンペーン
対象公演
4/6(月)18:00 大阪公演初日カーテンコール
4/8(水)18:00 ご来場者全員プレゼント
4/15(水)18:00 ご来場者全員プレゼント
4/17(金)18:00 スペシャル抽選会

■終演後アフタートークショー
対象公演
・4/8(水) 18:00 大澄賢也×朝海ひかる
・4/15(水) 18:00 相葉裕樹×内海啓貴×石川禅

※登壇者は急遽変更になる場合もございます。予めご了承ください。

チケット情報はこちら

チケット情報はこちら

2月14日にスタートしたダブルヘッダー特別公演『おおきく振りかぶって』『おおきく振りかぶって 秋の大会編』。開幕初日を約1ヵ月後に控えた稽古場を訪問。ダンスと芝居の精度を上げるべく、キャストと脚本・演出の成井豊が一丸となって試行錯誤する"熱い"現場に遭遇した。

DSC08711.JPG

ひぐちアサの野球マンガ『おおきく振りかぶって』を舞台化する本シリーズ。"ダブルヘッダー特別公演"を謳う今回は、2018年2月に上演された第1弾『おおきく振りかぶって』の再演版と、第3弾となる新作『おおきく振りかぶって 秋の大会編』の2作品が現在、同時上演されている。

稽古は新作のダンスシーンから。TVアニメ版『夏の大会編』のオープニングを飾った主題歌・Galileo Galilei「夏空」に乗せ、前々日に覚えたばかりの振付をキャスト全員で合わせてみる。主人公の西浦高校ピッチャー・三橋廉を演じる西銘駿は、キレのある動きで共演者を圧倒。長年、仮面ライダーゴーストを演じてきた高い身体能力と抜群の体幹を活かし、歌詞を口ずさみつつ笑顔も覗かせる余裕を見せていた。

DSC08595.JPG

本作から"おお振り"初参戦となる武蔵野第一高校ピッチャー・榛名元希に扮する神永圭佑は、空き時間にアンダースタディの矢野聖と自主的に振付を確認。初演の挿入曲として作品を彩り、再演版にも挿入されるBase Ball Bear「ドラマチック」に合わせ、必死に鏡へ向かい汗を流した。

休憩を挟み、芝居シーンの立ち稽古が行われた。この日は西浦高校野球部メンバーが三橋の家に集まる再演版7場の練り直し。裏庭の投球練習場に駆け寄る一瞬を自然に見せようと、成井は「声を出しながらスタートを切ってもらえる?」「①行くぞ!②おー!のコントラストをしっかり出して」など緻密な演出をつける。

DSC08733.JPG

西浦高校キャッチャー・阿部隆也役の大橋典之は、7場ラストのモノローグに向けて少しでも時間があるとセリフの練習に励む。三橋の9分割コントロールを目の当たりにした阿部が「三橋の努力を活かして勝たせてやりたい」と気持ちを昂らせていくさまを、大橋はひたむきに立ち上げてみせた。

DSC08880.JPG

DSC08985.JPG

公演は、2月24日(月・祝)まで、東京・サンシャイン劇場にて。チケットぴあでは現在、当日引換券を販売中

取材・文:岡山朋代

チケット情報はこちら

 

チケット情報はこちら

 

   

今年、5月~7月に東京・歌舞伎座で行われる市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露狂言および、6月、7月の八代目市川新之助初舞台狂言が2月7日に発表されました。

発表会見には、團十郎を襲名する海老蔵さん、新之助を襲名する堀越勸玄さん、そして松竹・安孫子副社長が登壇しました。

 

▼左から勸玄さん、海老蔵さん、安孫子副社長

gekipia350_2678.jpg

 

■五月大歌舞伎

5月3日(日・祝)~27日(水)
※休演:15日(金)昼・夜の部
1等 23,000円 2等 18,000円 3階A 8,000円 3階B 6,000円 1階桟敷 25,000円

<昼の部>
「歌舞伎十八番の内 勧進帳」武蔵坊弁慶:團十郎

<夜の部>
十三代目市川團十郎白猿 襲名披露 口上
「歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜」花川戸助六実は曽我五郎:團十郎


■六月大歌舞伎
6月1日(月)~25日(木)
※休演:12日(金)昼・夜の部
1等 23,000円 2等 18,000円 3階A 8,000円 3階B 6,000円 1階桟敷 25,000円

