『庭の木と四つの物語』 綾凰華・富本惣昭・白樹栞(演出)インタビュー

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2023年11月10日(金)~11月12日(日)にてドラマ・リーディング『庭の木と四つの物語』夏~『ベティ・ド・ラ・ポンシュ』~そして...秋~『トレアドール』~が東京都・六本木トリコロールシアターにて上演される。

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ウォルター・マッソーとイングリッド・バーグマン主演のハリウッド映画「サボテンの花」の原作としても知られるバリエetグレディの恋愛コメディ。四季折々の物語の中から、今回は夏と秋を上演する。主演を務める綾凰華富本惣昭と、演出の白樹栞にインタビューを行った。

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(綾凰華)

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(富本惣昭)

――まずは台本を読んだ印象を教えてください。
綾:「夏」と「秋」で物語の印象が全然違っていて楽しみです。私が演じる女性は、「夏」の方が年上だけど性格的には若くて、「秋」はもう少し若いけど人生に疲れている。その違いが面白いと思いますね。
富本:フランスの戯曲感が強い作品だと感じました。口調もそうだし、庭付きの瀟洒な館を買おうとする人たちも貴族やお金持ちが多い。その人たちの価値観に合わせて作っていけたらと思います。

――演出について、現時点での構想やこだわりを教えてください。
白樹:私は2019年に野坂実さんの演出で渡辺裕之さんと一緒にこの作品を演じたんです。本当にいい作品で、再演したいという話をずっとしていました。面白いのは、春夏秋冬をなるべく少人数のキャストで演じるようにという注釈があるところ。今回、周囲から「一番詳しいあなたがやったら」と言われて演出を手がけることになりました。朗読劇ですが、立って歩き回りながらやっていく作品になると思う。演出補の方にアイデアを話したらすごく面白がってくれています。

――綾さんはミュージカルへのご出演が多いと思います。少人数の会話劇の面白さはどこに感じますか?
綾:普通のお芝居よりも言葉の力でお客様を惹きつけないといけないので、そこを大事にしたいと思います。1人で台本を読んでいる時点ではわからない部分も多いので、皆さんと合わせた時にどうなるか楽しみです。

――富本さんは『ル・ゲィ・マリアージュ~愉快な結婚』などでフランス戯曲の経験があります。日本の作品との違いはどこでしょう。
富本:まずジョークの質の違いがあります。それこそ『ル・ゲィ・マリアージュ』はコメディだったので、フランスのジョークについていけるかが最初の問題でした。あとは、台本を読んでいて、フランス人って積極的で情熱的だし、行動力もすごいと思います。

――演じるのが楽しみなキャラクターはいますか?
富本:冒頭の運送屋さんですね。
白樹:「春」はやらないから、その役はないですよ。
富本:えっ! 台本全部読んじゃった!
一同:(笑)。
綾:それぞれの人生が見える会話を繰り広げていて、「私の人生ってこの鞄と一緒なのよ。何が出てくるかわからない」みたいなセリフがあったりする。ホロっとくるシーンがあるのも面白いので、大事に演じたいと思います。

――演出・プロデュースを務める白樹さんから期待することはなんですか。
白樹:一番は綾さんが演じるベティとイレーヌ。キャラクターが正反対なので、どれだけ違いを見せてくれるかは、ファンの方も楽しみな部分だと思います。大ベテランのスターさんなので、逆に好きなように演じていただきたいです。(富本は)元々上手だったお芝居もさらに上手になっていると感じます。今回は女性を騙す悪い男の役。どんな姿を見せてくれるか楽しみです。

――小劇場の魅力はどんな部分に感じますか?
綾:距離が近いぶんちょっとした動きで心の機微も伝わると思います。大劇場は目一杯両手を広げてお芝居をしていましたが、違いを意識しておかないとチグハグになってしまうので稽古中から気をつけたいですね。
富本:お客様との距離が近くて、一緒に舞台を作っている感覚が強いし、集中して見てくださっている空気も伝わってきます。本番ではお客様も含めた全員で1つの作品を作っていきたいです。

――最後に、まとめのコメントをお願いします。
富本:悩んでいる女性が主人公で、どんな形であれ最後は悩みを解消して前を向いていける作品なのかなと思います。フランス人の情熱的な行動力、積極性は日本人も見習うべきところがあるのかなと思うので、そういった部分にも注目していただけたら嬉しいです。
綾:フランス文学らしい面白さがありつつ、人生における様々な寂しさやそれを埋めようとするもどかしさなどが詰まっています。共感できる部分もある素敵なお話。今まで以上に近い距離感でもあるので、悩んでいる方がいたら来ていただけたら。上演1時間半と短めで、忙しい方も来やすいと思います。
白樹:綾さんの言う通り、大人の女性の中にある様々な感情にオーバーラップする作品。国に関係なく共感するシーンがたくさんあると思うし、セリフのオシャレさ、皮肉っぽいユーモアや風刺も満載です。何度見ても新たな発見があるので、何回でも見ていただきたい。六本木トリコロールシアターのレパートリーの1つにしていけたらいいなと思っています。

取材・文:吉田沙奈

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