演劇集団キャラメルボックスが、5月10日(土)より『鍵泥棒のメソッド』を上演します。
原作は第36回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した、内田けんじ監督映画。
これまでも小説の舞台化などを数多く手掛けているキャラメルボックス、その中には原作が映像化されているものもありますが、純粋な映像作品を舞台化するのは、今回が初。
とはいえ、常に原作への愛情溢れる丁寧な舞台化を実現してきている彼らのこと、今回の舞台化にも期待がかかります...!
いったいどんな舞台になるのでしょう。
4月某日、その稽古場を取材してきました。
物語は、売れない貧乏役者と記憶喪失の殺し屋の人生が入れ替わることから始まる、スリリングなコメディです。
いろいろとツイておらず自殺まで試みた貧乏役者・桜井武史。
彼は銭湯で男が転倒する現場にはちあわせる。気を失った男を見て、ふと自分と男のロッカーの鍵をすりかえる桜井。
だが気を失った男はそのまま記憶喪失となり、桜井がすりかえたロッカーの荷物から、自分が桜井だと思い込んでしまい...。
一方、桜井が人生を乗っとった男は伝説の殺し屋・コンドウだった...!?
ふたりの入れ替わりに、さらに婚カツ中の雑誌編集長・水嶋香苗が絡み、物語は先の読めない方向へ転がっていきます。
作・演出を手掛けるのは成井豊。
先に行ったインタビューで、成井さんは「内田さんの書いた脚本を舞台化するのではなく、あくまで映画を舞台化する」と話しています。
ちなみに映画版は、桜井=堺雅人、コンドウ=香川照之、香苗=広末涼子。
今回はその3役がWキャストになっています。
〈BLACK〉チーム、桜井=畑中智行、
コンドウ=阿部丈二、
香苗=渡邊安理。
〈WHITE〉チーム、桜井=多田直人、
コンドウ=岡田達也、
香苗=岡内美喜子。
畑中さんの桜井は、「頑張れ!」と応援したくなる弟キャラタイプで、でもその頑張りが空回りしちゃっているような感じ、でしょうか。
対して多田さんは、なんとなーく、現代っ子っぽさがあり、時折りイラっとさせられる部分もある(...でも憎めない)桜井、という印象です。
ふたりとも、ちょっと情けなくも、一生懸命...というキャラクターにぴったり!
そして情けない部分をさらけ出しながらも懸命に頑張る...というこの桜井というキャラクター、キャラメルボックスの作風にもしっくりきて、なるほどキャラメルボックスが舞台化するのに、納得。
コンドウ役のおふたり、阿部さんと岡田さんも素敵です!
伝説の殺し屋!? という役回りを、迫力とシリアスさの絶妙なさじ加減で演じています。
謎めいた雰囲気を纏いつつ、実直な部分も見え隠れ...。
どちらも味があってカッコイイ。
桜井・コンドウのコンビネーションでまったく違う雰囲気になっています。
...まったく違う雰囲気ながら、どちらもそれぞれ、しっくり。
それにしても、"堺雅人・香川照之・広末涼子"で「それ、大正解!」というようなキャラクターたちを、見事にキャラメルの俳優さんが自分のものにしていますよー!
以下の方々の役名は現段階では伏せておきますが、皆さんの軽妙な演技が光ります。
西川浩幸さん。
大内厚雄さんと、小多田直樹さん。
通すたびに変わる小多田さんの小ネタに稽古場も爆笑!
演出の成井さんも楽しそうに笑っていらっしゃいました。
前田綾さん(中央)はシリアスに...。
さて、この日はシーンごとの"転換"を中心とした稽古日。
お伺いしたところ、通常の作品では転換のみの稽古を日にちを設定して行うことはあまりないとか。
つまり今回は舞台作品には珍しくシーン数が多く、めまぐるしく場面を変えていくものになっている、ということなのでしょう。
どうやらキャラメルボックスは、原作の映像ならではのテンポ感を損なわせない舞台化を目指しているようです...!
ひとつの場面を作り上げるためのセット転換を、細かく確認。
どのきっかけで、誰が何を出して、何を下げるか。
(おそらく)すべてを、出演者自身がセッティングしていきます。
その動線覚えるだけで、大変そう...!
そしてこちらの、ベッドやら机やらが登場するシーンではまさに総がかり!
岡田さんも「ここは大変だぁ!」、前田さんからは「ドリフみたいだった!(笑)」との感想が...。
ベテランも若手も関係なく、「私、ここで机を出すと、次のシーンに間に合わなくなります」「ここ、●●の手があいてます!」「それは(衣裳の)早替え用にあけておきたいんだよねぇ...」等々、活発なやりとりが。
誰が上手にいて、その大道具は下手にあって...と、それらをうまく組み立てていく作業はなんだかパズルのピースをはめていくようで、大変そうながら、面白くもありました。
おそらくそれらがカチリとはまると、サスペンスフルな物語が疾走感を持って立ち上がってくるに違いありません。
こちらは、あるワンシーンのコンドウ&香苗の動線を決めているところです。
成井さんはシーンの最後の立ち位置を押さえ、そこにいたるまでは「好きに動いてみて」という言葉をかけます。
〈WHITE〉チームの岡田さん・岡内さんが「こっちを通って...」「1周はしない方がいいかな、ここで戻ろう」「このセリフのあいだにそんな大移動、できるかな?」等々、試行錯誤。
何度か通したところで成井さん、「うん、いいと思います」。
次に〈BLACK〉チームに対しても「改良してくれてかまわないので」と柔軟な言葉。
どうやら俳優たちに委ねる部分も多いようです。
〈WHITE〉チームを見ながら、「ここはこう通った方が...」と話し合いをしている〈BLACK〉チームの阿部さん、渡邊さん。
こうしたらどうだろう、これはどうだろう、と活発な議論を交わす俳優の皆さんの姿が印象的で、俳優・スタッフ誰もがこの舞台化を楽しんでいるのが伝わってくる稽古場でした。
"キャラメル色"に染まった『鍵泥棒のメソッド』、開幕が楽しみです!
【公演情報】
5月10日(土)~6月1日(日) サンシャイン劇場(東京)
6月5日(木)~10日(火) 新神戸オリエンタル劇場(兵庫)
チケット発売中
【ハーフプライス・チケット(当日半額券)販売アリ!】
公演当日、東京公演は10:00から、神戸公演は11:00から開演の1時間前まで、下記のチケットぴあで当日まで余ったお席をお得な金額でお求めいただけます。
※各店舗が入館している施設の休館日は、ぴあもお休みです。別の取扱店舗でお求めください。
■東京公演
料金-3650円
※販売する席はS席だけとは限りませんが、料金はすべて3650円です。
[池袋]ちけっとぽーと池袋パルコ店6階
[有楽町]東京国際フォーラム・チケットセンター
■神戸公演
料金-各席種の半額
[神戸]ちけっとぽーと三宮店・B-WAVE内
[大阪]HEP FIVE店(梅田)
[大阪]阪神プレイガイド(梅田)
[大阪]ちけっとぽーとなんば店(難波)