<昼の部>
十三代目市川團十郎白猿/八代目市川新之助 襲名披露 口上
「歌舞伎十八番の内 暫」鎌倉権五郎景政:團十郎

<夜の部>
「歌舞伎十八番の内 外郎売」外郎売実は曽我五郎:新之助
「歌舞伎十八番の内 勧進帳」武蔵坊弁慶:團十郎


■七月大歌舞伎
7月1日(水)~20日(月)※三部制
1等 18,000円 2等 16,000円 3階A 6,000円 3階B 4,000円 1階桟敷 20,000円

<第一部>
道成寺「歌舞伎十八番の内 押戻し」大館左馬五郎:團十郎
「男伊達花廓」五郎蔵:團十郎

<第二部>
「山姥」山樵斧蔵実は三田仕:團十郎、怪童丸後に坂田金時:新之助
「歌舞伎十八番の内 景清」悪七兵衛景清:團十郎

<第三部>
「歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜」花川戸助六実は曽我五郎:團十郎

 

安孫子副社長は、この演目に決まった経緯として各所と相談してきたことを明かし、「市川家所縁の代表的な狂言を上演させていただきます。先輩や同世代の方々にもご出演いただきまして襲名披露興行を公演させていただきます。配役は最終的な詰めに入っております」と話しました。

  

gekipia350_2683.jpeg  

海老蔵さんは「2020年、十一代目市川海老蔵改めまして十三代目市川團十郎白猿を襲名させていただく運びと相成りましてございます。このたびは襲名狂言を発表させていただきます。『勧進帳』『助六』『暫』、そして『男伊達』『押戻し』『景清』という演目を私が勤めさせていただきます。せがれは、勸玄改め八代目市川新之助となりまして、『外郎売』をひとりで演じます。みなさまが想像している以上に、違うハードルがあり大変だと思います。また『山姥』も、祖父十一代目市川團十郎が初舞台の折にこの演目で怪童丸のちに坂田金時やりました、大変ゆかりのある演目です」と挨拶。

勸玄さんはハキハキした元気な声で「堀越勸玄です。今年に市川新之助を襲名します。お願いします。『外郎売』と『山姥』の怪童丸を勤めさせていただきます。どうぞお願いします」と挨拶しました。

 
今年7月に新作ミュージカル『四月は君の嘘』が上演されます。

原作は新川直司による同名マンガで、2014-15年にはアニメ化、2016年には実写映画化もされた人気コンテンツ。

かつて天才少年ピアニストとして注目を集めていたものの、母の死をきっかけにピアノの音が聞こえなくなってしまった有馬公生、同級生であり自由奔放なヴァイオリニストの宮園かをり、公生の幼なじみの澤部椿、友人の渡亮太、この4人の中学生(今回のミュージカル版は高校生になっています)を軸に、音楽家の苦悩と喜び、青春を甘く切なく爽やかに描いていく物語です。

マンガ原作の舞台はいま"2.5次元作品"として花盛りですが、本作は作詞・作曲に大作曲家であるフランク・ワイルドホーン、編曲にジェイソン・ハウランドというブロードウェイの第一線で活躍しているクリエイターを起用。なんだかとっても、制作陣の"本気"が伝わってくるのです!

その"本気の度合い"がさらに伝わってくる現場があると小耳に挟んだげきぴあ。
なんと本作は、事前にワークショップを重ねながら脚本・音楽を作っていく"ブロードウェイ方式"で制作する、というのです。
kimiuso1-00__1543.JPG
ブロードウェイでは新作ミュージカルを立ち上げる際、ワークショップで実際俳優たちが歌い・演じながら、脚本・音楽を練り上げていく創作方法をとるのはスタンダード。『RENT』などもワークショップで試行錯誤して作られたのは有名な話です。
日本では興行形態の違いから、そこまでじっくり時間をかけて作り上げることはなかなか難しいのですが(とはいえまったくないわけではありません)、本作はその手間隙かかる方式を採用したことに、制作チームの"本気"を感じずにはいられません。

今回、カンパニーがワークショップにとったのは、9日間。
最終日には1・2幕通しての試演会をやる、というスケジュール。
たいていのミュージカルは、本番1ヵ月~1.5ヵ月前から稽古がスタートしますので、本番の約半年前のこの時点である程度の形が作られるというのはすごいことですね。
......と言ったら、なんと実は、1幕の試演会はさらに1年前(2019年2月)にやっていたとか!すごい。

そのワークショップ&試演会、単独潜入取材をしてきました!

チケット情報はこちら

2020年3月、4月に東京と大阪で上演されるミュージカル『アナスタシア』。本作は帝政ロシア時代最後の皇帝ロマノフ2世の末娘で、一族の中でひとり難を逃れたと言われるアナスタシアの伝説をもとにしており、アニメ映画『アナスタシア』に着想を得て制作されたミュージカルです。

ana_senden.jpg

2017年にブロードウェイで開幕し、その後世界各国で上演されてきたこの大ヒット作が、ついに日本上陸。そこでマリア皇太后に仕える伯爵夫人リリーを演じる、朝海ひかるさんに話を聞きました。

050.JPG

――本稽古開始から約1週間とのことですが、その感触、手応えのほどはいかかでしょうか?

