宝塚歌劇雪組『ベルサイユのばら』-フェルゼン編- 制作発表レポート

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●ヒラノの演劇徒然草●


2014年に創立100周年を迎える宝塚歌劇団。
カウントダウンイヤーにあたる99周年の今年も、名作を立て続けに上演し、100周年への盛り上がりをみせています。
中でも目玉は、『ベルサイユのばら』
現在、月組が〈オスカルとアンドレ編〉を上演していますが、4月からは雪組〈フェルゼン編〉を上演します。
この雪組公演の制作発表が3月4日、都内にて行われました。yuki_berubara01.JPG
先立ってニュースとして出した記事はこちら
月組〈オスカルとアンドレ編〉の会見の模様はこちら


『ベルサイユのばら』といえば、ご存知、池田理代子による少女漫画が原作。
宝塚では1974年に初演、以降上演を繰り返しています。

作品はフランス革命へと向かう時代の中、豪華な宮廷で暮らす王妃マリー・アントワネットと、彼女を愛したスウェーデン貴族フェルゼン、また王家を守る将軍家に生まれ、女性ながら男として育てられた男装の麗人オスカルと、彼女を愛する幼なじみアンドレ...と、魅力的なキャラクターがそれぞれのドラマを作り、時代のうねりを描き出していきます。
壮大な物語ゆえ、宝塚ではそれぞれのキャラクターを主人公に、多くのバージョンで上演をしており、上演を繰り返しても単なる再演とはなっていないという点も、人気の秘訣。
また、なんと言っても、フランス貴族の豪華なコスチューム&作品世界に、少女漫画から飛び出してきたような美しいスターたちが見事にマッチし、宝塚の代名詞というべき作品になっています。

今回雪組が上演するのは、白ばら=オスカルを中心としたバージョンに対し、紅ばら=マリー・アントワネット周辺の物語をフィーチャーした〈フェルゼン編〉。
『ベルばら』というだけで注目が集まりますが、加えて今回は雪組新トップコンビ、壮一帆&愛加あゆのお披露目でもあり、一層チケット争奪戦となりそうです。
さらに、兵庫公演のみですが、星組の柚希礼音、宙組の凰稀かなめ、月組の龍真咲という3人のトップスターが特別出演する日もあり、歌劇団全体でこの公演を盛り上げていきます。

会見では最初に歌唱披露もありました。

『愛の面影』を歌う壮一帆yuki_berubara02.JPGyuki_berubara03.JPG
『愛あればこそ』をデュエットする壮一帆&愛加あゆyuki_berubara04.JPG
会見ではまず、小林公一 歌劇団理事長が
「植田先生にはこのための新しい『ベルサイユのばら』を作ってもらっていて、多くのお客さまの期待に応えられるような見ごたえのある作品に仕上がっております。劇場に足を運んでいただく多くのお客さまが、『ベルサイユのばら』はさすがに宝塚歌劇の財産だと思っていただけるように、さらにそれだけではなく、常に進化している作品だと思っていただける作品にするために、一同一丸となって頑張ってまいります」
とご挨拶。

また脚本・演出を務める植田紳爾氏
「おかげさまで、現在上演している、龍真咲を中心とした月組の『ベルサイユのばら』が大変に入りがいいし評判がいい。それ以上の作品を作らなければいけないと苦しんでいます。実は昨年9月に脚本の第一稿が出来上がっています。悩んで悩んでこれしかないだろうという形を作り上げたのですが、それではやはり、99周年の記念で3組のトップが応援してくれる回と、壮を中心とした雪組(メンバーのみ)の『ベルサイユのばら』が同じでいいのかと1週間前から悩みはじめました(笑)。豪華な3人のトップが出てくれる『ベルサイユのばら』と壮を中心とした雪組の『ベルサイユのばら』は作り上げる形がぜんぜん違います。ですので、ふたつのパターン(の脚本での上演)をしてみようと。こんなことは宝塚では初めてじゃないかと思います」
と、なんと脚本を2パターン用意する構想を明かしました。

さらに
「まずオスカルとアンドレという役を特別出演で(トップスターである)彼女たちがやってくれる場合は、毒殺のところからはじめないと、なんのために出てくれたかわからない。だがそこからやると、雪組のバランスが違ってきてしまう。どこかを縮めてどこかを入れようとも考えたんですがそんなこと考えても無理。ですので、壮のために新しい場面を作ってみようと思いました。『ベルサイユのばら』で初めての新しい場面を作って、それを壮のための場面にしたら、せっかく出てくださるゲストのみなさんの顔もたつし、壮の顔もたつ。お客さまも満足していただけるんじゃないかなと思います。(新しいシーンについては)とにかく壮をかっこよくしようと思います。だいたいフェルゼンというのは辛抱立役で、受身の芝居しかできない役。でもそれでは面白くないので、たまには発散できるフェルゼンはどうだろうと思って今、まさに書いています(笑)」
と詳細を話していました。


