2018年2月28日アーカイブ

チケット情報はこちら


いまや日本ミュージカル界に欠かせない存在である藤岡正明
今年も『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート『不徳の伴侶』『タイタニック』と出演作が次々と発表になっています。fujioka08 15th_1447.jpg

藤岡さんにそれぞれの作品について、そして、俳優として、ミュージシャンとして......様々なお話を伺ってきました!

今回は【後編】として、『不徳の伴侶』『タイタニック』、そしてTV番組『カラオケ☆バトル』のお話までお聞きしています。

★『ジャージー・ボーイズ』イン コンサートや、ご自身のライブツアーについて語った前編はコチラ★



fujioka02_9257.JPG

●朗読ミュージカル『不徳の伴侶 infelicity』(5/29~6/3 東京)


―― 『ジャージー・ボーイズ』イン コンサートのあとは、『不徳の伴侶』が5・6月にありますね。作・演出を荻田浩一さんが担当される作品です。

「僕、荻田さんの演出作に再演から参加したり、ミュージカルコンサートでご一緒したりはしているので、厳密に "お初" ではないのですが、イチから芝居を作り上げる現場でガッツリまともに向き合ったことが、実はないんです。もともと荻田さんのことはよく知っていて......まぁ、主に飲みの席で、なんですが(笑)。ただ、そのコンサートの演出で少しだけ触れた演出家としての荻田さんは、ちょっと怖いと思うくらいの真面目な目をしていました。言葉も、普段は柔らかい方なのに、違うものは違うとハッキリ言う。荻田さんが思い描くビジョンが、佇まいから伝わってくるんです。ですので、"荻田さんとガッツリ演劇をやりたい!" という気持ちですね」


―― 特に今回の作品は荻田さんの「自主公演」ですので、こだわりもひとしおではないかと想像しています。

「そうなんですよ、荻田さんが10年温めてきた題材だそうです。普段、とても大きな劇場などでもたくさん演出をしている方ですが、今回はこういった小劇場(赤坂RED/THEATERの座席数は200弱)。変な話、ここでお金儲けをしようとかじゃないですよね。この作品は、荻田浩一の情熱でしかない!ってことです。その情熱に、僕も乗りたいな、と思いました。まだ稽古も先ですが、面白くなるといいなと思っていますし、そういうものを、僕も欲しているのかも」


―― そういうもの、とは、商業的なあれこれを抜きにして良い作品を、という?

「そう、やりがいが見出せる作品。もちろんお金を稼ぐことも重要ですが、自分自身が夢を見ていたいなと思うんです。やっぱりこの仕事が好きでやっているから。そこに情熱を120パーセント注ぎこめたら、生きてる心地がするんだろうなって思って」

チケット情報はこちら

3月3日(土)より、東京国際フォーラム ホールCにて開幕する『ジキル&ハイド』。主役のジキル博士&ハイド氏をミュージカル界の貴公子 石丸幹二が引き続き演じるのに加え、新たなキャストでの待望の再演に早くも期待が高まっています。2012年と2016年の過去公演では、純白のエマ役で出演していた笹本玲奈さんもその一人。昨年一年の産休を経て、今作では180度と違ったルーシーとして、ミュージカルの舞台に舞い戻ります。

NL0_1943.jpg

復帰を待ちわびた多くのファンの期待を背負って新境地に挑む玲奈さんに、今回の意気込みや女優としての転機について、そして、一度離れて改めて感じたミュージカルへの愛をたっぷり語ってもらいました。

―同作ではエマ役として、過去に2回出演されています。今回は役柄がガラッと変わりますね。

「私の中で、ルーシーは濱田めぐみさん(2012年・2016年上演)のイメージが強いです。めぐさんのルーシーは、しなやかで妖艶で、大人の女性という印象でした。それでも、ルーシーのナンバーは自分のコンサートではよく歌ってきたこともあり、いつかやってみたいという思いもありました。原作では出てこない役なのですが、それってすごく有難いことだなって。年齢設定や生きてきた背景など自分が考えてきた形で役作りができる部分もあるんですよね。これまで演じられてきた方とはまた違ったルーシーができるといいなと思っています」

―笹本さんの考えるルーシー像とは?

「2年前の上演から、ルーシーの言葉でとても印象に残っているセリフがあって...。ヘンリーのことを『あの人は私に優しかった』って言うんですけど、その言葉がすごく悲しいし、切ないですよね。彼女の今までの人生すべてを表していると感じたというか、たった一言優しい言葉をかけられたことで内面がガラッと変わるくらいに、これまで計り知れない苦労をして、残酷な人生を歩んできたんだなって。具体的にどんなことがあったかっていうのは今から紡いでいく部分だとは思うんですが、きっと親の愛も受けてこられなかったのかなとか、男性に心底愛されるってこともなかったんじゃないかなとか...。娼婦ですので体を求められても、心を見てもらえない。想像できない人生ですよね」

―そんな役柄へのアプローチにあたって、大切にしたいことは?

