2021年1月アーカイブ

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画家、絵本作家の「たなかしん」が、2019年に新聞連載小説として執筆し、第53回日本児童文学者協会新人賞を受賞した「一富士茄子牛焦げルギー」。その名作を演出家・河原雅彦が、「リーディングアクト」として舞台に立ちのぼらせた。

「朗読と演劇の中間」とも言える「リーディングアクト」という特殊な形式。

キャストが台本を読む「声」から想像で作品世界を膨らませる楽しさ、キャストが互いに視線や言葉を交わし、シーンが目の前に現れる生の演劇の贅沢さ、両方が体感できる。

さらに、今回、たなかしんが舞台のために書き下ろしたイラストが随所に映像として映し出され、シンガーソングライターの瓜生明希葉の情感豊かな音楽も加わり、

「朗読」「絵」「音楽」が三位一体となった、目で、耳で、心で体感する、家族の物語だ。

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撮影:須佐一心


「おとん」と「僕」、父子2人の年始の朝--------。餅を焼きながら聞いていた、おとんの夢の話は奇想天外な内容だった。夢の中に出て来た「富士山」に、「夢を叶えてあげる」と言われたらしく、おとんはとっさに、「餅が焦げないようにしてほしい」とお願いしたそうだ。そんな馬鹿げた話をしていたところ、オーブンの中の餅は...一向に焦げていなかった...

「おかん」役は沢口靖子、「僕」役は小柴陸(関西ジャニーズJr.)、「おとん役」は生瀬勝久。関西出身の3人が、関西弁で丁々発止のセリフのやり取りを繰り広げる。時には、キャストは「語り部」や「僕の親友」、といった他の役も演じながら、「焦げルギー」の、時にリアルで切なく、時に奇想天外な世界を紡いでゆく。

沢口靖子は、朗らかで家族を大きな愛で包む「おかん」を、唯一無二の美しさと個性を持つ声で生き生きと演じている。「僕」演じる小柴陸は、ジャニーズ公演以外で初めての単独外部出演となるが、瑞々しい感性と一途な表現力で、おとんやおかん、日々起こる様々な出来事を

まっすぐに受け止める優しい「僕」を好演する。生瀬勝久の「おとん」は、飄々とした空気の中に、息子に向ける愛情深い目線が印象を残し、物語を引っ張っていく。

3人のトライアングルが絶妙にひびき合い、お互いを想う"家族"が、そこにいた。

その世界を是非体感してほしい。

尚、本公演は、公演終了後、大阪公演で収録された舞台映像の配信を2/12(金)から2/14(日)まで行う。

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撮影:須佐一心


初日に向け、演出家の河原雅彦からコメントが届いた。

僕的に初めての朗読劇の演出です。いまだに加減やルールが分からないままですが、とにかくこのご時世ですし、シンプルに楽しいヤツを、との思いで作ってみました。
原作の持ついかんともし難い切なさ、優しさ、たくましさは、今回集まって下さった素晴らしい俳優さんが達が、実直な思いを胸に客席に届けてくれると確信しています。ま、言うても朗読劇ですので、肩の力を抜いてごゆるりとご鑑賞下さいませ。              河原雅彦                   

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<公演概要>

リーディングアクト『一富士茄子牛焦げルギー』

【大阪公演】2021130日(土)〜31日(日) サンケイホールブリーゼ

【東京公演】202129日(火)〜11日(木祝) 東京芸術劇場シアターイースト

原作:たなかしん 演出:河原雅彦

脚本:野上絹代 音楽:瓜生明希葉

出演:沢口靖子 小柴 陸(関西ジャニーズJr.) 生瀬勝久  

  チケット料金:

 【大阪】S席 7,500 A席 6,000円 ブリーゼシート 5,000(全席指定・税込)

   【東京】
7,500 (全席指定・税込)


【配信日程】 2/12(金)18:00配信スタート

【配信元】PIA LIVE STREAM

【アーカイブ期間】214()23:59まで

【視聴チケット販売期間】130日(土)10:00214()21:00

【チケット料金】3500

※1/31(日)サンケイホールブリーゼ にて収録


観劇チケット&視聴チケット購入URL → https://w.pia.jp/t/ichifuji/

企画製作:キューブ  制作協力:リコモーション

大阪公演協力:サンケイホールブリーゼ

  詳細:キューブ  http://www.cubeinc.co.jp

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アメリカを代表する喜劇作家、ニール・サイモンの晩年の傑作『ローズのジレンマ』26()より東京・シアタークリエで上演される。大物女流作家ローズと、その恋人で同じく作家(ただし5年前にすでに亡くなっており"亡霊")のウォルシュ、ローズの助手アーリーン、そして売れない作家クランシー。登場人物はこの4人のみ。経済的に困窮しているローズのため、ウォルシュの未完の小説を完成させ発売しようという計画の顛末とは......

ニール・サイモンらしい、笑いとしゃれた会話の中に、じんわり人生の悲喜こもごもが浮かび上がる戯曲に挑戦するのは、大地真央、神田沙也加、村井良大、別所哲也

普段からとっても仲がよく、しかし舞台での共演はなんと13年ぶりという、ヒロイン・ローズを演じる大地真央、その助手アーリーンを演じる神田沙也加に話を訊いた。

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◆ 大地真央 × 神田沙也加 INTERVIEW ◆

―― おふたりはプライベートでも非常に仲が良いそうですね。仲の良いおふたりだからこそ思う、お互いの可愛いところを教えてください!

