■ミュージカル『二都物語』 華麗なるその世界 vol.8■
ミュージカル『二都物語』、気付けばもう開幕は明後日!
まもなくです!!
まもなくです!!
7月上旬の某日、<通し稽古>をやると伺い、またまた稽古場にお邪魔してきました。
結論から言いますと...
泣けます!!
泣いて、その後に心が澄んでいくような、素敵な物語になっています。
井上さんもインタビューで仰っていましたが、まさに<歌がなくても成立するくらいの濃度の芝居、そこにドラマチックな音楽が重なっている>作品です。
●STORY●
18世紀後半、イギリスに住むルーシー・マネットは、17年間バスティーユに投獄されていた父ドクター・マネットが酒屋の経営者ドファルジュ夫妻に保護されていると知り、パリへ向かう。
父娘でロンドンへの帰途の最中、フランスの亡命貴族チャールズ・ダーニーと出会うが彼はスパイ容疑で裁判に掛けられてしまう。
そのピンチを救ったのはダーニーと瓜二つの酒浸りの弁護士シドニー・カートン。
3人は親交を深め、ダーニーとルーシーは結婚を誓い合う仲になる。
密かにルーシーを愛していたカートンだが、2人を想い身を引くことに...。
しかしダーニーは昔の使用人の危機を救おうと祖国フランスに戻り、フランス革命により蜂起した民衆たちに捕えられてしまう。
再び裁判に掛けられたダーニーだったが、そこで驚くべき罪が判明し、下された判決は死刑。
ダーニーとルーシーの幸せを願うカートンはある決心をし、ダーニーが捕えられている牢獄へと向かうが...。
(公式HPより)
この日の稽古場は、やはり<通し稽古>ということで皆さん、騒然としているような、気合いが入っているような、でもカンパニーがひとつの方向を向いているような、独特の空気が流れていました。
最初にいくつかのシーンを確認。
こちらは民衆たちのナンバーの確認中。
濱田めぐみさん越しに、アンサンブルの皆さんです。
高さのあるセットも組まれています!
舞台上には大きなパネルが4枚。
これが移動したり、回転したりして、場面が変わっていくようです。
クライマックスのシーンのとある動作では、演出の鵜山仁さんが「"生と死の鮮やかな交錯"というのをやりたいんです!」とドラマチックな形容で熱弁。
ちょっと大仰なその物言いに、ご自分で「言葉で改めて言うと、なんか...だね」と少し照れていましたが...。
かと思ったら、「上手の人たちは、何か面白いことできますか」とざっくりした言葉を振り、突然言われた方々が苦笑しちゃったり。
これがウワサの鵜山演出かぁ!
すみれさんが"可愛らしい方"と話していたのが納得。
でも鵜山さん、終始、紳士的なんです。
演出をうけている濱田さん&橋本さん。濱田さんも笑顔。
騒然としているようでもどこか和やかな稽古場の雰囲気は、きっとそんな鵜山さんの力によるところが大きいのでしょう。
※鵜山演出については、キャストの皆さんが愛情たっぷりにイベント「二都の夕べ」で語っています。
通し稽古の前には、場面転換と音楽の寸法の調整もされていました。
「ここの部分、短くできますか。効果としては"解決しないままに進んでいく"と見せたいんです」
等々、明確に意図を言語化してまわりに伝えていく鵜山さんです。
さて、通し稽古がスタート。
稽古場レポート Part1でもご紹介した、プロローグのシーンも、高さのあるセットではこんな形になりました。
手前は、ドクター・マネット役の今井清隆さん。
しかしその頃、パリではある騒動が起こります。
手前は、ドクター・マネット役の今井清隆さん。
浦井健治さん扮するチャールズ・ダーニーは、爽やかで優しそうで、気持ちの良い青年です。
対して、岡幸二郎さん演じるチャールズの叔父、サン・テヴレモンド侯爵は冷徹です...。
叔父と決別したチャールズは貴族としての権利を放棄し、フランスからイギリスへ渡ります。
その道中で、ルーシーに恋に落ちたチャールズ。
チャールズと同じように、ルーシーも純粋で、心の綺麗なお嬢さん。
でもちょっとお茶目な顔を見せるシーンもあって、すみれさんのキュートなキャラクターと似合ってます!
そして!