「初日に全員で歌入り本読みをしましたが、とにかく音楽が素晴らしく、ミュージカルの醍醐味を堪能した、とても感動的な一日でした。その後は3つの稽古場に分かれて芝居、歌、ダンスのレッスンをしていますが、昨日までにもう3分の2が出来たと聞いてとても驚いて! 私の出番は2幕が主なので、自分の知らない間に作品が出来上がっている...って(笑)。1幕の通しをマリア皇太后役の麻実れいさんと見ていたら、麻実さんが『夢を見ているみたいね』とおっしゃるので、『確かにそうですね』と。改めてすごい作品に参加しているなと実感しました」

――そのスピード感ある仕上がりは、やはり海外スタッフのチームワークの良さが大きいのでしょうか?

「チームワークと、やはりすでに世界各国で幕を開けているので、そのノウハウがあり、段取りが完璧に出来ていらっしゃるんですよね。それでいてちゃんと私たちの状態に合わせてスケジュールを組んでくださいますし、何よりこの作品に対する愛情がとても深い。皆さん子供のように思っていらっしゃるというか、『我々のアナスタシアにようこそ!』って感じで。事務的なところは一切ありませんし、『何かやりたくなったらいくらでも相談してね』という懐の大きさもあるんです」

――海外ミュージカルの中には、制約が厳しい作品も多いですよね。

「そうですよね。でもこの作品はとてもフリーですし、逆に私たちが新しい『アナスタシア』を提案していくことが、これからの課題だなと思います」

007.JPG

――音楽が素晴らしいというお話はありましたが、作品全体の魅力とは?

やはり史実に基づいたところ、おとぎ話過ぎないところだと思います。ロシア革命での貴族の苦労、祖国を思う気持ちなども描いていますし、主人公のアナスタシアも現代の女性に近い、強い女性として描かれている。単純にめでたしめでたしではない、ひとひねり、ふたひねりされた脚本で、お客さまを飽きさせない展開になっているなと思います」

――演じられるリリー、どういった女性として捉えていらっしゃいますか?

「リリーはロシア貴族の伯爵夫人だったのですが、革命でパリに亡命し、皇太后の侍女として働き始めます。そこで皇太后ととても馬が合い、お仕事も頑張っているんですが、週に1度は羽目を外して鬱憤を晴らしたくなる、みたいな(笑)。そしてかつて愛人関係にあったヴラドと再会し、危ない男だとわかっていても、やっぱり恋愛に流されてしまう。まぁ欲求不満だったんでしょうね(笑)。そういうとてもリアルな、人間らしい女性だと思います」

――リリー役には他に、マルシアさん、堀内敬子さんがキャスティングされています。

「全然違う3人ですね。お互い『全然違うね! 同じようにはやれないもんね』ってケラケラ笑っています (笑)。この3人でよかったなと思いますし、他の役の方も、いろんな出自のキャストの方が集められているんですよね。だからそれぞれの役がひとつの型にはまらないで、一人ひとり自分の色が出せれば、きっと面白いものになるんじゃないかなと思います」

017.JPG

――そして先ほどのお話にもありましたが、宝塚歌劇団の大先輩である麻実さんが、マリア皇太后を演じられます。

「私は9年前に『みんな我が子』という舞台でもご一緒させていただきましたが、当時の私にはまだわからないことがたくさんあったと思うんです。麻実さんの持っていらっしゃるものって誰にも真似出来ないもので、どう役を構築されていかれるかなど、そのプロセスをもう一度学ばせていただきたいと思っています。しかも今回はお付きの侍女役。ずっと一緒にいられるので、やった!という感じで嬉しいです

――前作『ドクター・ホフマンのサナトリウム 〜カフカ第4の長編〜』では、麻実さんが少女役にも挑戦されていて驚きました。

「そう! 少女から皇太后まで、もう完璧ですよね(笑)。他になかなかいらっしゃらないと思っています」

027.JPG

――間もなく待望の日本初演が開幕しますが、この舞台からお客さまに、どんな時間を提供出来たらいいなと思いますか?

