【「人間風車」連載(6)/最終回】矢崎広×松田凌×良知真次『人間風車』座談会!その2「後藤作品は念願でした」

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9月28日(木)に東京芸術劇場プレイハウスにて開幕する、PARCO&CUBE 20th present『人間風車』。パルコ版として14年ぶりの上演となる本作は、演出を"残虐非道ソムリエ(※)"の河原雅彦さんが新たに手掛け、脚本を脚本の後藤ひろひとさんが今回の為に改稿し、今作に合わせて改稿され、2017年版の爆笑と恐怖を届ける作品として生まれ変わります。

※「残虐非道ソムリエ」については連載第1弾をご覧ください!

これまでげきぴあでは、出演者の成河さん、ミムラさん、加藤 諒さん、演出の河原雅彦さんによる座談会(1)(2)(3)、そして稽古場レポート(4)を連載。

そして、前回から矢崎 広さん×松田 凌さん×良知真次さんの座談会を2回に渡ってお届けしております!(前回の座談会はこちら!)

今回は、ラスト。役柄や稽古場のお話を聞いていたのですが、話題は主演の成河さんの役者としての素晴らしさに!

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★概要やあらすじは連載第1弾をご覧ください

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【役柄紹介】

矢崎 広さん:小杉

TV局のディレクターで平川の大学時代の友人。アキラに好意を寄せ番組に起用しているが、振り向いてもらえない。私利私欲のためなら狡猾で手段を択ばない。

松田 凌さん:則明

公園で平川の話を聞く子供たちのリーダー的存在。にくらしさ満点だが、平川の話す童話にはいつも目を輝かす。

良知真次さん:国尾

平川の童話作家仲間で、数少ない大人の友達。平川と対照的に現実的な思考の持ち主で、"売れる童話"を書いている。

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■それぞれの役柄について

――役柄のことを伺いたいのですが、まず気になるのは、松田さんが小学生・則明役というところです。

松田 そうですね(笑)。今、河原さんからも「子供になってくれ」と言われています。多分、素の自分は則明に近いんですよ。脳年齢も含めて小学生。永遠のピーターパンだなって自分で思うんですけど(笑)。でもそれをお芝居にするってなると、技量も何もかもが足りなくて。だから今は、河原さんの求めるものにとにかく近づきたい一心です。「子供」の純粋さとか、そのときに感じていた新鮮さって今じゃ決して味わえないものだったりして。子供の頃って、夏休みがくるだけで「人生最高だな!」って思うような、そんな瞬間がいっぱいあったじゃないですか。でも今はそういうことってなくなっちゃうから。もう一度、その心を取り戻すためにがんばりたいです。

――良知さんは、ご自身の役柄 国尾について、先程「今までにやったことがない役なので苦労している」とおっしゃっていましたね。時代に迎合した絵本作家というこの作品の中では割と普通の人に近いのかなと思うのですが、どういうところで苦労されているのでしょうか?

良知 普通だからこそ難しい部分が、この作品は余計にあるような気がするんですよ。ただ、2003年版で国尾役だった(橋本)さとしさんの芝居を観てても、そこをすごくうまく演じられていたので、そういう風にできたらいいなとは思っています。あと、国尾は描かれない部分が多い役で。例えば国尾が(成河演じる主人公の)平川にあることをするんですけど、その出来事自体のシーンはなくて、それが起きた後のシーンをいきなり演じたりするんですよね。絵本に関しても、国尾が描いてる部分は全く出てこないですしね。そこをどういうふうに埋めていこうかなとか、今はそういうことをずっと考えていますね。

――矢崎さんの演じる小杉は、狡猾でいやらしい感じがする役ですよね。

矢崎 今までやってきた役とまた違う役で。僕は割と人間臭い役を多くやってきたんですけど、こういう悪意の見える役は初めてに近いです。ずっとそういう役をやってみたいなっていうのはあったんですけど、それが今このタイミングで来たのは、何か意味があるなとか思っていて。今は自分の中の引き出しからいろいろ探しているところです。

――嫌な部分を?

