原田優一×和田琢磨×星野真里が語る『瀧廉太郎の友人、と知人とその他の諸々』

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105日に開幕した音楽劇『瀧廉太郎の友人、と知人とその他の諸々』

留学先のドイツで結核にかかり、23歳で亡くなってしまった音楽家・瀧廉太郎を巡る事実も交えた"IF-イフ-"のお話。『故郷』『朧月夜』『荒城の月』など馴染み深い唱歌の中には、作者不詳の歌も多くあります。この作品は、その作者不詳曲の作曲に関わったとされる岡野貞一と、天才とうたわれ短命に散った瀧廉太郎の物語。2014 年、2015 年と上演されている人気作です。

 

今回、初演から岡野貞一を演じる原田優一さん、今作で瀧廉太郎を演じる和田琢磨さんと、実際に瀧がドイツで交流を持ったとされるヴァイオリニスト・幸田幸さんの世話人フクを演じる星野真里さんにお話をうかがいました。


瀧廉太郎3ショット.png


 

――稽古も終盤ですがいかがですか?

原田「通しを始めるのがすごく早かったんですよ。みなさんが1回目の立ち稽古から台本を放してきたので、びっくりしちゃって! だから今もう何回目かの通しができてるんですけれども、やっぱり最初から最後まで通すと見えてくるところがあります。僕は3回目の出演ですけど、まだまだ発見がたくさんありますし」


――早く台本を放すのは、星野さんと和田さんはいつもそうなんですか?

星野「再々演の作品に参加するのは初めての経験で、原田さんはもう完璧なんだろうなと思ってたから。必死で(台詞を)入れたんですよ」

和田「登場順が原田さん星野さん僕とくるので、ふたりが台本を放してるのを見て『マジかー!』と思って(笑)。初日は無理くりでした。でもそれがいい刺激になってスムーズに進んでいったところはあります」


瀧廉太郎和田さん.png


――原田さんは3回目の出演にして何か違うと感じることはありますか?

原田「演出の板さん(=板垣恭一さん)も話してたんですけど、その人の個性や生きてきた経験が注がれるから、同じ役をやっても同じものにはならない。それって芝居のすごくおもしろい部分だと思うんですよ。今回も、それぞれの解釈でそれぞれの役を演じていることとの化学反応があります。だから3回分積み重なってきたというより、3回目の新たな風という感じですね」


――化学反応して、役柄の関係性に違いはありますか?

原田「僕がドイツに来て最初に会う日本人はフクさんなんですけど、今回は特に、ドイツ滞在中にすごく心を通わす存在になってるなと思います。フクさんの存在は岡野にとって、今回とても大きいです」

星野「前作は、私よりも全然年齢の低い新垣里沙ちゃんがフク役をやられていたので、最初、私の年齢を間違われてるのかなって心配になったんですけど(笑)。私が今の年齢でこの作品に参加するからには何ができるんだろうっていう部分で、みんなの世話焼きばばあみたいな感じになれたらいいなと思っていて。みんなによければって、ちょこちょこ動いてる感じです」

瀧廉太郎酔っぱらい.png

――瀧さんはどうですか?

原田「これも板さんの受け売りになっちゃうんですけれども、例えば『日本のために音楽を作ろう』っていうときに、男同士ってすごく遠くの同じ一点を見つめるんだよね、女性同士だったらお互いに見つめあって『そうだね』って言うよねって。そういう男女の違いがあって。その男の友情ってこういうことなんだろうなっていうことを、今回は特に丁寧に作っていけてると思います。和田くんとは今回が初めましてで、だから本当に今、"瀧廉太郎としての和田琢磨さん"と自分が向き合ってるというか。普段も飲みに行くけど、結構役が残ってたりもするかなっていう感じがします」


――役が残って飲みに行くってどういう感じなんですか?

原田「なんだろう...『ウエーイ』とはならない感じ」

和田「岡野とは、幼馴染でずっと一緒っていうのではなく音楽があっての間柄なので、友情プラスなにかライバルだったり、どうしても違う角度から彼を見る瞬間もあって。でも結果的にそれがあるから友情が深まっている部分もある。だから『ウエーイ』っていうのとは違う、目の前にひとつどんと大きな何かがあって、そこに手を入れては引っ込めて...みたいな感じですね」

原田「2人はお互いを音楽家として認め合っているからこそ、音楽家としての領域に土足で踏みこむようなことはしない間柄だったんじゃないかなって思います」


――板垣さんの演出を受けて、いかがですか?

