■『シークレット・ガーデン』特別連載 vol.5■
バーネットによる名作児童文学『秘密の花園』を原作にしたミュージカル『シークレット・ガーデン』が、石丸幹二、花總まりらの出演で今年、日本初演されます。
初日が目前に迫ってきましたが、本日は5月末の某日に行われた「通し稽古」のレポート後編をお届けします。
両親を亡くし、イギリスに住む叔父アーチボルドの屋敷に引き取られてきた少女メアリー。
心を固く閉ざしていたメアリーですが、少しずつ、変化が訪れます。
まずはメイドのマーサ。
訛の強い、ずけずけとものを言う女性です。
パワフルで、土の匂いがするような明るさがあり、今までに見たことのないチャーミングな昆夏美さんに会えそうですよ!
インドではメアリーはお嬢様としてかしずかれていて、自分でボタンを留めたこともなかったのでしょう。
そんな彼女に、「自分でやってみなさい」とマーサ。
突き放すのではなく、それもまた優しさです。
そして、庭でも新しい出会いが。
(この庭のシーン、本番ではどうなるのか楽しみ!)
庭師のベン=石鍋多加史さん。
ベンは、メアリーがインドから持ってきた写真――それにはリリーが写っていました――の庭が、たしかにリリーの愛した庭であること、その庭がアーチボルドによって閉ざされ、今では鍵もなく、ドアがどこにあるかすらわからない、ということを教えてくれます。
また、マーサの弟のディコンは、鳥と会話をし、自然のことわりといったものを、メアリーに教えます。
ディコンを演じるのは松田凌さん。
自然を愛し、自然に愛される不思議な少年を、松田さんが表情豊かに演じています。
ディコンの歌うナンバーも、一風変わった不思議なメロディで素敵なんです!
ディコンに教わり、鳥とお喋りするメアリー。
メアリーが笑顔を見せるたびに、見ているこちらも嬉しくなってしまいます!
さらにメアリーは、ディコンから「種」をもらいました。
メアリーが少しずつ心を開き、「元気」になっていく一方で(子どもは適応能力が高いですからね!)、大人たちはまだ、足踏み中......。
それでも、メアリーが少しずつ新しい風を吹き込ませ、閉ざしていたアーチボルド(石丸幹二さん)の心も動き出します。
兄アーチボルドと、弟ネヴィル(石井一孝さん)の兄弟デュエット『LILY'S EYES』は珠玉のナンバー。
ふたりとも、メアリーの中にリリーの面影を見出して、心を揺さぶられています。
そしてもうひとり、心を閉ざした人物が......。
メアリーは屋敷で何かに導かれるように、今までに行ったことのない部屋へ。
そこにいたのは、アーチボルドとリリーの息子・コリン=この日は鈴木葵椎さん(大東リッキーさんとWキャスト)。
彼もまた、母を亡くし、父からは遠ざけられ、元来の身体の弱さもあり頑なでワガママ、凶暴な子どもになっています。
鈴木さんの挑むような目が、コリンの孤独を物語ります。
出会った途端にケンカをするメアリーとコリンですが、メアリーが部屋を出ていこうとすると「行かないで」とコリンの本心が......。
コリンもメアリーに心を開き、一歩を踏み出す......と思いきや、そう簡単には運びません。
ネヴィルとミセス・メドロックに押さえつけられているコリン。
何があったのでしょう!?
そして一方で、メアリーはやっと「鍵」を手に...。
このあとはぜひ、劇場で!
こちらはもうひとりのコリン役、大東リッキーさん。
大東さん、苦行僧役の太田翔さんの格好が気に入っているようで、同じように上着を袈裟懸けに...。
まわりの人たちからは「弟子入りしたの?」と声をかけられ、師匠・太田さん本人からは「修行に励むのじゃぞ」とのお言葉でした(笑)。
取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)
【『シークレット・ガーデン』バックナンバー】
# 歌唱披露会見 レポート
# 稽古場レポートPart1
# 稽古場レポートPart1
# 通し稽古レポートPart1
【公演情報】
・6月11日(月)~7月11日(水) シアタークリエ(東京)
・7月14日(土)~16日(月・祝) 厚木市文化会館 大ホール(神奈川)
・7月20(金)・21日(土) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール(福岡)
・7月24(火)・25日(水) 兵庫県立芸術文化センター阪急 中ホール