英国の国民的作家P.G.ウッドハウスのシリーズ小説をもとに1975年にミュージカル化、その後も1996年に再演版が、2001年にはブロードウェイでも上演された『天才執事ジーヴス』。あの『オペラ座の怪人』などで知られる作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーが、20代で手掛けた作品としても知られている。今回が初となる日本版では、お気楽な青年貴族バーティ・ウースターにウエンツ瑛士、冷静かつ忠実な執事ジーヴスには里見浩太朗という魅力的な顔合わせが実現。6月2日、ウエンツと里見に加えてキャストのモト冬樹、樹里咲穂と、演出の田尾下哲が出席して制作発表が行われた。
舞台は20世紀初頭のロンドン。教会のホールでバーティ(ウエンツ)がバンジョーの演奏会を催そうとするが、直前になって楽器が消えてしまう。彼の執事ジーヴス(里見)は、代わりにバーティの友人たちの不幸話を取り入れた即興劇を提案。バーティは元婚約者のオノリア(樹里)や裁判官のバセット(モト)、ジーヴスの姪スティッフィー(高橋愛)、米国の会社の御曹司サイラス(なだぎ武)らを巻き込み、さっそく奇妙な芝居の幕を開けるのだが...。
ウエンツと里見は、今回がミュージカル初挑戦。ウエンツは「ミュージカルはセリフの言葉を音楽に乗せていく点が、(コンサートなどで歌う)歌と違うところ。圧倒的なパワーで劇場を包めるように頑張りたい」と早くも意気込み充分。
ウエンツと同じく歌手としてもヒット曲を持ち、長年コンサートを続けてきた里見も「俳優生活56年のうち80%が時代劇(笑)。でも若い頃から音楽も歌も好きで、ミュージカルは憧れだったんです」とミュージカル初出演を楽しんでいる表情だ。
また樹里は「貴族の娘役!と喜んだんですが、原作を読んだら『見た目はミドルウェイト級』とあって...(笑)。さらに肉食系だそうなので、どう演じるか考え中です」と笑顔。
モトも「僕はこう見えてルールは守りたいタイプ。でもイメージと違う役をやるほうが面白いですし楽しみですね」と語った。
続けて演出の田尾下が「イギリスの喜劇らしい、頭から尻尾まで無駄のない伏線がある作品。ウエンツくんは貴族らしい美しさ...特に手が奇麗なので役にピッタリですね」と本作への想いを語った。
会見中、「瑛ちゃん(ウエンツ)は8曲も歌うんですよね」という里見に、ウエンツが「プレッシャーをかけないでください」と返すと、すかさず里見も「申し訳ありません、ご主人様」と応えるなど、早くもチームワークは抜群の様子。英国製らしい、笑いとウィットに富んだミュージカル・コメディを期待したい。
公演は7月4日(金)から13日(日)まで東京・日生劇場にて。チケット発売中。
取材・文:佐藤さくら