『鱈々(プゴテガリ)』日本上演に寄せて~李 康白先生のこと(劇作家・演出家:鄭 義信)

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「焼肉ドラゴン」の作・演出で有名な鄭 義信さんから、舞台「鱈々」の作家である李康白さんとの出会いと、作品の魅力について語っていただきました!


初めて李 康白先生とお会いしたのが、正確にはいつのことか、実ははっきりした日付が思い出せません。でも、強く印象に残っているのは、韓国・南山の国立劇場から下った先にトンソク屋が軒を連ねる一帯がありまして。そのうちの一軒に連れて行っていただき、ご馳走になったことでしょうか。韓国の劇場、劇団で僕の戯曲が幾つか演出・上演されてからのことなので2011、12年頃だったと思います。

 李 康白先生は、韓国でも大変な大御所。でも、そのお話しぶりは気さくでウィットに富み、ところどころに挟まれるブラックな視点や言葉がピリッと響くのがまた味がありまして(笑)。名実ともに韓国の知識人を代表される方だと思います。

 その後の2013年、日本で影書房から戯曲集「ホモセパラトス」(秋山順子訳)が刊行された際には先生から本をお送りいただき、その中に収録されたいたものを読んだのが、僕が『プゴテガリ』に触れた最初でした。

 韓国では戯曲に限らず、感情の描写などがウェットでパッショナブルな作品が多く、作り手にも観客にも好まれる傾向がありますが、先生の作品は抑制された文体と抽象的な設定が印象的で、他に類を見ない作品世界が展開されていると思いました。そこには、深い知性の裏打ちがある。日本の劇作家で言えば、別役実さんのような筆致をお持ちだと言えるのではないでしょうか。

 今回のような形態で先生の戯曲の上演が実現されたのは、80年代後半から地道に続いてきた日韓の演劇交流、その成果の一つだと思います。僕が劇団時代、初めて韓国公演を行った頃には今、小劇場が並ぶ大学路にも、数件の劇場があるだけでしたから。

 『プゴテガリ』は閉塞した空間で展開する濃密なドラマです。今回は大きめの劇場で、栗山民也さん演出のもと、藤原竜也さんや今年、僕の『焼肉ドラゴン』に出演してくれた中村ゆりさんらエモーショナルな四人の俳優さんが取り組まれると聞きました。あの、独特の世界観を今回のカンパニーがどう解釈し、日本の観客に何を届けるのか。作品が内包する大きなエネルギーが、日本の劇場で大きく花開き、いかに変容して広がるかに期待を寄せています。

 ちなみに干しダラのスープは僕も大好きで、韓国に行くと必ず食べます。ただ、それは劇中のような唐辛子を大量に入れるものではなく、淡白で滋味に溢れたもの。今回のカンパニーが作る"スープ"が、どんな味わいのものになるかも楽しみにしています(談)。


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