■ミュージカル『二都物語』 華麗なるその世界 vol.6■
ミュージカル『二都物語』日本初演、どんどん開幕が近づいております。
7月になり、とうとう開幕当月に突入です!
そんな7月1日、~二都の夕べ~と題されたスペシャルイベントが帝国劇場にて開催されました。
登壇者は、井上芳雄、浦井健治、すみれ、濱田めぐみ、橋本さとし、プラス司会に岡幸二郎、という面々です。
会場には、抽選で選ばれた1000名のお客さまが詰め掛けました。
日本初演ですので、どんな作品なのかとワクワクドキドキなお客さまの前で、まずは3曲、楽曲が披露されました。
♪井上芳雄「この星空」
ルーシーに初めて頬に手を触れられたカートンが、目に入る今までと違う世界を歌うナンバーです。
♪濱田めぐみ「見えない場所で」
マダム・ドファルジュが、貴族に対する怒りを歌うナンバー。
岡さん曰く「この怒りから、フランス革命が始まります」とのことです。
♪井上芳雄、浦井健治「いまは子どものままで」
最後の決断をして、牢獄のダーニーに会いにいくカートン。
そこで歌われる歌です。
ドラマチックなナンバーに、歌ウマ揃い!
聴き応えたっぷりです。
本番の舞台への期待が高まります。
さて、トークショーはこんな雰囲気で行われました。
まずは司会の岡さん(舞台ではサン・テヴレモンド侯爵を演じます)から、この『二都物語』はフランス革命の時代が舞台となっていて、(この日の会場となった帝国劇場で、現在まさに上演中の)『レ・ミゼラブル』はフランス革命から20年くらいあとの話で、さらに少し離れた東京宝塚劇場でも『ベルサイユのばら』を上演中であることから、「日比谷はいまフランス祭り」なんて話がありつつ。
帝国劇場初出演の濱田さんが、楽曲披露の感想を「緊張しました。緊張してちょっと目をつぶって歌っちゃいました」と言ったところから、井上さんが歌った「この星空」の背景に光った星は「(レ・ミゼラブルの)『スターズ』の星だからね」なんてトークも。
そして、現在の稽古の様子を
「毎日お稽古が楽しいです。稽古が始まって1ヵ月。けっこう早く立ち稽古が最後までいって、いま細かく繰り返しているところなんです。シーンを返すたびにたくさん発見ある。鵜山さんが毎回新しい提案をしてくださって、カートンはこういう人だったのかなという発見の連続ですごく楽しいです」と井上さん。
また、演出の鵜山仁さんについて、鵜山演出の常連・浦井さんが
「鵜山さんはひとりひとりの役者さんを愛しているんです。それにミュージカルが好きなんですね。音が好きな方で、芝居と歌の融合を目指して、今までと演出の仕方が違っていて面白いです。セリフの部分ではなく、歌の部分で、「歌詞の後ろ側でこういうかんじで言ってみたらどうかな、うひょひょひょ!」って(笑)」とモノマネ(!?)を混ぜつつ発言したところからこんな流れが。
井上「この人ふざけてんのかなって思う時がある(笑)」
浦井「たまにありますよね。この前も稽古場で、「岡さん、歩いてきてください、住宅展示場を見学している風に」って!」
浦井「たまにありますよね。この前も稽古場で、「岡さん、歩いてきてください、住宅展示場を見学している風に」って!」
井上「さっき歌った歌でも、すみれさん(ルーシー)に頬を触られて、ああ、なんだこれは、ってなるんですが、そのあと急に「ディズニーランドに来たと思ってください」って言われた(笑)。でも一見びっくりするんですが、ああそういうことか、と腑に落ちるんです」
濱田「私、ヘリウムガスみたいな声でやってみてって言われたことがあります。...(歌ったら)はははって笑ってそのまま行っちゃった...」
浦井「でもあとあと考えると、それが繋がってたりして、こういうことを言ってるんだなってわかるんですよね」
すみれ「もう、すごいかわいらしい方で。わたし、日本語がおかしいからかもしれないんですが、ふつうの監督さんとお話しするとぜんぜん話が通じないことがあるんですが、鵜山さんは英語もフランス語もしゃべれるから、ミックスで話してくださって、しかもアイディアがすごい。すごくわかりやすいし、アーティスティック」
井上「(鵜山さんとすみれさんの)ふたりは理解しあってらっしゃいますよね(笑)。今日も稽古場で、みんな集まって、鵜山さんの話をきいていたんですが、すみれさんがいなくて。すみれちゃーんって鵜山さんが言ったら、すみれさん、「なにー?」って! 演出家に、友だちのように「どうかした?」って!」
思いもかけない流れで稽古場の姿を暴露されたすみれさん、少々慌てていらっしゃいました。
そんなすみれさんも、濱田さん同様、帝劇初出演。
この日、登場が少々出遅れたのですが、その理由は実は「ほんとに緊張しています。今日も裏から(3人の歌唱披露を)見てて、みんなを応援してたら逆にこっちが緊張して怖くなって、ギリギリでトイレいかなきゃならなくなって、遅れちゃったんですよ~!」とのことでした。
緊張していると繰り返し言うすみれさんなのですが、どこかあっけらかんとした風もあり、独特の天然っぽさがいい味を出しています(笑)。
「本番ではやめてよ~」と言う岡さんに、「(本番でやらないように)だから今、失敗しておいたの!」と主張するすみれさん。
さらに真ん中から客席を見てみたら、ということで真ん中に立ち、客席の灯りもつけて見えるようにしてもらい...