「ひとつのサクセスストーリーという分かりやすい物語の中に、女性の強さや冒険心、挑戦することを忘れない心、そしてさまざまな人生の教訓が隠れワードのように散りばめられています。見た目の豪華さに圧倒されてそれらのワードは見逃しがちですが、決してそれだけではなく素晴らしい脚本に支えられた作品。お客さまにはぜひそれらを受け取っていただけたら嬉しいですね」

029.JPG

035.JPG

049.JPG

取材・文:野上瑠美子

撮影:源賀津己

 

**************************
【公演情報】
3月1日(日)~28日(土) 東急シアターオーブ(東京)
4月6日(月)~18日(土) 梅田芸術劇場メインホール(大阪)

【東京公演】
■スペシャルカーテンコール
日本初演開幕記念スペシャルカーテンコールを行います!
対象公演
3/1(日) 17:30
3/2(月) 18:15
3/3(火) 18:15

■終演後アフタートークショー
対象公演
・3/5(木) 13:30 葵わかな×木下晴香
・3/6(金) 13:30 木下晴香×海宝直人×石川禅
・3/9(月) 13:30 宝塚トーク(麻実れい×朝海ひかる)
・3/19(木) 13:30 葵わかな×相葉裕樹×大澄賢也

【大阪公演】
■ウィークデーナイトキャンペーン
対象公演
4/6(月)18:00 大阪公演初日カーテンコール
4/8(水)18:00 ご来場者全員プレゼント
4/15(水)18:00 ご来場者全員プレゼント
4/17(金)18:00 スペシャル抽選会

■終演後アフタートークショー
対象公演
・4/8(水) 18:00 大澄賢也×朝海ひかる
・4/15(水) 18:00 相葉裕樹×内海啓貴×石川禅


※登壇者は急遽変更になる場合もございます。予めご了承くださいませ。

チケット情報はこちら

チケット情報はこちら

ダイワハウスSpecial 地球ゴージャス十五周年祝祭公演『星の大地に降る涙 THE MUSICAL』が2020年3月10日(火)から舞浜アンフィシアター、5月3日(日・祝)からフェスティバルホールで上演される。

2009年に地球ゴージャス10作目の公演として上演された本作だが、岸谷五朗寺脇康文以外の全キャストを新たにし、新演出版で上演される。岸谷自ら脚本を書き直し、初演よりミュージカル要素がアップ。歴史の大きな渦に巻き込まれた人間たちの生き様を描いたファンタジー作品が、よりエンターテインメント性を高め、蘇る。

開幕1ヶ月前となる2月10日(月)、都内で稽古の一部が披露された。約100人ほどの報道陣が集まり、注目度や期待度の高さを伺わせた。

まずは、フォトセッションからスタート。岸谷の掛け声に合わせて、出演者らは「ゴージャズポーズ」なるオリジナルのポージングで撮影に応じる。すでに出演者同士の息はピッタリ。仲の良さや一体感が感じられた。

▽ポーズを決める出演者の皆さま。息ピッタリで、かわいい・・・!

DSC04670.JPG

続いて、出演者が挨拶した。

今作の主役で、記憶をなくした青年・シャチ役を演じる新田真剣佑。昨年の地球ゴージャズプロデュース公演Vol.15『ZEROTOPIA』に続いての出演で、今作が舞台初主演となる。

新田:思ったよりも(報道陣の数が)多くてどうしようかなと思っております。(稽古場披露の際に)結構前の方に行くので、もし斬ってしまったらごめんなさい(笑)。少ない稽古時間のなか、必死でみんなで仕上げました。ぜひ楽しんでいただけたら、多くの方々に見ていただけたら嬉しいです。とにかく今日は頑張ります、よろしくお願いします。

岸谷:少ない稽古でと言いましたが、稽古自体は1月6日からやっています。(初日まで)2ヶ月たっぷりやらせていただきますので、完成度の高いダンスが見せられると思います。真剣佑は忙しくて、時間がなくて、いつも稽古場に来たいと言っています(笑)

▽新田真剣佑さん

DSC05798.JPG

続いて、シャチが出会う神の子を宿した女性・ステラを演じるのは、数々の大作ミュージカルでヒロインを務め演劇賞も多く受賞している笹本玲奈

笹本:憧れ続けていた地球ゴージャスさんに参加できることをすごく嬉しく思っております。ありがとうございます。初めて脚本を読ませていただたいた時に、すごい作品だなと思いました。

岸谷:脚本は私が書いております、ありがとうございます!