大地「サヤは、愛くるしいんですよ。だけど、ちゃんと自分というものを持っているし、頼もしいところがあります。しっかりしているのに、助けてあげたいと思わせられる、母性本能をくすぐられるというか......」

神田「あはは!」

大地「彼女が10代のころから知っていますので、私の中でその小さい頃のイメージが抜けていないのかなというのはありますが。でも13年ぶりに同じお稽古場でお芝居をしていて、その成長っぷりを見せつけられると、この人は素晴らしい才能があって、ちゃんと努力もできる人だなと感じています。そういうところが魅力ですね」

神田「うふふ。嬉しいです。私はたぶん皆さんが思っているより以前から、真央さんとは親しくさせていただいているんです。145歳のころからですかね? 本当に長い間仲良くさせていただいているのですが、でも共演となると、舞台だと2回目。前回の時は右も左もわからない状態でしたので、自分のことに精いっぱいで無我夢中でした。そこから私も少しは経験を積んでいますので、きちんと真央さんに、私も成長しましたというところを見せなければと思っています」

大地「楽しみにしています()

神田「そして私が思う真央さんの可愛いところは......私は本当に真央さんの写真集などもしょっちゅう見ていて、単なるファンなんですけれど()。目の形......はもちろんのこと、目尻からこめかみの距離! それから口角のキュっとあがっている角度! それに爪の生え方!」

大地()爪でしょ~。それ、よく言っているわよね。ものすごいマニアック!」

神田「これは絶対書いてください、この3点セット()! 真央さんマニアですね、私。真央さんの朝食を真似て、ずっと同じものをお取り寄せして食べていたこともあります」

大地「面白いでしょ~()IMG_6240_56r.JPG

―― 共演は少ないまでも、おふたりには『マイ・フェア・レディ』のイライザ役という大きな共通項もあります。大地さんは、神田さんのイライザをご観劇されたとお聞きしました。

大地「はい。とにかくサヤがイライザをやると決まったときは本当に嬉しかったです。彼女は私のやっているときも何回も何回も観に来てくれていましたので。「サヤが思うイライザ像を作ればいいよ」と言いましたし、実際に観て、イライザとして息づいていたことが嬉しかったです。演出や台本は私がやっていたものとはずいぶん変わっていましたけどね」

―― 大地さんが大切にしていた役を引き継いだ神田さんは、いかがでしたか?

神田「私、真央さんファイナルまで観に行って、号泣で見送ったという思い出がありまして()。その時に真央さんも涙ぐみながら「いつか、サヤがやりなさい」とおっしゃってくださったことを本当に励みに思ってやってきたので、実際に決まったときは一番にご連絡しました。でも私、真央さんバージョンを観すぎて、台詞も歌詞も一緒に言えちゃう状態だったんです。ですので、新演出版になって全部変わってしまったので、以前のバージョンの出演者でもないのに、新訳に慣れるのにすごく苦労する、という状態に陥ってしまいました。それほど大好きだったんです!」

大地「ふふふ。ありがとう」

―― そんなおふたりが、満を持しての13年ぶりの共演です。この『ローズのジレンマ』、やろうと思われた一番の決め手はなんですか?

大地「サヤと何かをやりたいなって思っていたんですよね。その中でこの作品の候補が出てきて、この作品は私たちにとっても挑戦的な作品かなと思えたんです」

神田「そうですね。私はストレートプレイということ自体がけっこうな挑戦なのですが、まず真央さんとご一緒できるという喜びがありました。そして、真央さんの役と対等な目線で話せる役なんです。いまの年齢で真央さんとやりたいなと思える作品だった、というのが大きいです」

―― お稽古が進んでいるかと思いますが、物語に対しては、どんな印象を抱いていますか?

大地「ニール・サイモンは、喜劇王と呼ばれていますが、もともと独特の奥深さがある作家です。その彼が晩年に書いた作品ということで、より深みがある。笑いも、ワハハハというより、"クスっと笑える"というところが多いかも。そこが、前回わたしが出演した『おかしな二人』とは少し違いますね。ホロっとするところも多い。ニール・サイモンの中では独特かもしれません。でも最終的にはすごくハッピーな気持ちになれると思います」

神田「私はまだまだ課題がたくさんあって、読み解かなくてはいけない部分だったり、そしてショーがあったりもするので、大変なのですが......」

大地「そうそう、カーテンコールがありますからね! 楽しみよね」

神田「はい()。いまの段階では、前半は、ローズとアーリーンの関係性がリアルに見えるように探っていきたいなと思っているところです。ふたりはこんな風に日常を送っているんだな、というのが伝わるように。そして登場人物が増えてからは、ドタバタする中でも自分の役割を見失わないでいること。ローズが大好きで、ローズの力になりたくて、支えたくてというのがアーリーンの根底にずっとあるというのを大切に役作りしていきたい。観終わったときに、色々な意味で、ローズとアーリーンには深い結びつきがあったんだ......ということをお客さまに印象付けられているようにしたいです」