和田「今回初めてだったんですけど、自分が気付けていなかった部分を、ブスッと刺されるような。なので毎日シャキッとして稽古に臨めてるのはすごく楽しくて。僕はそうやって細かくやっていく機会が多い方ではないので、そういう意味では勉強しながらと言うと失礼ですが、そういう気持ちで毎日やらせてもらってますね。楽しいです」

星野「最初から『このシーンはこうだから、こうやっていこうね』じゃなくて『まずやってみてください』って全部渡されて、何も言わないんですよ。なんでそうするかっていうと、やっぱり役者が自分で実際に動いて会話したところで生まれたものに、『こうしろ』って言われたものは絶対に勝てないから。そして足りないことを的確に言葉で表現してくださるんです。こんなに丁寧に向き合ってもらって、すごく贅沢に演出っていうものを感じられる現場だなって思ってます」

 

――原田さんと愛加さんは劇中で歌われるんですよね。

星野「すごく素敵な歌声ですよ」

原田「って言うしかない(笑)」

星野「いやでも最後にみんなで歌うんですけど、とりあえず一人ひとり歌ってみようっていうときがあって。それまで散々2人の歌声を聴いてきて、どこかで『私もちょっとできるんじゃない?』みたいな気持ちがあって(笑)。それで歌った自分の歌があゆちゃんと全然違って、ああ!って...」

和田「僕もピアノを弾くお芝居をしながら2人の歌を聴いているので、家とかでもちょっと口ずさんじゃうんですよ。『いけるなあ?』と思って。でもやってみたらとんでもない!(笑)」


――そう思わせるくらい軽やかに歌われているってことですよね。

星野「そうなんです。無理をしてなくて、気持ちよさそうに楽しそうに歌われてて」

原田「簡単そうに聴こえるっていうのは、すごく嬉しいことで。それくらいにシンプルに歌えてたんだなって。でも実際、本当に難しいんですよ、唱歌って。シンプルがゆえに一番そぎ落としたところで歌わなきゃいけないから、ごまかしがきかない。本当にストレートにシンプルに歌わないと伝わらないので」


――ピアノの生演奏も魅力ですよね。

原田「毎回、お客さんも違えばキャストのその日の空気というのもあるので。多分、空気感の違いを一番感じているのって(ピアノ演奏の)YUKAさんなんじゃないかな。そこを読み取って、合わせて弾いてくださいますね」

 

――最後に、今感じている作品の魅力を教えてください。

星野「まずは瀧さんの創った音楽の力ってすごいなということを改めて。それだけでも『いいものを観た』という気になって帰ってもらえるような作品でもあると思いますし。そしてこの少ない人数だからこそのリアルな気持ちのキャッチボールっていうのが舞台上で繰り広げられてるのと思うので。どの年代の人が観てもきっと楽しんでもらえると思いますし、ここまで『楽しめると思うよ、観に来て』って言える舞台ってなかなか少ないと思っていて。本当に自信を持ってオススメできる作品です!」

和田「コミカルなシーンもたくさんありますし、知ってる歌もたくさん出てきますし、そうやって安心して観れるところもあれば、ググッと感情移入してしまうところもあって。大きなセット転換などがない分、感情の幅やいろんなことを感じ取っていただける作品なんじゃないかと思います」

原田「性別でも、年代によっても、さまざまな感じ方があると思います。90分っていう観やすい上演時間ですし、いろんな方に観に来ていただけたら嬉しいです。新しい方が参加してここまで雰囲気が変わる芝居っていうのもなかなかないんじゃないかな。それぞれの役者の個性が出ていますし、おもしろい組み合わせにもなっていると思います。以前観られた方もぜひ観に来ていただきたいです!」

 

音楽劇『瀧廉太郎の友人、と知人とその他の諸々』は、105日(水)から10日(月・祝)まで、東京・草月ホールにて。


瀧廉太郎3ショットその2.png


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