2016年に上演されたブロードウェイ版は、翌年のトニー賞で最多12部門ノミネート。
大きな話題となったミュージカル『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』が、日本初上陸を果たします。
出演は、井上芳雄、生田絵梨花ほか。
物語は、ロシアの文豪トルストイの傑作『戦争と平和』が原作です。
......と聞くと、ちょと難しめな、お堅いお芝居だと思ってしまいそうですが、実は正反対。
ブロードウェイ版(及びオリジナルのオフ・ブロードウェイ版)では、むしろ「革新的」な面こそが賞賛された作品です。
大きな特徴としては、その劇場構造。
ブロードウェイ版、オフ・ブロードウェイ版では、一般的な劇場、つまりプロセニアム・アーチをはさんで舞台と客席が対面する形の劇場ではなく、客席の間を縫うようにアクティングエリアが作られ、そこで俳優たちが演技をするというものでした。
近年増えてきている、観客があたかも作品内に取り込まれるように感じる「イマーシブ・シアター」という形式です。
そして日本版では、そんな「イマーシブ(没入)」な体験の中にも、ストーリーの奥深さ、文芸作品ならではの感動が伝わるミュージカルになりそう!
......ということで、前置きが長くなりましたが、『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』、稽古場を取材してきました!
まず稽古場に入ると、その舞台機構(稽古場にも仮ステージが組んでありました)に圧倒されます。
とにかく、奥行きがあります!
東京芸術劇場の舞台+客席が、一体どうしたらこんな風になるんだろう。
想像するだけでワクワクしますし、実際に劇場に足を踏み入れたら、その瞬間に「どんな演劇体験が出来るんだろう!?」とテンションが上がるに違いありません!
客席より少し高い位置に通路がタテヨコに走っていて、そこがアクティングエリアになっています。
そしてその通路(ステージ)の間、低い位置に客席(コメットシート)がある、という形。
なお、正面の客席に近い位置・コメットシートと同じ高さ(ステージより一段低いところ)に、井上芳雄さん扮するピエールの部屋っぽいものがあり、ピエールは劇中、大半の時間、ここにいます。
先ほどから「コメットシート」とご紹介していますが、『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』ではコメットシートという席種が販売されています。
俳優たちが鼻の先を通る!目の前で演技をする!
そして一段低い位置になるため、「客席から自分の姿も見られちゃう」と心配することも、さほどなさそうな。
舞台上から見た、コメットシートエリア(椅子なども含め、仮の状態です)。
ちなみにステージ上(一段高いところ)のみならず、コメットシートエリアの中に俳優が来ることも。
そしてこちらはピエールの部屋(と呼んでいるのかどうかは、わかりませんが)。
劇場構造の説明でずいぶん分量を取ってしまいました。
作品内容のご紹介は、レポート後半で!
取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)
【公演情報】
1月5日(土)~27日(日) 東京芸術劇場プレイハウス
[音楽・詞・脚本・オーケストレーション]デイブ・マロイ
[訳詞・演出]小林香
[原作]レフ・トルストイ
[出演]井上芳雄/生田絵梨花/霧矢大夢/小西遼生/松原凜子/水田航生/はいだしょうこ/メイリー・ムー/原田薫/武田真治/他