2月14日にスタートしたダブルヘッダー特別公演『おおきく振りかぶって』『おおきく振りかぶって 秋の大会編』。開幕初日を約1ヵ月後に控えた稽古場を訪問。ダンスと芝居の精度を上げるべく、キャストと脚本・演出の成井豊が一丸となって試行錯誤する"熱い"現場に遭遇した。
ひぐちアサの野球マンガ『おおきく振りかぶって』を舞台化する本シリーズ。"ダブルヘッダー特別公演"を謳う今回は、2018年2月に上演された第1弾『おおきく振りかぶって』の再演版と、第3弾となる新作『おおきく振りかぶって 秋の大会編』の2作品が現在、同時上演されている。
稽古は新作のダンスシーンから。TVアニメ版『夏の大会編』のオープニングを飾った主題歌・Galileo Galilei「夏空」に乗せ、前々日に覚えたばかりの振付をキャスト全員で合わせてみる。主人公の西浦高校ピッチャー・三橋廉を演じる西銘駿は、キレのある動きで共演者を圧倒。長年、仮面ライダーゴーストを演じてきた高い身体能力と抜群の体幹を活かし、歌詞を口ずさみつつ笑顔も覗かせる余裕を見せていた。
本作から"おお振り"初参戦となる武蔵野第一高校ピッチャー・榛名元希に扮する神永圭佑は、空き時間にアンダースタディの矢野聖と自主的に振付を確認。初演の挿入曲として作品を彩り、再演版にも挿入されるBase Ball Bear「ドラマチック」に合わせ、必死に鏡へ向かい汗を流した。
休憩を挟み、芝居シーンの立ち稽古が行われた。この日は西浦高校野球部メンバーが三橋の家に集まる再演版7場の練り直し。裏庭の投球練習場に駆け寄る一瞬を自然に見せようと、成井は「声を出しながらスタートを切ってもらえる?」「①行くぞ!②おー!のコントラストをしっかり出して」など緻密な演出をつける。
西浦高校キャッチャー・阿部隆也役の大橋典之は、7場ラストのモノローグに向けて少しでも時間があるとセリフの練習に励む。三橋の9分割コントロールを目の当たりにした阿部が「三橋の努力を活かして勝たせてやりたい」と気持ちを昂らせていくさまを、大橋はひたむきに立ち上げてみせた。
公演は、2月24日(月・祝)まで、東京・サンシャイン劇場にて。チケットぴあでは現在、当日引換券を販売中
取材・文:岡山朋代