笹本:すごく大きなテーマ、メッセージを直接的に訴えかけている、数少ない作品だと思います。上演するのは日本なんですけども、世界に向けて発信するつもりで、今回やりたいなと思います。どうぞ見に来てください。

▽笹本玲奈さん

DSC05829.JPG

▽笹本さんに褒められて喜ぶ岸谷さん

◎DSC05825.JPG

次は、岸谷とともに地球ゴージャスを結成し、本作では島の住人・ザージャを演じる寺脇康文

寺脇:今回は舞浜のアンフィシアターという、エンターテイメントをやるにはバッチリな劇場なのですが、都心の方からすると、ちょっと遠いイメージがあるかもしれないですね。でも、ディズニーランドの隣ですからね。向こう(※ディスニーランドのこと)も人気キャラクターがたくさんいますけれども、こちらも勢ぞろいでございまして...。マッケンマウス(新田真剣佑)、ササモトシンデレラ(笹本玲奈)、ドナルドマッツー(松本利夫)、森の久美のプーさん(森公美子)!...舞浜ですが、ディズニー行く感覚で見に来てくださったらと思います。

▽寺脇康文さん

DSC05839.JPG

▽寺脇さんのコメントに一同大爆笑!!

DSC05853.JPG

最後に、実力派男優でありながら、数多くの舞台で演出を手掛けるなどマルチな活躍を見せる岸谷五朗。シャチと一緒にタバラの島へ流れ着いた倭人・トド役を演じる。

岸谷:キャスト・スタッフ一同、このエンターテイメントに懸けております。すごい劇場です、舞浜アンフィシアター。そして大阪は僕らが大好きなフェスティバルホールです。今、過激な稽古をして、最高のエンターテイメントを作るためにみんなで一丸となって頑張っています。ぜひ劇場に足を運んでいただきたいと思います。ありがとうございます!

▽作・演出も務める岸谷五朗さん

DSC05758.JPG

そのほか、EXILEのパフォーマーを卒業後も多くの舞台や映画で活躍する・松本利夫、今作で2度目の地球ゴージャス参加となる元宝塚歌劇団星組トップスター・湖月わたる、同じく元宝塚歌劇団雪組トップ娘役・愛加あゆ、若手舞台女優として頭角を現し今後を期待される島ゆいか、圧倒的な歌唱力・存在感・パフォーマンス力を持ち合わせる森公美子も参加した。

続いて、歌とダンスパートを中心にした4曲が披露された。

チケット情報はこちら

DSC09718.JPG

2月11日(火・祝)より東京芸術劇場プレイハウスにて『ねじまき鳥クロニクル』が幕を開けた。村上春樹の大作を原作に、イスラエルの振付家であるインバル・ピントが演出・振付・美術を手がけ、さらにアミール・クリガーと藤田貴大(マームとジプシー)が脚本・共同演出として携わる。1月、都内の稽古場を訪ねた。

DSC09632main.JPG

大友良英率いる音楽チームの生演奏にのせて、稽古が進んでいく。岡田トオルを演じるのは成河と渡辺大知。二人で一役というキャスティングだ。二人は度々言葉を交わしながらタイミングをあわせている。臆することなく演出陣に「トライしてみていいですか?」と相談する渡辺の笑顔が場を和ませる。笠原メイを演じる門脇麦の美声が稽古場に響く。銀粉蝶の華やかさ、吹越満の存在感、場を彩るダンサーたちのなめらかな動き......。場面が変わるたび、別の場所に連れていかれるかのようだ。

DSC09461.JPG

共同脚本として作品に携わる藤田に話を訊いた。

DSC09797.JPG

「今回はインバルとアミールが考えていることを日本語を使って、日本人のリズムで体現していくのが僕の仕事だと思っています。村上春樹さんの小説が、遠くイスラエルのインバル・ピントという振付家の手元に渡り、彼女によって解釈され、演出されて舞台作品になる。そのことがまず、すごく感動的なことだと思うんです。しかもそれを言葉ではなく、身体でやろうとしている。そこに僕が日本語でどう言葉を配置していくかを考えて、適切な言葉を選んでいく」

単行本3冊分の大作を、2時間ほどの演劇にする。脚本づくりの段階で、3人の演出家は密に話し合いを続けてきたのだという。

「1年くらいSkypeで相談しながらプロットを組み続けてきました。原作はほんとうにいろんな読み方ができると思うんですよ。その、ひとつの答えに収束しない感じ、『わからなさ』も重要だと思っています。その『わからない』ことに取り組む姿勢がインバルにはある。春樹さんが書いていないことまで勝手に答えを見つけようとせずに描こうとしているところです」

 セリフそのもの、展開そのものを忠実に追うこと以上に、このカンパニーは小説を読んだときの感触を舞台上に再現しようとしている。

「『ねじまき鳥クロニクル』って、作品のなかでいろんな国や世界に飛んでいく。その状況を、このいろんな国からクリエイターが集まった企画自体が体現しているから描けることがあると思います。たとえばもし僕が一人で脚本と演出をやって、日本人のスタッフとキャストで作っていたら、たぶん作る前から想像できるものになってしまう。いまはヘブライ語と英語と日本語が飛び交って、ふつうの2、3倍も時間がかかる作り方をしている。けれど、このややこしい作り方だからこそ、表現できるものがある気がしています」

チケット情報はこちら

新国立劇場バレエ団『マノン』の上演にあたり、人気コラムニストの辛酸なめ子さんが、今回の公演でデ・グリュー役に初めて挑戦する井澤駿さんへインタビュー!!