井上芳雄さん扮する飲んだくれ弁護士シドニー・カートンは、相変わらず飲んでます。
一緒に飲んでいるバーサッド(福井貴一さん)、ジェリー・クランチャー(宮川浩さん)の役どころもとてもオイシイ。
悪役かと思いきやとてもいい動きをしたり。
人間は善悪を単純につけられない複雑なものである、というようなものも、この物語は語っているようです...。
この、バーサッドがくすねる時計も、のちのち活きてきます。
この物語、伏線の張り方などもとても秀逸。
見ていてまったく飽きさせない、続きが気になる展開になっています。
バーサッドの姦計で、捕らえられたチャールズ。
この裁判の場で、シドニーとチャールズが初めて同じ舞台の上に。
といっても寝てるんですが、井上カートン...。
でも裁判をひっくり返す論法なども面白く、実はデキる男・カートン。そして本当に細部までしっかりした物語なんです。
見事無罪となったチャールズと、勝利を勝ち取った弁護士ふたり、カートンとストライバー(原慎一郎さん)。
井上さんの飲んだくれっぷりも見事ですが、
姿勢からして"貴族"の浦井さんの押さえた演技も唸らせられます。
ふたりの対比も注目。
勝利の杯を交わすふたりですが...
シドニーは、口ではルーシーのことを「人形のように可愛いだけ」と言いながらも、その彼女に惹かれている自分に気付きます...。
時間は流れ、クリスマス。
日本ではあまり馴染みはないですが、西洋では「クリスマスには宿り木の下にいる男女はキスをしなければならない」とか、「クリスマスに宿り木の下でキスをした恋人たちは永遠に幸せになれる」といった言い伝えがあることを予備知識として入れておいた方がいいかもしれません。
ルーシーはシドニーをクリスマスの食事に誘います。
ここで歌われるナンバーが、先日のイベント「二都の夕べ」で井上さんが歌った「この星空」。
(公式HPで動画を見ることができます)
(公式HPで動画を見ることができます)
ルーシーの優しさに触れ、彼の中の何かが変わります。
このナンバーの間の、井上シドニーの表情の変化が凄い!
笑顔もひきつったようなものしか浮かべられなかった彼が、自分の心の中の変化に戸惑い、そして決意を秘めた表情へ...。
鮮やか。
鮮やか。
ですが、そのクリスマス。
チャールズもまた、ルーシーにプロポーズを贈ります。
ここのチャールズとルーシーは、ひたすらキュート!
しかしその頃、パリではある騒動が起こります。
渦中にいたのはサン・テヴレモンド侯爵。
誰の手でしょうか...。
貴族に対する怒りが頂点に達した民衆は立ち上がります。
中心にいるのはこのふたり。
橋本さとしさんと、濱田めぐみさん扮するドファルジュ夫妻。
彼らもまた、実はカートン、ダーニー、ルーシーの3人に深く運命が絡みついています...。
その騒動を受け、チャールズはパリへ帰国する決意をします。
そこから、物語はさらに勢いをつけ回転しだすのです。
ストーリーを知っていても感動は薄れないと思いますが、後半は写真のみでレポートをお届けしましょう。
井上カートンが、何かを削ぎ落としていくように、どんどん穏やかな表情になっていくのが印象的。
こちらは「二都の夕べ」でも披露された「いまは子どものままで」のシーンです。
まず、登場人物ひとりひとりが、メインキャストのみならずアンサンブルに至るまで、しっかり芯を持って描かれています。
ですので、特に民衆のシーンが熱い。
中心にいるドファルジュ夫妻含め、暴走し出す人々の不満、怒り、というものがとても激しく、圧倒されます。
それと対照的に、カートン、ダーニー、ルーシーの切なくも温かい三角関係は、ひたすら繊細に描かれます。
動と静が美しく共存していて、とてもドラマチック。
音楽も迫力があり、とても見ごたえのある作品になっています。
何より、井上さん&浦井さんの芝居が、泣かせます!!
仕事で伺った稽古場なのに、どっぷり物語に入り込んでしまった担当でした。
カーテンコールで一緒にバンザイする、井上カートン&浦井ダーニー。
公演は7月18日(木)から8月26日(月)まで、帝国劇場にて。
チケットは発売中です。
★おまけコーナー「本日の浦井君」★
(いつの間にコーナー化!?)
この日も浦井さんの目線をゲット!
「はいポーズ」の代わりの、浦井さんの「仲良し!」の掛け声で。
寺元健一郎さん、安部誠司さん、管谷孝介さんとともに。
皆さんありがとうございましたー。