―― ニール・サイモンといえば喜劇界の大スターですが、もしかしたら若い人にはあまりなじみがないかもしれません。ぜひ、気軽に楽しめるよというポイントを教えてください。

大地「ローズは、別所さん演じる亡くなったウォルシュの幽霊と毎晩話をしているちょっと......変な人なんです()。それを、サヤ演じるアーリーンだけはわかっているのですが、そこに、村井さん演じるクランシーという売れない作家がやって来て3人でのやり取りのはずが...でも、ローズにしか見えないウォルシュも入って実は4人。その噛み合わないところも面白いと思います。ローズはいつも独り言を言ってる妙な人に見えますが、自問自答するみたいなのって、みんな自分の中に少しはあるよね、というところも楽しんでいただければと思います」

神田「いま稽古場で真央さんたちがどんどんアイディアを出されて、言葉がどんどん精査されていっています。ですので、外国の話ですし少しわかりづらいな、というのがいままさにどんどんわかりやすくなっていっています。そんな中でアーリーンは、作品の中でニュートラルな立場にいますので、お客さまとローズの空想の世界をつなぐ役割を果たさないと、と思い始めています」

―― ちなみに、偶然ではありますが、この作品について別所さんは「弦楽四重奏のような」、村井さんは「大人になって味のわかるおしゃれなチョコレートのような」と、それぞれ素敵な形容をされていました。おふたりはこの作品にキャッチなコピーをつけるとしたらどんな言葉にしますか?

大地「えーーー! 難しいな。ひと言で言えない良さのある作品よね」

神田「はい!(手を上げる)」

大地「どうぞ」

神田「"産地の違う岩塩"」

大地「しお?」

神田「はい。これはちょっと甘みのある塩、こちらは塩味が強い、これはスパイスを感じる塩......と、塩と言ってもいろいろあるじゃないですか。そんな色々な味のする塩をうまくブレンドして料理にまぜてみると、美味しいものが生まれちゃう!......みたいな」

大地「なるほど。そうですねぇ。お料理に例えると"多国籍"ですかね。色々な要素があって、それがフルコースになって、最後にはカーテンコールという甘いデザートがある」

神田「素敵!」

―― 最後に、いま世の中は大変で、劇場をとりまく環境も厳しいですが、それでも生の舞台に立つ、あるいは観る楽しみというのは。

大地「舞台は、同じ劇場空間と、その時にしかないその瞬間をお客さまと共有できる、そのライブ感が醍醐味です。皆さん不安もおありかと思いますが、私たちも毎週PCR検査をしたり、できることを全部やって、カンパニーも、劇場も、皆さんをお迎えする体制を整えています。こんな状況だからこそ、開催してくれてありがとうと言うお言葉をいただくこともあります!是非、ライブの良さを確かめに来ていただけたらと思います」

神田「そうですよね。お出かけすること自体が怖いなと自粛されている方もいらっしゃる状況かと思います。そんな時だからこそ、「笑え!」「泣け!」といった押しつけがましさのない、人生にそっと寄り添ってくれるような、ゆるやかに温かいハートフルな作品です。いまの日々でちょっと疲弊してしまった心にもフィットする作品なんじゃないかなと思っています」

大地「いいこと言う!」

神田「やったー。もちろんカンパニー全体で対策もしっかりしています。でも対策ってこちら側だけでは成り立ちません。劇場にも、そして観に来てくださる皆さんにもお願いしなきゃいけないこと。だからみんなで力をあわせて『ローズのジレンマ』を実現させましょう、とお願いしたいです」

大地「エンターテインメントの灯を消さないために、ですね」

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撮影:石阪大輔

取材・文:平野祥恵

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2021年1月30日(土)から大阪・サンケイホールブリーゼにて幕をあけ、2021年2月9日(火)からは東京・東京芸術劇場シアターイーストにて上演予定の「一富士茄子牛焦げルギー」。絵本作家たなかしんが描く「オモロくも切ない」家族の物語だ。

今回、出演者の沢口靖子、小柴陸(関西ジャニーズJr.)、生瀬勝久に稽古場にてインタビューを実施した。

-------- お稽古が始まって、3名様で実際にお会いになった、お互いの印象をお聞かせ頂けますか?

 「生瀬さんとは20年前、舞台で夫妻の役をやらせて頂いたんですが、その時は標準語でした。今回は関西弁ですが、生瀬さんは大阪ご出身でらっしゃるんですか?」

 「僕は兵庫ですね。どちらかと言うと神戸に近い。」

 「そうなんですね。関西弁がとても気持ち良くて、今回、何役かされているんですが、セリフをお話しされている時に、いくつか思わず笑ってしまう箇所かあって。関西の、おとん、おかん役を今回ご一緒させて頂いて大変幸せです。小柴さんは18歳なんですよね。」

小柴 「そうです。」

「私、18歳でデビューしたんです。(笑) いくつでデビューしたんですか?」


小柴 「デビューというか、ジャニーズ事務所に入ったのは小学校4年生の時でした。」

「うわー、すごい。」

 「舞台は初めてですか?」

小柴 「ジャニーズ事務所の皆さんとの舞台以外で、1人で外部の舞台に出演するのは初めてなんです。」

沢口 「そうなんですね。やっぱりピチピチして初々しい感じがして、これからの可能性を秘めてらっしゃる方だなぁと感じました。親子役をさせていただけるのがとても楽しみです。さっきちょっと、関西弁を教えてもらいました。(笑)」

