宝塚歌劇花組『カリスタの海に抱かれて/宝塚幻想曲(タカラヅカファンタジア)』東京公演が5月15日、東京宝塚劇場で開幕しました。
今回の公演は人気脚本家・大石静が書き下ろしたオリジナル・ミュージカル『カリスタの海に抱かれて』と、レヴューロマン『宝塚幻想曲(タカラヅカファンタジア)』の二本立て。
前半の『カリスタの海に抱かれて』は、フランス革命前夜、地中海に浮かぶカリスタ島が舞台。島で生まれフランスで育ったフランス軍将校シャルルを中心に、彼が幼なじみとの友情と島の娘アリシアとの間で苦しみながら、島の独立運動に奔走する姿をドラマチックに描いていきます。
後半のレビュー『宝塚幻想曲』は、8月に第二回宝塚歌劇団 台湾公演で上演されることも決まっており、日本の四季の魅力や、和太鼓・三味線などの音色を取り入れた"和"テイストなステージ。
ともに、花組トップスター明日海りおの正統的なカッコよさ、この公演が大劇場お披露目となる新娘役トップ・花乃まりあのフレッシュさが堪能できる作品です。
初日に先駆け同日、最終舞台稽古が公開されるとともに、明日海、花乃が取材に応じました。
その会見の様子をレポートします。
==『カリスタの海に抱かれて』==
==『宝塚幻想曲(タカラヅカファンタジア)』==
明日海りお&花乃まりあ 囲み取材
明日海「昨年の『エリザベート』は11月16日まででしたので、東京公演はほぼ半年振りになります。久しぶりにこの劇場に来られて、また新たな気持ちで頑張りたいと気合いを入れているところです」
花乃「明日海さんが花組のトップになられて初めての2本立ての公演。お芝居もショーも、とても楽しい作品となっていると思います。精一杯頑張っていきたいと思います」
――芝居『カリスタの海に抱かれて』での役作りのポイントなど
明日海「シャルルという役は、大石静先生がとにかく色々な表情が見えるようにしたいと書いてくださいました。(島である)カリスタ人の熱っぽいところや、苦労してきたちょっと過去がある顔、女性に対しては不慣れなところ、そんな様々な表情を意識して書いてくださったので、自分の中でも役の中の感情や表に出る表情を振り幅広く表現できるよう心がけました。あとは、故郷への思いと親友ロベルトに対する思いが、アリシアに出会ったことでどう変化していくかというドキドキハラハラ感をお客さまに感じていただけるように、毎回嘘のない...作ったものではない生の、本当の気持ちで演じたいと思って過ごしています」
花乃「アリシアという役は宝塚の娘役像としては珍しく活発な、男勝りな女の子の役だ思いますが、そういう部分がとても純粋で、可愛らしいところや真っ直ぐなところが魅力。そういうところを大切に作っていきたいです。さらにカルロ(=シャルル)と出会うことで彼女の人生も広がっていきますし、ひとりひとりの登場人物と出会い、みんなそれぞれ人生が進んでいくという物語の流れをきちんと演じていけたらと思っています」
――ショーはこのあと台湾公演でも上演される演目です。みどころは
明日海「おすすめしたいポイントがたくさんあるのですが、台湾公演にも行かせていただきますので、ショー全体が"和"を意識したテイストになっています。太鼓のリズムや三味線の音色は、私たちも演じながら聞こえるとテンションが上がる...胸が高鳴りますので、それをお客さまにも感じていただきたい。また、演出の稲葉先生が新生花組のために、歌詞にも色々な意味を込めてくれました。例えば「みんなの翼を繋ぎ合わせて行こう」という歌詞があったり、みんなで花を咲かせるという意味合いのシーンもあったり、みんなのパワーがひとつに集結しているなと思えるフォーメーション・場面がたくさんあります。そこが見どころです」
花乃「明日海さんがおっしゃったように和のテイストが含まれていて、特にフィナーレナンバーのシーンがとても素敵で、男役さんの群舞なども本当に迫力があって素晴らしいと思っています。皆さんにも楽しんでいただけたら」
――今回が大劇場でのトップコンビのお披露目。改めて発見したお互いの魅力などは
明日海「やはり芝居が好きな人なんだなというのはやっていて感じます。ひとつの通し役を長い期間演じるというのはきっと初めてだと思うので、そういう中でふたりでいかに新鮮な気持ちでやれるか、やりとりに慣れてしまわずやれるかというのを大劇場公演中の時は考えながらやっていました」
花乃「舞台におけるひとつひとつのことがとても繊細で、細やかな方。毎日の変化を感じながら、わたしも精一杯ついていければと思っています」
取材・文・撮影:平野祥恵
【公演情報】
・6/14(日)まで上演中 東京宝塚劇場