矢崎 はい。こないだは帰り道でずっと、「どうやったら成河さんを(精神的に)ボコボコにできるかな」とか考えてて。俺、なんなんだろうって(笑)。でもすごく楽しいんですけどね。どうしたら嫌に思われるかなって考えても、それを表現するとなるとまた難しくて。そこは河原さんにアイデアをいただきつつ、自分も持ち込みつつ、やってる最中です。ものにしたいですね。

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■成河さんにできないことがあるのか聞きたい

――お話をうかがってきて、すごく楽しそうで大変そうな稽古場だなと感じました。具体的にどんな苦労や充実感があるのかも聞いてみたいです。

矢崎 まず稽古場のスピードがとても速いので。

良知 (笑)。確かに。

矢崎 ゆっくり役と向き合う現場っていうのもあるんですけど、河原さんは速いスピードでつくるタイプの演出家さんなんですよ。それって早い段階で方向性が見えるということでもあるんですけど。だからなんかすごく、そこに自分たちも追いつかなきゃってところがあります。先輩方はそこに同じスピードでいけるんですよ。そういうのは、見ていて楽しいなっていうのもあります。追いつきたい意欲が湧くことも僕は今すごく楽しんでますね。

――先輩方というと?

矢崎 今回の成河さんとの出会いは僕の中で衝撃でした。ずっと知ってはいましたけど、お会いしてさらに「こんなすげー人なんだ!」って思って。人間的にも素晴らしいし、引っ張ってくれるし。役柄的にも、僕は割と積極的に成河さんと喋るんですけど、こんな年下の僕の意見も「そうだね」って聞いてくれるので。すごくありがたい存在です。かっけーな!って思いますね。

良知 うん。成河さんに「(演じる中で)今、何を思ってる?」って言われて説明したりすると、「なるほど。確かにそれは"ミュージカル"だったらいいかも」とかって話してくれて。いろんな話をしています。

――良知さんは挑戦することが多い分、苦労も多そうですね。

良知 そうですね。僕、今回は新人という気持ちでやっていて。稽古場でも河原さんにすごく怒られたり、「ちげーよ!」って言われたりもするんですけど、それはそれでなにか一個の答えになってるのかなって。河原さんは何が違うのかもちゃんと言ってくれるので、自分でも考えられるし。ときどきそれもふりきっちゃって「ある意味100点だ」って言われることもあるんですけど(笑)。でもなんかそういうふうにすごく厳しい目で見てくれているので。ただ、ときどき河原さんが笑顔になるときもあって。まだ僕もわかってないんですけど、多分、芝居の中で僕自身の気持ちが動いてたりすると、それに河原さんも動いてくれてるんじゃないかなって。僕がやろうとすることと求められてることが真逆だったりするので、今は河原さんに対して絶対的な信用を持って挑戦しています。

――真逆というのは?

良知 今までの作品で選んできた(芝居の)方向と全く違う方向のものを選ばないといけないんだなっていう。例えば飲み物ひとつ飲むにしても、今までの飲み方とは違う。それは今までやってきた役柄もですけど、僕自身とも違うんですよ。

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――ということはこの作品で見たことのない良知さんが見られそうですね。松田さんはどうでしょうか?

松田 河原さんはもちろんのこと、先輩方と一緒にやれるのが本当に嬉しくて。特に子供チームの皆さん、(堀部)圭亮さんも(川村)紗也さんも、(菊池)明明さんも、そして(佐藤)真弓さんに、すごく助けていただいていて。本当にお芝居が、皆さんすごいから。(加藤)諒くんは個人的に好きで。お芝居もさることながら人間性が素晴らしいですから。こんなにも人に愛される人はいなんじゃないかなって思いますね。こうやってご一緒させていただいて嬉しいですし。ミムラさんも本当に素敵な方なんですよ。だけどやっぱり......成河さんはバケモノです。成河さんという役者と出会えたことは、自分の財産になると思う。成河さんと共演できることを羨ましがられることも多いですよ。舞台ではもちろん拝見してたんですけど、でも稽古から一緒にいれるっていうのは、多分役者としてものすごく大きいものを得てます。将来、役者としてなくてはならないものがものすごく、自分にないものがすごくはっきりとわかるんですよ。もうこれはなんて言うんだろう...なんて言うんですかね(笑)。ある意味、完璧な形を見てしまってるような。

良知 できないことがあるのか聞きたいですよね。すべてができるから。

矢崎 ほんとそう!

松田 とんでもない努力と経験と、いろんなものがあって成河さんができあがってるんだと思うので。そういったものもしっかりと見ていきたいというか。ちゃんとここで盗めるものは盗んでいきたいです。

――ありがとうございました!本番を楽しみにしています。

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『人間風車』は、9月28日(木)から10月9日(祝)まで東京芸術劇場プレイハウスで上演。その後、大阪ほか各地で上演予定。

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