小柴 「お二方とも、ほんまに凄いです。沢口さんは声も話し方も綺麗で勉強になります。第一印象としてはすごく顔がちっちゃい方だなと思いました。(笑) 生瀬さんとは、"僕"と"おとん"としてずっと対話しているんですけれども、一回一回全部やり方を変えて来られて、それが凄いなぁと思いました。」


 「稽古なので、自分でも試したいなと思ってやっているんですけれども、多分終わるまで変わり続けていくんじゃないかと。僕の場合はいつも着地点がなくて、結局千穐楽まで地に足がつかないっていうのがほとんどなんで、それはちょっと気をつけたほうがいいと思います。(笑) 毎日多分変わってくるから。なんかね、落ち着かないんですよね。これはもう私の良いところでもあり、とっても悪いところでもある(笑)。」


小柴 「いえ、ほんとに凄いです。」

-------- 小柴さんは最初の本読みの時、あるシーンからじっと生瀬さんを見つめていらっしゃいました。その姿が印象的でした。

「きっと安心して芝居ができないよ、俺は。(笑)」

「色んな変化球が来るってことですね。」

「絶対ストレート投げないよ。」

一同  (笑)

-------- "僕"として見つめていたのか、それとも小柴さんご自身、生瀬さんから目を離せない感じだったのでしょうか?

小柴 「どっちもです。」

「沢口さんとは20年ぶりの舞台共演ですが、沢口さんは本当に絶対的な安定感と世界観を持っていらっしゃるから、やっぱり安心するんですよね。絶対にぶれないというところが。ピュアで真面目と言う印象は、20年たっても全く変わってなかった。お仕事に対して真摯に向き合う鏡のような方ですね。でなきゃ長年ドラマをああいう形で継続出来ないし、皆さんが沢口さんにやって欲しいと言うのもわかるし。ほんとに全く僕とは違う方です。(笑) 小柴くんは今の関西の方なんだなと思います。関西弁も僕らが若い時に使っていた関西弁とはどんどん変わっていっていて、使っている言葉も違っていきていると思います。小柴くんは、今はほんとに伸びしろしかないから、こういう機会をどういう風に彼が捉えるのか楽しみです。本当に凄い経験になると思うし、だから僕らは背中を見せなきゃいけないし。普通の劇より期間は全然短いけれども、大千穐楽まで、どういう事を彼が感じるのか。何か計算ではない、思わず出る色んな事を、良い経験にしてもらいたいな、と先輩面してみてます。(笑)」

小柴 「身に染みました。」

口・生瀬  (笑)


-------- お稽古を実際にやってみていかがでしょうか?

「私、朗読劇初めてなんですね。色々な朗読劇があると思うんですけれども、今回は、マイクの前でじっとしてじっと本を読むだけじゃなくて、動きがあったりお芝居が入ったりするのが、凄く心の変化を表現できて、やっていても、とても楽しいなと思っています。」

小柴 「僕も稽古がめっちゃ楽しかったです。シンプルに心から笑えたりもしました。本を読む所と、目を離して演じる所と両方あって、どのタイミングがどこで、どっちだったか、というのを頭の中で考えながらやっていたら、まだ、ちょっとごちゃごちゃしちゃいました。」

「この作品はリーディングと普通の芝居の中間、ややリーディング寄り、そんな作品ですが、本を読みながらお客様の想像力に委ねるリーディングより、ちょっと僕らが動いたり、目線が合ったり表情が見えた時に、お客さんがどのように感じていくのか、そのさじ加減が演出的に無茶苦茶難しく、演出家が責任を持たなきゃいけない、非常に実験的、挑戦的な芝居だなという印象です。僕自身演出もやるのでそう感じました。」


-------- 河原さんの演出についてはいかがでしょうか

「僕は何度も彼とやっていますから、非常に計算はされていると思いますけれど、今回はほんとに大変だと思います。」

「今回、私は初めてご一緒させて頂きまして。怒鳴ったりすることもなく、すごく静かにお稽古が進んで...」

「昔は凄く怖かったみたいですよ。(笑) 僕はその彼を知らないんですけれども、今は穏やかに演出する彼ですが、その昔自分の劇団を持ってた時は、めちゃくちゃ怖かったと聞いています。」

「凄く穏やかなのに。(笑)」

小柴 「(事務所の)先輩が、凄く怖いと、泣いて帰って来たことがありました。」

-------- 先輩からのお話も聞いて、その河原さんから演出を受けるということで緊張されましたか?

小柴 「はい。めっちゃ緊張して来ました。(笑) 室龍太くん(関西ジャニーズJr.)に電話した時に、「演出家は誰?」って聞かれて、「河原雅彦さんっていう方です」と言ったら、「河原さん?やばいやん、大丈夫?」って言われました。(笑)そして「本当にめっちゃ良い経験やで」って言われました。」

「じゃ、ちょっと厳し目にやってもらったら良いんじゃないのかな。(笑)」

小柴 「だめです。すぐ泣いちゃうんで。(笑)」

-------- この作品を、"リーディングアクト"として上演する魅力をお聞かせ頂けますでしょうか?