『マノン』に向け絶賛リハーサル中の井澤駿のプリンシパルライフに、辛酸さんならではの独特な視点で迫っていただきました!

_ABE0086★.JPG

現代の王子様? プリンシパルの品格 

<文=辛酸なめ子> 撮影=阿部章仁


「マノン」で魔性のヒロインと恋愛を繰り広げる神学生デ・グリューを演じるプリンシパル、井澤駿さん。レッスン帰りの井澤さんに、ベールに包まれたプリンシパルライフについて伺いました。

バレエダンサーということもあって、背が高くシュッとして、貴公子のような雰囲気。2月下旬に本番を控えた今は、毎日朝から夕方まで稽古場で練習の日々だそうです。

「さっきまで振付を覚えていました」と、熱気の余韻が残る表情でおっしゃる井澤さん。素人からすると振付はメモするのも難しいし、どうやって覚えるのか想像つかないですが......。

「今は振付指導の方が来ているんですが、だいたい2週間で仕上げます。踊り込んで自分のものにするにはまだ時間がかかりますが、今はとにかく振りを覚えて、体に入れ込む作業をしていきます。踊りながら音と動きを体に入れていく形ですね」

「踊り込む」とかはじめて聞く動詞です。振りを忘れてしまうことはないのでしょうか?

「覚えている段階ではたまにありますね。次の動き、なんだっけな、と。ただ体で覚えてしまうとあとは勝手に動いてくれるんです。まだ頭で考えながら踊ってる段階なので、ときどきまちがえたりします。でも本番では忘れることはありません」

ピアノでもダンスでも体が覚えてしまう段階まで練習するのがプロなんですね。若いから記憶力も良さそうです。

「バレエダンサーは踊っていられる寿命が短くて、15、6年くらいでしょうか。そのあとはキャラクターの役柄を演じられる人、振付家になる人や指導者になる人もいます」

プロフィールを拝見したら、井澤さんは今はプリンシパルとのことで、バレエの世界ではランクはどんな感じなのでしょう。

「僕はソリストから入団させてもらいました。新国立劇場バレエ団のランクでいうと、まずアーティストがあって次にファースト・アーティスト、ソリスト、ファースト・ソリスト、プリンシパル、という段階になります。年齢ではなく実力によってランクが変わります」

映画みたいに役を巡って熾烈なバトルがあったりするのでしょうか。

「ライバル心を持っている人もいると思いますが、皆、役をめぐって努力する、お互い切磋琢磨している仲間たちです。新国立劇場バレエ団は皆、仲がいいです。環境が良いからでしょうか。日本では劇場を持っているバレエ団はなかなかありません。レベルの高いダンサーを起用したり、舞台装置を入れられるのが新国立劇場バレエ団の強みです」

環境が良いと、人間関係も円満になるというのはわかります。新国立劇場は来る度にすごく立派できれいな建物で、楽屋食堂もあったりして充実しているのが伝わってきました。マクミランさんという振付家は『ロメオとジュリエット』でも濃厚な男女の愛を演出していましたが、特徴的なものがあるのでしょうか。

「振付指導の方は『ロメオとジュリエット』と同じなのですが、パートナーを本気で愛しなさいとおっしゃいます。できる限り一緒にいて食事を共にしたり、一緒に暮らすくらいがベストだと言われました。演技というより本当に愛し合わないと出てこないものがあり、関係を深めて二人の世界を作っていく。マクミランの振付作品は、お客さんに向かって踊っていないんです。箱の中で起きていることをお客さんが上から見ている感覚。自分の中で起きている物語を表現するんです」

それは、男女の恋愛をのぞき見できるみたいで高揚します。見にいきたい気持ちが急激に高まってきました。パンフの写真を見るだけでも、二人の見つめ合い方に本気が感じられるような......。お互いに実生活で彼氏や彼女がいたり心配かもしれませんが、役が終わったら恋愛感情も抜けていくのでしょう。

