『スタンド・バイ・ユー ~家庭内再婚~』夫婦対談・榊家(勝村政信&真飛聖)の巻

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■『スタンド・バイ・ユー ~家庭内再婚~』vol.3■


岡田惠和・脚本、堤幸彦・演出で贈るコメディ『スタンド・バイ・ユー ~家庭内再婚~』
映像界のトップランナーふたりが新作舞台に選んだ題材は、夫婦の物語
連れ立って別荘に休暇に来たふた組の夫婦が、アクシデントによってそれぞれ伴侶でない相手と一夜を過ごすことになり、しかもそれぞれが意気投合しちゃった!?

"似たもの夫婦"の正反対、タイプも嗜好も真逆な夫婦ふた組はどうなってしまうのか...。

本日は、草食系なダンナ(勝村政信)肉食系な妻(真飛聖)ペア、榊家のおふたりのインタビューをお届けします。
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勝村さんが過去の面白エピソードを次々と披露したり、ボケてみせたかと思えば、
真飛さんはそのボケに乗っかってみたりツッコんでみたり...と、笑いが絶えず、話は脱線ばかり!?
お互いの印象から、夫婦像の在り方まで及んだ夫婦対談の行方はいかに...。


勝村政信&真飛聖 INTERVIEW


――すでに息ぴったりなのですが...初共演ですよね?

勝村「実は同じサッカー部だったんですよ(真顔)」

真飛「そうなんですよ、ハイ。苦楽を共にした仲でして...」

勝村「毎日こんなノリです」


――(笑)。初共演の印象を伺わせてください。

真飛「初対面と言っても、私はテレビでずっと拝見していたので...。とても素敵な俳優さんだなと思っていて、すごく好きで...」

勝村「よく言っちゃったね、そんな嘘を!!」

真飛「いえいえ。図々しいのですが、一緒にお芝居をしてみたかったです。ですので、今回共演できることが驚き。でもすごく嬉しいんです」

勝村「真飛さんはやっぱり宝塚ご出身じゃないですか。僕とは"基本カテゴリ"が違う方です。僕はミュージカルもやりませんし...。宝塚の方って特殊な世界に生きていらっしゃいます。タテの関係がちゃんとしている。今の時代はどうしても横のつながりを大切にする風潮になっていますが、歴史や先輩後輩、そういうものを大切にしている方々というのは安心できます。哲学がちゃんとある世界ですから。丁寧だし、出来ないことがないじゃないですか」

真飛「えーっ、それはないです...」

勝村「得手不得手はご本人の中ではあるんでしょうけど、歌えて踊れてストレートプレイも出来て、しかも男も女も出来て...って、マイナス要素がない。しかもそこで頂点に立った人ですから、それはもうとんでもないです」
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――先日、ダンスシーンのお稽古を少し拝見させて頂きましたが、真飛さんは「リーダー」と呼ばれていましたね。

勝村「部長、とかね。そりゃ、しょうがないですよね。全員の面倒をみてくれていますよ」

真飛「しょうがないのか(苦笑)...まぁ、そうですよね、一応それ(歌とダンス)をずっとやってきたので。今回のメンバーの中ではおそらく一番やってきた回数は多いので、少しでも皆さまのお役に立てればとは思ってます。...でも、今回はダンス、ないと思っていたんですよ。歌も踊りもない、本当に純粋なストレートプレイは初挑戦だと自分で思っていましたし、周りにも結構そう言っていたんです。...そしたらあったし(笑)! 出てすぐ歌うし!」

勝村「堤さんはサービスが大好きですから...」


――おふたりとも、堤さんの演出も初めてですね。初・堤演出のご体験はいかがですか?

勝村「"ジャブ"というあだ名をつけました」

真飛「ジャブ!?」

勝村「とにかくジャブを打ちまくるんですよ。倒すのを忘れるんじゃないかなってくらい、細かいジャブを打ちまくる。「こういうことをやってみて」「次はこういうことを」って。でも思いつきのようで、堤さんは実はものすごい考えている。わざと昭和っぽさを入れたりとか。そのくすぐり方が面白い。人をくすぐることが大好きなんですね」

真飛「そうですね。稽古場もとても楽しいです。でも気が抜けない! ドタバタ(コメディ)なので、今はまだ「次は何だっけ!?」となる時もあるのですが...。堤さんはどんどん変わっていくので面白いですよ」
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――脚本、物語自体にはどんな感想をお持ちでしょう?