「関西弁が魅力ですね。私は、初めて関西弁のお母さん役を演じさせて頂きますが、その言葉の裏に秘められた優しさであったり、温かさ、強い愛情、一見乱暴にも聞こえるやりとりのその裏にある、そういったものを伝えられたら良いなと思っています。また本を読んだときに私もぐっと胸にくるところが何箇所かありまして、観に来られた方が、それぞれ色んなところで心に響く場面がある作品じゃないかなと思いました。」

小柴 「 "僕"と言う役が、本当は悲しいのに強がっている、みたいな、そういう気持ちが表現されている所が魅力ですかね。」

--------お二人の仰る言葉の下に秘めたものが際立つ部分は、関西弁の会話だからこそ発揮されるのかもしれないですね。

「この作品に関しては、僕はいろんな捉え方があると思っています。この作品を観た時に、それぞれどんな立場になって、どんなことを思うのか、お芝居って、ただ「いいお芝居だったなぁ」じゃなくて、それを見て何を感じるかが、それぞれお客さんの大事な事かなと思うんですね。腹が立ったとか、時間が無駄だったとか、感動したとか、何かしらの思い出と重なって悲しくなる事もあるだろうし...。何でもいいです、それぞれで良いと思います。劇場ってそういう場所で、とにかく何も無く、するっと1時間ちょっとが過ぎてしまうような作品にはしたくないなと思っています。お客様が100人居れば100人の感じ方があって、そういう空間を、一緒に劇場で体感して、色んなことを感じて頂く有意義な時間になればと思います。」

-------- ご興味をお持ちの方々にメッセージをお願いします。

「この度生瀬さんと小柴くんと関西弁のやり取りで繰り広げる、温かい家族の物語をお届けします。

今、心に汗をかきながらお稽古に励んでおります。どうぞ楽しみにしていてください。」


小柴 「僕が初めて一人で外部出演する舞台を、是非観て頂けると嬉しいです。がんばります。リーディングの中で表現される表情も見て下さい。観ている方の想像で膨らんでいくシーンもありますので、ぜひ楽しみにご覧下さい。」

「 <リーディングアクト>と言う、カテゴリーとしては珍しい作品を、劇場に来て観て頂ければと思います。コロナ対策もしています。外に出るのが心配な方は配信でご覧に頂くのも良いと思いますけれども、やっぱり劇場ってね、僕のお芝居をするルーツでもあるし、劇場の魅力というのは絶対的に、唯一無二だと思っています。劇場の座席で色んなことをイメージして頂けたら、とっても豊かな時間になると思うのでお待ちしております。」

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<公演概要>

リーディングアクト『一富士茄子牛焦げルギー』

【大阪公演】2021130日(土)〜31日(日) サンケイホールブリーゼ

1 月 30 ()14 時・18 時開演


 1 月 31 ()12 時・16 時開演

【東京公演】202129日(火)〜11日(木祝) 東京芸術劇場シアターイースト

2 月 9 日(火) 18:30 開演


 2 月 10 ()15 時・18:30 開演

2 月 11 (木祝)12 時・16 時開演

  ※なお、本公演は配信も決定いたしました。詳細は追って発表いたします。

原作:たなかしん 演出:河原雅彦

脚本:野上絹代 音楽:瓜生明希葉

出演:沢口靖子 小柴 陸(関西ジャニーズJr.) 生瀬勝久  

一般発売日:2021116日(土)〜

  チケット料金:

 【大阪】S席 7,500 A席 6,000円 ブリーゼシート 5,000(全席指定・税込)

  • 当日券有り。各開演時間の1時間前よりサンケイホールブリーゼチケットカウンターにて販売します。

   【東京】
7,500 (全席指定・税込)

企画製作:キューブ  制作協力:リコモーション

大阪公演協力:サンケイホールブリーゼ

  詳細:キューブ  http://www.cubeinc.co.jp

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アメリカを代表する喜劇作家、ニール・サイモンの晩年の傑作『ローズのジレンマ』26()より東京・シアタークリエで上演される。大物女流作家ローズと、その恋人で同じく作家(ただし5年前にすでに亡くなっており"亡霊")のウォルシュ、ローズの助手アーリーン、そして売れない作家クランシー。登場人物はこの4人のみ。経済的に困窮しているローズのため、ウォルシュの未完の小説を完成させ発売しようという計画の顛末とは......

ニール・サイモンらしい、笑いとしゃれた会話の中に、じんわり人生の悲喜こもごもが浮かび上がる戯曲に挑戦するのは、大地真央、別所哲也、神田沙也加、村井良大

ヒロイン・ローズの最愛の恋人であり、亡霊として登場するウォルシュ役に扮する別所哲也に話を訊いた。

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◆ 別所哲也 INTERVIEW ◆

――『ローズのジレンマ』、別所さんがこの作品に出演する決め手になったポイントはどこにありましたか?