ちなみに『マノン』は小説「マノン・レスコー」にも書かれている有名な魔性の女性ですが、魔性の女性に対して怖さとかはあるか伺うと...。

「本気で好きになったらちょっと傷付きそうですよね」と、さわやかな笑顔でおっしゃる井澤さん。なんとなく危ない橋は渡らなさそうな手堅さが感じられます。

「『マノン』は人間の欲望がつまった作品だと思います。愛もお金も欲しかったり。ちょっとドロドロしてますけど、人間ってこういう生き物なのかと考えさせられます」と、冷静に分析しています。

マノンは愛と富、両方とも手に入れようとしていましたが、井澤さんは愛と富、どちらが大切でしょうか。そう伺うと、井澤さんはしばらく上を見つめて考えたあと、

「お金も大事ですけど、愛もないとさみしいですよね。僕は自分が死ぬ時のことをよく考えるんですけど、さみしく死にたくないな、っていう思いがあって。僕はやっぱり愛の方を取るかもしれない」と、答えられました。若いのに自分の臨終シーンまで考えていらっしゃるとは。話を聞くと、食生活や体調管理にかなり気をつけているそうなので、まだまだ臨終シーンまでは先が長そうです。

ちなみにそんな健康的な井澤さんの趣味は、燻製を作ることと、植物公園や深大寺など自然の中を散歩することだそうです。いろいろ伺って、やはりプリンシパルの品格が保たれているというか、俗な要素はほとんど感じられませんでした。そんなクールな井澤さんが、舞台で濃厚な恋愛に溺れるギャップ感をぜひ鑑賞したいです。

btn_ticket.jpg

Manon Izawa san.jpeg

チケット情報はこちら

 

江戸川乱歩の8本の短編を、作・演出家の倉持裕が卓越した構成力で見事舞台化した2017年の『お勢登場』。

この舞台で鮮烈な印象を残した悪女・お勢がふたたび私達の目の前に現れることに。

その最新作『お勢、断行』の稽古初日の現場に潜入。

当日の様子をお届けします!

 

gekipia_osei_zentai2.jpg

まずは、出演者とスタッフが勢揃いした顔合わせから。

初日ということもあり、稽古場はちょっと緊張ムード?

 

本作の出演者は、前作『お勢登場』にも出演した梶原善さん千葉雅子さん、粕谷吉洋さんをはじめ、倉持作品に出演経験のあるキャストが多いのが特徴のひとつ。

今回お勢役を演じる倉科カナさんも、『誰か席について』(2017年)で倉持演出は経験済み。

倉持組初参加の上白石萌歌さんの隣に座り、小声で時折楽しそうに会話をしています。

(緊張をほぐしているのかもしれませんね!)

 

gekipia_osei_kuramochiyutaka.jpg

▲作・演出の倉持裕さん

 

 

顔合わせでは、制作スタッフからひとり一人が紹介され、最後に倉持さんが挨拶。

作品についての意気込みを語るのかと思いきや、淡々とした口調で「階段が多いストーリーなので、足腰鍛えてください」と一言。 

稽古場全体から笑いが漏れ、一気に和やかなムードに変わりました。

 

顔合わせと本読みの合間の休憩時間になると、途端に賑やかになりました。

あちこちから「久しぶり~!」という声が聞こえます。

やっぱり、顔合わせ前は皆さんちょっと緊張されていたんですね......。

短い休憩の後、さっそく本読みがスタート。

gekipia_osei_zentai1.jpg

チケット情報はこちら

1003.jpg

「華」と「実」を兼ね備えた歌舞伎俳優たちが各地の劇場を巡り、よりすぐりの歌舞伎舞踊を披露する『伝統芸能 華の舞』が2020年3月、東京含めた全国10カ所17公演が行われる。

主演の市川右團次は古典歌舞伎から新作歌舞伎まで幅広く演じ分け、ドラマ『陸王』等の映像作品でも活躍。ドラマ『ノーサイド・ゲーム』に出演した長男・市川右近とはラグビー・ワールドカップの開幕式で舞踊『連獅子』の一部を披露。今回はこの舞踊を通しで上演する。

この他、市川海老蔵一門の市川九團次と大谷友右衛門の次男・大谷廣松が、椀屋久兵衛と恋人である遊女・松山の幻想の中での逢瀬を描く舞踊『二人椀久』を、市川右團次一門の市川右若、市川右左次、市川右田六が、吉原を訪れた放生会の雀売りの楽しい踊り『吉原雀』を舞う。性質の異なる三演目を通して、歌舞伎舞踊の幅広さ・奥深さを体感することが出来そうだ。

