■『アダムス・ファミリー』特別連載(5)■
10月28日についに開幕したブロードウェイ・ミュージカル『アダムス・ファミリー』。
初日を目前に控えた26日に行われたフォトコールの模様は、先日レポートをお届けしましたが、本日は同日行われた囲み取材のレポートです。
囲み取材に登壇したのは、橋本さとしさん、真琴つばささん、壮一帆さん、昆夏美さん、村井良大さんの5名。
アダムス一家の主人・ゴメスは橋本さとしさん。
「3年半ぶりの再演ですが、気持ちは完全にフレッシュ。これ、最高のミュージカルなんじゃないか、そんな手応えをバッチリ稽古場で感じながら劇場に入ってきました。白井晃さんの演出も、初演かというくらい細かい。台本を見返してみると、自分のセリフのほとんど全部にチェックが入りました。それくらい緻密に作り直して、新たな気持ちの『アダムス・ファミリー』が誕生します。その瞬間をみなさんと一緒に味わいたいなと思います」
また、今回妻であるモーティシアが真琴さんと壮さんのダブルキャストになったことについては
「どっちを見てもモーティシアって不思議(笑)。舞台稽古をしているときも、後ろから見たらどっちがどっちかわからない(笑)。ちょっと尋常じゃないくらいすごいモーティシアで、おふたりが本当にモーティシアというキャラクターに真摯に取り組まれていて。ともすれば、木かな?と思ったらモーティシアだったり(笑)。
初演のときに真琴さんのモーティシアとずっと一緒にやっていて、これ以上のモーティシアはいないんじゃないかなというくらい本当に素晴らしいモーティシアでした。真琴さんのモーティシアから僕のゴメスが生まれたと思っています。でも、今回パっとこちら(壮さん)を見たら......また(モーティシアが)いたよ!また新たなゴメスを引き出していただいた気がしています。
役者によってひとつのキャラクターがこんなにも違って、そしてそこに答えがあるんじゃなくて、すべて自分のものにしちゃうエネルギーをそれぞれから感じていています。最高です。ただプライベートでふたりの奥さんを持つのは絶対ダメですからね、役者でよかったー(笑)」
......と、ユーモアを交えながらも、ふたりのモーティシアを絶賛です。
そのモーティシア(Wキャスト)真琴つばささん。
「演出の白井さんの演出が、初演より4回転捻り、5回転捻りくらい...さらにパワーアップしています。最高の脚本と最高の演出と最高の音楽、最高のキャストで横浜を沸かせたいと思います」とご挨拶。
初演に引き続いてのモーティシア役である真琴さんですが、今回はダブルキャスト。
「初演の時の自分の感じが変なときに出てきて、実は心の中で(壮さん・初演の自分と)トリプルキャストだったんです。それが、つい数日前くらいからやっと2017年の私のモーティシアが見えてきて、昨日、白井さんから「今日はやけに色っぽかった」と言われました。今回のテーマが「妖艶」だったので、ちょいと近づけたかなと思います」
...と話したところで、橋本さんから「素晴らしい!」と言われ、真琴さん
「へい!」
その返事に一同爆笑、橋本さんからは「今、色気もクソもなかったね!」と言われてしまう始末でした...(笑)。
同じくモーティシア(Wキャスト)、壮一帆さん。
「私は今回からの参加となります。初演から出演している皆さまの熱量に負けないように一生懸命にお稽古をしてきました。私も初めての参加だと感じさせないくらいの負けないエネルギーで、初日からぶっとばしていきたいと思います。神奈川を熱く盛り上げたいと思います。たくさんの方に見ていただきたいです」
壮さんは真琴さんとのWキャストについて
「真琴さんは私にとって本当に尊敬すべき大先輩。その方と同じ役をやる、しかも初演を真琴さんがやられていて、そこに私が新しく入っていくというので、かなりプレッシャーも、自分の中で葛藤もありました。ですがとにかくそんなことを考えていてもしょうがないかなと、常に上を目指して、一生懸命やってきました。最初は稽古場で(あえて真琴さんと)違うアプローチをとかもやっていたりもしたのですが、さとしさんに一度、「お互い全然アプローチが違うのに、一周回ってだんだん同じところに着地するんだよね」と言っていただいて、やっぱりモーティシアの人となりというのは、一貫された何かがあるのかな、自分もそこに少しでも近づいていたのならこんなに嬉しいことはないなと思います。さらに私のモーティシアに磨きをかけて、さとしさんを愛しぬいて、家族の皆さんを愛しぬいて、モーティシアとして生きることが出来ればと思います」