「大学時代、僕が演劇を始めたばかりのころに下北沢でやっていた『裸足で散歩』という舞台にめちゃくちゃハマって、何度も観に行ったんです(198485年 下北沢ロングラン劇場/13か月のロングラン上演だった)。色々な方が出ていたので自分もオーディション受けたいなとか思って通っていた記憶があります()。ロバート・レッドフォードとジェーン・フォンダが出ていた映画版も大好きで。それがニール・サイモンとの出会いです。そのあと真田広之さんたちが出演されていた『ビロクシー・ブルース』(1987 PARCO劇場)などを観て「こういう男っぽい作品もあるんだ」って思ったり、もちろん『おかしな二人』なども好きですし。ニール・サイモンといえば押しも押されぬトップの作家で、第一線の俳優さんたちがチャレンジしているものでしたので、いいなぁと思っていましたが、でも俳優の仕事は"めぐり合わせ"ですから、なかなか機会がなく。今回、自分も年齢を重ねた今、ニール晩年期のこの作品をやれるのは面白いなと思っています」

―― ご自分の中で憧れが大きくなって、手を出しにくいみたいなところはないですか?

「確かに()。ただこの年齢で、こういう作品で、ウォルシュという役をやるのは「めぐり合わせだよね」と受け入れたところはあります。そう言われてみると、ほかのニールの作品でお話をいただいたら「自分ができるかな、恐れ多いな」と思うかもしれません」

―― 演じるウォルシュは、女流作家ローズの、5年前に亡くなった最愛の恋人。ということで亡霊として登場します。お稽古が始まる前ですが、現時点でどんなキャラクターだと捉えていらっしゃいますか。

「ちょっと悩んでいるんですよ。だって、ガウンを着て存在している男ですよ。ブランデーグラスでも回していそうな世界()。飄々としつつ、暑苦しい感じ。でも、もう亡霊であるということは"儚い"存在ですよね。キャラクター自体はあまり儚くない感じなのに! そのギャップから生まれるものを、お客さんが面白いと思ってもらえたらいいなと。ただこれ、僕はこのキャラクターはこうだと決めていくより、稽古場で、みんなでいいアンサンブルを作っていけたらいいなと思うんです。この作品、4人で奏でる上質な弦楽四重奏だと思っていますので」

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―― ローズ役の大地さんとは初共演ということですが、映像でも共演はなく?

「ないんです。ただ、鮮明に覚えているのは、『ミス・サイゴン』で僕がエンジニアを演じた回をご覧くださって、わざわざ楽屋にまでご挨拶にきてくださったんですよ。しかも"森伊蔵"をいただいてしまって。「えええ!」ってなっちゃいました。あとは、一度僕のラジオに出てくださったのですが、その時に「コーディネートはこうでねぇと」っておっしゃったことを今でも忘れられません()。これ、拾って何か返した方がいいよなって思ったのですが、あまりに虚をつかれて僕、「ですよね」としか言えなかった()。お茶目な方ですよね。そのお茶目さに衝撃を受けたので、ローズ、楽しみです。大地さん、こういった上質なユーモアは、きっとお好きだと思います。あとは......本当にいつまでもお美しいので、舞台上で見入ってしまわないように気をつけないと!」

―― 別所さんは『マイ・フェア・レディ』でヒギンズ教授を演じていますが、大地さんとはすれ違いでしたね。

「そう、『マイ・フェア・レディ』は僕は神田沙也加ちゃんと共演しました。大地さんがずっと演じてこられた作品ですし、沙也加ちゃんと仲がいいそうですし、初日に大地さん、観に来てくださったんですよ。それも嬉しかった」

―― ところで昨年から今年、世の中が大変な状況になって、ライブエンタメはちょっと苦境にあります。その中で舞台に立つモチベーションは、別所さんの場合はどこからくるのでしょう。

「......やっぱり自分は好きなんですよね。演劇を観るのも、自分が立たせてもらうのも。もちろん映画館で映画を観るのも好きですが、目の前で人間が演じている、もしくは僕らが演じる目の前にお客さまがいるというかけがえのない時間と空間は、新型コロナウイルスによってますますかけがえのないものになったなと感じています。本来当たり前のように楽しめていたことだけれど、同じ劇場という空間で、お客さまから時間をいただき、僕たちもその時間を捧げて、何かを共同体験する。そこで笑ったり泣いたり、何かの気づきを得たり、大切な人を思ったりって、奇跡とは言いませんが......でも今は"奇跡"に近いかも。あとはちょっと時空を飛び越えて旅をしたりね。今回の『ローズのジレンマ』も外国の作品なので、そういった非日常の体験になると思いますし。日常を離れ、観終わって「ああ面白かったね」とか「人間ってバカだよね」「人間って素敵だよね」って感じていただけるようなものって、やっぱり大切だと思いますよ」

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――この作品は特に、最後しみじみとした余韻が残ります。

「そう。構造としての喜劇、ウィットに富んだ台詞のキャッチボール以上に、人間として時間を重ねることの深みみたいなものがあります。ローズとウォルシュというキャラクター自体が、人生の第三コーナー、第四コーナーをまわってそろそろ総仕上げという、そういう存在。あるいは「仕上がっていないとおかしいのに仕上がっていない」というジレンマですよね()。ニールだし"喜劇"で、そう括られることで生まれる期待とか色々あると思うのですが、上質な大人の会話と、ジレンマを抱えてジタバタしているところ、悪あがきしているところをこの4人でどう洗練された世界観で作っていけるか。僕もめちゃめちゃ楽しみですし、喜劇的部分と、ハートフルなところ、両方大事だと思っています」

―― 翻訳劇というのは、もしかしたら特に若い人にとっては少しハードルが高く感じることもあるかもしれません。若い頃にニール・サイモンにハマった別所さんから、ぜひ、なかなか翻訳劇を観る機会のない人の背中を押すひと言をお願いします!