1053.jpg

市川右團次インタビュー
"日曜劇場親子"の奮闘をぜひ応援しに来てください

――右團次さん・右近さんと言えば世間的にはやはりTBSドラマでの印象が強いかと思います。

「『陸王』に出た時は、"シューフィッター"とよく声をかけられました(笑)。息子も同じ福澤克雄監督の『ノーサイド・ゲーム』でお世話になりましたが、或るシーンで、台本に書いていないのに、ぽろっと涙をこぼしたんです。聞けば、父親役の大泉洋さんの演技に感動したって。そういうふうにパンとスイッチが入ることは、歌舞伎俳優にとっても大切なこと。いい勉強をさせていただいたなと思っています」

――そんなお二人が今回初めてご一緒に、日本各地を巡業されます。

「息子にとってもいい修業になるんじゃないかな。僕はブログをやっているのですが、"近くに来てくれるので、やっと生の舞台を観られます"というコメントを幾つかいただいています。チケット代も比較的リーズナブルなので、ぜひ"日曜劇場親子"を応援しに来て下さい(笑)」

1087.jpg

――共演するのは、ラグビーのワールドカップ開幕式で初披露した『連獅子』です。

「開幕式のお話をいただいた時、息子は9歳。体力的にも大変な仔獅子をこなせるのか、実際歌舞伎界でそんなに小さくして踊った例もなかったので、無理なんじゃないかと思いましたが、ワールドカップ2019の公式マスコットがレンジ―という紅白の獅子で、雄雌のカップルの獅子だと思っている方が多くて、ぜひ親子だと知ってほしいというお話で、かくなる上はということで挑戦しました。息子は頑張ってくれましたね。親馬鹿ですが(笑)、芝居のことになると好きだから頑張る子なんですよ」

――今回は抜粋したものではなく通し上演ですね。

「通しですが、お客様が分かりやすいように少し抜いている部分もあるので、退屈するところはないと思います。前半は狂言師として、獅子が我が子を千尋の谷に突き落として子供が這い上がってくる様を踊りで物語ります。親は子を思い、子は小川に映る親の姿に力をもらって登る。僕自身、かつて仔獅子を演じた時は、しんどくても浄化されるものを感じましたね。歓喜の舞でもあるし、文珠菩薩を護る獅子なので、おめでたい舞でもあります。そして後半は獅子の姿で、親子が戯れながら皆さんご存じの毛振りをします。なかなか"生"で見ていただく機会はないと思いますので、それも含めて楽しんでいただけたら」

――今年はオリンピック・イヤーで世界の目が日本に向くかと思いますが、歌舞伎のどんな面をアピールしたいですか?

「歌舞伎は世界にも類をみない文化で、絢爛豪華なものもあれば、民衆の暮らしを描いたものもあるし、最近はアニメも歌舞伎化しています。歌舞伎にはもともと魑魅魍魎や人にあらざるものが登場していて、この多様性がいろいろな表現を可能にしているのです。古典とはいえ、時代を超えて普遍的なテーマを含んでいるのが歌舞伎。同時代の方たちと何かを共感できるよう、今の時代にアンテナを立てながら演じていきたいです」

1063.jpg

伝統芸能 華の舞

■演目
一、『吉原雀』 市川右若、市川右左次、市川右田六
二、『二人椀久』市川九團次、大谷廣松
三、『連獅子』 市川右團次、市川右近

■日程
3月10日(火)福岡:大濠公園能楽堂
3月11日(水)鹿児島:宝山ホール(鹿児島県文化センター)
3月12日(木)宮崎:メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場)
3月14日(土)大阪:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
3月15日(日)神奈川:関内ホール
3月16日(月)千葉:習志野文化ホール
3月17日(火)東京:北とぴあ さくらホール
3月19日(木)宮城:トークネットホール仙台(仙台市民会館)
3月24日(火)神奈川:小田原市民会館 大ホール
3月25日(水)愛知:日本特殊陶業市民会館ビレッジホール

チケット情報はこちら

カテゴリー

ジャンル

カレンダー

アーカイブ

劇団別ブログ記事

猫のホテル

文学座

モナカ興業

谷賢一(DULL-COLORED POP)

劇団青年座

劇団鹿殺し

 はえぎわ

柿喰う客

ONEOR8

M&Oplaysプロデュース

クロムモリブデン

演劇集団 円

劇団チャリT企画

 表現・さわやか

MONO

パラドックス定数

石原正一ショー

モダンスイマーズ

ベッド&メイキングス

ペンギンプルペイルパイルズ

動物電気

藤田記子(カムカムミニキーナ)

FUKAIPRODUCE羽衣

松居大悟

ろりえ

ハイバイ

ブルドッキングヘッドロック

山の手事情社

江本純子

庭劇団ペニノ