【「人間風車」連載(2)】成河×ミムラ×加藤諒×河原雅彦座談会「グロさって絵本が元々持ってるもの」

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キャスト一新、河原雅彦さん演出で14年ぶりに上演される、PARCO&CUBE 20th.present『人間風車』

そんな本作について、演出家の河原さん、出演者の成河さん、ミムラさん、加藤 諒さんの座談会を3回に渡ってお送りします。

★連載第1弾はこちら ※概要やあらすじも連載第1弾をご覧ください。

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――加藤さんは、『押忍!!ふんどし部!』や残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』で河原さんの演出を受けていらっしゃいますが、加藤さんから見て河原さんはどんな方ですか?

加藤 大好きです。初めてご一緒させていただいたときは本当に怖かったんですよ。もう、毎回怒られてましたし。でもダメなところはちゃんとダメって言ってくださいますし、よくなったところも言ってくださる。だから本当に信頼してます。河原さんについていけばきっと面白い作品になると信じて、いつもついていってます。

河原 今回は一切褒めるのやめます。病んでほしいから。

加藤 えー!

河原 ダメなところばかりを追いかけて追いかけて。

加藤 覚悟を持って稽古に臨みたいと思います!

――追い詰められるのは好きなタイプですか?

加藤 河原さんに関しては追い詰められても嫌じゃないっていうのはありますね。

河原 31歳の設定だけど、珍しくない? 諒がそういう役。

加藤 そうですね。

河原 諒が31歳の人間の男を演じる時点でファンタジーだよね。

――成河さんも舞台『エビ大王』で共演、舞台版『ショーシャンクの空に』で演出を受けていらっしゃいますが、河原さんのイメージは?

成河 俳優としての河原さんは、ほんと怖かったですよ(笑)。

河原 両方こええじゃん! やめてくれ、演出家としても怖いって言われて。

成河 (笑)。共演はだいぶ昔で、演出を受けたのは割と最近ですけど、演出家としての印象は何でも話せるっていうか。「なんでも話してよ」って言葉として言わずともそういう空気を出しているというか。やっぱり役者の気持ちをわかってくださる方。同じ目線で話をしてくださるので、そこが何よりも信頼できるなと思いましたね。

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――この作品は童話がカギになっています。童話にもいろんなものがあると思うのですが、皆さんにとって童話ってどんな存在でしたか? 河原さんから教えてください。

河原 パルコで上演した当時の童話ひとつとっても、観客の受け止め方が全然変わるような気がして。当時はあの(平川が書くシュールな)内容って笑えたと思うんですよ。でも同じ内容を今やると、なんか普通じゃないですか。(平川が書く)ダメな現実が入った童話って今は割とスタンダードな気がするし、シビアなシーンが入っていることも、このご時世そんなに意外性のあるものではないなと思っていて。コンプライアンス社会の弊害で、ロマンやファンタジーが想像しずらい時代になってきちゃてるから。じゃあ現代における童話ってどういうものになるんだろうって......うーん。なんで俺からなんですか(笑)。

成河 (笑)。僕は後藤さんの書かれた言葉の中でハッとしたのは、絵本とか童話って子供が選んで買うものじゃないって部分。親が選んで子供に読ませるものだから、まず最初の読者は親なんだよっていう現実を言葉にして聞くと、ハッとしました。まずは大人が読むものなんだって。僕自身は石坂浩二さんの読み聞かせ絵本をずっと聴いてました。僕、字に弱かったので(笑)、両親がレコードで買ってくれてましたね。

ミムラ 私は、絵本のことなら何日でも喋れるくらい(笑)。絵本のレビューの本も2冊出してるくらい大好きです。先ほど河原さんがおっしゃった通り、絵本って新陳代謝のすごく早い媒体なんですよ。今はまろやかなもの、ふわふわの絵本ばっかりで。皆さんよくご存じのところでは、『ももたろう』の終わりが鬼を退治しなくなっちゃったりとか。

 ただ、源流はなにかというと、そこはやっぱり昔話なんですよね。伝説とか民話から来ている。じゃあその伝説や民話は、おじいちゃんおばあちゃんが子供たちを楽しませようと思って読んでいたものかというと、そうでもなくて。政治的に、国民を洗脳するために作ってあるものも存在します。だから絵本ってそのときどきの国の歴史が血脈に流れているものなんです。「グロい」っていうのは絵本が元々持ってるもので......

ミムラ以外の3人 おお......!

ミムラ やっぱり差別とかも(根底には)あって。その分、ものすごく強いし、説得力がある。人間がずっと葛藤してきたものの結晶みたいなものが絵本には入っている。すごく年季が入ってるんですよ。

河原 すごい。もうこのコメントだけでよくない!?

ミムラ それと、今日私たち、赤い服着てるじゃないですか(注:ビジュアル撮影の日に取材でした)。戦後まもなくの頃に絵本出し始めた頃、絵本は赤くないと売れないって言われてたんですって。目を引く子供っぽい色じゃないと売れないから、他の色はダメだって言われてた。そのくらい狭い視野でしか成り立ってなくて。だからこの赤を着ているのも因縁深いものを感じてますよね。

ミムラ以外の3人 すごい!

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――今の話の後ですが、加藤さんはいかがですか。

加藤 (困惑顔)。

河原 かましてやれ、諒!

加藤 『赤ずきんちゃん』はすごい好きです。おばあちゃん食べちゃうの、好きでした。『本当は恐ろしいグリム童話』っていうのを朝読書で読んだりしてましたね、面白いなと思って。

――子供の頃からグロいのは。

加藤 嫌いじゃないです。

★その3に続きます!

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『人間風車』は、9月28日(木)から10月9日(祝)まで、東京芸術劇場プレイハウス、大阪、ほか各地公演予定。

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