■劇団四季創立60周年 特別連載■
【チケットぴあニュース】
今年7月に劇団創立60周年を迎えた劇団四季。その記念公演として行われるセレブレーション・ステージ『劇団四季ソング&ダンス 60 ようこそ劇場へ』が10月13日(日)に開幕する。開幕を目前に控えた9月26日、報道陣に向け公開稽古が行われ、また構成・振付・演出を務める加藤敬二が会見を開いた。
『ソング&ダンス』は四季の代表的なミュージカルナンバーを中心に、ショー形式で展開するステージ。通常はミュージカル、ストレートプレイと、"芝居"を提供する劇団四季には珍しい"ショー"であり、様々な作品の名曲の数々が一時に楽しめる点や、ミュージカルの舞台とは別のアレンジ・ダンスで魅せる点などで人気が高い。
加藤は「今年60周年を迎える四季ですが、この年月はお客さまに育てていただいた60年だと思っています」と、感謝の気持ちが『ようこそ劇場へ』というタイトルになったと説明。また「今までの『ソング&ダンス』で入れにくかったファミリーミュージカルのメドレーも、劇団四季の原点として入れます。劇団の代表作のひとつである『思い出を売る男』からの曲も、(ストレートプレイなので)今までは選択肢には絶対になかったんですが、今回は60年の思い出として入れたいと思っています。劇団四季60年の足跡を踏まえながら作っています」と構想の一端を明かした。
その加藤の言葉どおり、稽古場で披露されたシーンでは、冒頭早々にファミリーミュージカルのナンバーが次々と登場。それらも作品本編とは異なるスタイリッシュなダンスで『ソング&ダンス』らしい味付けがなされている。今までの『ソング&ダンス』でも登場した名シーンに加え、新たに作られたシーンが織り交ざった、見ごたえのあるステージになりそうだ。
「いつもですと、客席に座って緞帳が上がって、違う世界の劇を見ていただく。でも今回は、緞帳を壁とは感じず、ひとつの劇場という空間で(舞台と客席が)一体化して欲しい。いつもよりちょっと楽な見方で、曲の中の歌詞と自分の人生を重ねていただいて、いろんな面を楽しんでいただければ」と加藤。公演は10月13日(日)に東京・四季劇場[秋]にて開幕する。チケットは現在11月24日(日)公演分まで発売中。
以上、ニュースサイトに掲載した記事ですが、げきぴあでは詳報をお伝えいたします。
●加藤敬二(構成・振付・演出) 囲みインタビュー●
「劇団四季は今年60周年を迎えましたが、その年月は、お客さまに育てていただいた60年だと思っています。ですので60年間の気持ちを込めて、今回の『ソング&ダンス』は『ようこそ劇場へ』とつけました。今回は、今までの『ソング&ダンス』シリーズではちょっと入れにくかった、ファミリー・ミュージカルのメドレーを頭に持ってきて、これが劇団四季の原点だと感動を味わっていただきます。そのように、60年の足跡を踏まえながら作ってみました」と加藤さん。
ファミリー・ミュージカルのメドレーは、取材時点では8曲くらいを予定、これからさらに違う曲をいれるか、もしくは短くしてテンポ良くしていくか、などを検討していくとのこと。
また、今回は<その日ごとに舞台構成を変える>という試みも行うとのことで、「四季ということで4つの扉を用意します。お客様の多数決をとり、一番多い色の扉を開けると、まったく異なる作品のナンバーが用意されています。出演者の方も、お客さまが選ばれるまでどのナンバーになるかわからない」という仕掛けを考えているそう。
これについては「いつもはお客さまが"選ぶ"というのは、作品を選ぶ、これを見ようとチケットをお買いになるところで選択肢は終わって、あとは作品を楽しんでいただくことになる。今回は「welcome to the theater」ということもあり、劇場の中にまだ選択肢がある、ということがしたかった」と説明。
ほかにも舞台と客席の交流が考えられているようで、「いつものお芝居やミュージカルですと、緞帳というものが客席と芝居の世界の間の壁となり、遮っている。今回はお客様をゲストとして迎えるために、なるべくその壁を取り払い、一体となった作品になったらいいなと思っています」と話していました。
