オリジナル・ミュージカル『私のダーリン』稽古場レポート

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●ヒラノの演劇徒然草●


玉野和紀
黒木瞳を主演に迎えて贈る、待望の新作ミュージカル『私のダーリン』
笑いあり、涙あり、歌あり、踊りあり!の、素敵な舞台になりそうなこの作品の稽古場に、伺ってまいりました。
darlin1302_03.JPG日本を代表するタップダンサーの玉野和紀さんですが、『まさかのCHANGE?!』『CLUB SEVEN』『道化の瞳』と作・演出作品がいずれも全日程完売、というヒットメイカーでもあります。
日本でミュージカルといえばブロードウェイやウエストエンドの翻訳もの、というのが定番の中で、オリジナル・ミュージカルにこだわっているというのも、嬉しいところ。

そんな玉野さんの最新作は、どんな感じなのでしょうか...。

 

●STORY●

日々の生活を活動的に送る夢子(黒木瞳)は、売れない恋愛小説家の夫(玉野和紀)を支えて、『便利屋』の仕事を営んでいる。
夫は家計の足しにとエッセイやコラムを書きながら恋愛小説を執筆していた。
その題名は『夢子の秘密』。
その小説は自分たち2人の思い出を基に書かれてあった。

その書きかけの小説を見た夢子は、夫の為にと思い出の再現を始める。
それは次第に想像・理想・妄想・空想へと広がり、隣の獣医の独身男(石川禅)・隣の仕事が謎の夫婦(坂元健児・愛音羽麗)や
夫の出版社の編集者(町田慎吾・愛原実花)と便利屋の従業員(古川雄大・村井良大・大河元気)を巻き込んで、
夢と現実と過去の世界を行き来しながら数々のシーンが目まぐるしく展開していく。

果たして夫の小説と夢子の空想の結末は...。
(公式HPより)

この日の稽古は、黒木さんの玉野さんのタップシーンから始まりました。
darlin1302_a.JPG開幕までまだ1ヵ月近くある中での取材でしたが、黒木さん、すでに振り、完璧です。
赤いタップシューズで華麗なステップです。

「この時になるべく小さく回った方がいい、次のふたりの交差が綺麗に見える」
「ここまでいくと、離れすぎて見えちゃう」
等と、すでに微調整の域です。

黒木さん、「(近すぎて)私、ジャマじゃないですか?」と玉野さんに気を遣いつつ。
何度か繰り返し、「今の、すごく綺麗だった!」と振付助手さんも絶賛の形が出来上がりました。


続けて、夢子さんと、夫の虎衛門のシーン。
ふたりが池に落ちる場面です。
チラシの裏面のビジュアルにもなっているところのようですよ!

この、ふたりが落ちる池、意外と手狭なようです。
落ちた後、体勢を変えるのも大変みたいで、まずはそんなところの確認から。

場面に入り、池の淵に座って仲良く話をしているふたりのシーンでは、
「チョー照れる~!」と虎衛門=玉野さんの胸をパシンと叩く、夢子さん。
...ここで落ちるはずではないのに、その勢いで池に落ちてしまった玉野さんでした...。
稽古場、大爆笑。

darlin1302_b.JPG慌てた黒木さん、「玉野さん、痩せたんじゃないですか!」。
「(バランス崩しても)掴まるところが、ないんだよ~!」と玉野さん。


そんなふたりのラブラブシーンのあと、キャスト一同が揃うシーンの稽古へ。
物語はどうやら、結婚して10年目の夢子&虎衛門夫婦の現在と、ふたりが出会った10年前や、生活してきたその間の時間を行き来しているようです。

玉野さん、演出家の顔になりました。
darlin1302_08.JPG
まずは最初に、脚本の修正点の共有から。
前のシーンで池に落ちた夢子&虎衛門のセットアップの時間をとるために脚本に修正が入った模様。
本筋は変わらないものの、セリフを入れ替えたり、そのセリフを言うキャラクターを変更したり、と諸々台本の整合性がとられていきます。

