●ヒラノの演劇徒然草●
11月19日、宝塚歌劇月組『ベルサイユのばら-オスカルとアンドレ編-』の制作発表が行われました。
ひと足先に出したニュース記事はこちら。『ベルサイユのばら』といえば、宝塚を代表する名作中の名作です。
原作は、池田理代子による少女漫画。
宝塚では1974年に初演、その後も上演を繰り返し、現在までの上演回数は1763回、観客動員数は426万人超。
宝塚、イコール『ベルばら』を思い浮かべる方も多いのでは。
2013年、この名作が、7年ぶりに帰ってきます。
今回は、1月から月組による『オスカルとアンドレ編』、そして4月から雪組による『フェルゼン編』を連続上演。
2014年に創立100周年を迎える宝塚、2013年からは「アニバーサリーイヤー」と銘打ち名作、大作を上演していくとのことですが、その第1弾となります。
それぞれに他組のトップスターが特別出演したりと、宝塚あげてのお祭りムードも満載です!
月組公演では、メインキャラクターのオスカルとアンドレは、龍真咲と明日海りおが役替わりで務めるのも話題。
そして、花組トップスター蘭寿とむと、次期雪組トップスター壮一帆(12/25に就任)が、アンドレとして一部日程に出演します。
制作発表冒頭には月組トップスター龍真咲、準トップ明日海りお、娘役トップスター愛希れいかによるパフォーマンスも披露されました。
そして会見ではまず小林公一理事長が「今回も植田先生が新たな脚本、演出で構成しておりまして、さらに華やかでドラマチックな作品に仕上げていただいております。役がわり公演、各組からの特別出演もありますので、今の宝塚歌劇を支えるスターたちによる、今回の『ベルサイユのばら』を楽しんでいただければ」と挨拶。
『ベルサイユのばら』初演から演出を担当している植田紳爾氏は「月組は、この3人が月組を背負うようになってから大変パワフルになってきた。そういう今の月組のエネルギッシュな力を『ベルサイユのばら』の世界でどう生かそうか、と考えております。蘭寿、壮という強力な応援もありますので、100周年を前に99周年に、各組の窓をあけて空気を通して、活性化した宝塚ができればと思います」と今回の月組公演への意気込みを。
また「『これぞタカラヅカ』というような、夢とロマンに溢れた世界を徹底的に追求したい」「徹底的に宝塚のよさ、伝統ある宝塚の舞台を作っていきたい」とも話し、「今度の目玉は、オスカルとアンドレが最後に馬車にのって天国に行くのですが、これをクレーンでやって、ふたりが乗る馬車そのまま空中に飛んでいこうと思っています」と新たな構想も明かしていました。
会見には原作者の池田理代子氏も出席。
「今年は原作がこの世に生まれて40周年。「宝塚で当然やるんでしょ」と色々な方に訊かれています(笑)。最初に上演された頃のことを昨日のことのように覚えていますが、当時は植田先生も髪も真っ黒でした。この頃はふたりお会いすると、どちらがボケているかと競争するような歳になってしまいました(笑)。次(の公演の時)はまだ(この世に)いるかね?というような話もするようになってしまいましたが、でも、原作も、そして宝塚歌劇団の『ベルサイユのばら』も、たとえ我々が消えても、ずっと上演され続ける作品であってほしいなと心から願っております」とユーモアたっぷりにエールを贈っていらっしゃいました。
オスカルとアンドレを役替わりで演じる龍真咲さん。「私は『ベルサイユのばら2001』で初舞台を踏ませていただきました。再びこの作品にめぐり合えましたことに強いご縁を感じ、とても嬉しく思っております。今回はさらに蘭寿さんと壮さんという熱いおふたかたとご一緒させていただけますことを大変嬉しく、頑張りたいなと思います。月組生一丸となって精一杯お稽古に励んでまいりたいと思います」とご挨拶。
また「初めてこのように情熱的に愛される役を演じます。魅力的なお三方(のアンドレ)にそのように思われる、ということなので、しっかりとオスカルの女らしさ、それに国を思うこその、女性である以外の面での強さ、弱さをもしっかり表現した上でオスカルを演じたいですし、アンドレを演じる時にもその相乗効果が出れば。セリフだけではない、心の中の気持ちも演技の上で表せるようにしっかり作りあげていきたい」とも話していました。
愛希れいかさんは、オスカルを一途に慕う少女ロザリー役。