と意気込みを語ったところで橋本さんが「ゴメスじゃなくてさとし(を愛しぬく)と言ってくれるところが...」と嬉しそうに話すも、壮さんに「すみません、ゴメスですゴメスです!」とあっさり言い直されてしまっていました。
仲良さそうで、良いですね~。
ウェンズデー役は、初演に引き続いて昆夏美さん。
「初演に引き続き再演にも出演させていただけると決まったときに、またこの世界に戻れることが嬉しく思ったのですが、いま改めて、その時の100倍、1000倍くらい喜びを感じています。自分が出ているので客席からは絶対に観られないのですが、こんなに観たいと思う舞台は珍しい(笑)。どのシーンも全部観てみたいと思うくらい、笑いあり、感動ありで、本当に色々なことが緻密に計算されている舞台。皆さんにも楽しんでいただけるのではないかと思っています」
昆さん、新たな相手役となる村井さんについては
「実は初演はああだったとか、あまり覚えておらず...。一から村井君とふたりの関係性を作っていけてよかったなと思っています。この作品は家族を巻き込んでルーカスとウェンズデーが結婚するまでの物語、ふたりの成長物語という面もあると思うのですが、白井さんが「色々なことがあるけれどやっぱりふたりは好き同士だから離れられないんだ、ふたりは引力でずっと引き合っているんだよ」と仰ったときに、そういった見えない糸みたいなものを村井君と作っていけたらと思いました。村井君は "ふにゃっ" とした笑顔がルーカスぴったりだなと思っています。愛したいと思います」
と話しました。
そのウェンズデーのボーイフレンドであるルーカスは、村井良大さん。
「僕は今回からの参加ですが、初演組の皆さんに負けないようにエネルギーを出して、なんとかウェンズデーと結婚できるようにとアダムスファミリーに食らいついてきました。舞台稽古もずっとやってきたのですが、とにかく白井さんの演出、そして照明だったりがとてつもなく美しくて、観ていてワクワクできるミュージカル。ぜひ皆さま観に来てください」
村井さんはじめ、人間一家であるバイネッケファミリーは全員が今回からの初参加。
村井さんは「アダムス家の皆さんには、最初の稽古の時は、前回本番を踏んでいるという "百戦錬磨感" を感じていました。そのエネルギーを受けながら自分がどういるべきなのかとか、バイネッケファミリーで話し合ったり、白井さんと話をしたりしました。でもとにかくルーカスとしても、自分としてもこのちょっと変わった家族に食らいついていく、という思いが大きかった。必死に「ゴメスさん、見てください僕を!」という感じで、振り向かせようと頑張っていましたね。でも本番が近づいた今、全体がひとつの大きな家族になってきたような気がして、今はリラックスして楽しく稽古できています」と話します。
橋本さんも、「舞台をやる上で、"カンパニー" というひとつの集団がいるんですが、この作品に関しては "ファミリー" という感じ。客さまにもそれが伝わると思うし、見に来たお客さまもいつのまにかアダムスファミリーに入った気持ちにさせられるような舞台になっていると思います」とこの作品の魅力を語っていました。
そして会見の最後に、真琴さんが「もうひとつ見どころがあるんです」と切り出し...。
真琴「今回、壮一帆さんが! 舞台上で、初キス披露となりました!女優デビューでございます~」
一同 (拍手)
橋本「女優デビューですね、ある意味本当に」
壮「いや...こんな拍手してもらえるもんなんですか(笑)。ワハハ! 事務所の先輩に女優にしてもらいました」
橋本「光栄でございます」
壮「柔らかかったです」
一同 (爆笑)
真琴「おかげさまで、私も(キスシーンを)いただけることになりました!」
壮「前回はなかったんですよね」
真琴「なかったんです。今回はいただきました!」
...という話題で大盛り上がりとなりました。
こんな素敵なカンパニー...いや、"ファミリー" でお届けするミュージカル『アダムス・ファミリー』。
お見逃しなく!
取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)
【バックナンバー】
#1 顔合わせレポート
#2 真琴つばさ・壮一帆・樹里咲穂インタビュー
#3 初日目前!フォトコールレポート
#4 稽古場レポート
【公演情報】
・10月28日(土)~11月12(日)
KAAT 神奈川芸術劇場 ホール(東京)
・11月18日(土)・19日(日)
豊中市立文化芸術センター 大ホール(大阪)
・11月24日(金)・25日(土)
富山 オーバード・ホール