また四季のレパートリーの中でも人気の高い『ソング&ダンス』シリーズですが、今年はすでに8月に開幕し、全国各地で上演をしている『60 感謝の花束』と、この『60 ようこそ劇場』の2本が並行して上演されることになりますが、その2本の違いとしては「基本にあるのは両方とも60周年を迎えさせていただいたことに対するお客様への感謝の気持ちなので、同じ。ただステイ(常設劇場、今回は四季劇場[秋])でやるのと、ツアーでやるのでは舞台の盆や照明の量など、条件的に異なる。そのボリュームの違いと、あとは今回東京ではファミリー・ミュージカルのメドレーを冒頭に持ってきますが、全国ツアーのお客様で、ファミリー・ミュージカルを見ている方は少ないと思うんです。そこでテーマ曲を並べても、ピンとこないお客様がもしかしたら多いのかなと。東京でしたらお客さまが観る機会も多く、馴染みがある。なので東京ではそういうものをトライして、全国ではなるべくメガ・ミュージカルをメインに構成しています。そのあたりはあえてわけてやっています」とのこと。
さらに、この『ソング&ダンス』シリーズを作る上での楽しさを「僕も『キャッツ』のオーディションで参加させてもらってこの劇団に入り、30年たちますが、その僕が入る以前の30年間はまったく知らないんです。たぶん劇団四季は、結成してから僕が入るまで...『キャッツ』が始まるくらいまでが、ものすごい荒波があった大変な時。そういうものを先輩方からきいたり、こういう作品を通じていろんな資料を読んだり、浅利先生からお話をきいたりして、だんだんわかってきた部分があります。そういうことを知る楽しさがありますし、知ることで、『ソング&ダンス』の曲を選択する時の考え方はだんだん深まっていますね。最初はやっぱりいい曲や有名な曲、大衆に受け入れられる曲、振付しやすい曲、という選び方だったのですが、60年間のお客さまへの気持ちを伝える上で、まったくそれを無視してただ有名な曲を並べても意味ないな、と。劇団の中での身内話になってはいけないと思うんですが、劇団の活動が自分の中で広がってきて、そういう中から曲を選択している、という面白さはだんだん出てきています」とも。
そして、劇場に来るお客様に対しては「いつもですと客席に座って、緞帳があがって、違う世界の話をご覧になる。今回はそうではなく、たとえば色んな作品の知ってる曲が出てくる、その喜びや期待感はドラマを見るのとまた違うものがあると思います。色んなナンバーをやりますが、1曲1曲違うドラマがあり、人生を語る曲ばかりを集めました。曲の中の色んな人生から、自分の人生を照らしあわせて、何を感じていただけるかは、レビューだからできる曲の楽しみ方だと思います。いつもよりちょっとラクな見方をしていただいて、曲の中の歌詞と自分の人生を重ねていただいて、いろんな面を楽しんでいただければと思います」と話していました。
そして、稽古場の様子ももう少し詳しくレポート!
そして、稽古場の様子ももう少し詳しくレポート!
稽古場レポート
開始前、加藤敬二さんはキャストたちに「止めながらやるから、自分の課題をクリアにしていってください」との言葉。その言葉は意識の方向性の指示であるとともに、「シーンをまとめてやるけれど、変に力が入らないように」と緊張感をほぐすためのものでもあったのかもしれません。実際はおそらく1幕分、ストップがかかることなくぶっ通しで続けられた、この日の稽古場でした。
こちらは、ヴォーカルパート担当の皆さま。加藤さんが語っていたように、冒頭早々にファミリー・ミュージカルのメドレーが紡がれます。
デッキブラシやロープといったユニークな小道具を使ったダンスも。
このあたりの再構築は、『ソング&ダンス』ならではの楽しみですね!
シンガーの方々の圧倒的な歌声!
そしてダンサーの方々のすばらしい身体表現!
あのナンバーがこんなシーンになっちゃった!という意外性もあり。
こちらのシーンは『ライオンキング』のナンバーでした。
今までの『ソング&ダンス』での名シーンも登場。珠玉のナンバーの数々が楽しめる『ソング&ダンス』、その最新作もやはり、楽しいものになりそうです!