主役・フェルゼンを演じる壮一帆さんは、なんと、6回目の『ベルばら』出演。
正月の月組公演にも、アンドレ役として特別出演をしました。yuki_berubara05.JPG「前回の月組の制作発表で5回目だということを口にしてしまい、あとでああいうことは言わなければ良かったかなとも思ったんですが、まずハードルを高くしてそれを乗り越えるんだという気持ちで、前回の月組の特別出演に臨みました。今回は私と愛加のお披露目公演ということで『ベルサイユのばら』を雪組で上演できますことをとても光栄に嬉しく思っております。長年にわたり上演されてきたベ『ベルサイユのばら』。先輩たちが築き上げてこられた伝統をしっかり受け継いで、また次の世代にしっかり残していけるように、私なりの新しい風を吹き込む事ができればいいなと思っております。6回目のベルサイユのばらですが、今回は初めてのフェルゼン役。いままでに出演してきた経験をしっかり生かした上で、私なりのフェルゼンを情熱的に、そして品格ある人物としてとらえて、お客さまにすばらしいものをお見せできるようにしっかりと華やかに舞台に立ちたいと思います」と意気込みを。

またフェルゼンに関しては「前回月組の特別出演で経験させていただいたアンドレと、身分違いの女性を愛してしまったがゆえの苦悩というのは同じかなと思います。けれども彼らが決定的に違うのは身分。平民のアンドレに対して貴族のフェルゼンというところを、ビジュアルはもちろんですが、内面的なところをもっと掘り下げて、発揮していきたいなと思います。前回は月組で白ばらを愛しぬきましたが、今回は紅ばらの愛加を私なりのフェルゼンの愛で大きく包み込みたいと思います」とも。


こちらは相手役となる愛加あゆさんyuki_berubara06.JPG「私は外伝を含め『ベルサイユのばら』に出演させていただくのは3回目ですが、マリー・アントワネットという、娘役なら誰でも憧れる役をやらせていただくことを本当に光栄に思います。役の名に恥じないよう、彼女が生きた限り有る生涯の中で、壮さん演じるフェルゼンを最後まで愛しぬきたいと思います」とご挨拶です。
愛加さんは、マリーという役については「ただのわがままな女性と捉えられないように、時代の中で、どういうふうに最後まで生きたかという人物像、芯のしっかりもった女性、というところを演じたい」と話していました。

特別出演、星組トップスターの柚希礼音さん。アンドレを演じます。yuki_berubara07.JPG「私はアンドレ役は3回目。今の自分が感じるアンドレを追求したい。そしてまた、もう二度と一緒にお芝居をすることはないだろうと思っていた凰稀かなめオスカルを愛しぬきたいです」
凰稀かなめさんは宙組トップに就任する前、星組の二番手スターとして柚希さんと同じ舞台を作っていました。
「そして何よりも壮さんと愛加ちゃんのお披露目公演を雪組さんと一緒に盛り上げていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします」と柚希さんでした。

同じく特別出演、宙組トップスターの凰稀かなめさん。オスカル役です。yuki_berubara08.JPG「宝塚に入ったら絶対に演じてみたい役、誰もが憧れる役、オスカル役に挑戦できますこと、本当に嬉しく思っております。わたしは2度、組替えをしていますが、壮さんとは雪組時代に、柚希さんとは星組時代にご一緒しています。再びお二方と一緒に舞台を作れますことを今からとてもわくわくしています。99周年のアニバーサリーイヤーに相応しい舞台をお届けできるよう、精一杯務めたい」
とのことでした。

こちらは月組トップスターの龍真咲さんyuki_berubara09.JPG現在〈オスカルとアンドレ編〉を上演中。月組公演ではオスカルとアンドレの2役を日替わりで演じていますが、雪組特別出演はアンドレ役で登場します。
「大好きな『ベルサイユのばら』に、1年に2回も出演することができ、とても光栄に思っております。私は壮さんにはお正月に特別出演をしていただき、たくさんのことを学ばせていただきました。今度は壮さんと愛加さん率いる雪組のフェルゼン編で微力ながら精一杯務めさせていただきたいと思います。わたしが愛するオスカルはわが同期・早霧せいなですが、同期というところに甘えず、しっかり愛し合い、役を深めていきたい」
と意気込みを。

質疑応答では
「お披露目公演の上に、さらに名作『ベルばら』。プレッシャーは」といった質問も。

これに対しては
「私は『ベルサイユのばら』は、宝塚に入ったなら、必ず全員は経験した方がいいと思っている作品です。その作品に6度も出させていただいて、今回お披露目として6回目ができますことは、プレッシャーでもありますが、また新たなエネルギーがうちからわいてくるような気持ちでいっぱい。雪組の組子も前回、朝海ひかるさんが演じたオスカル編(2006年)の経験者も数多く残っていますし、月組のお正月公演の『ベルサイユのばら』を観た下級生たち、すでにエンジンがかかっております。ですから、月組の勢いを止めることなく雪組がしっかり受け継いで、そして...龍さんごめんなさい!それ以上のものを雪組で作り上げていきたいなと決意も新たにしておりますので、私にとってのプレッシャーは乗り越えるべき壁です!」と力強いコメントを返す、壮さんでした。

公演は4月19日(金)から5月27日(月)に兵庫・宝塚大劇場、
6月14日(金)から7月21日(日)に東京宝塚劇場にて。
チケットは兵庫公演が3月16日(土)、東京公演が5月12日(日)に一般発売開始です。

チケット情報はこちらyuki_berubara10.JPG

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