「翻訳劇のストレートプレイって、会話のキャッチボールが面白いのですが、それって若い人たちがSNSで会話したり、自己表現したりすることとすごく似ていると思うんです。絵文字を使ったり「エモい」とか「ぴえん」とか新しい言葉を使って繋がる感性って、ウィットがたくさんあるでしょう。それと同じじゃないかな。この作品でも、会話のキャッチボールの中にある小気味よさに出会ってくれたら嬉しいなと思います。若い人がこの作品を観て、どうエモいのか、自分たちなりに受け止めてほしいです」

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撮影:石阪大輔

取材・文:平野祥恵

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今年、2月に東京・新橋演舞場で上演される舞台「喜劇 お染与太郎珍道中」の製作記者発表会見が1月7日に行われた。昭和54年(1979)3月明治座にて「与太郎めおと旅」として上演された喜劇の名作を、本作では今回大劇場初進出となる寺十吾が演出する。会見には渡辺えり、八嶋智人が登壇した。

渡辺は「コロナ禍で演劇界が1年間本当に大変な思いをして我慢に我慢を重ねて年を越したからこそ、いかに演劇が大切かを再確認しました。今稽古場での毎日が改めて幸せだと思います。」と改めて演劇への熱い思いを語った。

本作の上演については「初演とは全く異なる新しい形の喜劇としてお届けできると思います。」と意気込みを示しながら、お客様にはマスクの下で泣いて、笑って観ていただきたいと語った。

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八嶋は「昨年はコロナ禍で試行錯誤の1年だったが、こうして2021年の頭に喜劇と銘打って舞台ができることは幸せです。粛々と準備をし、喜劇を『真面目に』つくっているので、それを楽しんでいただければ」と思いを述べた。

上演に際してのコロナ対策についても「劇場は人が集まっているというイメージだと思いますが、劇場の方、スタッフの方、そして今足を運んでくださるお客様含め、とても誠実で真面目に一緒に舞台をつくろうと思いが強い方が集まっているので、お客様としては劇場は安全な場所だと思います。」とコメント。

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喜劇では初共演となるお2人ですが、のお互いの印象は?という質問に対しては、渡辺が八嶋に対して「いつも一言二言、三言多い!笑」と述べると、八嶋が「余計な一言」を言う度に渡辺が「そういうこと言いなさんなって!」とつっこむ、既に息ぴったりのやり取りで会場の笑いを誘った。

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公演は2月1日(月)~2月17日(水)に東京・新橋演舞場にて上演。チケットは発売中。

【あらすじ】
江戸時代、指折りの大商人、米問屋「江戸屋」にお染(渡辺えり)という箱入り娘がいました。
久兵衛夫婦にとっては一粒種の娘で、わがまま放題に育ち過ぎてのグラマー美女に。
蝶よ花よと、金にあかせての花嫁修業、お茶にお花、お琴に三味線、踊りに料理、更に手習いにと大忙し。
ついでの事に恋の手習いにも精を出して、お出入りの大名・赤井御門守の家中での美男の若侍・島田重三郎と良い仲でした。

ところが、二人の仲を裂く悲しい出来事が起こります。
重三郎が京都藩邸へ転勤という事になったのです。
追い討ちをかけて、赤井家からお染を妾に差し出せとの無理難題を突き付けられました。

お染は、一つには赤井家から逃れるため、また一つには重三郎を追って、京へ旅立つ事になりました。
過保護で親馬鹿の久兵衛夫婦は、お染に付き人まで付けて京都に送り出す事に。
その付き人に選ばれたのが手代の与太郎(八嶋智人)、ドジで間抜けでおっちょこちょい、先輩の番頭・同僚の手代・ずっと年下の丁稚小僧まで日頃馬鹿にされている頼りない人物ながら、すこぶるつきのお人好し、無類の忠義者で、年頃の娘と一緒に旅をさせても、間違いも起こらないというのが与太郎当選の理由ですので、男としてはだらしがない話です。
もっとも久兵衛もその点は抜かりなく、出入りの鳶の者、べらぼう半次をこっそり見張り役で跡を追わせる事にしました。

かくて、お染・与太郎は表向きは夫婦という態を取り、五十三次の珍道中が始まるのですが、世間知らずの娘と頼りない手代の二人旅、騒ぎが起こらぬ訳もなくーーー。

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アメリカを代表する喜劇作家、ニール・サイモンの晩年の傑作『ローズのジレンマ』26()より東京・シアタークリエで上演される。大物女流作家ローズと、その恋人で同じく作家(ただし5年前にすでに亡くなっており"亡霊")のウォルシュ、ローズの助手アーリーン、そして売れない作家クランシー。登場人物はこの4人のみ。経済的に困窮しているローズのため、ウォルシュの未完の小説を完成させ発売しようという計画の顛末とは......

