舘そらみインタビュー<前編> ガレキの太鼓『妹の歌』

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高校生とアラサー世代の大人達に焦点をあてた、ガレキの太鼓の最新公演「妹の歌」。

7月16日()から21日(月・祝)まで王子小劇場にて、佐藤佐吉演劇祭2014+参加作品として上演される。全国の小中学校で演劇指導を務める、劇団主宰である舘そらみの経験を活かし、旗揚げ以降初めての現役高校生にも出演してもらう試みも見どころのひとつだ。様々なアプローチ方法で演劇と関わり続ける劇作家の、新作にかける意気込みをお届けする。


インタビュー前編>>>


前編写真.bmp


 

公演日程:2014/7/16( 2014/7/21(月・祝)

会場:王子小劇場 (東京都)

[作・演出]舘そらみ 

[出演]海老根理/舘そらみ/酒巻誉洋/森岡望(青年団)/工藤さや(カムヰヤッセン)/すがやかずみ(野鳩)/万里紗/田中弘/木山廉彬/瀬戸美奈子/前田佳那子/中西柚貴

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ーーー今回の芝居の内容を教えてください。

 

若者たちの生き方の変化を描きたい、と思って脚本を書きあげました。10年の時を経ると小学生低学年は高校生、高校生はアラサーになります。高校生からアラサーへの変化は、体つきはそこまで変わらないのに実はものすごく大きく変わっている。10代とアラサー世代が今回の芝居の登場人物です。

私自身が29歳。先日高校時代の友人との飲み会があったんです。共に学校生活を送った友人の一人が、まさかの超セレブマンションに住んでて、そこにみんなで集まったんです。お台場一望できちゃうドラマみたいな景色の中に、バカばかりやっていた昔ながらの仲間が集まっている。仕事が順風満帆だったり、派手な恋愛活動を続けていたり、既に家庭を持っていたり。みんながそれぞれの生活をかかえている。でも、ふと思ったんですよね。私たち至って普通の高校時代を送っていたよな、と。こんな人生になるなんて誰も想像してなかったよなと。当時の彼女たちを思い出すと面白くなっちゃって。当人からしたら、その後の10年間の変化は既に当たり前の出来事となっていて、何にも面白くないかもしれませんが、きっとみんな各々が波乱万丈の10年間だったんだろうなと想像が膨らんだんです。そこからこの物語が生まれました。

高校生はみんなが何かしらの道で有名人になりたという願望を持っていると思います。社会に出た経験はないし、自分のポテンシャルを知らないからこそ、自由に夢を描けますからね。でも、実際にその夢を叶える人間はどれ位いるんでしょうか。私の友人に映画監督になるという夢を叶えた人間もいますけど、そんな人はほんの限られた人間です。大人たちは人生を自分の足で、等身大で歩み始めている。思い描いた夢は叶えてないかもしれないけど、当人からすれば今描く夢は変わってきている。もし、高校生だった自分が、今の私を見たら「何現状で満足して、つまらない大人になってるんだよ!」って、きっと怒るでしょう。そんな、物語ですね。

 

ーーー舘さんご自身が高校生の頃描いていた夢や「社会に初めて出会ったな」と思った出来事はありますか?

 

高校生の頃は「戦争をなくしたい」という動機から政治家になりたい、とよく言ってました。周りの大人は、なれるなれないと忠告することもなく無条件に「すごいね」って褒めてくれましたね。社会に出会った瞬間は、普通の人より遅かったかもしれません。OL生活は一年やりましたが、自分がとるに足らない存在だということを味わっただけに終わってしまいましたね。劇団を旗揚げしてから2年ほど経って、初めて仕事として脚本の依頼がきたときは、微々たる金額でしたけど、報酬が出たのはやはり嬉しかったです。とはいっても、小劇場界という特殊な世界でのことなので、さらに、世の中の一員になれたと思えたのは一昨年くらいからでしょうか。不定期で小中学校を巡って演劇指導をするようになったんです。今まで自分がやってきたことが、これからの未来を担う若者たちに影響を与えられると思うと、幸せ過ぎて震え、やっと社会と繋がれたかもしれないと感じました。

 

ーーーさらに、今回は「高校生役」のオーディションを行っています。現役高校生も出演するそうですね。

 

自分自身が「大人」になった今、10代の役者を受け入れる事はとても興味深いです。今回出演してくれる子はほぼ初めての舞台。ベテランの役者さんも参加されていて、もちろん彼らの方が空気を持っていくことに長けているのに、10代にも目がいってしまう。17歳という説得力がその舞台に立っている人から出ているんでしょうか。その年代にしか出せないものを持っているから、存在そのものが面白い。若さは、私たちがどんなに頑張ってもできない、すごく尊いものです。

実際行ったオーディションも面白かったですよ。体力勝負をさせるとスタミナは無尽蔵だし、アンケートをとって質問を20個用意してもサラサラと書いてしまう。「死とはなにか」とか 結構ヘビーな質問したんですけどね()学生は試験で質問を埋めるという訓練を日頃からしているからですかね。感心しました。そのアンケートもすごく参考になって、演技の上手さではなく、どういう視点で世の中をみているのかが選考の基準になりましたね。この公演が終わった後も、現役高校生に相手に夏限定で芝居をつくる予定です。彼らが今まで出会ったことのないタイプの大人として存在できると思うと、今から楽しみです。(取材・文 上野紗代子)

 

→後編へ続く。

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