「苦しい人生を送ってきた彼女ですが、ピュアな部分を持ち合わせている女性だとも強く思うんです。いくら男性に体を売っても、芯の部分ではとても純粋で、少女のような心を持っている。今までガチガチに鍵をかけられていた、そんな彼女の純真さがヘンリーの優しさによって解かれていく。そこを大切に表現したいです」

―言葉や態度の奥にあるものですね。

「口では、『私は人生を捨てたの、どうでもいいの』って言いながら、憧れや夢を固い箱に閉じ込めて何十年も生きてきたんだなって。そういう部分を見せられたらって思いますね。『あんなひとが』や『新たな人生』という歌も、彼女がピュアな部分を持ち合わせているからこそ出てくるものだと思うので」

NL0_1893.jpg

―19世紀ロンドンの過酷な社会背景の中で生きるルーシーですが、時代や環境は違えど、同じ女性として通じる部分もあるかもしれませんね。

「女性って誰しもがどこかで、愛されたい、とか、寂しさを埋めてもらいたい、とか多かれ少なかれ思っているんじゃないかなって。ルーシーにもそういうところがあって、そこが共感を呼ぶのかなって思います。物語は史実ではないですが、この時代の労働者階級の人たちがどういう暮らしをしていたのか、当時の娼婦の人がどれくらいのお給金をもらっていたのかとか、そういう時代背景にまつわる本や資料も今見ているところです。階級によって話す言葉、話し方も違うと思うので、そういったことも参考になるんじゃないかなと思っています」

―今回は歌うナンバーの印象もガラリと変わります。ワイルドホーンの楽曲にはどういう印象をお持ちですか?

「一言で言うと...役者泣かせですね(笑)。本当に大変な曲が多くって、喉に負担がかかります。『ミス・サイゴン』『レ・ミゼラブル』などでは、自分の音域にぴったりの曲をやらせてもらっていたのですが、今までのようなあどけなさが残る歌い方じゃダメですし、もっとねちっこくというか、情念のようなものを出していかなくてはならない。でも、音楽の力に乗せられてどんどん感情が溢れてくるんです。転調が多いので、気持ちがどんどん乗っていくし、演じる方も観る方も心を掴まれる。音を聞いているだけで感動させられるような力強さが魅力です」

―エマからルーシーへ。女優としても一つの"転調"となりましたね。

「階級社会の頂点にいる女性と底辺にいる女性。180度違う人生を背負っているなと感じています。ただ、そんなエマとルーシーにも共通点があります。育った環境や考え方は違っても、人を見た目で判断しない。うわべだけじゃなく、純粋な気持ちで心の中を読み取れる。そういう部分は唯一の共通点じゃないかなって。だから、劇中でも2人のデュエットがあって、同じ曲を一緒に歌えるんじゃないかなって」

NL0_1937.jpg

―人間の持つ純粋さ、複雑さ、残酷さ、弱さ。ルーシーを始め、登場人物の心の動きにドキッとさせられる作品ですよね。

「そう思います。でも、人間ってそうですよね、心で思っていることすべてを口に出して言えるわけじゃない。ルーシーも頭と心では、『この人に引っかかっちゃいけない』ってわかっているけれど、体が言うことを聞かないというか。そういう一致しない部分はハイドっぽいというか、二面性を感じる部分。一言で言うと、人間の本質をついた作品ですよね」

―自分すら知らない、二面性に気づいてしまうかもしれない...。

「殺人が絶対にいけないことというのは大前提ですが、ハイドが罪深い人達を殺していくところは、ちょっと爽快だったりもするんですよね。『自分もジキルであり、ハイドなのかもしれない』とか、『自分はもしかしたら、今思ってる自分じゃないのかな』ってちょっと怖くなることもあります。そんな気持ちに、楽曲の素晴らしさが相乗効果で響いていく。観終わった後に、『さあ、あなたはどうですか?』って、投げかけられているような...」

―ちなみにですが、笹本さんにも意外な一面はありますか?

「そうですね、二面性とはまた違うかもしれませんが、今までは子どもがいる生活がどんなものかなんて、考えたことがなかったんです。でも、出産して、自分の中の大きな変化を感じました。生まれた瞬間に価値観がガラリと変わったというか...」

NL0_1911.jpg

―どんな風に変わったのでしょうか?

「私生活を仕事に持ち込むことはもちろんダメだと思っているんですが、生活する上ではやっぱり子どもを優先することが多くなって。それに伴って、この先子供が育っていく中で、世の中がどのように変化していくのか、未来のことを考えるようになりました。今までは自分の今のことだけ考えていたのに(笑)」

―産休を経て、復帰。ミュージカルや女優業に対する心境の変化は?

