■『スタンド・バイ・ユー ~家庭内再婚~』vol.2■
岡田惠和・脚本×堤幸彦・演出で贈る舞台『スタンド・バイ・ユー ~家庭内再婚~』。
岡田惠和・脚本×堤幸彦・演出で贈る舞台『スタンド・バイ・ユー ~家庭内再婚~』。
稽古場レポート、第2弾です!
★稽古場レポートPart1はコチラ
連れ立って別荘に休暇にやってきた、
ハルカ(ミムラ)&藤沢(戸次重幸)
愛子(真飛聖)&榊(勝村政信)
...の、2組の夫婦。
なのですが、車で買出しに行ったハルカ&榊がその帰り道を雪で遮断され、途中のホテルに閉じ込められてしまったというトラブルが発生、
ハルカ&榊
愛子&藤沢
という、それぞれ伴侶ではない相手と一夜を過ごす羽目になってしまいます。
この日の稽古場は、疑惑の一夜が明け、ふたたび4人が一堂に会したシーンを稽古していました。
ハルカ&榊カップル(not夫婦)は、分類すれば草食系。
「怒られるに違いない」と、こんな表情でのご帰還です。
このふたり、配偶者に抱く不満ポイントが一緒だったり、誰にも理解されない変わった趣味を持っていたりで意気投合。
その共感ポイントが...ずいぶん変わっています。
便宜上<草食系>と書きましたが、ハッキリ言ってその語感から想像する癒し系雰囲気はあまりなく。
かなりの変わり者!
特にミムラさん扮するハルカの変わり者感は尋常じゃありません...。
ただ、理解者が現れたと思ったら自分のことをバーっとまくしたてるところなど、あぁ、いるなあこういう人、と思わなくもないのです...。
一方で勝村さん演じる榊は、欲というものがないのでは、と思うほどの控えめ具合。
ただ、その薄~い存在感の彼を勝村さんが絶妙の間合いで面白さに転換しているのでこちらもお楽しみに!
愛子&藤沢カップル(not夫婦)は、分類すれば肉食系。
というより、バブルを引きずっているような、そんな方々です。
ちなみに、元恋人同士。
真飛さん演じる愛子は、"ヨガのインストラクターをしながら美魔女を目指している"というキャラクター。
ヨガのインストラクター!
美魔女!
この文字列だけでなんとなく人となりがわかった気になってしまう、強烈なキーワードです(笑)。
そして戸次さん扮する藤沢も「あぁ、いそう...」と思うキャラクター。
忙しいアピールをしてみたり、人に頼られるアピールをしてみたり...。
イケイケで自意識の高いおふたりは、人によく見られたい!という思いや、もちろん自分への自信もあったり、さらに"話を盛る"クセがあったり...。
こちらも共通項があり。
なんだか4人とも、きっと身近にいたらうっとおしそうですが(笑)、誰もがそれぞれに(少しずつにしろ)共感できそうな、そんな人間的愛らしさもあるのです。
...微妙な見栄を張ってみたりとか、ありますよねぇ。
堤監督の演出は非常に細かく、常に立った状態で、俳優たちと近い距離で、ひと言ひと言、ワンセンテンスずつ動作や表情をつけていきます。
「左右で同じ表情を」と堤さん。
シンメトリー、って堤監督らしい気がします。
その演出を受けての、真飛さんのこの表情!
そして堤監督、合いの手など、細かいセリフをどんどん追加していきます!
皆さんもガシガシ、メモをとっていました。
Part1でお伝えしたとおり、舞台上は<リング>。
前夜を相手カップルがどう過ごしたか、お互いがお互いに疑惑の目を向けているのですが、リング上でのバトルは、草食系vs肉食系...のみならず、本来の夫婦がかばいあったり、はたまた女性vs男性になったり、さらにはひとりが全員を敵に回したり...とめまぐるしく変わっていきます。
ちょっと引き気味の皆さん。
目線の先は...ハルカさんです。
これ、どんな状況か想像つきますでしょうか...。
さて、ただでさえバトっている2組の夫婦を、さらにひっかきまわすのが、別荘の管理サイドの皆さん。
管理人はモト冬樹さん。
その妻・広岡由里子さん。
バイトの町田君は、馬場良馬さん。
町田君のバク転も見られますよ!
そしてこのバク転、結構な重要ポイントだったりします(笑)。
堤監督、フットワーク軽く演出中...。
町田君の身に何が起こるのか!?
その後、オープニングの歌唱&ダンスシーン(が、あります!)の稽古も拝見してきましたが、
これもまた可愛らしくも一風変わっていて、見どころ満載!
勝村&真飛夫妻は、さすがの真飛さんがリーダーシップをとり、勝村さんも「(真飛さんと踊ると)自分もワンランク底上げされた気分、さすがリーダー!」という順調さで進みます。
一方でミムラ&戸次夫婦は「ここ...こうでしたっけ...」とお互い確認をとりつつ「...かな?」「...ですよね?」と自主練している姿が妙に面白く、勝村さんに「そっち、リーダーいないの!?」と憐みの声を投げられてしまう始末...。
そんな苦労の果てに出来上がったダンスシーン、冒頭から目を見開いて注目してくださいね。
もともとの岡田さんの脚本が「そう来たか!」の連続、面白さ200%なのですが、
堤監督の演出でその笑いがさらに増幅。
セリフも膨大、動線も細かく、皆さん大変そうではあるのですが、演者自身が楽しんでいる、笑いの絶えない明るい稽古場でした。
最後にそんな皆さんの笑顔をどうぞ。
新年早々、スカッと楽しく、そして最後にはちょっとほっこりする舞台を、ぜひ!
取材・文・撮影:平野祥恵
【公演情報】
1月12日(月・祝)~27日(火) シアタークリエ(東京)
1月30日(金)~2月1日(日) サンケイホールブリーゼ(大阪)
2月4日(水)北國新聞赤羽ホール(石川)
2月7日(土)静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール
2月9日(月)愛知県芸術劇場 大ホール