■劇団四季創立60周年 特別連載■
6月2日、東京・自由劇場にて劇団四季『鹿鳴館』が開幕した。演出は浅利慶太。
1956年に三島由紀夫が書いた戯曲で、劇団四季では2006年に初演。三島文学特有の日本語の美しさを、朗誦術にたけた四季の俳優たちが見事に舞台化、好評を博した作品を劇団創立60周年の記念の年に改めて上演する。
物語は明治の天長節(天皇誕生日)を舞台に、影山伯爵夫妻を中心に展開される。若い娘の恋の相談をきっかけに、政治的陰謀や愛情のもつれ、親子の名乗りなどが絡み合うドラマチックなストーリーだ。クライマックスの鹿鳴館の舞踏会で交わされる、伯爵夫妻の火花散るセリフの応酬は見ごたえ充分。60年間"言葉"にこだわってきた四季ならではの粒だった発声法で言葉のひとつひとつがクリアに客席に届き、スリリングな中にも三島作品らしい流麗な日本語が楽しめる。
今回はヒロインの伯爵夫人・朝子に劇団四季初演の2006年より同役を演じている野村玲子、影山伯爵役に平幹二朗が初めて扮する。2011年の『ヴェニスの商人』以来の劇団四季の舞台となる平は「2年ぶりに、また浅利さんとお仕事をご一緒できること、そして四季の舞台に立てることを嬉しく思っています。『鹿鳴館』には、芝居を観る醍醐味が詰まっている。また影山は、僕の年齢にもあった役です。三島さんの削ぎに削がれ、研鑽されつくした台詞を丁寧に、的確にお客様にお届けしたい。そう考えています」とコメントを発表。卓越した演技者と、日本最高峰の戯曲が奏でる舞台を堪能できるチャンスをお見逃しなく。
公演は6月29日(土)まで。チケットは発売中。
撮影:上原タカシ