修正後の台本で、まずは読み合わせ。
夢子が経営する便利屋の従業員に扮するイケメン3人衆、手前から古川雄大さん・大河元気さん・村井良大さん。
真剣な表情です。
darlin1302_09.JPG
さてこのシーンの目玉は...愛音羽麗さん扮する、夢子さんの隣人・麗香さんの宝塚男役風姿!
ホストのヘルプに出ることになった便利屋イケメン3人衆に、ホストの立ち居振る舞いを麗香さんがレクチャーします。darlin1302_11.JPG
宝塚退団後、これが女優デビューとなる愛音さん。
さすが!カッコイイ!
darlin1302_15.JPGdarlin1302_16.JPG宝塚風...もとい、ホスト風にキメる、古川雄大さん、darlin1302_12.JPG大河元気さん、darlin1302_14.JPG村井良大さん。darlin1302_13.JPG
全然ダメ~!なってない!とスパルタな麗香さんです。
客(女性)役は、村井さん。娘役風(?)に座ってます。
darlin1302_17.JPGここ、日替わり...なのかな?
古川さんバージョンも。
darlin1302_19.JPG日替わりといえば、便利屋のイケメン3人衆のリアクションにはアドリブが多く組み込まれているようで、「ところで君たち、好きな言葉は」など、突然振られていたりしました。
古川さん→大河さん→村井さん、と答えていましたが、その都度見事な(?)三段落ちが披露されていましたよ!

そしてここに限らず、玉野さんの演出は、俳優さんの"素"の魅力を引き出すようなタイプの演出で、「ここのリアクション、それぞれ色々と考えておいてね」なんて、俳優さん自身に委ねる部分も多いようでした。


さて、麗香さんのホストレクチャー、夢子さんも途中参戦し、一気に「ザ・タカラヅカ」ワールドへ。
(おそらく)アドリブで、「フランシスコ...!」(黒木)、「ロザリア...!」(愛音)と、ひしと抱き合うおふたり。darlin1302_c.JPG
イケメン3人衆もこの表情。
darlin1302_21.JPG「じゃ、そのセリフ、キメにしちゃいましょうか。「ロザリア」きっかけで、3人は拍手して...」と進む演出に、黒木さんが待ったをかけます。
「えー、たまにはベルばらもやりたい~」。
...お茶目です。


こちらは、愛音さんに、「男役風」の演出をつける玉野さん。
darlin1302_22.JPGダンサー・玉野さん、さすがにカッコいい動きをなさってるのですが、宝塚出身の黒木さんと愛音さん、「ちょっと違うよねー、そんな男役いないよねー」と辛らつな評価です(笑)。

続けて黒木さん、「すみません!娘役の動きの演出もお願いします!」。
笑いながらも、ちゃんと「娘役風」のしなっとした動きをしてみせる玉野さんに、稽古場爆笑。


さてこちら、石川禅さんは、こちらも夢子さんちの隣人で、獣医の「仁ちゃん」役。
darlin1302_26.JPGちょっと気の弱い、情けないかんじ?
夢子さんに慰められています。

...が、夢子さんのある一言で火がついた!
俺だって、俺だって!と上着を脱ぎ捨てる!
darlin1302_27.JPGそしてその脱ぎ捨てた上着は、袖の位置に控えていた愛音さんの上にばっさりとかかったのでした...。
darlin1302_27b.JPG石川さん、美味しすぎます(笑)


小説家である虎衛門の編集担当者、吉岡役の愛原美花さん。
darlin1302_28.JPG愛原さん、元気いっぱいで、ちょっと空気よめなさそうだけど憎めない女の子役を表情豊かに演じていて、かわいい。
町田慎吾さん扮する先輩編集者・浅井とのデコボココンビっぷりも面白いです。


こちらは麗香さんの夫の竜崎龍二さん役の、坂元健児さん。
darlin1302_29.JPG私が稽古場にお邪魔している間に龍二さんの登場シーンは来ず、隠し撮りのようなカットになってしまいました...。
担当、「坂元さん運」がないのか、以前も同じようなことがありました(苦笑)


そんな、爆笑の稽古場でしたが、物語はなかなか切ない展開になっている模様。
笑って泣かせる「玉野マジック」、お楽しみに。


取材・文・撮影:平野祥恵


<追記>「日替わり」と書いた部分で補足です!
「日替わり」というと語弊があるかもしれません、すみません。厳密にはその場で「じゃあ...誰々!」と振られるアドリブ的なもの...という感じでしょうか。がっつり、役柄が入れ替わったりの日替わりではないので、ご注意を!
なお、稽古場レポートは稽古中の段階の内容であり、本番の際には異なる可能性もありますのでご了承ください。
玉野さんの演出は、かなり演じる側の自由度が高い上に、セリフなども稽古場でどんどん変えられていくタイプのもので、私が稽古場にいる間にも、台本がどんどん書き換えられていっていました。

公演は3月26日(火)から4月14日(日)まで、東京・シアタークリエにて。
その後、兵庫、大阪、名古屋、福岡でも上演されます。
チケットは発売中です。darlin1302_e-thumb-350x398-11681.jpg



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