舞台『土佐堀川』主演・高畑淳子インタビュー「人生で安穏といかない時、きっと思い出す舞台になる。」

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NHK連続テレビ小説「あさが来た」(2015~2016年)でもお馴染みの女性実業家・広岡浅子のドラマチックな生涯を描く舞台『土佐堀川 近代ニッポン―女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯』が10月4日(水)に開幕します。

原作は、「あさが来た」の原案でもある「小説 土佐堀川」(作者:古川智映子)。
激動の時代に並外れた知性と行動力で、炭鉱経営、銀行設立、日本発の女子大学校設立、生命保険会社(大同生命)設立と、数々の事業を成功させ、女性に自由をもたらした女性実業家・広岡浅子さんの笑いと涙に満ちた人生を、高畑淳子さんが演じます。

今回、初めて一代記を演じるという高畑さんにお話をうかがいました。

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――まずは広岡浅子さんを演じることになったときのお気持ちを聞かせてください。
今回、まず演目の変更がございましたので(※)、私にできるかなというのはありました。私の柄かなっていうのもありましたし。でも四の五の言ってる場合じゃないっていうことが一番でしたね。
※もともとの演目『ええから加減』の主演・藤山直美さんが病気加療・静養のために降板し、急遽本作が決定した。


――「私の柄かな」というのは、キャラクターが違うということでしょうか?
そうですね。それは広岡さんがどういう方かというよりは、朝ドラで観ていたイメージがあって。ぽわんとしてかわいらしくて「びっくりぽんや!」と言っている感じの。だから、大丈夫かな?というのはありましたね。


――台本を読んでそこは変わりましたか?
タフな人ですよね。新幹線があったわけじゃない時代に、(炭鉱のある九州まで)歩いたわけでしょ!? 労咳にまでなっているのに。


――そのパワフルさが高畑さんと通じるように感じます。
そういう風に言われるのですが、自分では「そうなんだ」って思ってます。パワフルに見えるんでしょうか。虚弱体質なのに...(笑)。広岡さんは強いというか、三井家(京都の豪商)に生まれて、男性がいろんなご商売をなさってる中で「女にはどうしてそれができないんだろう、私もあんなふうにやりたい」っていう気持ちが強かったんだと思います。あとはそういう家に生まれた者として恥ずかしくない生き方をしなきゃっていうのも強かったような気がしますね。家を大事にするというよりも、この家に生まれたからには私もここの一人としてやらねばならないっていう。それが「勉強したい」ってことにもつながっていて。でもその反対側に「女なんか何も知らなくていいんだ」「そんなこと男にまかせとけばいいんだ」っていう時代の空気(が逆に背中を押す気持ち)もあったんだと思います。


――商売以外の部分でも破天荒ですね。
変わってますよね。髪を振り乱すと母親に叱られるからって自分で髪を切るとかね(笑)。でも私もそこはわからなくはないです。ぐちゃぐちゃ言われるんだったらなくせばいいっていうのは、ちょっとわかる気がします。


――広岡さんの場合は、そういう大胆さが商売を成功に導いた部分もあると思うのですが、高畑さんの大胆さは女優に向いたのでしょうか?
商売したいとは思わないですもん。すごく手間がかかるし、めんどくさいですよね(笑)。だってものすごい賭けでしょ? でも役者も賭けか...。私が女優をやって一番面白いのは、いろんな人の価値観を想像できることなんですよ。例えばお芝居を観ても、3、4人で行くと必ず「私はあそこが面白かった」「私はあそこだった」って違いますよね。あれが面白いんです。人ってそれぞれ考え方が異なるんだなってつくづく思うから。自分じゃない人の生活を想像するのが面白いし、そこを考える時間は私にとってかけがえないものですね。


――今作は念願の一代記だそうですね。初めてというのは意外でした。
そうなんですよ! 一代記、ずーっとやりたかったんです。私は30歳で女優をやめなきゃと思っていて、29歳のときに首の皮一枚で演劇界に繋がった作品(舞台「セイムタイム・ネクストイヤー」)が、一代記ではないですけど、23~46歳までを演じるもので。ちょっとずつ変化する人を演じるのが、実はすごく得意なんですよね!(笑)


――今回、17歳から亡くなるまでを演じられますが。
最初のほう(十代)はちょっと特殊な眼鏡か何かをかけてもらって、音声のみでお楽しみくださいって(笑)。でも"あれがあって、これがあって、晩年がある"っていう一代記は、やっぱり好きです。亡くなるときに「ああこれで終わりなんだな、思う存分生きてきたんだな」って。別に悲しみに浸るわけでもなく、「ただ目の前にあることをやってきて、思う存分生きました」っていなくなる...っていうのかな。そこがとても好きです。


――若いときは若いときで、人生の礎になるところを演じるという意味ではすごく大事ですよね。
そうですね。炭鉱の人たちに「掘ってくれ」っていうところもそうですし、炭鉱事故があったときに中に人がいるのに水を入れなきゃいけなくて、それを判断するところはクライマックスですよね。旦那さんが亡くなったときに「あの人という人がいたから私は好き勝手ができたんだ」っていう。亡くなった後、コトっと歯車が止まるんですね。それで「あの人がいたから私はいろんなことができたんだ」って言うところも好きなんですけど、そういう晩年が映えるためにも、序盤でフル稼働してるっていうのが大事なんだと思います。


――女性に自由がない、現代とは違う価値観の時代のお話ですが、今、それをお芝居でやることはどういうことだと思われますか?
そうじゃない時代があったこと、先人がそうやって駆けずり回った時代があったことを、それこそ"知る"ことが大事だと思うんですよね。想像つかないじゃないですか、「女性に学問はいらない」と言われていた時代があったなんてこと。今あるものが当たり前のように思うけど、そんな時代もあったことをやっぱり知ってほしいし、だからこそ大事にしてほしいとも思いますし。広岡さんに、今、東京都知事は女性なんですよって教えてさしあげたいですもん。物語には市川房枝(女性政治家)さんも出てきますけど、本当にいろんな人を育てた方なんですよね。それで最後に富士山の別荘のところで木を植えるんですけど「自分がいなくなってもそれは育っていく」って言うんです。大きい方ですよね。


――最後に読者に一言をお願いします。
きっとこれから先、思い出せる舞台になると思います。人生は安穏にいかないときもあります。そのときに思い出していただける、そんな舞台になるような気がしています。

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公演は10月4日(水)から28日(土)まで東京・シアタークリエにて上演後、全国7か所を巡演。

(文:中川實穂)

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