【その1】『PHOTOGRAPH 51』リーディング現場レポート

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4月に東京・東京芸術劇場シアターウエストと大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティで上演される『PHOTOGRAPH 51(フォトグラフ51)』。

2015年にウエストエンドにてニコール・キッドマン主演で上演された話題作の日本初演。「世紀の大発見」とも言われる"DNAの二重らせん構造"の発見に貢献した女性科学者ロザリンド・フランクリンを主人公にした物語で、それほどの発見をしながらもノーベル賞を受賞しなかったロザリンドと、彼女を取り巻く5人の男性科学者の姿を描きます。

ロザリンドを演じるのは、今作が初舞台の板谷由夏さん。
彼女を取り巻く男性たちを神尾佑さん、矢崎広さん、宮崎秋人さん、橋本淳さん、中村亀鶴さんが演じます。
演出は、ブロードウェイで注目を集める女性演出家のサラナ・ラパインさん。

げきぴあでは、ビジュアル撮影レポート(前篇後編)に続き、稽古に先駆け行われたリーディング(読み合わせ)の現場に潜入! 3回連載でお届けします!
※残念ながら中村亀鶴さんは公演中のため欠席です。

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稽古開始の3か月ほど前に行われた今回のリーディング。キャストやスタッフがズラリと集まった中で、まず演出家のサラナさんからお話がありました。

w__DSC2236.jpg▲演出家のサラナ・ラパインさん。開始前、緊張感漂う現場にサラナさんがやってくると、パッと空気が明るくなりました!

サラナ「(日本語版の脚本は)翻訳の芦澤いずみさんと一文一文話し合い、つくりあげました。今回は、それをみんなで実験していくような作業になります。この脚本をみんなで読んでいく中で、わからないところ、はっきりしないところは必ずおっしゃってください。それは今のうちに私たちが知っておきたいことなので。役者として読んでみてどんな感じがするのか、この翻訳がどう入っていくのかということを教えてください」

s2229.jpg▲最初にセットの模型が登場!みなさん興味津々です。セットについての質問も飛び交います。「私は自然主義な演技が好きなので、リアルなお芝居を追求します。それを"詩的な空間"の中で見せていきたいんです」とサラナ。セットでは、ロザリンドの立場も表現されているそう。どういうことか気になりますね!


翻訳の芦澤さんからも改めて「なんでもフランクに言ってください」と伝えられ、リーディングがスタート!

s2276.jpg▲キャスト達にとっても初めて役として言葉を交わす瞬間です。

日本語がわからないはずのサラナさん。だけど一緒に台本を読んで、一緒に笑っていらっしゃいました。後日、取材会でも「残したいユーモアとか、リズムが大事な短いフレーズでの言い合いとかも、ちゃんと生の声で聞こえてきました」と語っていましたが、どうやって捉えているのか...すごいことですよね。

w__DSC2181.jpg▲主人公であるロザリンド・フランクリンを演じる板谷由夏さん。

ロザリンドは30代のユダヤ系イギリス人女性科学者で、意志が強く、真面目で純粋、という役どころ。あらすじからなんとなく、当時の科学者には珍しい"女性"だからという理由でロザリンドが理不尽な目に合う物語なのかな...と想像していたのですが、リーディング潜入を経て、それだけのお話ではないと感じています。もくもくと実験に打ち込むその内側にたたえられた情熱のようなものを確かに感じさせる、板谷さんのロザリンド。愛想がいいわけではないけれど、思わず惹かれる女性です。

ちなみに...舞台となる50年代のイギリスの科学者の世界は男社会だったのだそう。"男性限定の研究室"なんかもあるほどで、ロザリンドの所属する研究室も女性はロザリンド一人です。また、役柄の説明に「ユダヤ系イギリス人」や「イギリス人」など明記していますが、ヨーロッパには反ユダヤ精神があった時代で、ロザリンドはそういう部分でもショックを受けていたようです。

s2261.jpg▲ロザリンドの同僚で研究パートナーのモーリス・ウィルキンズを演じる神尾佑さん。

イギリス人科学者で、少々堅苦しい性格ですが、ロザリンドに好意も...?という役どころ。昔気質なので、女性科学者に対する偏見は若い科学者よりも強く、そのあたりが物語にも大きく関わってきます。現代を生きる女性から見ると「なんてひどい」と言いたくなる考え方の持ち主ではあるのですが、神尾さんが演じるからか、そういう役作りをされているからか、ウィルキンズには憎めなさがあるんです。イギリス流の遠回しな言い方でロザリンドとやりあう姿や全然噛み合わない会話も、どこかクスッと笑えてしまう。頑固さの中に秘められた繊細な感情が声だけでも伝わってきました。

ロザリンドとモーリスの会話の中で、何度か俳優から質問が出たのが、イギリス特有の遠回しなやりとり。礼儀正しい会話の中に探り合いや嫌悪感を含ませたり、幾重ものヴェールのかかった皮肉を言ったり。パッと見は普通の会話だけど...というような伝わりにくい表現があるんです。そこを「難しい」と伝えたり「芝居が入れば解消できるのでは?」と提案したりなどラフに話し合う姿も見られました。

リーディングはまだまだ盛りだくさん!【その2】に続きます!

公演は4月6日(金)から22日(日)まで東京・東京芸術劇場 シアターウエスト、4月25日(水)・26日(木)に大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。

(ライター:中川實穗/カメラマン:川野結李歌)

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