「この作品に出演させていただくことができ、本当に嬉しく幸せに思いますと同時に、今回はオスカル役、アンドレ役の役替わり公演であったり、蘭寿さんと壮さんとご一緒させていただけるということで本当に今から楽しみな気持ちでいっぱいで、わくわくしています。私自身まだまだ未熟者ですが、この作品に精一杯取り組んでいきたいです。オスカルさまを本当に慕って、どれだけオスカルさまを愛せるかということを今回、頑張っていきたい」としっかりとした口調で話していました。
明日海りおさんも、龍さんと役替わりでオスカルとアンドレを演じます。「家で本を読んだり、客席で観る側だったあこがれの『ベルサイユのばら』にこうして今回出演させていただくことになりまして、本当に光栄に思っております。役替わりでオスカルとアンドレ、それに蘭寿さんと壮さんがいらっしゃるときは側でお勉強させていただきながらもうひとつの役、と3役の役替わりに挑戦するのは初めてなので、気力と体力はばっちり備えて挑んでいきたいと思います」とご挨拶。
またどちらの役にしても、龍さん扮する相手役と愛し合う形になることから、
「オスカルでもアンドレでも、龍真咲さんとがっつり組ませていただくので、きっと相手役の愛希にはとてもやきもちを焼かれるのではとちょっと心配ですが(笑)、彼女も納得がいくくらい素敵に演じなければなと思っております」とのコメントも。
また特別出演でアンドレ(1/7~10のみ)を演じる蘭寿とむさんは意外なことに今回が初・『ベルサイユのばら』出演だそうです。「宝塚の宝であります『ベルサイユのばら』に出演させていただきますこと、大変光栄に思っております。3日間という短い期間でありますが、だからこそ龍真咲さん演じるオスカルをより深く、強く愛し抜きたいと思っております。新春の月組公演に華やかな彩を添えられますよう頑張ります」とご挨拶。
『ベルばら』に関しては
「私はファン時代に大劇場公演をみさせていただきまして、池田理代子先生の描かれた『ベルサイユのばら』の世界が宝塚でこんなにもぴったり合うのかと、夢と愛の溢れる世界に涙が止まらなかった記憶があります。アンドレの役作りに関しては、オスカルの気高い志と女心をより深く近くで理解し、包容力あふれる男性を作りたいなと思っています」
とも語っていました。
一方、同じく特別出演でアンドレ(1/11~13のみ)を演じる壮一帆さんは、「私は全国ツアー、外伝を含めますと『ベルサイユのばら』実に5回目の出演」とのこと。
「アンドレ役も今回で3度目になりますので、だからこその緊張感を持ち、そしてその緊張感を自分自身へのパワーとかえて、この月組公演がさらに盛り上がりますよう、そして宝塚もさらに盛り上がりますよう一生懸命がんばります」と意気込みを。
また「宝塚歌劇団の『ベルサイユのばら』は池田先生の原作の漫画があってこそ。アンドレに関しても、原作の漫画のイメージを損ねることなく、原作のファンの皆さまのご期待、そして宝塚の『ベルサイユのばら』のファンのみなさまのご期待にそむく事のない包容力溢れるアンドレを演じたい。そして『ベルサイユのばら』はお稽古場でも伝統ある雰囲気というものがありますので、経験者としてそのあたりも次に繋げていけるように少しでも月組のみなさんにお伝えすることができれば」とも話していました。ちなみにおふたりの好きなシーンは「ワインに毒を入れるシーンの一連が大好き」(蘭寿)、「好きなシーンはたくさんあるのですが、アンドレとして生きているならば、最後の「俺は今日まで生きていて良かった」というセリフが、アンドレの喜びすべてがつまっている場面なので、演じていて私は本当に大好きな場面です」(壮)とのことでした。
最後に「今まで名シーンと言われたシーンは出てくるのか」と問われた植田先生、
「ショーのボレロは名振付ですし、ベルばらの世界ですし、宝塚の世界ですのであれは今回も使いたい。また今回は特にアンドレとオスカルを(龍と明日海で)替わるということなので、いつも一緒に登場しているのにあるときは役が変わっている大変さを思って、ふたりをなるべく離してやりたい、離してやりたい、という気持ちがあったので、(脚本を)描きながらものすごく難しかった。でも皆様方には再演のたびに「ベルばらは進化している」と言っていただけているので、今回もそう言われるようなものにしたいと思っております」と話していました。
新しい2013年版の『ベルサイユのばら』、楽しみです。
月組公演『オスカルとアンドレ編』は1月1日(火)から2月4日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、2月15日(金)から3月24日(日)に東京宝塚劇場にて。チケットは兵庫公演が12月1日(土)、東京公演が1月13日(日)に一般発売開始です。