劇団四季、新作ミュージカル『アラジン』稽古場を公開 Part2

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まもなく開幕する劇団四季の新作ミュージカル『アラジン』
開幕に先駆け去る4月28日、その稽古場の様子が横浜・あざみ野の四季芸術センターで報道陣に公開されました。
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前半・公開稽古の様子はコチラ

稽古場で2つのシーンが披露されたのち、スタッフ、キャストの囲み取材も開催されました。
登壇者は、演出補スコット・テイラーダンス・スーパーバイザーマイケル・ミンドリン
そしてキャストからはアラジン役候補島村幸大厂原時也
ジャスミン役候補岡本瑞恵三井莉穂
ジーニー役候補道口瑞之瀧山久志
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後半ではその様子をお伝えします。


――ミュージカル『アラジン』一番の見どころは?

スコット「すべての方に何か感動を持っていただけるようなショーだというところが、私が最も魅力があると思っている部分です。NYでこのショーを観劇された方から一番言われるのは「自分の望んでいたすべてのものがこのショーの中にある」ということ。たとえば「私の夫さえもすごい楽しんだ」というコメントをもらったりします(笑)。すべての要素というのは、キャストや衣裳、照明、音楽というショーの中にあるべき要素。それらが本当に素晴らしく、全部が良かったと、チケット代を払うに充分な価値があったと皆さん仰っていただいています」

マイケル「今スコットが言ったことに100%同意しますが、追加するならば、すべてのキャラクターの旅を、お客さまも一緒に感じることができるということ。例えばアラジンの物語、ジーニーの物語、ジャスミン、アラジンの友だちであるバブカック、オマール、カシーム、それにサルタン王、ジャファーなど、すべての登場人物にお客さまがどんどん引き込まれていって魅了されていく、そしてお客さまも一緒にその物語の旅を楽しむことができる、それが見どころだと思います」
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――四季の俳優についての印象を。

スコット「以前『コンタクト』の時にスーザン(・ストローマン)と一緒に来日し、作品作りに関わらせていただきました。その時とまったく同じ感想ですし、私が今回本当に喜んで、演出補としてこのプロジェクトに参加させていただいたその理由にもなったことですが、実は私は日本に来る前に、どういう経験が出来るかすっかりわかっていました。すべてのショーを作る上でのプロセスにこれほど熱心に、皆さんが一生懸命やっている、そういうところは他のどこを探してもないと思いますし、私の人生の中でも他になかった。それは俳優さんもそうですし、環境もそう。こんなところは他にない。驚くべき素晴らしいアーティストの集団で、本当にトップレベルだと思っています

マイケル「僕も同意です。本当にご一緒できることを素晴らしく思っています。キャストの皆さんが一緒に作っていこう、成長していこうという姿、そして誠実な姿勢、ひたむきに取り組もうという姿勢にこちらも感化されています」


――ブロードウェイ版ではジーニー役はジェームズ・モンロー・アイグルハート(※彼はこの役でトニー賞助演男優賞を受賞した)の強烈な個性のもとにキャラクターを作られていました。まったく違う個性の違う四季の俳優でやるにあたって演出の面で留意したことは。

スコット「まさに仰るとおりです。このショーの一番最初のスタートはハワード・アッシュマンとアラン・メンケンと、ディズニーのシアトリカルチームが生み出したのですが、それはもうずいぶん前のこと。そしてジェームズさんがブロードウェイで作り出したもの(ジーニー)を再現するのはおそらく不可能です。もちろん私たちはディズニーとの契約もありますので、その中でやらなきゃいけないこともありますが。やることはやはり"ホンモノ"を作り出すということ。それは温かさや、子供のような純粋な心を持ち、何かを自らが指揮をとってやり、それを真実に作ることができるというものです。ですのでブロードウェイでやっている『アラジン』と同じようなものをここで作ろうとすることは正しいことではない。私たちが今やろうといしているのは、四季の素晴らしいふたりのジーニーが持っている才能を使って、日本の素晴らしい"ホンモノ"の『アラジン』を作っていきたいということです」
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――今の話を受けて、ジーニー役のおふたりが思うことは。

道口「僕も最初はアイグルハートさんをなぞる部分がたくさんありました。(彼のような貫禄をつけようと)オーディションに合格してから6キロほど太りましたが、今はそれから少し戻りました(笑)、やはり僕がいくら頑張って食べても彼のようにはなれないので。実際ブロードウェイでは彼以外のジーニーもいます。それを見て「こういうのもあるんだな」と思いましたし、今スコットさんが仰ったように、本物のジーニー...最初にアニメーションが作られた時にあったジーニーを僕が離さないでそこを掴めればジーニーになれるんだと思って、僕はそれを信じてやっています。だからアイグルハートさんのイメージがあるということは、僕にとっては開幕したときに別の驚きをお客さまに与えることができるんだ、そう思っていま努力して作り上げています」