勝村「僕は...まいったな、と思いました。映像の脚本を書いている岡田さんならではだなと。言葉が多いし、読んだだけですべてが成立してしまう脚本なんです。読み物として面白いものというのは、板(舞台)の上にあげる時にちょっとやっかいなんですよ...それだけで面白いから、自分たちが稽古で立ち上げていく作業がしんどいんです」

真飛「私は日常で交わしたことがあるような会話劇だと思いました。...あ、榊さん(勝村)とハルカさん(ミムラ)ふたりのところはちょっと変わっていますけど(笑)。私と藤沢さん(戸次重幸)のやりとりなどは普段の会話でもありそうですし、彼らが張るちょっとした見栄や、話を盛ってしまうところなんかはすごくよくわかる。ですので誰もが自分に置き換えて、(キャラクターに)乗っかって観れる舞台だなと思ったんです。でも、なんせコメディですしテンポが早いし、ちょっと...手ごわいですねぇ!」

勝村「僕、(舞台での)コメディも初めてなんですよ」

真飛「意外ですよね。(よく出ている)イメージがあるので」

勝村「映像作品を観ていただいている方にはそう思われるのかも。でも舞台だとここ最近ですと、伝説のマタギ(『冬眠する熊に添い寝してごらん』)に、不死身の悪魔のような老人(『祈りと怪物 ~ウィルヴィルの三姉妹~』)でしょ...。もともとが蜷川(幸雄)さんの劇団出身ですし、その蜷川さんも近年では喜劇もやっていますが、昔はシェイクスピアでも悲劇ばかりでしたし。日本物も近松とか西鶴とか。舞台を観ていただいている方にとってはこういうタイプの作品の方が意外なのかなと思います。だからストーリーにしても、今回の物語は非常にドメスティックなことを描いていますが、僕が今までやってきたドメスティックな物語って、家族は家族でも国が倒れたりと、すごく壮大だったんですよ! こういう現実的な日常の会話劇というのがあまり経験したことがなくて。実は人が死なない芝居も久しぶりなんです(笑)」

真飛「こんなハッピーなのは久しぶりだって仰ってましたよね」

勝村「気持ちが悪いんですよ、幸せになることが」

真飛「そんな(笑)! でもその場その場で、勝村さんが思いつかれたその時のお芝居をされるので、すごく楽しいです。やはりそれが生の舞台の醍醐味だなと思います。ドラマとかですと一回撮ったらそのシーンに戻ることはないですが、舞台は毎回、冒頭から最後までを繰り返しやる。その中で、セリフは同じでも、その時の感情とか相手の呼吸で全然変わってくる。その間合いとかが、勝村さんは用意してきたものというよりフィーリングでやっていらしていて、それがまさに神から降りてくるような面白さ! ...あ、実はいつも寝ずに考えていらしたらごめんなさい(笑)」

勝村「...ごめん、今寝てた。昨日寝てないから」

真飛「夜も寝ずに考えていたんですね(笑)」


――それぞれの役についてもお伺いします。真飛さんが演じる愛子さんはいわゆる肉食系女子ですね。

真飛「岡田さんがそれぞれの役を当て書きっぽく書いた、と仰っていて、「えっ」と思ったんですが(苦笑)。でもホントは強がっているところとか、実は弱いところとか...(共感できる)。...って、これ自分で言いたくないなぁ、ワタシ弱いんですアピールとかしたくないんですけど(笑)」

勝村「ホントは弱かったんだねぇ~」

真飛「やめてください...。でもやっぱり、"気にしぃ"なところですとか、特に宝塚でトップ時代、私は大丈夫だと、強く見せていなきゃいけなかったところもありましたので。愛子の綺麗ぶってる部分や、私はイケてる風にしている感じはわかる気がします」
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――一方で、勝村さん扮する榊さんは、草食系男子。妻である愛子さんに押されまくっている旦那さんです。

勝村「登場人物の中ではある意味、一番普通のおじさん。...おじちゃんかな? 出世も出来ず、結婚はしてるんだけど、自分の思い通りには何もできない。市井の人。観ている方が感情移入しやすい役なんじゃないかな。でも普段から内側に抱えているものがたくさんあるから、突然それがうわーっと出てくる。そういう人っていますよね。今、増えている気がする。普段は押さえ付けられていて、ある時バーン! と爆発してしまう」


――そんなご夫婦が、それぞれに浮気をしちゃうわけですよね?

勝村「僕はしてません!」

真飛「ん?」

勝村「ん?じゃないよ...」

真飛「でも榊さんは悪くない気がしますけど。愛子がこんなだから、ちょっと自分に似た、自分を認めてくれた人に拠り所を見つけてしまったのは当然のことかな...同士を見つけた感覚なんですよね?」

勝村「いえ、浮気です!」

真飛「浮気なのか(笑)。ダーリンのことを良く言いすぎましたね、私」

勝村「僕(榊)は受け止めていないんじゃないでしょうか。大きな問題だよね、彼もまた自分のせいと思っていくしかないんだろうけど。(肉食系の)彼女はそういうことをする可能性はものすごく高いということは自分の中ではわかっていたことで、導火線はたくさんあるけど、火がなかなかついてなかっただけ。それに多分、向こうの旦那さん(戸次演じる藤沢)は、他でも浮気してるんじゃないかな~」

真飛「(笑)。それ、見た目のチャラい感じからのイメージじゃないですか!?」


――ご自身は、どちらの異性がタイプですか?