「13歳でデビューしてから去年まで、ありがたいことにお休みなく仕事をいただいて、自分自身が話している時間よりも、役柄として話している時間の方が長いんじゃないかっていうくらい、女優として充実した日々でした。そんな中で、長い休みが欲しいなって思ったこともありましたし、自分を見失いそうになる時期もありました。でも、この一年間は、誰でもない"笹本玲奈"として生きてみたんです」

NL0_1896.jpg

―なるほど。

「今更ながら、『あ、自分ってこうだった』っていう発見もありました(笑)。でも、休めば休むほど、ミュージカルへの想いは大きくなって、その愛が再確認できた期間でもありました。こういう風に離れる時間って大事だったと思えましたね。そうじゃないと自分を見失って、もしかしたら、舞台も嫌いになっていたかもしれない。一度距離を置いて、外からミュージカルという世界を見つめた時に、改めて自分にとってのかけがえのない場所を見つけた気がしました。そう感じてからは、一刻も早く復帰したい! 歌いたい!という気持ちでいっぱいになって、今回はそういう思いが爆発すると思います(笑)」

―1つの転機を経験された笹本さんの復帰作、楽しみにしています! 最後に復帰を待ち望んだファンにメッセージをお願いいたします。

「昨年は結婚、妊娠、出産と1年ほど現場からは離れていましたが、その間もインスタグラムなどを通して、コメントやメッセージを頂く中で『こんなにも待っていてくださる方がいるんだ』とものすごく励まされましたし、とても感謝しています。支えてくださったみなさんに期待以上のものをお見せできる様にしたいと思っていますので、楽しみにしていてください」

取材・文:杉田美粋

撮影:イシイノブミ

チケット情報はこちら

チケット情報はこちら


■夢幻朗読劇『一月物語』特別連載 その1■


芥川賞作家・平野啓一郎の代表作を、音楽・バレエを融合したあたらしい形の朗読劇として上演する夢幻朗読劇『一月物語』 が3月に上演されます。

作品は、明治の日本・十津川村を舞台に、格調高く流麗な文体で綴られた幻想的な物語。

幽玄の世界と、その擬古典的文体があいまって、「現代の神話」とも称される名作です。

構成・演出を手がけるのは、「斬新な手法と古典的な素養の幸せな合体」(永井愛)と評された、ポップでロックで文学的な創作スタイルで、脚本・演出ともに幅広く評価を受ける 谷賢一

出演には、朗読という表現方法にも積極的に取り組んでいる、元宝塚雪組男役トップスターの水夏希、世界的バレエダンサーの横関雄一郎ら実力派が揃い、さらにミュージカル、ストレートプレイ、コンサートと幅広く活躍するかみむら周平の音楽が、その世界を彩ります。

2月末の某日、この作品のキャスト・スタッフが一堂に会する「顔あわせ」を取材しました。ichugetsu01_00_1170.JPG

●あらすじ(オフィシャルより)
明治三十年、奈良県十津川村。
神経衰弱の気鬱を逃れ、独り山中をさまよう青年詩人・真拆は、老僧に毒蛇から救われ、山寺に逗留する。
俗世から隔絶された奇妙な時空の中で、真拆は、いつしか現実と夢界の裂け目に迷い込み、運命の女と出逢った。 それは己の命を賭けることでしか成就しない愛、だが、刹那に失われる運命の愛だった......。
古典的風格さえ漂う端麗な筆致で描かれた聖悲劇。



これまでに音楽朗読劇『ヴォイサリオン』、リーディングドラマ『サンタ・エビータ』、『パンク・シャンソン~エディット・ピアフの生涯~』など "朗読" というジャンルに果敢に挑戦している水夏希さん。
今回は日本情緒溢れるこの世界で、どんな声を聴かせてくれるのでしょう。
水さんは、この作品の要といえる地の文を担当するとともに、謎めいた女・高子を演じます。ichugetsu01_01_1159.JPG

チケット情報はこちら

■ミュージカル「メリー・ポピンズ」特集(6)■

いよいよ開幕が近づいてきたミュージカル「メリー・ポピンズ」。3月4日(日)には浅田真央さん出演の特別番組(詳しくはこちら)も決定し、開幕に向けますますの盛り上がりを見せています!

NL0_9230.jpg

げきぴあメリーポピンズ特集第6弾は、ジェーンとマイケルの父であるジョージ・バンクスを演じる駒田一さん山路和弘さんの対談をお届け。家庭でも規律と秩序を重んじる、厳格な銀行員であるジョージ。「この2人がWキャスト?」と言われるというお2人それぞれの役に向けた意気込みをお伺いしました。

真面目な堅物だけではない、何かプラスアルファを出せたら(駒田)

堅い人物であればあるほど、表面的で、実は泣き虫だったりする(山路)

――『メリー・ポピンズ』との出合いは?