瀧山「たくさんの方がご存知のキャラクターで、すごいプレッシャーでもあるのですが、やっぱり自分に出来ることを一生懸命やって、とにかく舞台に貢献して、楽しんでいただこうということをきちんと自分が離さないようにして取り組めるようにできたらなと頑張っています」
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――先ほどスコットさんは『アラジン』の舞台化はハワード・アッシュマンとアラン・メンケンとディズニーで話していたと言ってましたが、アッシュマンは映画の『アラジン』作曲中に亡くなっています。ということはこの作品は20年前から企画されていたのでしょうか。

スコット「その通りです。最初ハワード・アッシュマンとアラン・メンケンがディズニーに対してプレゼンを行いましたが、それはディズニーの方で却下しました。当時彼らが見せたもの以上のものを求めていたわけなのです。その後1920年代、30年代の音楽からジーニーのアイディアが生まれ、映画はジーニー役にロビン・ウィリアムスが出演することによって本当に素晴らしいものが生まれました。それはひとつの世界で、素晴らしい映画ですが、まったくの別モノです。この舞台版は、ハワード・アッシュマンとアラン・メンケンが一番最初に考えていたものがすべて盛り込まれている。そこが、私が舞台版『アラジン』が素晴らしいと思っている理由のひとつでもあります。例えば『プラウド・ユア・ボーイ』『バブカック、オマール、アラジン、カシーム』『ハイ・アドベンチャー』といった楽曲が映画ではすべてカットされてしまっていますが、ステージではこれらが本当に素晴らしく作品の中に溶け込んでいる。完璧と言っていいほど、ミュージカルのナンバーになっています。当初からこのプロセスに関わっていた方たちすべて、当時のディズニーのことをよくご存知の方たちが、舞台版を観て、本当に大変喜ばれています。アッシュマンさんにもしこれを観ていただけたら、すごく喜んで、誇りに思ってくれるだろうと皆さん口を揃えておっしゃっていただいていますし、アラン・メンケンさんは、もとのアッシュマンさんが入れていた部分は全部そのままで残っているということをかなり強く仰っていました。そこがあったからこそこのショーは素晴らしいものに出来上がったのだと思っています」