真飛「それは極端すぎる選択ですよね~。ハルカみたいにあそこまで変わってるのもナンですし、愛子みたいにあそこまでああなのもアレだから...。でもダーリン(榊)は愛子なんですよね(ちょっと嬉しそうに)。勝村さんは?」

勝村「うん...(選ぶのは)無理だよね!」

真飛「女子、極端すぎますよねぇ。...私は男性でしたら、断然、榊さんですよ!」

勝村「おっ」

真飛「だって...フジサワ!」


――そのお言葉の意味するところは舞台をお楽しみにしていただくとしまして...。でもなんだかここにいない戸次さんが可哀想になってきました(笑)。

真飛「あ、戸次さんがどうこうではないですので(笑)、そこは誤解しないでください」

勝村「ただ最初のイメージから、みんなそれぞれの役が憑依し始めているじゃない? だから今は役と本人が出たり入ったりで見ちゃうから、なんとも言えなくなってくるよね(笑)。で、こないだ戸次君が「最後は愛されたい」というようなことを言っていたんですが、僕は逆に、お客さんに最後まで「こんな人とはぜったい一緒になりたくない!」って嫌われた方が役者としてプラスになるんじゃないかなって思うんだけどね。僕の役も「オメェがナヨナヨしてるから!」って思う人もいるだろうし。僕、嫌われたくてしょうがないです(笑)」

真飛「ダーリーーン......!!」
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――榊家の夫婦像はいかがでしょう? 奥さんが強くて旦那さんがおとなしいタイプ。

勝村「こういうタイプの夫婦、最近は多いんじゃないかな?」

真飛「案外その方がうまくいきそうですよね。でも女が強そうに見えて、本当はダーリンが守ってくれている。女性がガミガミ言って、それを受け止めて受け流すのも男の役目だというのを、男の人が認識しているからこそ成立してるんじゃないかな」


――そう考えると理想的な旦那様ですね?

真飛「ねえ?」

勝村「あら?そうなんだ。でも男って「うちのにはアタマが上がんないから...」とか「小遣いも少なくて...」みたいに喋りたいんですよ。結局は小市民ですわ!」

真飛「そんな~」

勝村「日本人って夫婦でも会話をするのが苦手だから。自分たちの話をするってあまりないじゃないですか。海外だったら、君がどれだけ可愛くて、私はどれだけあなたが大好きか、というのを延々、熱っぽく語る。そういうのが日本人はないからね」

真飛「ああ、特に子どもが生まれたりするとさらに、ですよね。でもそういうことを言われたい願望があるからこそ、例えば主婦が韓流スターにはまったりするんでしょうか」

勝村「主婦も、女を捜す旅に出て行くんですかね」


――ある意味、この物語はそういう会話がないからこそ欲求がたまって、その結果発生したドタバタなんですね。

真飛「確かにそうですね。日本人だからこそ笑えるシチュエーションかもしれません」

勝村「でも榊さんも「それぞれの夫婦の関係がある」って言ってますが、いろいろある夫婦の形のうちのひとつ。自分とは全く関係ないなと思う人はそういうものを見ながら笑ってくれればいいし、もちろん身につまされる方もいるだろうし。ご夫婦でも、ご夫婦予備軍でも、ご夫婦が終わりそうな方でも、おひとりでも、この物語は全対応なんじゃないかな。ひとつの真理ですからこれは。たくさんの方に観ていただきたいですね」

真飛「まずは観に来ていただかないとね」

勝村「とにかく劇場に! 幸せな気分になれると思います」

真飛「面白いものになりますので、初笑いに、ぜひ!」






この日は、劇中で登場する写真の撮影用衣裳でご登場した勝村さんと真飛さん。
ポピュラーに、女性が椅子に座り、男性がその横に立つ...というカットを撮ろうと思ったところ、「いや、この夫婦だとこっちでしょ!」と勝村さんが座り、真飛さんが立つというポーズをノリノリで取ってくださったおふたりでした。
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笑いの絶えないインタビューで、「このご夫婦、ぜったい浮気なんかしない...」と思ってしまう息の合い具合!
しかし作品上は......。...どうぞ本番をお楽しみに!


取材・文・撮影:平野祥恵

【公演情報】
1月12日(月・祝)~27日(火) シアタークリエ(東京)
1月30日(金)~2月1日(日) サンケイホールブリーゼ(大阪)
2月4日(水)北國新聞赤羽ホール(石川)
2月7日(土)静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール
2月9日(月)愛知県芸術劇場 大ホール 


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