劇団四季『ミュージカル異国の丘』稽古場レポート

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■劇団四季創立60周年 特別連載■


今年、創立60周年を迎えている劇団四季。
60年の間に日本で最大の劇団となった彼らが、"20世紀の悲劇を語り継ぐ"という使命のもと、大切に上演しているオリジナル・ミュージカル<昭和の歴史三部作>を、このアニバーサリー・イヤーに連続上演します。
先日まで上演されていた『ミュージカル南十字星』に続き、6月20日(水)から開幕するのは、『ミュージカル異国の丘』
聡明な首相令息として将来を嘱望された青年が、なぜ遠いシベリアの地で命を落とさなければならなかったのか。
実在したプリンスの悲劇をベースに、フィクションも織り交ぜ、シベリア抑留の史実を、そして戦争の悲劇を描き出すミュージカルです。

6月上旬、その稽古場を取材してきました。

主人公・九重秀隆役の荒川務さん。
開始直前、目を閉じて集中しています。
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印象的な、オープニングシーン。
本番では、極寒の地・シベリアが舞台上に表れます。
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抑留者たちの中で、ひときわ厳しい表情で立つ、秀隆。Shiki_60th1203.JPG
タイトルになっている『異国の丘』は、実際にシベリア抑留兵士たちの間で歌われていた曲。
作曲は『有楽町であいましょう』や『いつでも夢を』などで知られる吉田正です。
作中にも登場、ナレーション的な役割も担っています。
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秀隆は学生時代をニューヨークで過ごしていました。
吹き付ける吹雪の音が聞こえてきそうなシベリアのシーンとは対照的に、こちらは華やかでミュージカル的にも楽しいシーン。
加藤敬二振付のハイレベルなダンスシーンも必見!
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ニューヨークで、秀隆はひとりの美しい女性と出会います。
心惹かれあいながら、その日はお互い名乗らないまま別れるふたり。
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後日、英国総領事館でのパーティで再会したふたりですが、彼女・宋愛玲は蒋介石総統夫人・宋美齢の姪で、中国の高官令嬢であることが判明します。
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"敵国の人間"と、一度は秀隆への思いを否定した愛玲ですが、その思いは止めることはできず...。
秀隆もまた、友人の神田に自分の立場を説かれるも、愛玲への思いを止めようとはしません。
ふたりの許されぬ愛はやがて、日中の和平工作へのエネルギーとなっていくのですが...。
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一方、シベリア。
過酷な労働を強いられている抑留者の中に、秀隆の姿もあります。
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ふたつの時代が同時に描かれていくことで、日中の和平を願い奔走していたはずの彼がなぜシベリアに抑留されることになったのか、そんな「何故」が観る者にも沸き起こり、物語はスリリングなものになっていきます。


稽古を見つめる、加藤敬二さん。
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一幕を通したあと、「NYのシーン、ペアダンスが近寄りすぎていて迫力がない。ふたりが一本のラインで外にアクションが出るように。シアトリカルに、ビジュアル的にも迫力が出るように」「劉玄と花蓮のペアは、踊りながら愛玲と交流をしてください」といった、ダンスの指摘から、「この部分のセリフがいまいち(心に)残らない。もっと具体的に」「ここはもう2・3歩、前に出て話しましょう」「斧の重さが、小道具の重さになっています。気を付けて」といった部分まで、細かく指示を出していました。
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ベテランや作品経験者の多いカンパニーで、稽古場も落ち着いた雰囲気でしたが、だからこそ作品へ賭ける真剣さやプライドといったものが伝わってくる、真摯な稽古場でした。


公演は6月20日(水)から7月13日(土)まで、東京・四季劇場[秋]にて上演。
チケットは現在発売中です。

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