――キャストの皆さんに、この作品・役柄の魅力を。さらに候補がふたりずついますが、相手にはここだけは負けてないぞという部分を。

島村「ディズニー作品の主役は『ライオンキング』のシンバに続いて2作品目です。キャラクターが全然違って、アラジンがどんなキャラクターなのか、最初は"キャラクター探し"をしてしまっていました。でもまわりのキャラクターたちが濃い分、自分はまっすぐにこのアラジンと向き合えばいいんだなというところに今行き着いて、とにかく誠実にまっすぐアラジンを演じようと思っています。そうすればおのずとアラジンというキャラクターが出てくるのかなと思っています。
この『アラジン』という作品はアニメーションでもそうなのですがとても色が華やかで、舞台も演出がすごく派手。そんな中で、大切な内容をしっかり伝えていきたいなと思っています。そうでないと華やかな衣裳やステージがくすんでしまう。僕はしっかり内容を伝えることに重点を置いて、日々の稽古に取り組んでいます。アラジンが話を進めているので、ちゃんと言葉を通し客席に伝えることがまずは最優先。自分を見失わず稽古していければと思っています。
...(相手より勝っているところについては、厂原は)先輩なのでなんとも言えないのですが(笑)。何が負けないかなあ...肩幅(笑)? 肩幅なら負けてないかもしれません」
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厂原「僕はアラジンという役をやるにあたって、今の自分じゃ絶対ダメなんだろうなと思ってずっと背伸びをして稽古に挑んでいました。でもスコットさんやマイケルさんたちが来てから、細かく演出をつけていただいて、すごく自分の中で腑に落ちる部分がたくさん見えてきて、まっすぐこのアラジンという役を生きればいいんだなと今は思っています。やっぱりセットも衣裳もすごく豪華ですので、背伸びをすると表現が前に出ずに、自分が埋もれてしまう。明確にただそこに居て、言葉をしっかりお客さんに届けることが、僕のアラジンを見ていただけることになるんじゃないかなと思っています。
あと...(島村に)負けないところ...うーん。難しい質問ですね。お互いない部分がたくさんありますので、悪いところを見るより良い部分をたくさん見て自分に取り入れたいなという思いがあります」
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岡本「『アラジン』という作品は男性がメインで、男性ばかりの中、ちゃんと華を添えられたらと思っています。スコットさんから頂いたアドバイスでもありますが、ジャスミン自身の自由への望みといったものを出すだけでなく、それが女性全体の権利をしっかり主張している大事な役。自分だけにならずに、広く全体を見てやっていけたらと思っています。
負けないところは...思いつかないのですが、でも彼女を見ながらとても前向きでフレッシュなところを勉強させていただいています」
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三井「今回ジャスミン役を勉強させていただくことは、私にとって劇団に入って初めての大きなことなので、本当に右も左もわからないままやっているのですが、たくさん優しい先輩方に囲まれているので、皆さんに導いていただきながら日々勉強しているところです。
作品の魅力は本当にすごくエネルギッシュなところ。その中で王女としてしっかり凛と立っていられるようにすることが自分の中での課題です。しっかり自分なりのジャスミンとして立っていられるように頑張りたいと思います。
...負けていないところは...本当になにもないです(笑)。すごく頼りになる優しい先輩で、日々頼ってます。すぐ相談してはいつも教えていただいています。頑張って背中を追いかけたいと思います」
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道口「この話はどうしてもエンターテインメント色の強い、<笑え、笑え、笑え>というイメージが強いと思いますが、それだけでなくアラジンとジャスミンのロマンス、ジーニーとアラジンの友情があり、そしてアラジンとジャスミンとジーニーがそれぞれの自由を得る話と僕は理解しています。ですから、コメディの要素が強いですが、最後は泣かせます。それはブロードウェイにも負けないつもり。ブロードウェイの作風より、四季の色が加わった日本の舞台は<笑って笑って最後に泣かせる>。そこを目指しています。
僕のジーニーは、ブロードウェイのジーニー、アニメーションのジーニーとやはり違います。でも違うなりに僕がオーディションで受かった理由があると思う。5年前にこの作品をやったとしても、5年後にやったとしても、僕がジーニーがやることはなかったと思います。ですから僕はこの役に俳優人生を賭けて、これが終わったときには役者を辞めるつもりでこの作品に、この役に...(このあたりから報道陣が少しざわつき...)ホントですよ(笑)! そのつもりで僕はこの役をやろうと思っています。アニメはこっち(瀧山)の方が似ているんですが、僕は鏡を見て頑張って似せようと思っても似ない(苦笑)。でも今回、みんな日サロに行ったりして焼いているので、彼に限らず、僕は色の白さで誰よりも勝ってるかなと思います」
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瀧山「ずっとクラシックを勉強してきて、劇団四季の舞台でも『オペラ座の怪人』と『サウンド・オブ・ミュージック』というクラシカルで荘厳なイメージの強い舞台に立たせていただきました。今回初めて、こういうコメディ要素の強いお祭りのような舞台に立たせていただけるチャンスをいただいています。本当は私はこっち寄りの人間で、お祭り大好きです。今まで溜めに溜めてきたパーっとしたかった欲望や願望を...うっぷんじゃないですよ(笑)、それを思いっきり発散できたらと思っています。そして道口さんが仰ったようにとても賑やかな舞台ですが、愛に溢れた物語だと僕も解釈しています。アラジンとジャスミンのラブロマンス、アラジンとジーニーの友情、それにアラジンにも親友たちがいます。ジャファーという悪役も出てきますが、彼は自分の中でものすごく自分に愛を持って生きているなと思いますし、ジャスミンと父親の親子愛もあります。この愛の深さをぜひご覧いただけたらなと思っています。
(道口は)本当に偉大な先輩で、とても尊敬しています。えー、自分の方が劣ってる部分もたくさんあります。勝ってるところは...顔の大きさくらいかと思います(笑)。でもそういったところも含めて、アニメ寄りなのは瀧山じゃないかと仰っていただけたので、そこもヒントに取り組みます!」
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――ブロードウェイにはない日本オリジナルの演出などがあれば教えてください。

スコット「はい、ブロードウェイにはない追加の要素で、四季さんの方で追加したものがあります。言ってしまって(楽しみを)台無しになってしまっては困るので具体的にお話することは出来ませんが。ブロードウェイのショーで出しているもの、プラス、さらに楽しんでいただけるものが盛り込まれていると考えてください。(ディズニーの魔法のような演出は)"ディズニー・マジック"と呼ばれ、お話できないような秘密の要素ですが、今回は"四季マジック"と言ってもいいかもしれませんね


――ダンスとしては今回の作品は、どんなオリジナリティがありますか。

マイケル「スタイルと動きはブロードウェイとまったく同じものです。振付自体はすべて中東・アラブの動きを取り入れています。衣裳も照明も、照明の色自体も中東の文化からの影響を受けています。イメージ全体を、アラブの千年前から続くような特殊な動き、文化によっての動きを再現できるようにしています。そこに、演出・振付のケーシー・ニコロウ氏は20年代、30年代のボードヴィルの動きやポップな感じを、特にジーニーの動きに取り入れています。これらがこの作品のとてもユニークな世界観を作り上げています」
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取材・文・撮影:平野祥恵

【公演情報】
5月24日(日)大同生命ミュージカルシアター 電通四季劇場[海]にて開幕!
※チケットは2016年5月31日(火)公演分まで発売中

チケット情報はこちら

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