『十二夜』を彩る衣裳の世界

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ジョン・ケアード演出、音月桂主演の『十二夜』
シェイクスピアが描いた、幻想的なロマンティック・コメディです。

今回のプロダクションの美術・衣裳を担当したのは南アフリカ出身で、オペラやクラシック作品なども手がける、世界的に著名なアーティスト、ヨハン・エンゲルス
残念ながら昨年11月、この作品のデザインを仕上げた直後に亡くなられました。
『十二夜』は彼の遺作となります。

会見で、ジョン・ケアードは次のように語っていました。

「コスチュームとセットは本当に美しいものになっています。私の親しい友人だったヨハン・エンゲルスさんが手掛けたものです。11月に、この作品のデザインをし終えたその直後に亡くなりました。僕はこのデザインを見るたびにほろ苦さと甘さをもって思い出します。芝居自体が死や喪失、時間経過を表しているだけに、特にそう思います。この作品を心の中でヨハンに捧げようと思います」


そのヨハンさんと20年ともに仕事をし、今回はコスチューム・スーパーバイザーとして本作に参加しているビニー・ボワーマンさんに、お話を伺ってきました。

◆ ビニー・ボワーマン氏 INTERVIEW


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――ビニーさんから見て、ヨハンさんの手掛ける衣裳というのは、どういった特徴がありますか?

「彼はたくさんのことを話していましたので、説明するのは難しいのですが、よく「セクシーであるべきだ」と言っていました。そして、リッチで、最上級よりさらに上(over the top)。ヨハンさん本人のように「オーバー・ザ・トップ」なものを作っていました。
また彼は特徴的であったり、スペシャリティがあるようなタイプではない...というのが特徴でもあります。ほかのデザイナーはもっとモダンなことをしようとしますが、彼はもっとオーセンティック。すごくゴージャスではありますが、時代に即したものを作ります。(演出の)ジョンも、そのことを知っているから、彼に今回の仕事をオファーしたのだと思います」

――このプロダクションについて何か話していましたか?

「彼の考えは彼の頭の中にあるもので、ここには紙(デザイン画)しか残されていません。実際に話したことは、どういう素材で作るか、それをどこで買うか...といった具体的なこと。だからあまり概念的なことは話していないのです」


――ジョンさんによると、実際の設定(17世紀初頭)より100年後の衣裳とのことですが...。

「そうです、1700年すぎのものなんですよ。それはジョンとヨハンで話して決めたのだと思います。もしかしたらヨハンが「そうしたら」と言ったんじゃないかな。というのも、このテイストはすごくヨハンっぽいので...」


――ヨハンさんぽい、というのはたとえばどのあたりが?

「こちらなどは、とてもヨハンっぽいですよ!」
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▲ オリヴィアの衣裳です


――前面に絵画がプリントされていますね。

「はい、絵画を布に印刷したものを使っています。見た目がとっても面白いでしょ? この小さい三角の部分(胸部)は、生地屋で最初からプリントされたものを見つけたんです。その後、スカートの部分は、(上半身にあわせて)絵の原本を探すところから初めて、生地にプリントしました」


――ほかにも、ビニーさんのお気に入りがありましたら教えてください。

「これが好きです!」

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▲ フェステの衣裳です

「すごく有名な絵画からイメージを取ったものです。絵画からインスパイアは、たっぷり受けています。この時代のドレス、衣裳というものは、絵画からしか情報がないんです。必然的に、その時代の絵から多くのインスパイアを受るんですね」



「ほかにもサー・トービーのコスチュームはお気に入りです。生地を見つけた時に、これは絶対買わなきゃ!と思ったんです。まだお金の話をする前でしたが(笑)。その生地がみつかったから、これをもとにほかの素材を買っていったんですよ」


――ひとつの生地を中心に、周りを揃えていく...という作り方もあるのですね。

「衣裳を作る時はいつも、何かしらとっかかりになるひとつのピースがあるんです。先ほどのオリヴィアのドレスですと絵画がペイントされた生地。それが決まると、ほかのものが見えてくる。まずとっかかりがあるんです。
いつもヨハンからデザインが来ると、ロンドンの西の外れの、彼が行ったことのないようなチープな生地屋に彼を連れて行きます。そうすると彼はいつも興奮します。そこでこういう生地を見せると、彼は考え方をかえます。もっとゴージャスな生地の使用を考えていたとしても、こういう(安い)生地を重ねていくことでゴージャスになるというようなアイディアがどんどん出てくる。そして実際のデザインがビルドアップする。そういうプロセスをいつも辿っています」


――そうして出来上がった衣裳ですが、俳優さんによれば結構重い、とか。

「彼が本来考えていたものよりは軽いはずですよ、薄っぺらい生地なので(笑)。でも彼のデザインはいつも、コルセットで女優さんの腰を締め上げるものなので、座るのも大変なはず。『十二夜』もタイトなシルエットなのですが、今回は女優さんがスリムな方が多いので、そこまでじゃないかもね。でもやっぱりタイトにはしないと、ですね(笑)」


――いまフィッティングがどんどん進んでいる最中ですが、実際に俳優さんが着てみて改めて思うことなどは?

「まずは素晴らしいコスチュームが出来て誇りに思います。そしてこの場にいて衣裳が出来上がるのを見て、とても幸せに思う。ただ、まだ仕事はいっぱい残っていますので...こういう時、イギリス人は木を触る(touch wood)のですが...これはgood luckを意味するジェスチャーなんですが、そんな気持ちですね。つまり、このまま上手くいくことを願います」


――最後に。ビニーさんから見て、ヨハンさんはどういう方でしたか?

「bigで、very gentleで、kind。まさにこういうデザイン画のような人でしたよ。...それからloud(声が大きい)(笑)。お葬式のあとで、誰かが彼はとっても彼の人生を楽しんだと思う、と言っていたのが印象的でした」

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▲ こちらが、ビニーさんが「ヨハンさんらしい」と語っていたオリヴィアのドレスです。
ちなみに一番上の写真に写っているのは、これまた豪華でビニーさんおススメの、オーシーノ公爵の衣裳。



【公演情報】
3月8日(日)~30日(月) 日生劇場(東京)
4月10日(金)~12日(日) 梅田芸術劇場 メインホール(大阪)
4月7日(火) iichiko グランシアタ(大分)


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