「わー、(たくさん)いる!すごいですね~。怖い...うわー。人間じゃないみたい、ありちゃんみたいに小さい!怖い~。...がんばります!」
と決意表明でした。
橋本さんと濱田さんは、夫婦役です。
橋本さん、「ひと言で言うと、暗い夫婦。革命をおこすエネルギーをずっとためこんでいて、ここというところで爆発させる夫婦です」と役どころを説明。
濱田さんは「火の玉をずっと抱え込んでいて外に出さない、というような人物。何かを抱え込んでいるというのが出せたらいいなと思います」とのことです。
そしてすみれさんは「(マダムとは)正反対ですね。最初は暗いんですが、お父様に会えて、ハッピーになれる。だから1幕はずっとルーシーはニコニコしています。純粋な人です。2幕に入る前からいろいろ大変になってきて、そこからだんだん、衣裳の色も変わってくるんですよ。最初の真っ白なものから、だんだんルーシーの色がついていく」と仰ってました。
ちなみに衣裳に関しては、井上さんからは「僕の衣裳は逆に暗い色からだんだん白くなる。ダーニーとルーシーは明るい色が暗い色になる。逆になってるんです」との発言も。
衣裳にも、注目しましょう!
イベントではお客さまから寄せられた質問コーナーもありました。
「自分以外の役で演じてみたい役は」という質問では...
橋本「おこがましいんですが、井上君がやっているカートン。役者としても男としても、いい役だなと。底にある部分を隠しながらずっと出さないでいるじゃないですか。そして投げやりになってる自分から、いろんなきっかけによって、腹の中にある優しさとか、ずっと発揮したかった愛というものを自分なりの形で最後に表現できる。演者としてすごくおいしい役、もちろん難しい大変な役だと思うんですが、男のセクシーさみたいなものも出てるし。いいなあ芳雄!」
濱田「わたしも、カートン。(性別は超えられるんですね、という井上さんのツッコミに対し)この際超えましょう!」
すみれ「わたしはやっぱり、めぐさんのやっているマダム。かっこいいです! でも、ルーシーとマダムがちょっとしたパラレルがあるんじゃないかという話もしていて。最初に家族を失って、それからどうやって生きるかを選ぶときに、ルーシーは"皆さんを愛したい"、マダムは"こんなに大変なんだから"と恨む。その両方の役の対比が面白い。でもやっぱり、マダムはかっこいいです、あの情熱感が。ファイアーが、アドレナリンがすごい!」
浦井「やりたい役はいっぱいあるんですが、もちろんカートンもだし。でも性別こえられるということなのでルーシーを。芳雄さんに愛されたい。で、愛されたあとに死んでもらいたい!」(会場、爆笑です)
井上「浦井健治のために(笑)。でもルーシーはすごく皆から愛される役だから、普段の浦井君も愛されてるから似合っているんじゃないかな。僕は、本音を言えば自分の役が一番やりたい、客観的にみてもほんとにいい役。でもちょっと絡まない方が多くて。『二都物語』はロンドンとパリの物語なのですが、僕は比較的ロンドンにずっといて、パリの方たちと絡まないんです。そこがみんなと一緒にやっていて残念なので、福井貴一さん演じるバーサッドという役がロンドンもパリも自由自在にちょこまかちょこまか色んなところに出てきて、結構悪い役なんですが、重要なところでいい働きをするんですよ。みんなと満遍なく絡むのであの役はいいなと思いますね。貴一さんも個性的に面白くやってますし」
というようなやりとりもありました。
満足気なガッツポーズの浦井さん。
最後に井上さんが「日本初演の時はいつもなのですが、どういう作品になるか、ドキドキワクワク、不安もありながらやってるところです。今回は鵜山さんの演出で、鵜山さんはドラマをしっかり作ろうという方で、いろんなことを繰り返しやりながら作っているところです。まだ全貌は見えないんですが、それを積み重ねたときに、びっくりするような物語がこの舞台上に立ち上がっているんじゃないかなと思います。素晴らしいストーリーで、どういうふうに生きるかというのはどういうふうに死ぬかということだと思いますし、カートンはなぜそういう最期を選んだのか、他の登場人物もなぜそういう生き方を選んだのか、ひとひとりの生き様が見えてきたらすごい話になると思うので、ぜひこの劇場でお待ちしております」と締め、イベントは終了しました。
爆笑の連続のイベントでしたが、その中にもキャストの、作品への自信が垣間見えましたよ!
これは、本番を期待するしかないでしょう!!
公演は7月18日(木)から8月26日(月)まで、帝国劇場にて。
チケットは発売中です。