ニール・サイモンらしい、笑いとしゃれた会話の中に、じんわり人生の悲喜こもごもが浮かび上がる戯曲が、大地真央、別所哲也、神田沙也加、村井良大の出演で上演される。

小説を完成させるパートナーに選ばれた売れない作家クランシーに扮する村井良大に話を訊いた。

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◆ 村井良大 INTERVIEW ◆

―― まずは台本を読んだ感想からお伺いしたいです。

「難しいなと思ったのは、この物語はひとことで言うと何? と訊かれたら、なんて答えていいかわからないな、と。悲劇のような喜劇で、喜劇のような悲劇で......とぐるぐるしちゃう。ほぼワンシチュエーションの作品で、物語は、昔さまざまな賞を獲った大作家であるローズは最愛の恋人ウォルシュを亡くし、その亡霊が見えている。死んだウォルシュはローズがお金がないのを知っていて、なんとかまた新しく本を書いてほしい......つまり幸せになってほしいんですよね。そしてローズを支えるアーリーンがいて、僕の演じるクランシーは新しい本を書くためのゴーストライターみたいな感じでローズに呼ばれる。そこから話がどんどん膨らんでいきます。ですが、話が脱線脱線また脱線、みたいなことばかりで、しかもニール・サイモンらしいセリフ回しがあったりで、いったいこの舞台、どうやって見せていくんだろう、と僕も思っている状態です」

―― 手ごわそう?

「うーん、道筋が見えてくればスムーズにいく気はします。セットとかも手助けになると思うし。でもまだ(稽古も始まっておらず)わからないです()。あとローズのキャラクターが想像できてなくて、大作家らしい物言いもすれば、普通の価値観からくる発言もある。彼女がどういう人生を歩んできたのかが僕はまだ掴めていませんが、大地さんがローズをどう演じられるのか、今すごく興味があります。ただ、登場人物4人が4人とも変なやつばっかり、というのはありますね!」

―― どのようなところが""ですか?

「何考えてんの、って言動ばかり。ある意味人間味がある。一番まともなのはアーリーンかな。ローズも、お客さんからしたら"追いやすい"人なのですが、でも曲者。本当の気持ちはどこにあるの? という。そして人生において色々なものを見てきていないと出てこない台詞ばかり。女性の気品みたいなものがあって、大地さんはまさにお似合いなのではないでしょうか。でも、僕にローズ役が来たら難しくて「無理です」と即答しているような役柄ですよ()。」

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―― 村井さんが演じるのは売れない作家クランシーですね。

「はい。クランシーは、"今、手に入れたいもの"が明確で、比較的わかりやすい。一点集中型。髪はボサボサでヒゲも生えていて、ボロボロのスニーカーを履いていて、と見た目はすごくダメな感じで、ローズと並んだときの真逆のようなところが面白いんじゃないかなと思います。でも物書きとしての美学があるし、ちゃんとその仕事に対して愛情もある。才能のある人なんだと思います」

―― クランシーを作るにあたって、どんなところを手掛かりにしようと現時点で思っていますか。

「第一に必要なのはふてぶてしさかな。だらしなくて、田舎者っぽい感じもするけれど、遊んでいる雰囲気もあるし、だけど誠実さも見えるかも。不思議な人間ですね。どういう魅力なのかまだ僕もわかっていませんが、アーリーンがちょっと惹かれるような人物にはしなきゃいけないので。考えます()

―― やはり肝となるのはローズ。ローズを演じる大地真央さんの印象は?

「笑顔が素敵な方という印象です。凛としていらっしゃる。でも、ローズはすごく喋るので、その反対のイメージがある大地さんがどんな風になるのか楽しみです。あと......コメディもお好きなのかな、と思っております。つい先日も同じニールの『おかしな二人』をやられてましたしね!」

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―― 共演のお三方、皆さん初共演でしょうか。

「はい。神田さんとはご挨拶をさせていただいたことはあるのですが、共演自体は初です。皆さんがどういう風に役を作っているのか楽しみです。会話だけで魅せる物語ですから、しかもしゃれた言い回しなどもあって、4人が4人、ちゃんと色々なことをわかっていないと難しいと思うんです。たぶん、それぞれの思い描くローズ像、ウォルシュ像、アーリーン像をすり合わせていく作業になっていくんじゃないかな」

―― ニール・サイモンは日本でも人気がありますね。村井さんは初出演でしょうか。

「そうです。正直、僕はそんなにニール・サイモンに詳しくはないですが、やればやるほどハマっていく作品だなとも思いました。大人になればなるほど好きになる気がします。ちょっとおしゃれなチョコレートみたい。「やった、この美味しさがわかる!」みたいな」

―― コメディと言ってもおなかを抱えて笑うタイプではなく、笑いの奥に含蓄がある作品ですね。

「劇中に「嫌いじゃない」という台詞があるんですよ。それがなんか、真理だなと思っていて。「彼のことが好き」でも「いいわね」でもなくて「嫌いじゃない」。「......ってことは?」というような台詞が多いんです。そういうところを演者がかみ砕いてやらないと、と思っています。そういう、ストレートに言わないところ含め、この作品は台詞の端々に「うん、わかるなぁ」という人生のヒントのようなものがたくさんあるんです。洗練したものとしてお届けしたい作品だなと思っています」

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取材・文:平野祥恵

撮影:源賀津己

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