駒田 小さいころからもちろん映画は観ていましたし、曲自体すごく親しみがありますからね。でもまさか舞台になるとはこれっぽっちも思っていなくて。人が空を飛ぶ、なんてね。でもそれが現実となり、さらに自分が父親役をやることになるとは...。そういう年齢に僕もなったんだなと、今しみじみ感じています(笑)。

山路 僕は子供のころに映画館で観ているんですよ。特に具体的な記憶は残っていませんが、不思議な夢の世界に連れて行かれたなという感覚は強烈に覚えていて。そんな僕もなんと父親役、というかおじいちゃん役でもいいような年齢になってしまったことに、これは困っちゃったなと今少し焦っているところです(笑) 。

――オーディションは非常に長期間にわたったと聞きました。

山路 いやぁ、長かったですね。呼ばれる度に「また? もういいんじゃない?」と思っていましたから(笑)。

駒田 僕はこのマッキントッシュ・カンパニーの作品は3作目ですが、これまでの2倍、3倍は長かったですね。最後の方はもう楽しんでいたくらい(笑)。

山路 その境地までいった!?

駒田 ええ。これでダメならしょうがないし、やれることはやったなと。だから正直決まった時は、「本当にやるんだ!?」と驚きましたし(笑)、じわじわと喜びが込み上げてきた感じです。

山路 僕は何回目かのオーディションの時、「キチッとした格好を見てみたい」と言われたんですよ。で、たまたま『アンナ・カレーニナ』のカレーニンの衣裳を引き取っていたので、「これでどうだ!」くらいの気持ちで着て行ったんです。でも反応は芳しくなくて...。ついに終わりかなと思っていたらこうなったので、不思議なものですよね。

NL0_9256.jpg

――演じられるジョージ・バンクスについて、現段階ではどんな人物として捉えていますか?

駒田 真面目な堅物という印象ですよね。でも僕がやるからには、それだけではない何かプラスアルファをうまく出せたらなと。もちろん演出家や稽古場の雰囲気にもよると思うんですが、ただ堅い人というのでは面白くないと思っていて。

山路 僕も堅い人物だとは思うんですけど、それって結局表面的なものだったりしますよね。堅い人物であればあるほど泣き虫だったり。うまくそのへんを出せればとは思っているのですが...、そういう自分の色みたいなことって、向こうのスタッフには許されるものですか?

駒田 正直な話、どんどんやった方がいいです。絶対に怒りませんし、必ず許してくれる。決めつけることは決してしないので。だから今回も、いろいろ試せる稽古場であると信じているんですけどね。

山路 なるほど。

NL0_9263.jpg

――では駒田さん、山路さんならではのジョージとは、どういった部分に表れてくるのではないかと思いますか?

山路 それは自分ではわからないですね。周りには、「このふたりのWキャストっていうのもなかなかないですね」とはよく言われますが。

駒田 それ、僕もよく言われます。だからこそ面白いと思うんですよ。ある意味で本当のWキャストだと思うので。同じようなタイプの役者だと、僕なんか「どっちかでいいんじゃない?」と思ってしまうので(笑)。

山路 そもそも僕はプロになってから初のWキャストなんですよ。

駒田 あっ、そうですか!? 僕の中で山路さんってすごく渋い、ニヒルな印象があるんですけど、そういう意味でも赤と青くらいの違いが出るのかなと。さらにお互いの演じ方、お客さまの捉え方によってももちろん変わってきますから。

山路 僕は駒田さんがWキャストでいてくれることはすごく心強いですよ。稽古中も横にピタッと、ずっと寄り添っていきますので(笑)。

駒田 やめてくださいよ!(笑)

NL0_9239.jpg

取材・文:野上瑠美子

撮影:イシイノブミ

チケット情報はこちら

カテゴリー

ジャンル

カレンダー

アーカイブ

劇団別ブログ記事

猫のホテル

文学座

モナカ興業

谷賢一(DULL-COLORED POP)

劇団青年座

劇団鹿殺し

 はえぎわ

柿喰う客

ONEOR8

M&Oplaysプロデュース

クロムモリブデン

演劇集団 円

劇団チャリT企画

 表現・さわやか

MONO

パラドックス定数

石原正一ショー

モダンスイマーズ

ベッド&メイキングス

ペンギンプルペイルパイルズ

動物電気

藤田記子(カムカムミニキーナ)

FUKAIPRODUCE羽衣

松居大悟

ろりえ

ハイバイ

ブルドッキングヘッドロック

山の手事情社

江本純子

庭劇団ペニノ

劇団四季

演劇チケットぴあ
劇場別スケジュール
ステージぴあ
劇団 石塚朱莉